球根

小さくて大きな世界


広がる世界

一つの物語に
魅せられた者たちが
覗き込んでいる

互いに
手を握ることも
微笑み返すことも
涙を拭くことも
できない

皆その窓には
入れない

それくらい
小さな小さな窓

蜘蛛の巣と呼ばれる
見えない糸を
手繰り寄せ
互いの思いを
交換しているだけ

そこには
形もなく
実体もなく
触感もなく
温度もない

代わりにあるのは
時に途切れてしまう
脆さ

けれど
仮面のような笑顔
保身の為の涙
欲による結び付き

窓のこちらで
演じられる茶番より

熱く確かな心が
現実以上の
真実に目覚めさせる

小さな小さな窓から
繋がった
大きな世界で
宝物を見付けては
こちらの世界に
持ち帰る

部屋の隅っこで
埃をかぶった夢を
引っ張り出して
磨いてみようか

知らない間に
抱え込んだ荷物を
肩から下ろして
笑い飛ばしてみようか

ここで
柔らかな光を
取り戻そうか

                              2002年9月11日


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