さすらいの若旦那の日記。

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2007.06.09
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カテゴリ: カテゴリ未分類
「どこまで行きましょうか」
運転手の男性がそう尋ねた。

私は、いつものように行き先を告げ、少し深めに座る。
窓の外をゆっくりと流れる景色をぼんやり見つめながら。

「こんなに遅くまでお仕事ですか?大変ですね」
仕事ではなく、飲み会だったんです。
そう答えるのも億劫だったので、あいまいに「ええ」とだけ答えた。

沈黙が続く車内。
見慣れたネオンが車窓を流れる。


どうやらこの運転手は、話を広げようとしているようだ。

「お任せします」
仕事で疲れた私には、運転手が投げたボールを受け取るのに精一杯だった。

二人を乗せたタクシーは喧騒を離れ、少し郊外の住宅街にさしかかった。
もう間もなく家に着く。
私は財布を取り出し、いつもと同じくらいの金額を用意していた。

「お客さん、前にも何度かご利用いただきましたよね」
唐突に運転手が切り出した。

「すいません、覚えてないんです」
申し訳なさそうにしている私をルームミラーで覗き込む運転手の男性。

「乗っていただいたお客さんのことをできるだけ記憶しようと思っているんです。


その言葉を聞いて、ふと目が覚めたような気がした。
この人は、出会った人のことを記憶にしっかり留めているのだと。

たまたま乗り合わせた偶然。
その偶然を、彼は必死に自分の中に焼き付けようとしている。

人間の人生なんて、案外そんなものなのかもしれない。


それらをどれだけ自分と関連付け、記憶するか。

そんな努力を惜しまないことが、人生を実のあるものにする秘訣なのではないだろうか。

一期一会という言葉。
私が好きな言葉。

今を大事に、そして出会いを意味あるものと捉えながら、日々過ごして行こうと思う。

「お客さん、確かこの辺りでしたよね。ありがとうございました」
そう言う運転手にお金を払い、お互い笑みを交わした。

「またご一緒できればいいですよね」
私はそう告げながらお釣りを受け取り、車を降りた。

「おやすみなさい」
ドアが閉まるのと同時に私はさらにそう告げた。

初夏の夜、涼やかな風が心地よく通り過ぎた。


2005-11-26 12:37:32 ←←←ポチっとな!





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最終更新日  2007.06.09 09:03:54
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