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イスティスの隠れ家
-蒼き氷の女神- 終章
『蒼き石の物語外伝』-蒼き氷の女神-
終章
蒼き氷の女神 最終話 前編『戦いの末』
その村は、のどかな・・・悪い言い方をすればとても退屈そうな村だった。
海に近い村だけあって、漁を行うための小船がいくつも見受けられる。
今、あたしはブリッチヘッドにほど近い村にいた。
あの後、紅い神官は黒衣の神官を助けあたしに事情を説明した。
黒衣の神官。彼は、ハイネの最後を看取った人だった。
その時、彼女に頼まれたそうだ。
自分たちが死ぬ事で悲しむ姉を救って欲しい、と。聖印と一緒に願いを託された。
彼はその言葉を守るため、もともと乗り気ではなかったあの戦いに参加し、あたしを救うために戦いを終わらせた。
たった一人の願いを、正直な思いを成すためだけに彼は激戦を鎮めたのだ。
戦場での一個人の力など、たかが知れている。
彼はその認識を完全にまで粉砕した。
だけど戦場であたしを見つけることが出来ず、彼はハイネの師である紅い神官を訪ねた。
しかし、すでにあたしは『纏ウ零ノ鎧』によってシティシーフを殲滅せんと動いていた。
彼はそれが気に入らなかったらしい。
それは、彼女の・・・ハイネの願いと違う、と。
だから彼はあたしと相対した。
死に向かおうとしたあたしを叩き伏せてでも、例え傷つける事になろうとも、哀しみを抱えたまま死なせる事はハイネの願いに反する、と。
氷の女王との契約の時、ライネルたちの声が聞こえたのも気のせいではなく彼の奇蹟の業だった。
『導かれる魂』、それが彼の使った奇蹟の名。
ある宗派の高位神官だけが使える、天に召された無念の魂を召喚する奥義の一つ。
死霊術士が使う『召霊』と同じ邪に属する奇蹟。
やはり彼は邪神の高位神官なのだ。
どのような願いであろうとも、彼は信念を持った願いを助ける。
あまりにも、真っ直ぐすぎる信念にあたしは畏敬の念を覚えるほどだ。
彼のその後を、あたしは知らない。
街はあの後紅い神官によって新たに救援に来た神官団によってあたしが奪った命のほとんどは救われた。
今さら誰かに復讐するつもりはない。
それにあたしは一度彼らの命の悉くを奪ったのだ。
何より、それはハイネたちの願いに反する。
それを破る事も、もうない。
あたしが狂わせた氷霊たちも、すでに正常化している。
驚く事に彼らは一種の自己再生の力があるらしい。
例え狂っていたとしても、上位の精霊が呼びかけ、命じることで自然に回復するよりも遥かに早い回復をするという。
それに、あの戦いの最中。狂える氷霊は激減しており、もう街をどうこうする力はない。
だけどひとつだけ懸念がある。
ヴェド・サウルスミス
彼だけは、ブリッチヘッドから消えていた。
黒衣の神官の奇蹟、気弾(フォース)で傷ついているにも関わらず、気付いた時にはすでに彼はあの場から消えていた。
彼がどのような形で今回の件に関わっていたのか、未だに不明だった。
だがすでに公社は彼に追っ手を差し向けられている。
傷の治療を受けているヘディンさんからそうした情報をもらっていた。
彼は度重なる無理をしたために、絶対安静を神官や医師から言われていた。
そして・・・・氷の女王を召喚し、その力を行使したために『魔導師』とまで言われた彼の力は大きく減退し、『魔術師』・・・いや、下手をすればそれ以下の力しか残っていなかった。
だけど彼は。
「自業自得ですから」
と、いつもの無表情で自分の責任だと言い放った。
・・・素直じゃない。
何度も何度もお見舞いに行くたびに、彼はそうした言葉をあたしにかけてくれる。
はぁ・・・何度目か分からないため息が出る。
ほんと、素直じゃないよな・・・あたしもだけど。
繰り返す思考は、だけど暗いことが続いていた時に比べれば随分明るくなったものだ。
彼はひとまず傷の専念をして、回復したらまた仕事に戻るそうだ。
そして今、あたしは・・・・
ライネル、ゴーディ、ハイネたちの生まれ育った村に、来ていた。
「そうですか・・・貴女が」
あたしはハイネの家に来ていた。
目の前には一人の男性が座っている。
「お互いに、あの戦いをよく生き延びることが出来ましたな」
その言葉に、あたしの顔に驚きの色が浮かんだのが分かる。
もしかして、この人は・・・
「ブリッチヘッドの戦いに、参加を・・・・?」
ハイネの父親は俯き、瞼を伏せて頷く。
確かに、よく見ればその体躯は戦士のそれだ。服の上からも鍛えられていると分かる。
そして、一目で出来ると思われる彼は、おそらく剣士。
「私と・・・妻は教会に属す者。そのため今回の戦いに召集をかけられ、あの戦地へと向かいました」
ハイネが神官になったのも、両親が教会の関係者だった影響というわけか。
「奥様も、ですか?」
「・・・妻はあの戦いの最中、魔物たちに・・・」
「っ!?」
この人は・・・あたし以上に・・・
その哀しみに、あたしは同情よりも、恐怖した。
私があの子たちを失ったときでさえ、あれほど深く絶望したのだ。
この人のそれは、どれほどつらく、恐ろしいものだっただろう。
一瞬で家族を失った、その悲しみは・・・
我知らず、あたしは自分の胸を押えていた。
早く、ここから逃げ出したいと思うほどに、苦しい。
しばらく沈黙が続く。それを破ったのは、彼の方だった。
「正直に言えば、私は貴女に良い感情を持っていません」
「・・・」
「もともとあの子は、信仰心が強くありましたが、決して冒険者のような荒事が出来るような性格ではありませんでした」
確かに。
ハイネはもともと積極的とは言えない性格ではあった。
皆と一緒に冒険を始めた頃、最後まで冒険者としての気構えが出来なかったのは彼女だった。
何度かその事で揉めた事があったほどだ。
だけど、それでも年月と経験は彼女に冒険者としての気構えと自信を与えていった。
「ですが、私は貴女に感謝している」
彼は腰掛けていた椅子から立ち上がると、すぐ傍にあった棚からたくさんの手紙を取り出した。
それは・・・
「あの子からの、手紙です」
彼はその中から、一枚の手紙を取り出し、あたしに差し出した。
無言のままそれを受け取り、あたしはそれを読む。
拝啓 お父様 お母様
こうして手紙を出すのは何度目になるでしょうか。
家から飛び出して、三年という月日が流れました。
暖かさに包まれたあの頃に比べ物にならないくらいに、つらい冒険者としての生活を今も送っています。
ですが、それは決してつらいだけのものではありません。
村では経験できない事や、人々の喜ぶを様を見ることが出来る素晴らしいものだと、私は思います。
冒険者としての生活やアウグスタ教会での修行も含めて、今私はとても充実した生活を送っています。
だけど最近ちょっと村の魚料理が懐かしくなってしまいまして。
近いうちに一度ライネルとゴーディ、それによく手紙に書いていたお姉様も一緒に帰郷をしたいと考えています。
時期はいつ頃になるかは決まっていませんが、きっと、近いうちに。
では、また手紙を出します。 敬具
クシャ、っと音がした。
それは手紙を握り締める手に、力が篭ってしまったせいだ。
だけどそれに気付いても尚、あたしは力を緩めることは・・・出来ない。
出来るわけがない。
顔を伏せ、あたしは目から一筋の雫が落ちる。
駄目だ・・・あたしが泣いては・・・駄目だ。
この人の前で、あたしは泣く資格がない。
歯を食いしばり、それでも溢れる感情を押えるために瞼を閉じて、耐える。
どれくらい時間が経ったのか分からない。
なんとか感情を押さえ込んだあたしは、顔を上げ、手紙から手を離す。
「あの子は変わりました」
不意に声がかけられ、あたしは彼の・・・ハイネの父の顔を見た。
「とても・・・ええ、とても素晴らしい人間になってくれました」
だけど、その目に浮かぶのは、怒り?
「貴女には、良い感情を持っていません・・・ですが決して恨みもしていません。ですが」
彼は顔を伏せて独白する。
「私の信仰は妻と娘が死んだとき・・・同時に死に絶えました」
それは彼の本当の思い。
人を救うと言われ、神を信じることで、彼らは神の剣となる。
だけど、もしそれを裏切られるような事があれば。
「私はアウグスタへ向かう事が決まっています」
あの戦いで多くの死傷者を出したのだ。それはある意味必然。
「この家は、引き払います・・・ここには、二人の思い出が強く残りすぎている」
「では・・・」
「しばらくは、修道騎士としてアウグスタで職務を行うつもりです。信仰が死んだ騎士に、どこまで出来るか分かりませんがね」
皮肉げに空を見る男に。
あたしは何も言えずにいた。
ハイネの家を出て、あたしは海岸を歩いていた。
あの子の家は裕福であると聞いていたので、比較的簡単に見つけることが出来た。
だけど、ライネルとゴーディの家はこの村のどこかと言うだけで、具体的な場所は分からない。
確か、漁師の家とか言ってたっけ・・・
でも、この村にはそうした家は多くある。
一軒一軒回る必要があるが、今はそんな気力が湧かない。
あたしは浜辺に座り込み波の満ち引きを見ていた。
「・・・」
三人は、この海を見ながら育ったのだろうか。
そんな事を考えながら、あたしはその流れを静かに見ていた。
そうしていると、色んな音が聞こえる。
波の音や風の音。そして近くで遊んでいる子供たちの、声が。
その音の流れの中、ひとつの音が混じる。
ザク、ザク、という浜辺の砂を踏む音。
それは、あたしのすぐ傍で止まる。
「この辺では見かけない方ですね・・・」
声の方に目を向けるとそこには年老いたシスターがいた。
そして、その胸にある聖印は・・・
「ハイネと同じ聖印・・・」
その言葉にシスターは驚いたように目を開く。
「貴女はハイネの事をご存知なのですか?」
「そうですか・・・貴女が、あの子の言っていた『お姉様』なのですね」
シスターにあたしの素性を話すと、彼女はすぐに何か思い当たることがあったのか、そう言った。
「あの子は、私が管理している教会と孤児院を手伝ってくれていましたから」
このシスターはこの村で教会と孤児院。両方の院長として勤めているらしい。
ハイネはこの教会で祝福と聖印の洗礼を受けたという。
そしてあたしは、もうひとつの事実を知った。
「ライネルと、ゴーディが孤児だった・・・?」
「ええ、その通りです」
シスターはそう言って目を閉じ、思い出すように語ってくれた。
もともと二人の両親はこの村の漁師をしていた。
だがある日、彼らの両親は突然の大時化により乗っていた船は大破し、海に飲み込まれたという。
それは彼らが12歳の時だったという。
「そう・・・あの時化によって、多くの漁師たちが海の中へ沈められ、天に召されました」
この地域では夫婦で漁に出ることが主になっている。
つまり、多くの子供たちが残された事になる。
「ライネルとゴーディ・・・それにハイネ・・・一番年上だった三人は、本当によくあの子たちの面倒を見てくれました」
彼女は懐かしむようにその頃を思い出しているようだ。
「だけど、孤児院の生活は決して裕福なものではありません。ましてやあの子たちに将来を選ばせてあげるような余裕は・・・」
ライネルとゴーディは、そんな彼らにしっかりとした将来を選ばせるために、危険だが、実りの大きな冒険者という道を選んだという。
「毎月・・・彼らは稼いだお金を私達に送ってくれました。一番小さな子が、大きくなるまでそれを続けるつもりだったのでしょうね・・・」
そうか・・・そう、だったのね・・・
ゴーディがスマグで教鞭をとろうとしなかった理由は、そのためだったのか。
「ライネルは体が強く、ハイネのお父様に稽古をつけていただいていました。それにゴーディは、体は強くありませんがとても頭がよく。教会にあった本から独学で魔術を身につけるほどでした」
そうした努力のかいあって冒険者としての下地が作られた・・・か。。
不意に、彼女は顔をしかめた。
「でも・・・あの子たちはそのために・・・私は彼らに申し訳なく思います」
冒険者となることは、つまり危険と隣あわせであるということ。
彼女は、それを知っていたのだろう。
おそらく彼女はライネルたちを止めた。
だけど・・・彼らはそれを振り切って冒険者になったのだ。
「院長・・・」
院長の流れる涙を止める術は、あたしにはない。
だけど、彼らはきっとそんな哀しみを望んではいないはずだ。
「あの子たちは、貴女に悲しんで欲しくないと思っているはずですよ」
「・・・しかし」
「しかし、もありません。現にライネルたちは貴女の事を・・・あたしにその事を教えてはくれませんでした」
馬鹿な子たちだ・・・あたしにそんな事情がある事を教えなかっただけではなく・・・助けも請わなかったなんて。
あたしを気遣って・・・優しすぎたんだよ。やっぱりあんた達は冒険者に向いてなかったんだ。
「きっとあの子たちはあたしに負担をかけたくなかったのだと思います」
そして、彼らは孤児院たちの子を助けるだけではなく、こんなあたしも助けてくれた。
「感謝しましょう、院長。そうでなかったら、彼らがただ可哀想なだけになってしまいます」
あたしはゆっくりと立ち上がり、前を見る。その視線の先には、無邪気に遊ぶ子供達がいる。
「あの子たちが、孤児院に残った最後の子供達です」
院長の声にあたしはまぶしいものを見るように目を細めた。
彼らが、あの子たちの弟妹なんだ。
ならば・・・
「院長。ひとつお願いしていいですか?」
院長に振り向く。
「なんでしょうか」
あたしがする事は、ひとつだ。
「あの子たちが孤児院を出るまで、あたしも一緒にお手伝いしてもいいでしょうか」
あの子たちを導く事。
三人の。あたしの弟妹たちのように優しく、正しい道を進めるように教えてあげること。
院長はちょっと驚いた顔をして、あたしの顔を見るがすぐに笑顔になった。
「ええ・・・是非、お願いします」
その声を聞き、あたしは大声で叫ぶ。
「おーい!! みんなー」
あたしの声に子供達は全員こちらに振り返った。
「あたしの名前はちぇるしー!! あなたたちの、新しいお姉さんになります!!」
その言葉に子供達は目を丸くするが、すぐにこちらへ向かって走り出してきた。
その姿に、あたしは彼らに誓う。
今度こそ、あたしは守ろう。
ライネル、ゴーディ、ハイネが必死に最後まで助けてくれたこの命をかけて、この子たちを導こう。
それがあたしの新たな生きる目的。
そして、きっとあの子たちが望んでいるだろう願い。
あたしはヘディンさんからもらった二つ名を思い出す。
蒼い空のように、広く大きな心で人を導き
氷の女王に認められる意思と力で、大切な者達を守る者
『蒼氷の女神』
その名に恥じぬように、その期待と願いを裏切らぬように。
空は蒼く、海も青く。
流れ行く時と大切な人を見守り、導ける事を、導く事を。
あたしは、涙を流しながら三人に誓うのだった。
この物語は、蒼い物好きで世話がかかる妹と出会う七年前の物語となる。
『終』
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