球根

あか



 赤って嫌いだった。力がありすぎて。うっとうしかった。うるさかった。血の赤も口紅の赤も信号の赤もワインの赤も。本当の赤色は、白を混ぜられない色だ。ほんの少しでも白が混じったら赤は赤じゃなくなるから。ピンクになってしまう。赤とピンクは全く別物、違う生き物だ。そう、赤は「色」でさえない。生きてる。赤であるだけで生命を持ってしまう。なんて自己主張の激しいやつ。赤は協調しない。ほかの色と「仲良く」なんてできない。当り障りのない付き合いってものを知らない。わがままな赤。どんな色と並んだって目立ってしまう。どこででも主役を張ってしまうんだ。
 それは目障りなときもある。暑苦しい、けれど。もしかして赤は、孤独じゃあ、ないか? 寂しく、ないか。いつも一人だ。いつでも女王様だ。中心にしかいたことがなくて、たとえ誰かがそばにいてもそれを無視するか、自分の引き立て役にすることしかできない。本当は、泣いているんじゃあ、ない? どこまでもどこまでも自分自身でしかいられない。気配を消すことを許されない。それは強さとひきかえだ。助けはない。赤は耐える。培われた強靭な精神が、さらに赤を導く。あるべき姿はここにしかないと。迷う弱さはすでに捨てた。誰かがそばにいても、誰もそこにいなくても、自分を見失いはしない。甘さも安らぎも、孤高の赤は振り返りもせず。


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