日々おウマ日和♪こころはいつも競馬場

日々おウマ日和♪こころはいつも競馬場

*きみの名は…*



幼稚園に通っていた頃だろうか?小学生になっていた頃だっただろか?

たぶん最初に記憶に残ったウマだから幼稚園の頃なのだろう。重たい馬車に観光客を何人も乗せてただ黙々と歩くだけ

あの子は毎日何を思い、何を感じながら過ごしたのだろう。

舗装された道路を蹄鉄の音を響かせて、一定のリズムで難往復も同じ道を ただただ歩く。

道路を汚さない為 用を足すのはフタのついたバケツの中だった。 馬車の上で手綱を引くおじさんは、尻尾をあげたあの子の後から

落とさないように上手にキャッチ 止まりもせず用を足し、ただリズムを崩さず歩く。

なにを考えて歩いているのだろう。

観光客は1ヶ所か、2ヶ所 停留地で観光客用の餌として売られている細く 切られ小さくなったにんじんをあの子に与える。

その様子をカメラに収めようと笑いながらシャッターを切る観光客。あの子はファインダー越しでしか見られる事がないのだろうか…

その様子を小さい頃の私はじっと見ていた。

この子つらくはないのかな?

山間の温泉地、川の流れる渓谷が美しいのに 見ていたのはあの子の事だけ…

知りたかった。

当時、物凄く人見知りで自分から話かけるのは家族だけだった子どもが手綱を握る知らないおじさんにいつの間にか聞いていた。

「この子の名前は…?」

「この子かぁ~この子はなぁ~みどりちゃんだぁ~」

     (そうか キミの名はみどりちゃんかぁ~…)

     (でも ねぇ~キミ知っていた?自分に名前がついていたって…)


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