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2018年08月23日

「経済学はこう考える」読

カテゴリ：読書

「経済人」モデルでは、人間は、ある選好順序のもとで矛盾を示さないという意味で「合理的な」行動をとることが想定されているのですが、しかし、実際の人間行動はそれだけで理解できるのでしょうか。（アマルティア・）センはそのように考えませんでした。なぜなら、人間行動のなかには、自分自身の効用とは何の関係もないのだけれども、他人が虐待されるのをみて、それは不当であるがゆえに中止させなければならないというような行動に出る場合があり、それは「経済人」モデルでは決して捉えられないからです。センは、そのような人間行動を「コミットメント」という言葉で理解しようとしました。
（根井雅弘さん「経済学はこう考える」Ｐ１１６）

ちくまプリマー新書ですから、高校生くらいを対象に書かれているはずなのですが、一通り経済学を学んだ人でないと、何が書かれているのか分かんないと思います。
逆に、一通り経済学を学んだ人にとっては、コンパクトに頭の整理をする機会となる良い本だと思います。

一方、ご本人がどのようなスタンスなのかについては、この本を読む限りはわかりません。この本では、Ｊ・ロビンソンへの共感を示しているように感じるものの、別の本のどこかで、自分はサムエルソンに近いようなことを述べられていたと記憶しています。イデオロギー的に明確なスタンスを示すというよりは、総需要管理政策と自由経済のバランスを重視する立場というか、そういう現実主義的な立場であるということでしょうか。
面白くはないけれど、ありだと思います。