せんだって日記

せんだって日記

2008.12.03
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 せんだって、仕事先で田淵さんからもらった雑誌が面白かった。今まで買わずに損した気分。

http://moura.jp/scoop-e/courrier/

 クーリエジャポンは、外国の新聞や雑誌から記事を翻訳して載せている。この翻訳がすばらしい。知性と慎みとナナメの視点。ちょっと言い表しにくいことが、すとんすとんと収まるところに収まっていくこの感じ。ボキャブラリー選択の妙技。気持ちいいなあ。


 先月は宗教の話で、しこたま面白かった。
 特集のアタマは「ジーザス・フリークス」の話。
 ヨーロッパのヘビメタやパンクスなど「挑発的な外見の若者たち」もキリストにすがりたがっているけれど、教会のミサは堅苦しいし、参加しにくいと。で、街頭補導員をしていた人が「社会の周縁部をさまよっている若者たちに向けて」野外ロックフェスのようなミサを始めたんだけど…、というお話なんですが。
 ふむふむ。「社会の周縁部をさまよっている」「挑発的な外見の若者たち」という語彙がすばらしい。これは腑に落ちまくるじゃないか。どんな若者なのか手に取るようだ。未だ帰らぬ放蕩息子なわけだ。
 この特集では他にもサウジのテロリスト厚生施設とか、ユダヤ教の食戒律にまつわる巨大利権のあれこれ、豊かさと信仰の関係など、眼から鱗が落ちても落ち足りないくらいのすばらしいレポートと論考が満載。毎月書店で購読決定だ。ありがとう田淵さん。


 さてクーリエジャポンでは、尊敬する山形浩生も連載しているのだが、これがまたすばらしかった。
 オランダが売春合法の国であることは有名だけど、それがあまりうまくいってないという話なんです。

 スウェーデンなんかだと、買った側が犯罪者で売った側は被害者という禁止策をとったんだけど、そしたら当然、地下に潜って売春はより危険な商売になったという。人身売買は横行するわ、売春窟で未成年を見ても逮捕を恐れて通報さえしなくなるということで、なんでも禁止、なんでも規制っていうのはあまり賢い方法じゃない。日本の出会い系サイト対策でも、スウェーデンと同じような対策がなされましたね。くわばらくわばら。
 オランダの場合は、売春婦だけでなく売春を管理する側も合法とした(そしたら税金を取れる)のがトピックだったわけだけど、ここで問題が起こったんだそうだ。
 売春宿のオーナーが犯罪的なアレだった。売春婦たちはウソの借金を負わされ、むちゃくちゃなシフトで客を取らされ、むちゃな豊胸手術をさせられ、「所有者」の刺青を施されていたという。ああ、どこにでもある光景なんだな。薦められた豊胸手術にかかった借金を返すためということで労働を遠まわしに強制される例が、まあ、あるんですよ。辞めるためには負債を返したということにしないといけないので、最後に幾らも残らないという。
 こんな搾取がなくなるように願っての合法化だったはずなのに、どうしたことなんだろう。

 実は合法とはいえ、完全な自由ではなかったんだそうで。
 商売をしてもいい場所が決められてた。するとセックス取引の窓口は管理する側や宿のオーナーに一元化されるわけで、ここに搾取が生まれたんだそうです。
 なるほどね~。

 で、ニュージーランドではオランダ以上に大胆な自由化をして、これが案外うまくいっているという。
 売春婦は自宅でも街頭でも、どこで商売をしてもかまわないのだそうだ。
 すると、怖い人に上前をハネられることもなく、危険なプレイや危ない客は断ることができ、仕事を強制もされない。いわゆる「元締め」が不要なので人身売買が起こる環境でもない。
 売春婦サイドからみても上々の策なんだそうだ。




 ニュージーランド型が完璧な売春への対応ではないだろう。思わぬ問題は、思わぬところから出てくるものだ。
 でも、禁止策に出ている国がより厄介な問題を引き起こしている一方で、完全な自由化に出た国がいまのとこうまくいっちゃってるという事実は、いろんなことのヒントになると思う。

 という興味深い記事でいっぱいのクーリエジャポン、しばらく買いますよ。





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最終更新日  2009.01.06 01:03:39
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