花と白い雪の中~曰く付き泉~

花と白い雪の中

1.曰く付きの泉

この話は俺、崇がちょっと前に体験した事だ・・・・・。
数日前、凪斗がもってきた話からこのやっかいな物語が始まる。
~0021・都市アランカート。~
「テンチョ~!!」
ぼーっと歩いた中俺はその遙か向こうから聞こえる声に耳を傾けた。
たまたま店が忙しくなく、その日は雲一つないいい天気
昼休みにちょっと外へ出ること告げ、ちょうど歩いている最中だった。
「店長!!ちょっと待って~!!」
振り向きざまに走ってくる人影に一発でその声の主がわかった。
「あんだよ乖里。」
俺の店は結構人気、従業員も可愛いッツー事で有名である。
乖里とは、俺の店で働いている従業員だ。
息を切らせて走ってくる事に、何かあったと思った。
「何だ?乖里息切らせて。」
「はぁ~やっと追いついた。あ、そうだ!!テンチョ、凪ちゃんが来てるよ」
「凪・・・?」
そう、聞いていやな予感がした。
「で、凪がどうしたって?」
「なんか急用みたいですよ?」
(・・・凪の急用はあてにならん・・・)
「乖里・・・居ないって事に・・・」
「あ、無理ですよ。凪ちゃんにもう居るって言っちゃったし」
「ふ~・・・凪が来たら、わりかし居ないことにしろつったろ・・・」
俺は、どうも、凪斗が苦手らしい
凪とは俺の幼なじみで、霊感持ちで、バイトで霊媒師とかもやってしまう言うなれば変人・・・
本名はメリア・ナギト(凪斗)
「さーさ、テンチョ逃げちゃだめですよ~(にっこり)」
「は~な~せ~!!」
所変わって店内。
「や~崇、お元気ですか?」
もっとも、俺がこいつが苦手な訳は二つある
苦手な理由1・・・この、気の抜けた声。
「どうぞ凪ちゃん。入れ立てのハーブティーだよん。」
「や、ありがとう乖ちゃん(のほほ~ん)」
その2・・・・テンポがずれる・・・
きっとこのことで凪斗はちょっと苦手なんだろう。
「で、凪な~にしに来たんだ?」
俺は、イライラしながら凪斗に話をふっかけた。
すると、凪斗は意味深な顔をして滞在の訳を述べてきた。
「あのですね~また、面白いのがトゥーサイトの泉に有るらしいんですよ。」
(トゥーサイト・・・あの危険きわまりない泉か・・・)
声を潜め、ゆっくり話し始める。
【何でも、トゥーサイトの泉には黄金の輝きを持つダリスの花が咲き誇っていて、
その中でも、まばゆいくらいの光に包まれた、
銀色のダリスがあるらしいのですよ。
で、その一つしかないダリスの花びらは絹とも言えぬ美しい手触りその花びらにさわっただけで、寿命リミットというのを伸ばす事ができるらしいのですよ。
ですが、そこに行くまでに氷結の街、嘆きの谷・・・・・
と、ま~いろいろ回らないと行けないのですよね・・・・・】

危険と思われるいくつかのポイント話し終え、凪斗はゆっくり目線を上にあげていった。
崇と、目が合い机に乗り出しつつ急にのほほん声に変わった。
「そこで、崇。この話乗りません?」
急にのほほん声に戻って、頬杖をついていた手が、がくっと滑った。
だが、よほど危険なのか声がいつもより小さめで、なおかつゆっくりなのがちょっと合わない・・・と言うか、凪斗にシリアスは似合わないことを悟ながらぼーっと話を聞いていた。
さて、考えもの・・・危険と承知でトゥーサイトの湖に乗り込むか、はたまた宝を自ら見過ごすか・・・・
「選択肢は二つか・・・」
だが、よく考えてみれば、トゥーサイトの泉は噂に聞くだけで、実際この目で見ていないことに気づく・・・
また、少しこの土地を離れるか・・・そうなればいったん店を閉めなくてはならない。
今の経済状況からして、閉めることはまだいいとして、
乖里はどうなる?
「・・・どう、しますか?崇。」
「どうするって・・・な~乖里?おまえ一端店閉めたらどうする?」
ちょっと気になった・・・
「え?一端お店閉めるんですか?う~ん・・・」
と考えたまま沈黙、珍しい光景だ。
乖里には全くそういう経験がないため、考えもするだろう。
どっか行っても、乖里が店あけていたし。
だが、トゥーサイトは、かなり北に位置する
ゆうに1ヶ月・・・もしくは2ヶ月・・・俺が居ない事になる。
「あ、では、これならどうですか?乖ちゃん、崇」
と凪斗は何かを考えついたのか、人差し指をたてて、テーブルに乗り出した。
「乖ちゃんもトゥーサイトの泉まで付いてくる!!」
・・・・
「アホか~!!!あのな、乖里は一様、女の子さまだぞ!!もしもの事あったらどうすんだアホ凪!!」
期待した俺が馬鹿だった・・・
ッチ、目に見えてるのに俺ときたら・・凪に頼った俺が馬鹿?
つか、やっぱりこうきたか・・・(汗)
「え~!!だって、女の子が一人くらいたら料理やその他諸々いいこと尽くしじゃないですか~」
て、料理かい!!と突っ込み入れたくなったがあえて踏みとどまった。(て、言うか、その他諸々って何だ・・・・?)
「それに、崇の料理は食べ物の域越えてるじゃないですか。」
(プチ・・)
「てめ、自分のこと棚において言うな!!おまえのだって、食えるもんじゃねーじゃんか!!」
「あの・・・テンチョ?凪ちゃん?どっかいったら何食べてたの?」
乖里が興味本位で聞いてきた。
よっぽど面白そうなのか顔がほころんでいるのがわかる。
「え?その辺の近所のおねーさんもしくはおばちゃんに食わせてもらってました。(ニッコリ)」
と、さらりと凪斗が乖里の質問に答えた。。
「え?食わせて・・・・って、店長!!そんな事してたんですか!!」
「え・・いや、あのな・・・・」
しどろもどろに答えた崇に追い打ちを付くように乖里は又いいことに崇の痛いところをついてきた。
「え!!ってことは、『食事に呼んでいただいて感謝する。ではお礼に・・・』な~んて言って、その若いお嬢さんをまた食ってしまったなんて事に・・・ああ~・・悲劇だわそのお嬢さん・・・(泣)」
と、乖里はいかにも哀れそうに崇を見つつ、その誰だか知らないお嬢さんに同情しまくっていた。
「あのな!!俺は、見ず知らずのお嬢さんと寝たりはしねーよ!!」
一生懸命の弁解
「うっそだ~ん(に~っこり)ほれほれ、バラさないから言ってみなさい。崇テンチョΨ」
「私はしましたよ~(のほほ~ん)」
「!!」
なんですと?さらりと凪斗が洗いざらい乖里に言うとなんか、どうも、示しがつかない・・このヤロ・・正直に・・・・
観念したのか崇はかなりぶっちゃけに言った。
「は~いはい、わ~ったよ言えばいいんだろいえば。・・・一回・・必要に迫られて・・・」
とは言ったものの、最後の方は聞こえそうで聞こえない、蚊の鳴くような声でだんだん声が小さくなっていく。
「え~?何ですって?テ~ンチョ。」
聞こえないふりをしているのがすごくわかる・・・
「あ~もう、1回だよ1回!!」
いっちまった。ぶっちゃけこの上ね~
「やっぱりね~」
わかったようにうんうん乖里が頷く。
「それはいいとして、凪ちゃん、めちゃくちゃ潔かったね~」
と、急に乖里は凪斗にさっきの話をふっかけてきた。
「え?だって、後々にはばれることですし、今更この歳でね~(のほほ~ん)」
やっぱり気の抜ける・・・
「あらら・・潔くていいですね~凪ちゃんは。」
乖里は意味もなく崇の方向を見つつ、ため息を少ししていた。
「へぇ~見ず知らずのお嬢さんと寝たんだね。崇~」
「!!」
おちょくる様な声がある一定の方向から聞こえた。
ビックっとしながらこの声の主を見て、崇はあからさまに「しまった」という顔をした。
いつ扉が開いたか解らないほど話に集中していた模様・・・
「さ・・・・・早咲~!!!」
崇はこれ見よがしに驚いた・・しかも、かなり焦っている模様・・・(笑)
そんな崇をほっといて、乖里はお茶の用意をしに奥へ入っていった。
「おや、早咲殿お元気ですか?」
「まぁ~まぁ~よ。それより凪斗、なんかおいしいお話あるみたいだけど・・・えっと、トゥーサイトだっけ?面白そうね~勿論私も参加OKでしょ?(に~っこり)なんか、行ったっきり帰ってこれないっていう曰く付きの泉~(に~っこり)」
「え?ええ、ま~いいですけど良く知ってますね~」
早咲はどこから聞いていたのか凪斗の話をすべて知っていた。
我に返った崇はとっさに早咲の手首をつかんできた。
「さ・・早咲?何で知ってるの?」
「あ~ら、トゥーサイトの泉っていったらかなり有名よ~(笑)」
手首をつかんだ崇の手を払いのけて自分の知っていることを語りだした。
「なんたって、行ったっきり帰ってこないとか、帰ってきたけど、その後誰とも会わずにただひたすら家で祈り乞い・・違うな・・命乞い?して結局は死んじゃうっていう話。か~なり曰くつきよ~知らなかったの?」
と、からかうように崇に言う早咲を見つつ握り拳を握りながら「いつか殺ったる」っつー殺意むき出しのオーラが漂っている。だが、早咲の大魔術はかなり怖く、そのむき出しの殺気は一瞬でなくなった・・・
「いやはや殺意と、からかいがかなり交差してますね~」
そんな状況を楽しむように凪斗が茶々入れつつお茶を飲んでいた。
「は~いはい、怖いオーラは出さなくていいですよ~」
と、いいところにお茶をもった乖里があらわれた。
「は~い、早咲おねーさん店で出してるハーブティーです~」
「あら?アリガト乖里。」
お茶を楽しむような雰囲気・・・ずず~っとお茶をすすりながら早咲がさっきの話の続きを話した。
「ま~どうでもいいけど、とりあえずヤバイッツーことは確かよ?それでも行くの?崇・・・」
「やばいこの上ねーけど、とりあえず行ってみないとわかんねーだろうよ・・・。」
冒険は久しぶり、服のこと考えないのも久しぶり、遠出するのも久しぶり、すべてが久しぶりのことだから、か~なり冒険について鈍りすぎ・・・どうしたもんか・・・でも、また面白いことが始まる。そこがいい!!絶対良い!!
「とりあえず楽しんで冒険できればいいっしょ(笑)」
楽天的・・これでいんかい!!崇!!
「えらく、楽天的ね~崇ったら。よっしゃ、じゃあこの早咲様もついていってあげましょう!!」
「え!!くんの?早咲・・」
「何か不満かな?崇・・・?(微笑)」
かなり不本意な崇と、行く気満々の早咲、それを楽天的に見ている凪斗一番まともは・・・・なんてことはいい。
凪斗が急に思いついたように、話を切りだしてきた。
「では、メンバーは、崇、早咲殿、私って事でよろしいですか?それで、乖ちゃんはどうしますか?冒険の経験が一番浅いとお見受けしますが。」
危険だし、一番女の子だし、(待てコラ・・by早)きっとやめると思われたとき・・・・
「え?行くよ、何言ってるの?凪ちゃん決まってるじゃん(笑)」
!!
「か・・・乖里!!何言ってるんだ!!めっちゃ危険だぞ」
「い~んです!!実はテンチョに隠れてひっそりこっそり鍛えてたんですよ。(にっこり)だから~ほい、この通り”クインシー”の称号まで持ってます」
急な申し出に一同呆気にとれわれつつそれぞれの思考回路をフルに使い考えを交差した。
「だ~め!!!ダメッスダメ!!てか、クインシーって・・・」
ふるふると首を横に振りながら、思いっきり否定。もうスゴイ勢いで。
「あら、イイじゃない。いても」
「そうですよ~乖ちゃんは御料理得意ですし。お見受けする限り早咲様は料理下手と思いますし。」
「凪斗・・・・」
顔をヒクつかせて 凪斗の言い分を鵜呑みにしている。
これからどう料理してやろうか考えつつ。ニッコリ笑顔を交わしている。
二人がOKなしてる中、店長一人で考え込。
遊びと見てるのか、マジなのか本気で分からない乖里口調は崇の否定をも物ともしない。
在る意味乖里が一番強いんじゃないかと思う位の口調だ。
「ま、凪ちゃんったら!!乖里も闘いますよ?(にっこり)」
こりゃマジっぽい・・・そこまできっぱり言われたら否応なしに頷くことしかできない。
「はぁ~・・・・・仕方ないッスね・・ムリだけはしないでくれ!!!」
この注意のみいって、この場の志気を高める
「や~っぱね。崇だったら頷くと思ったわ。(笑)」
「ええ、やはりですね(のほほん)」
「マジですか!!あ~アリガトテンチョ☆」
それぞれ、崇の言い分聞かずに騒ぎ通していた。
経験豊富な凪斗
大魔女早咲
アルバイターだけど何故か、クインシーの称号持ってる乖里
取りあえずこんなもんでどんな珍道中になる事やら・・先の未来分からない事ずくめとそれぞれ胸の内にたたき込む。
「ほんじゃ~月が一番綺麗な夜に出発しよう。それぞれ買い込めよ~いる物。」
「って、崇月が一番綺麗な夜って明日じゃないの?」
ツッコミの伝道師早咲がため息混じりに意見する。
「マジ?!!なら明日ッス!!じゃ、今日は解散ッス~」
買い込みは明日。出発するのも明日。何が在るのやら・・・
本気の珍道中だな・・・と、頭の片隅において。
寝ることを考える。
本気で苦しい旅は明日から。
それまで、ぬくぬくした環境を満喫しながら夜は更ける。

(取りあえず終わった・・)

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☆てかさ、どうなのこれ・・・
小説おいたはイイが。俺を主人公で書くのは初めてだ・・
何か苦情、感想あったら管理人までよろッス(爽)




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