せんだって日記
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せんだって、ベトナム社会主義共和国に遊びに行きました。 初めての海外旅行。二年遅れの新婚旅行。アメリカに勝った唯一の国。 ホーチミン(旧サイゴン)に三泊して、それなりにカルチャーショックを受けたのよ。「グーーーッドモーーーーーーーーーニング、ベットナァァァム!」と言ったのは、えーと誰だっけ。戦争の映画でラジオDJ役の。ホラあの、ピーターパンの映画でオッサンピーターパンやってた、ホラ、鼻の大きな、誰だっけ? あれ、ここまで出ているのに。待って待って、言わないで、思い出すから。そうそう、アラジンでジーニーの声を当ててた、ホラ、コメディアン出身の。あれー、だれだっけ? というくらい記憶が無いベトナム戦争なんですが、アメリカ人に長い間トラウマをもたらした愚かな戦争でございます。 戦争証跡博物館というのがある。 博物館というかプロパガンダ施設なのだ。そこはまあ社会主義国だからね。 戦争の原因や経緯を追った展示「歴史的真相」。 ジャーナリストが撮った写真やその人が殺害された痕跡を記した「回顧録」。 人間の残骸を誇らしげに掲げる米兵、大虐殺の写真、枯葉剤の人的・環境的後遺症を示した「戦争犯罪及び後遺症の傷跡」。 米軍だけじゃなく、南北ベトナムがいがみ合った末に開発された非人間的な拷問を紹介する「投獄システム」。 などなど。 人の心は恐ろしい。 米兵は、いつどこから撃たれるか分からないまま、ジャングルや水路を渡らなければいけなかったわけで。怖かったろうな。 家や村を見ればゲリラが潜んでいるかもしれない。不安、疑心暗鬼。恐怖恐怖恐怖。 村を焼いたり、人間にグレネードを撃ったり、拷問に異常なクリエイティビティを発揮したり。 底知れない恐怖と疑心暗鬼が人間を狂わせた様子が、なんとなくわかる。 本物の手触りは痛い。そして冷たい。 展示されてた対人兵器の禍々しさはちょっとかなわん。鉄片を四方に飛ばす爆弾とか、起爆ワイヤーを広げながら林に落ちて「眠る」蜘蛛の巣のような対人機雷とか、ゲリラの恐怖にかられて酷いものを作っちゃったアメリカの情けなさが伝わってくるじゃないか。 社会主義国なので、アメリカと戦ったべトナムの兵士は「愛国者」と書かれていたりする。 事実、そうだったのだろう。彼らはパトリオティックな愛郷心で、糞尿付きの釘板や竹槍落とし穴などのブービートラップをこさえ、アリの巣のような地下総司令部の中から神出鬼没のゲリラ戦をやってのけたのだ。 朝に畑を耕してた農夫が、昼には銃を持って茂みから撃ちかかるのだ。「オレの畑になにしやがる!」って気持ちは、なによりも強いだろう。 アメリカで徴兵された糞袋ども、根性なしの雌豚の臆病マラ坊主どもにゃ勝てないよ。 この博物館は、戦争に勝った側が「俺たちはこんなにひどいことをされた!」という展示で、そこにアメリカ人観光客が集団で来ている。 勝った側が悲惨さを訴えて、負けた側がそれを見に来ている。どう解釈すべきか若輩の自分には分からないけど、これが世界なのだろう。 あの俳優、誰だっけなあ。あ! ウィリアム…、いやいや。
2008.11.09
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