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【送料無料】すみれの香りに魅せられて [ トレイシー・アン・ウォレン ]スパイ物は、久しぶりだ。並行して、「レッドスパロー上」も読んでいたのだが、だいぶ趣が違う。【送料無料】レッド・スパロー(上) [ ジェイソン・マシューズ ]まあ共通点といえば、ヒロインが二人とも、家族のためにスパイをせざる負えなくなっているということぐらいか・・・・・それは、さておき・・・・・バイロン・シリーズ最終話。前作で家族の中でも変り種の数学者として個性的だったドレークの話だ。フランスの女スパイとしてドレークの屋敷に女中頭として潜入したセバスチャン。父親と弟を脅迫のネタにされ、仕方なく引き受けた仕事だった。22歳なのに29歳と偽ってはいるが、ドレークの興味を惹いてしまう。ドレークの開発した英国軍の使っている暗号を探すのが目的だったのだが・・・・・人間ドラマに焦点を絞っているので、数学や暗号の細かい説明は皆無に近い。そのせいで、スパイ物のリアリティが感じられないのはちょっと残念。最終話に相応しく、大団円だったので、よしとしようかな。
2014.03.06
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【送料無料】英国レディの恋のため息 [ キャンディス・キャンプ ]ウィローメアシリーズ最終作。基本的に明るいこのシリーズが好きだったので、とても寂しい。アメリカからやってきたバスクーム四姉妹も三女カメリアを除いてそれぞれの幸せを見つけた。今回は、四姉妹の理解者でもある公爵令嬢ヴィヴィアンとカメリアを中心に物語が展開する。舞台は社交シーズンのロンドン。カメリアの後見人でもある伯爵のオリヴァーとヴィヴィアンは会うと必ずと言っていいほど言い争いになる。堅物のオリヴァーと自由奔放で28歳になっても未婚のヴィヴィアン。近いうちに自分だけの家を買って独立するというヴィヴィアンにオリヴァーは怒り心頭。折りしも、宝石泥棒が出没し、二人は一緒に犯人探しをすることになるのだが・・・・・・・オリヴァーとヴィヴィアンは思った通りになったのだが、なんだかもの足りない。それよりも、カメリアにピッタリの人が見つかってよかったなあという感じだ。さて、キャンディス・キャンプもウィローメアシリーズが終わったので、もういいかなあという気分になっている。なんだか、ガツンとくるくらいの物語を読みたいものだな。
2013.12.23
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【送料無料】戯れの夜に惑わされ [ リズ・カーライル ]Devilシリーズの久々の翻訳だ。リズ・カーライルはスピンオフだらけの作家らしいが、シリーズ物でも全作翻訳されているわけではないので、余計わけが分からなくなるのも確か。前作に、ヒロインの兄であるジョージ・ケンブルが出ていたのは、なんとなく覚えているのだが。【送料無料】愛する道をみつけて [ リズ・カーライル ]時は、19世紀。ロンドンでは、ブラックエンジェルと呼ばれる女義賊が出没していた。放蕩貴族から金品を奪い、貧しい女たちに分け与える彼女の正体は、公爵の庶子で未亡人のシドニー・セント・ゴダール。デューク・ストリートの悪魔の異名を持つ放蕩貴族のデヴェリン侯爵は、シドニーの隣に愛人を囲っていて、その醜態を目撃され、彼女の標的になるのだが・・・・・・デヴェリンは、クレーヴネル公爵の息子。シドニーは、クレーヴネル公爵の庶子ということで、兄妹(!)かと思わないでもなかったが、シドニーは先代の公爵の娘らしい。このへんがはっきりしなくてもやもやしていたが、中盤以降は払拭された。シドニーの行為は善意から出たものでも犯罪行為なので、ハラハラさせられた。デヴェリンは憎めない男なので、シドニーによって開眼することができてよかったね、といったところ。気になったのが、脇役の人々。旧作に出てきていそうな人物は、ちょっとチェックしてみようかなと思った。
2013.11.27
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【送料無料】その愛はみだらに [ コートニー・ミラン ]うーん、タイトルはなんだか凄いのだが、骨子は真面目な内容なので、いいのか悪いのか、ちょっと考えてしまう。原題は「Unclaimed」なので、タイトルにするのは難しいとは思うのだが。哲学者のマークが高潔さを世間から賞賛されているのに対し、14歳で家を追い出され身を持ち崩したジェシカは高級娼婦。ジェシカは他人に頼らない生活を手に入れるために、マークを罠にかけようと画策するが、哲学者らしからぬマークの言動に振り回されることになる。時はヴィクトリア朝なので、男女の格差はいかんともしがたく、ジェシカの辿った運命は当時は珍しくもなかったのだろう。ただ、マークの考え方がジェシカを救い、ジェシカによってマークが救われる過程は、説得力がある。コートニー・ミランの長編は、今回で2作目だが、繊細で誠実な筆運びは好感が持てる。是非、続編であるマークの次兄スマイトの物語を読んでみたいものだな。
2013.10.25
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【送料無料】きらめく愛の結晶 [ アイリス・ジョハンセン ]連日暑いので、フィギュアスケートの話はちょっと脳に涼しい。セカディーンもののスピンオフということで、「どの辺が?」と思っていたら、「澄んだブルーに魅せられて」のヒーローボウがダニーのコーチだった。【送料無料】澄んだブルーに魅せられて [ アイリス・ジョハンセン ]「澄んだブルーに魅せられて」のどの辺がセカディーンに関係があったのか覚えていないので、読み直さないとこの疑問に答えは出そうにない。それはさておき、この本自体は、オリンピックを目指すフィギュアスケーターが主人公。ダニーはオリンピック(カルガリーって!)を前にスランプ気味。後見人のアンソニーは金メダリストだが、スケートの指導はコーチのボウに一任していた。そんな彼が、突然、ダニーの指導をすると言い出し、彼女の私生活にも口出ししてきた。ダニーは、そんなアンソニーに反発するが・・・・・・光源氏と紫の上???というような話ではある。あまり突き詰めると、アンソニーの嗜好に疑問を持ってしまったりもするので、さらっと読むのがいいようだ。フィギュアも技術の話ではなく、あくまで精神の部分に終始していたので、スポーツものという感じもあまりしなかった。ロマンスのための道具がフィギュアスケートだったのが、新鮮といえば新鮮か・・・・・・まあ、気分的に涼しくはなったのだが。
2013.08.23
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【送料無料】運命は炎のように [ リサ・マリー・ライス ]リサ・マリー・ライスは好きな作家だ。このシリーズも2作目になるのだが、正直なところ、1作目はあまりいいとは思わなかった。でも、読むのをやめなくて良かったと思う。物語は、血のつながらない兄弟とセキュリティ会社を経営するハリーが主人公。アフガンで大怪我をしたが、今は回復してきている。ある日、以前会計士をしていた会社の不正をしたため逃亡生活を強いられた女性が依頼にやってくる。偽名を使い、全てを話すことを拒んでいる彼女の声を聞き、ハリーは、彼女が謎の歌手イヴであると知る。絶望したハリーを救ったのは、イヴの歌声だった。そうとは知らず、正体を知られた彼女は、事務所から逃げ出してしまう。プロローグに、ハリーの悲しい過去が描かれている。リサ・マリー・ライスの作品では、珍しい導入部だ。その後は、現在の緊迫した状況が途切れることなく進んでいく。読んでいて、ページをめくる手が止まらなかった。ラストも救われると同時に、次回作への期待が高まる仕掛けがあったし。1作目より、はるかに面白く読めた。表紙もなかなか気に入った一冊だ。
2013.07.27
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【送料無料】死角 [ キャサリン・コールター ]FBI捜査官サビッチ&シャーロックシリーズ第4弾。珍しく順番通りに読み進んだ私。そのせいか、なんだかこの小説の人間関係に慣れてきた。今回は、サビッチの元同僚マイルズの息子サムが誘拐される。身代金の要求もなく、小児愛者の犯行かと思われた。しかし、サムは自力で犯人達から逃げ、保安官ケイティに保護される。サビッチとマイルズが到着し、犯人達は逃走途中で死亡。安心したのもつかの間、犯人のうち一人は生きており、執拗にサムを追ってきた。とにかく、どうしてサムが狙われるのかがわからない。一難さってまた一難、の繰り返し。サムは、6歳の男の子なので、その精神的苦痛は計り知れない。そんななか、ケイティの一人娘キーリーとの交流が、一服の清涼剤のようになっていた。サビッチに付き纏うジムの女とか、数学教師連続殺人の捜査とか、並行して悩ましい自体が続く。深読みしすぎで、なんでも関係があるように思ってしまうのだが、きっちり分かれていたので、肩透かしをくらった感がある。(たぶん私だけだろう・・・・・)次は、「旅路」だが、時系列的には、最初の話らしい。まあ、読むとしよう。
2013.07.09
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【送料無料】星空に夢を浮かべて [ ジル・バーネット ]なんだか久しぶりにきゅんきゅんするようなロマンスを読んだ気がする。それは、ひとえに、この小説のヒロインにある。片思いの設定はよくあるが、これだけ誠実に揺るがない感情に出くわすのは珍しい気がする。1815年、19歳のリティはダウン伯爵リチャードに8年間も片思いをしている。でも、リティがリチャードに近づくたび、彼は騒動に巻き込まれ、ひどい時は怪我をするのが常。彼女の想いは揺るがないが、リチャードにしてみればできれば近づいてほしくない女性だった。彼は爵位を継いでから領地に戻らないでいたが、急に戻ることを決意した。リチャードが戻ってきたことに気付いたリティは、彼をつける。彼につけていた事を気付かれた時、密輸現場に出くわし、2人は囚われの身となるのだが・・・・・リティはどうみてもはた迷惑な存在だが、誠実で誰にでも分け隔てなく接するため、リチャードでなくても許してしまいたくなるのは確か。とはいっても、リチャードの被る災難は、命に関わるものでもあるので、彼の寛大さには頭が下がる思いだ。リチャードがリティを受け入れるまでの話なのだが、ユーモラスでもあり、彼には救済が必要だったことがわかるので、最後まで楽しめた。なんだか、妙に新鮮な一冊だった。
2013.05.24
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【送料無料】夜霧は愛とともに [ クリスティン・フィーハン ]私は、どうやら、パラノーマルが苦手らしいそうじゃないかと思っていたが、この本を読んで確信を持った。カルパチアンもドラキュラも興味がないのだ、結局のところ。それなのに読み続けているのは、4作目が読みたいからに他ならない。この本はシリーズ3作目だ。今まで、名前だけの登場だったエイダンがヒーロー。サンフランシスコの社交界では有名な資産家なのだという。(年をとらないことをどうやってごまかしているのか不思議、彼は800歳!)ヒロインのアレックスは年の離れた弟を養っている。ヴァンパイアにさらわれた姉弟をエイダンが助けたことから、2人は出会う。アレックスは、エイダンが600年も探し続けたライフメイトだったのだが・・・・・守り慈しもうとするヒーローと独立心が旺盛で庇護を拒否するヒロイン。毎回、そんな構図が展開される。うーん、とにかく、4作目のグレゴリの話が読みたい!なあ。
2013.05.13
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【送料無料】この夜が明けるまでは [ トレイシー・アン・ウォレン ]たぶんトレイシー・アン・ウォレンの翻訳ものは、全部読んでいると思う。好きな作家というよりは、好きな作品があるので、期待して読んでしまうというのが正直なところ。もちろんハズレある。ロマンス小説はシュチュエーションでなんとなく先が読めてつまらなくなるのだが、その点、この小説はなかなか興味深かった。公爵家の令嬢マロリーは、一年前に婚約者を戦争で失った。その悲しみは深く、未だに部屋に閉じこもる生活だ。家族ぐるみの友人アダムは、そんなマロリーに外へ出るように強制する。家族でもできなかった事をアダムはやってのけるのだが、世話を焼きすぎた結果、スキャンダルになるような状況に追い込まれてしまう・・・・・ページ数も半分をゆうに超えたところで、物語が一転する。順調に読み進めていたので、ビックリしたくらいだ。まあ設定自体はありがちなのだが・・・・・それにしても、このシリーズ、シリーズと思って読んでいなかったので損をした気がした。特に2作目と3作目は全く独立した物語だと思っていたので、ほかの登場人物を気にも留めなかった。2作とも売ってしまったので、後の祭り。この物語の伏線が読めたに違いないのだが。改めて、注意しようと思った。
2013.04.23
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【送料無料】爆風 [ アイリス・ジョハンセン ]ということで、イヴ・ダンカンシリーズのスピンオフ。前作でも顔を出していた、サラとローガンが主人公。サラはモンティという第一級の救助犬と一緒に仕事をしている。ローガンは、大富豪で政治の世界とも縁が深い。その2人が助け合って、巨悪に立ち向かうことになる。三作目ともなると、登場人物はお馴染みなので、なんとなく安心して読める。彼らは悪人ではないとわかるからかもしれない。それにしても、ローガンは見渡すところ敵ばかりのような気がしないでもない。アイリス・ジョハンセンのヒロインは、タフなのだが、サラはかたくな過ぎるかな。まあ、最後まで楽しめたけれど。
2013.04.04
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【送料無料】永遠の誓いは夜風にのせて [ キャサリン・コールター ]レガシーシリーズ第3弾。前作2作ともなんだか合わないなあと思い、キャサリン・コールターは駄目なのかとあきらめていた。でも、最終作ではあるし、あとがきを読んで、ヒロインがいいとあったので、読むことにした。読んでよかったと思う。今作は、文句なしに、楽しめたから。1822年、アメリカのボルティモアで人気騎手として活躍するジェシーは、妹のグレンダがジェシーのライバルで厩舎を経営するジェイムズを結婚の罠にかけようとしている計画を知る。その計画を阻止するためあるパーティに潜入したジェシーは、命の危険からジェイムズを救おうとしたため、自らスキャンダルに巻き込まれるはめに。ボルティモアでは元の生活に戻れないと確信したジェシーは、1人でイギリスに旅立つのだが、彼女も忘れていた過去の記憶がよみがえる事になり、その先には、とんでもない冒険が待ち受けていた。とにかくイギリスに渡ってからが、面白かった。ジェシーが頼ったのは、一作目の主人公チェイス伯爵邸で、ここにいる住人たちが個性的。使用人が結束してジェシーの味方になるのだが、ボルティモアの人たちの冷たさとは対照的で暖かい気持ちになった。人間関係には無垢といっていいほどのジェシーは、確かに魅力的で最後まで物語を引っ張っていった。シリーズ総括ともいう最後の最後で、全シリーズの主人公達のその後が書かれている。読者サービスもここまで徹底していると嬉しくなる。ちゃんと一作目から読み直してみようかなという気になった。
2013.04.03
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【中古】文庫 顔のない狩人【画】「失われた顔」の続編。前作の事件後、ローガンと南の島で静養していたイヴの元に、ジョーがやってくる。ボニーらしい骨を見つけたと聞き、アメリカに戻ることに。ボニー殺しを認めた犯人は既に死刑になっていたが、どうやら真犯人がいるらしい。その真犯人ドンは、自分のゲームにイヴを巻き込んでいく。冷酷なドンの魔の手に戦線恐々としながらも、ジョー・クインの告白のほうにビックリ。10年もの間イヴを想っていたのはわかるが、そのために別の女性と結婚したというのだから!イヴに女友達を作ってあげたかったというのがその理由。ジョーが怪我をして病院にいるとき、イヴと接触させない工作をしたその妻は、ルールを破ったということで離婚されることに・・・・・なんだか妻が気の毒になった。まあ、ジョーはやっとイヴと一緒になれたわけだが。そして、物語は続く。
2013.04.02
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【中古】文庫 失われた顔【10P19Mar13】【画】【中古】afb旅行には、本がつきものだ。kindleが持ち運ぶのにも便利なのだが、私は自分を信じていないので失くすと困るという理由で、文庫本を持って出掛ける。今回の沖縄旅行では、ずっと読もうと思いつつ、敬遠していたイヴ・ダンカンシリーズに決めた。イヴ・ダンカンを非難する声が気になったのが読まなかった理由だが、実際読んでみるとそんなにひどくはなかった。ジョー・クインが献身的すぎるから、イヴがひどい女性に見えるのかもしれないが。娘ボニーを連続殺人犯に殺されたイヴは、7年間娘の死体を捜し続けている。一級の復顔師であるイヴに大富豪のローガンは、復顔の依頼をする。それは、アメリカ合衆国を揺るがし、イヴを危険に陥れることになるのだが・・・・・・イヴは、ボニーに取り付かれている。夢にも出てくるし、生活の中心がそれだ。この事実を理解していないと、イヴの行動にひっかかりが出てくると思う。ローガンは、イヴを利用している。ジョーは、イヴのためになることしかしない。読み違えると、ジョーはかなり危ない人間に見えてくる危険性がある。アイリス・ジョハンセンなので、話のスケールは大きい。でも、ボニーが見つからないと決着がつかないこのシリーズは、未だ続いている。イヴに魅力は感じないのだが、なかなか面白かった。
2013.04.02
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【送料無料】秘密のキスをかさねて [ リンゼイ・サンズ ]もともとヴァンパイアには興味が無い。なのになぜアルジェノ&ローグハンターシリーズを読んでいるのかというと、笑えるから。今作は第3作だが、原書は18作まで出ているというから、人気のほどがわかるというものだ。さて、今回の主人公は、次男のバスチャン。412歳。アルジェノ家を長男に代わって背負っているしっかりもの。兄のルサーンとケイトの結婚式が近づき、ケイトのいとこがイギリスからやってくる。ケイトのアパートは狭いので、バスチャンのペントハウスに泊めることになる。そこにバスチャンのいとこのヴィンセントとケイトの同僚のクリスまで泊めなければならなくなって、次から次へと騒動が持ち上がる。アルジェノ家はヴァンパイアの家系で、バスチャンの経営する会社の上層部もヴァンパイアばかりという設定。現代の話なので、ヴァンパイアは血液バンクから血液を買い、人に襲いかかることはほぼない。例外は、ヴィンセントで、彼は直接でないと血が飲めないらしい。途中からヴァンパイアになった場合、血を直接飲めなくて、点滴を使ったり、いろいろ大変なようだ。トラブルメーカーが今回は二人もいて、随分笑わせてもらった。主人公達は、今までの誰よりも真面目だから、余計におかしいのかもしれない。是非、4作目も、翻訳してもらいたいものだな。
2013.02.17
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【送料無料】罪つくりな囁きを [ コートニー・ミラン ]とても面白かったRITA賞最終候補まで残ったという今作。コートニー・ミランの長編はこれが初翻訳のようだが、2009年にデビューしたばかりの作家。これからが楽しみだ。さて、一言で言えば、復讐ものだ。幼い妹を見殺しにした公爵の重婚を告発し、自らの爵位継承権手に入れる。すると、今までの継承者は、庶子となり、一気に奈落の底に落されという計画だ。でも、私が面白かったのは、家族関係の部分。主人公のマーガレットもアッシュも家族を人一倍思いやり犠牲を払っているというのに、報われていない。ほかの家族の身勝手さもさることながら、なんでも抱え込んでしまう二人が歯痒かった。敵同志なのに、お互いを支えあう関係になってしまうのも納得だ。ヒストリカルには、私生児の話が良く出てくるが、こんな解決をしたのは、初めてのような気がする。とにかく、続編も翻訳してもらいたいものだ。
2013.01.22
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【送料無料】逃避の旅の果てに [ スーザン・エリザベス・フィリップス ]前作「あの丘の向こうに」とほぼ同時期ではあるが、別の主人公を追った話だ。スーザン・エリザベス・フィリップスは読者の要望でこの物語を書いたのだという。私は未読なのだが「ファースト・レディ」という作品に、今回のヒロインルーシーが出ているらしい。前作のヒーローテッドは、「麗しのファンシーレディ」「レディ・エマの微笑み」に出ていて、この二人のその後について知りたいという読者からの希望が殺到したようだ。それなら、二人をくっつけてしまえば話は早いと思うのだが、著者は二人は合わないと判断し、前作で結婚式の当日ルーシーがテッドを捨てるというショッキングな話になったわけだ。そして、今作はその結婚式の後、ルーシーはどうなったかという話。ルーシーは、結婚式の会場から逃げ出した。たまたま通りかかった男性のバイクに乗せてもらい、旅に出ることに。男性パンダと名乗り、それ以上は語らなかったが、ルーシーの養父母が雇ったボディーガードだったとわかる。契約期間が終わり、彼は去るが、ルーシーはまだ家には戻る気になれなかった。彼について知った手がかりから、1人でチャリティ島へ行くことを決めるのだが・・・・・前作とは、全く異なるアプローチで、面白かった。どちらかといえば、群像劇のような感じだ。人生に行き詰った人たちが、チャリティ島で出会い、自分の進むべき道を見つけるまでの物語。ルーシーは、前女性大統領の養女だが、14歳までは妹を守りながら、苦難を生き抜いた女性。それが、養女になった途端、型にはめられ、本当の自分というものを失ってしまった。養父母の思惑通りの結婚をすることになって初めて、パニックに陥り、自分探しの旅に出るしかなくなる。パンダは、ルーシーが養女にならなかったらこうなったであろう人生を歩んできた。ある意味、こんなにぴったりの二人もいないだろう。エピローグには、デッドも出てきて、これもファンにはたまらないサービスになっただろうと思う。未読の3冊も読んでみようかな。
2013.01.21
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【送料無料】女王の娘 [ アイリス・ジョハンセン ]うーん、アイリス・ジョハンセンは、スケールが大きい。なにしろ、スコットランド女王メアリーの隠し子が主人公。最後にどんでん返しもあるという読み応えのある物語。ケイトは、メアリー女王の娘として、イングランドの田舎の牧師によって秘かに育てられていた。メアリーの処刑について囁かれるなか、エリザベス女王はケイトをスコットランドに逃がすことにする。その方法として、捕えていたスコットランド貴族ロバートに、罪を問わない代償としてケイトとの結婚を認めさせる。ロバートがケイトに会いに行くと、牧師によって虐待を受けており、彼はケイトを手放すことについても難色を示す。逃げるように、ロバートの領土に向かうも、その道のりは平坦なものではなかった。歴史上の人物が出てくると、それだけで楽しい気分になってくる。まあありえない話ではないし、面白い設定だった。読み終えて、タイトルの意味を知るという趣向だ。メアリーにエリザベスにジェーン・グレイ。このあたりのフィクションは、見つけたら読んでみたいと思うな。
2013.01.12
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【送料無料】あなたに出逢うまで [ ジュディス・マクノート ]「とまどう緑のまなざし」のスピンオフといってもいい。「その瞳が輝くとき」と「哀しみの果てにあなたと」の主人公達まで出てきて、ファンには嬉しい一冊といってもいいだろう。いつものマクノートだったので、このへんは好みが分かれるかもしれないが。シェリダン・ブロムリーは、アメリカの女学校の教師。母親の故郷イングランドに行ってみたいという夢を持っていたが、ちょうどイングランドに嫁ぐシャリースのコンパニオンとして一緒に旅立つことができた。ところが、シャリースが船で知り合った男性と駆け落ち。イングランドに着いて、婚約者の男爵が事故で死んだと聞かされ、安心(?)したのもつかの間、積荷が頭を直撃、記憶喪失に。男爵の事故の加害者ラングフォード伯爵スティーブンは、シェリダンをシャリースと勘違いし、屋敷で手厚く保護することになるが・・・・・・マクノートの描くヒーローは、とにかく他人を信用せず、心に傷を負っている。スティーブンはまさにその典型みたいな男性で、素直で可愛いシェリダンはその傷を癒す役割だ。お約束の誤解と裏切りがなければいいと思っていたのだが、やはりあった。このくだりが毎回私は苦手で、マクノートを読むのを躊躇させる理由でもある。今回は、魅力的な脇役たちのおかげで、なんとか耐えられた。それにしても、今までの信頼関係を手のひらを返すように叩き壊すスティーブンは、もっとシェリダンに怒られても仕方がないと思うのだが。タイトルは、スティーブンの気持ちを指しているようなので、君に出逢うまでのほうがよかったような・・・・・でも、そんなタイトルもあったような?個人的には、シェリダンの父親一行がやってきたくだりをもっと読みたかった。結局のところ、とても楽しんで読んだ。いろいろ言ったところで、きっと次作も買ってしまうのだろうな。
2012.11.23
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【送料無料】唇はスキャンダル [ キャンディス・キャンプ ]キャンディス・キャンプとは相性のいいほうだと思っていたのだが、このヒロインは苦手だった。いつもの感じではあるのだが、かたくなさとプライドの高さは飛びぬけている。ちょっと許容範囲を超えてしまった感じだ。後半になって少し落ち着いたのだが、挽回するまでには至らなかった。ヒロインシーアの気になった点はといえば・・・・・・二度会っていることをモアクーム卿が忘れているというのを根に持っている。放蕩者という評判とブローチだけで、捨てられていた赤ん坊をモアクーム卿の子どもと決め付ける。赤ん坊をだしにして、モアクーム卿と一緒に過ごし、周囲の助言は一切無視。自分を卑下しているのに、態度は大きい。等々・・・・・・正直、モアクーム卿がシーアのどこに魅力を感じたのか、よくわからなかった。物語もあまりに安直だったし。新シリーズだけど、もう読まないだろう。
2012.10.22
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【送料無料】とまどう緑のまなざし(上) [ ジュディス・マクノート ]ジュディス・マクノートは、だいたい話の流れが決まっている気がする。ロマンスがうまくいっても、その後、ひと波乱は必ずある。本作は、上下巻だが、下巻の早いうちに二人が結婚してしまったので、読み続けるのをちょっと躊躇した。絶対何かあると思っていたら、やはりあった。好きな人は好きなのだろうが、私は苦手な展開だ。面白くはあったのだが。それはさておき、本作は古典と言われるくらいの評価を受けているらしい。ちょっと新鮮な気がしたのが、上巻を読んだだけでは、誰がヒーローなのかわからないところ。個性的な男性ばかりなので(除ポール)なかなか楽しかった。この作品にはスピンオフがあって、「Until You」もそのひとつ。どうやら、11月に翻訳本が二見書房から出版されるようなので、そちらが楽しみだ。【送料無料】とまどう緑のまなざし(下) [ ジュディス・マクノート ]
2012.10.14
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【送料無料】霧に包まれた街 [ ジェイン・アン・クレンツ ]アーケイン・ソサエティ・シリーズの最新作。前4作あって、相変わらず全部は読んでおらず、「夢を焦がす炎」のみ読了。でも、十分この世界観にはついていけたし、とても面白かったアーケイン・ソサエティは超能力者の組織で17世紀から続いている。J&Jという調査会社は、組織で重要な役割を果たしており、その代表者はファロン・ジョーンズ。なぜかカルフォルニア州北部の田舎町スカ―ギル・コープにオフィスを構えている。そのオフィスの向かいのカフェで働くイザベラは、ある日、強引にファロンのアシスタントになった。ファロンの反対をものともせず、廃屋の調査を勝手に引き受けてしまうイザベラ。それがスカーギル・コープの秘密を暴くきっかけになるとも知らずに。ジェイン・アン・クレンツは、うまい作家だなと思う。超能力にリアリティをもたせて、謎もロマンスも手を抜かない。変人ばかりのスカーギル・コープは楽しくて、皆、善人なのでいい味を出している。ファロンとイザベラのやりとりは、にやにやがとまらないし。なぜか和んでしまうから不思議だ。過去、現在、未来へと繋がるこのシリーズ。どこまで広がるのか、この先が楽しみだ。
2012.10.10
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【送料無料】黒き影に抱かれて [ ロ-ラ・キンセイル ]RITA賞受賞作。紛れもなく、大河ロマンといっていいと思う。壮大な舞台装置と魅力ある登場人物。文句なしに面白かった1382年イギリスの片田舎に暮らすエレインは、騎士レイモンドに求婚されたことで自分の素性を知ることになる。彼女は、モンテヴェルデ大公家の公女であり、ただ1人の正統な跡継ぎだった。モンテヴェルデは現在リア-タ家が支配しており、エレインはそこに嫁ぐことになる。祖国への航海の途中、船は海賊に襲われ、コルヴォ島へと連れて行かれる。そこは、アレグレートの島であり、彼はリアータ家と敵対していたナヴァナ家の息子だった。742ページあるが、無駄のない物語運びで、飽きることもなかった。イギリス、イタリア、ローマなど政治的な駆け引きの真っ只中に投げ込まれたエレインが、祖国への愛に目覚め、成長していく姿は、感動的と言えなくもない。無理やり結婚させられたエレインが、アレグレートに対して攻撃的な性癖を見せても、なんとなく納得できた。加害者であるアレグレートに罰は必要だったと思う。とても収集がつかないくらい話が広がったので、正直なところ、よく大団円に持っていけたと感心した。ローラ・キンセイルは、すごいな。
2012.09.11
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【送料無料】プライドと情熱と [ エリザベス・ソーントン ]うーん、疲れた。610ページあるのだが、そのせいばかりとは言えない。なにしろ、主人公達の意地の張り合いをずーっと読まされていたようなものだから。賛否両論あるのは、知っていた。私としては、ちょっと微妙というのが、正直な感想だ。ディアドレは、農場を1人で切り盛りしている貴族の娘。唯一の家族は弟のアーマンドだが、放蕩者で手に負えない。ラスボーン伯爵は、5年前、ディアドレに求婚したものの拒絶され、戦地へ。ロンドンに戻り、再びその機会を伺うが、会えば口論ばかり。アーマンドを利用して、ディアドレを窮地に追い込み、結婚を約束させたが、彼女は黙ってブリュッセルへ旅立った。折りしもナポレオンがエルバ島を脱出。ラスボーンは戦線復帰を余儀なくされる。とにかく、素直になれない二人。お互い傷つけあっては、後悔する。その繰り返しだ。二人とも過去に傷を抱えており、素直になれないのはわかる気もするが、口論が傷を深くしているので、読み手には苦痛に感じられる。面白くないわけではない。ヒーローのヒロインへの執着ぶりは、「風と共に去りぬ」を彷彿とさせる。ただ、読者を選ぶ小説であるのは、間違いない。
2012.09.08
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【送料無料】黄昏に待つ君を [ ロレッタ・チェイス ]ロレッタ・チェイスといえば、ナンバーワンロマンスとして名高い「悪の華にくちづけを」が有名。でも、私としては、こちらのほうが好きだった。どうやら、主人公の成長物語も私のツボらしい。19世紀。イギリス、ダービンシャー。この地では、輸送手段としての運河建設計画が持ち上がっていたが、地元の領主たちは概ね反対の姿勢。この地で一番の領主の娘ミラベルは、母親の死後心を病んだ父親に代わり領地の管理業務を一人でこなしていて、反対派の先鋒だ。ある日、計画を推進するため、この地で大きな影響力を持つハーゲイト伯爵の三男アリステアがやってくる。ワーテルローの英雄とも言われる彼の訪問に、領主たちは、浮き足立つ。果たして、運河は完成するのだろうか?アリステアは、戦地での記憶を失くしており、服装を病的なほど気にしている。身なりにかまわないアナベルは、彼の心の平和を乱す存在。どちらも過去に縛られており、そこからどう脱却するかが鍵となる。それにしても、伯爵家とはいえ、5人も息子がいると相続問題が大変らしい。このシリーズは、なぜか弟の話が先に出版されているが(「灼熱の風に抱かれて」)そちらでも伯爵は、息子の行く末に苦慮していて、お気の毒。希望としては、シリーズ順に出版して欲しいのと、シリーズ全部読みたいものだな。
2012.08.19
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【送料無料】 ドーバーの白い崖の彼方に 二見文庫 / ジョアンナ・ボーン 【文庫】RITA賞受賞作だが、どうみてもスパイ小説。歴史、戦争、政治、謀略、家族、救済、再生、パラノーマルに霊能力など、ロマンス小説は、かなり広い土壌を持っているようだ。ますますもって興味深い。さて、舞台はナポレオン統治下のフランス。イギリスとフランスは緊張状態を保っていた。フランスの地下牢に捕えられた女スパイ、アニーク。子どもの頃からスパイのエリートとして育てられた彼女は、仲間に拷問を加えられ、イギリス人捕虜とともに閉じ込められた。追い詰められた両国のスパイ達は、協力して脱出することになるが・・・・・・アニークは、どこまでもプロフェッショナルで、素晴らしい。たまたま出会ってしまったのが、イギリス情報部局長グレイだったため、先手を打たれることになる。二人の逃避行は、騙し騙され、一瞬たりとも緊張感から逃れることができない。いつしか芽生えた信頼関係は、すぐにも崩れ去る危険をはらんだままだ。後半、思いがけない展開が訪れる。フランスへの愛国心から死をも恐れず諜報活動に身を投じてきたアニークに、知らされた真実は、あまりにも残酷なものだった。イギリスに脱出してからの諜報戦は、外国同士の緊張ばかりでなく、内部の利害関係で複雑化していく。ちょっとあっけない幕切れではあったが、アニークが幸せになれる結末はこれしかないので、まあ良しとしよう。
2012.08.18
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【送料無料】誘惑は愛のために [ アナ・キャンベル ]これは、ある意味魂の救済の物語。あらすじから想像するよりも、もっと深いところをついている。正直、ちょっとびっくりしたくらい大胆だが、破綻がない。購入を迷ったくらいだが、読んでよかったと今は思う。外交官で放蕩者として知られるエリス伯爵は、ロンドン一といわれる高級娼婦オリヴィアと愛人契約を結ぶ。娘の結婚式のため一時帰国している間だけの関係だ。エリスはオリヴィアに惹かれるが、彼女が問題を抱えていることに気付き、その理由を知ろうとするのだが・・・・・・お互いに深い傷を隠したまま生きてきたつけは、人生をかけるほどの大きな賭けとなる。どうしたらオリヴィアが救われるのか、全く見当がつかなかったが、納得の展開と結末が待っていた。それにしても、エリス伯爵は、傲慢ではあるが、放蕩者とは思えない。オリヴィアも評判通りの悪女には見えないし。二人にはそれぞれに子どもがいるが、その存在と二人の子どもに対する愛情が、一服の清涼剤のように効いている。あらすじは合っているのに、180度違う物語に感じられるのは、なんだか不思議としかいいようがないな。
2012.08.04
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【送料無料】灼けつく愛のめざめ [ シェリー・トマス ]2010年RITA賞受賞作。結局のところ、私は、人間関係の再生物語が、好きらしい。この小説は、完全にツボにはまったといっていい。1897年夏、インドで、ブライオニーとレオは、再会。二人は、結婚していたが、一年あまりで別れた過去がある。ブライオニーの父親が病気で倒れ、その知らせを持ってにレオが現れた。レオはロンドンに戻りたくないと言うブライオニーに荷造りをさせ、一緒に出発することになるが・・・・・・当初、どうして別れたのかと思いながら読んだ。かたくななブライオニーと紳士的なレオは、どうみても不思議な取り合わせに見えた。結婚していても見えなかったものが見えてくると、物語が別の様相を呈してくる。現在と過去を行き来しながら、後悔して自分を見つめなおし、成長していく二人は、とても魅力的だ。久しぶりに、何度も読み直したくなる小説に出会えて、とても嬉しかった
2012.07.29
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