頑張ろう楽しい暮らし(37才in横浜)

頑張ろう楽しい暮らし(37才in横浜)

2007.11.16
XML
今日は溜まった振替休日を取る予定だったのだが、

寝不足の頭で、峠を歩いていた……

古い町並み、褪せた色の商店がぽつりぽつりと。
あんな近くに、日本一高層のランドマークタワーが見えるというのに、
ここは、何かから取り残されてしまったのか?

行き交う人は老人ばかり。

初冬の涼しさに、軽快に足が進む。

……何か、どこかと、空気が似ている。



……いや……


ふと、数十年前の記憶が、鮮明によみがえってきた。

それは、私の父が再婚して、間もない頃のことだった。。。





小学校に入学したばかりの、春の日のことだった。
新しい母にも慣れ、私の日常は美しかった。

母は、小さな山の中腹にある親戚の家へ、
私と、ひとつ違いの弟を連れて行った。

(それがどういう関係の人々なのか、今だに知らないが)
親戚のおばさんとおばあさんは、私たちをとても歓迎してくれ、
お菓子を振舞ってくれたり、庭を案内してくれたり、

(確か、おじいさんもいたはずだ。後にすぐ亡くなったが)

その庭は楽しかった。
「自由」があちらこちらに転がっていて、私はそれを拾い集めて遊んだ。


しばらく、そうして過ごした……


……ふと気づくと、母と弟が見えない。


私は気になって、親戚のおばあさんに尋ねた。
「かあさんは? ○○(弟の名前)は?」

「さっき、帰っていったよ」





衝撃的だった。
さっと顔が高潮し、焦って、血が上った感覚を、
今でも鮮明に覚えている。


……庭を抜けたそこの玄関先に、まだいるのでは?
私を待っているのでは?

もしかして、私を焦らせて、驚かせて、二人でからかって、
恥ずかしい思いをさせようとしているのでは?

……私は、なるたけ冷静を保つようにし、
しかし走って玄関を出た。

右を見て、左を見て、山の下へと続く道のその先を見た……

……いなかった。




私の脳は急速に回転し始めた。
とにかくも、家に帰らねば。

山を降りれば大きな道がある。
大きな道にぶつかれば、家の方角はわかる。


走った、そして走った。
BUMP OF CHICKENのKくらい走った。

途中で追いつくか?という期待を抱いて走った。

意外とこういうときは、涙などは別の世界のもので、
泣いても何も変わらないし、それより先に「走る」ことが大事だと、
自分でもわかっているから。


……幸いなことに、しばらくして一度通ったことのある道に出た。
そこからどう通ったのかは覚えてないが、まずは祖母の家の前まで来た。

すでに祖母の家に来ているのではないだろうか?
そう思って、開いた玄関を覗き込んだが、いなかった。
(なぜ「いない」と判断できたのかは、分からない。
靴がなかったからか?)

祖母は誰かと電話をしていた。
(当然のことだが、母と私のことで電話をしていたのだが)

私はチラッと祖母を見て、また走り出した。
祖母は「あれ、今シナモン(私の名前)がいたような」
(なぜ、遠くに見えた祖母のその声が聞こえたのかは、分からない。
あるいは、聞こえたというのは記憶違いかもしれない)


また走って、走って、寺の長い階段を駆け上り、
自分の家に辿り着いた。

……玄関の扉は閉まっていた。
……ここに座って待っていれば、二人は帰ってくるだろうか……





そこから先の記憶は、私の頭からはすっぽりと抜け落ちている。

ただ、祖母は電話をしている最中に私を見たと言い、
母は、初めて行った場所から、よく家まで辿り着いたと言い、
弟と一緒に「おにいちゃん」と声を上げてあたりを探したのだと言った。

母と弟は、帰り道の途中で私のいないことに気づいたらしい。
(ありえねーだろ!それ。最初から気づけよ)


私は、非常に得意な気分だった。
何か、幼い子供にはできないことをやり遂げた、そんな気分……




よく、嫁に聞かれることがある、
もし、人生をやり直すんだったら、どこからがいい?と。

私はいつも即答する、
小学一年生から、と。


その後の私の日々は、美しいとは言い難い、思い出したくない記憶ばかりを
積み重ねた。
あるいは、この日のことを、心のどこかでいつも思い出してたから、
そのように私は回答するのだろうか。。。


新しい母はあの時、どんなに心配して私を探したことだろう。

あの日、私の人生は、もっとも輝いていた。
母と祖母の話を背中に聞きながら、知らん振りで弟と遊んだ、
その匂いを今でも思い出せる。





いつも歩く道を避けて、知らない道に入ってみる。
きつい坂を上り、そしてまた下って、峠を越えると、
やはりよく知った道に出た。

さあ、日常に戻ろう。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.11.17 10:45:59
コメント(2) | コメントを書く
[人間は考える葦である] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

品川もん

品川もん

Comments

品川もん @ その2曲も聴きましたー^^ haruharuさん、こんばんは! またまたの…
haruharu318 @ Re:岩崎宏美って……すごいよね(04/07) 70年代から80年代にかけて(くらい?…
品川もん @ haruharuさんはご存知でしたか! haruharu318さん、こんばんは! さすが、…
haruharu318 @ Re:ママの結婚(これは来る)(04/03) こんにちは^^久々に見せていた来ました…
品川もん @ 今日、退院でした haruharu318さん、こんばんは! そちらは…

Calendar

Freepage List


© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: