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11月11日(金)、私はすみだトリフォニーホールへ標記の演奏会を聴きにいってきました。指揮:松田浩則(1部、常任)、井崎正浩(2部、客演)プログラムG.ビゼー: 劇付随音楽「アルルの女」組曲より(休憩20分)G.マーラー: 交響曲第5番 嬰ハ短調(アンコール)吉俣良: NHK大河ドラマ「江 ~姫たちの戦国~」メインテーマ(↑開場直前の大ホール入り口前なんですが、“長蛇の列”の理由のひとつは・・・場内の座席が“全席自由”だったからでございましょう・・・)出演者とプログラムの内容からお察しの通り・・・この演奏会、私は、吹奏楽版の「マーラーの5番」を井崎正浩さんが振られる、という事で、出掛けた次第です^^「新交響吹奏楽団」の演奏会へ足を運んだのは、私は確か今回が初めてだったと思います。“アレンジもの”中心のプログラム構成。そして、「オーケストラよりもシンフォニックな響き」を目指した楽器の編成・配置など、アマチュアの団体にもかかわらずその意欲的な姿勢が、この団体の特徴のひとつだと思います。常任指揮者(兼 編曲者)が振られた「アルルの女」を聴いた範囲で、この団体の技術的なレベルを私の尺度で甚だ勝手に判断しますと・・・コンクールでいえば、全国大会の銅賞レベル、といった感じでしょうか。演奏中、金管楽器群が少々苦戦していた様に私には感じられました。ただ・・・木管パートはとても音の響きが豊かで、バンド全体のサウンドに“まとまり感”を付与するための重要な役割を果たしていたと思います。打楽器では、特に鮮やかなマレットさばきを披露していた鍵盤楽器群が、バンドのサウンドを効果的に際立たせていました。この団体について、そんな印象を抱きつつ、迎えた「マーラー」ですが・・・やはり、「マーラー」なので・・・金管楽器が少々苦戦していたため、私にとってはやや物足りない、そんな印象を抱かざるを得ませんでした。マエストロとしては、“音楽が破綻しない範囲で、どこまで金管楽器を前に出すか”という点にご苦労されたのではないか、私はその様に推察致します。しかし、その一方で・・・第4楽章の“アダージェット”の完成度の高さには、少なからず驚かされました。もちろん、原曲の様な“弦楽器の柔らかいサウンド”が吹奏楽で実現できる訳がありません。それは“現実”として踏まえつつ・・・“できるだけ原曲に忠実に”という考え方の基で実施された、楽曲の「編曲」。とても豊かで繊細な、木管楽器群の「サウンド」と「アンサンブル」。全体のサウンドに的確にアクセントを加えていた、「ハープ」と「打楽器」。これらがマエストロの絶妙の“さじ加減”でブレンドされ、恐らく吹奏楽の編制で実現しうる最大限のレベルで、見事に“原曲の世界”を描き出していた、と、私は思います。『吹奏楽で、ここまで出来るんだ!』と、私は客席でひとり密かに感激していた次第です。“吹奏楽の新たな可能性”、そんなものに触れ、充実感に浸りながら帰途についた、その日の晩の私だったのでした。
2011.11.22
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