ミステリの部屋

ミステリの部屋

2006年05月17日
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この作品、図書館で借りては、読めずに返すこと2回。
といっても読みづらいわけではなく、単にタイミングの問題。
今回やっと読むことができました。「新本格」世代の作家に大いなる影響を与えた、島田荘司さんのデビュー作です。


それをもとに、実際に6人の女性が殺され、全国に遺棄されるという事件が起こります。
ところがその日記を書いた画家は、事件が起こる前に殺されていました。
結局迷宮入りとなり、40年間誰も解決することができなかった事件に、御手洗潔が挑戦します。


こういう猟奇的事件は余り得意ではないので危ぶんでいましたが、ぞっとするような場面はほとんどなく、石岡と御手洗のコンビの会話のテンポのよさにぐんぐん引き込まれていきました。

なんせ40年前の事件です。
一筋縄ではいきません。それにしても、御手洗潔の悩み方がすごい。ホームズを奇人だと言うあなたの方が危ない人だと思われているに違いありません。
そのあたりの描写はコミカルなくらいです。

一方ワトソン役の石岡さんは思い込みで自分なりの捜査に邁進するので、イライラ、ハラハラが続きます。

読者は途中でこう問いかけられます。



実はわかっちゃったんですね。
でも、それは後半に描かれている、ある図をたまたま見てしまったからです。
発売時、袋とじになっていたというのは、そういう事態になることを避けるためなんですね。

それと、「金田一少年の事件簿」で同様のトリックが使われたというのは割と有名な話らしいです。
金田一少年シリーズは読んだことがありますが、このトリックには記憶がなかったで問題ありませんでしたが。

事件が起きたのが昭和11年という設定ですが、それも理由があったのだとわかります。
何より御手洗潔の奇人ぶりが素敵でしたし、中身のつまった「探偵小説」を堪能しました。

社会派推理全盛の時代に、こういう衝撃的な作品でデビューした島田荘司さんは勇気があるし、すごい人だと思います。


占星術殺人事件 占星術殺人事件 :島田荘司








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最終更新日  2008年02月12日 23時24分14秒
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