動け動けと私の命が言っていた。
人生にオチはないし、かなう目標もない。
ただ流れと動きがあるだけだ。
親しい人が死んだことにすっきりする解決策はない。
会えないままでしばらく元気なくどんよりと、
泥沼の中でももがくように、ただ静かに生きていくだけだ。
世界に色彩が戻るまで。
それでも毎日ほんのちょっといいことはある。
たとえば窓辺の花がきれいだとか。
同じような冴えない人と薄闇みたいな世界の中で、
こうして目が合うとか。
そんなくらいのことを、
きれいな貝がらをポケットに入れるみたいに
力をためるしかできることはない。
byよしもとばなな