『未熟なボクら ―もう一つのNARUTO-ナルト物語― 』
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第9話「人はどうせいつか死ぬのに」
「別にいいです」
中庭の長椅子に、テンテンと夢之助は座る。
「ネジとリーは正反対の性格だから……」
「でも、ナルトお兄ちゃんは、サスケお兄ちゃんと性格が正反対でも、好きだって言ってました」
表情を変えずに、淡々と夢之助は言う。
「……そうね。うちもね、確かに前はネジとリー仲悪かったの。でも今は、うん、仲間意識が出来てきたっていうのかな。ただうちの班はちょっと先生に問題があって……あ、ううん、先生はとってもいい先生よ」
ちょっと困ることもあるけど……とテンテンは小さくつぶやいたあと、続ける。
「正確に言うと先生にっていうより、先生とリーの師弟関係が、私たちの班にとって問題があるの。ガイ先生はリーのこととっても信頼してて、リーもまたガイ先生を慕ってる。だからリーはなにかあると……いつも先生に話すの。私たちには……何も言ってくれないの」
さみしそうに笑うテンテン。
「リー、ここのところずっと元気なくて……。昨日ね、ネジがリーに聞いたの。何かあったのかって。それって、すごくめずらしいことなのよ。ネジはあんな性格だから、聞くのにもすごく勇気がいったと思う。だけどリーってば、何でもありません、って……それだけ……」
テンテンは、日がほとんど沈んだ薄暗い空を仰ぐ。
「でもリーもね、悪気があるわけじゃないのよ。私たちのことだって、ちゃんと大切に思ってくれてる。だけど、リーにとって先生の存在はあまりに大きすぎるのね……」
夢之助は、庭の池をうつろな目で見つめている。
「リーね、体の怪我のことで、何かあったみたいなの」
「……リーさんがそう言ったんですか?」
「ううん。でも見てれば分かるわ。任務中、体思うように動かせないでいるし、それにリーが憂鬱な表情をしだしたのは、医療忍者でもある綱手様が里に来てからだもの。私、班の中では一番みんなのこと分かってる。それは自信があるの。でもね……」
テンテンは、ため息を一つつく。
「それだけ。分かってるだけ。私は何も出来ない。いつも……」
夢之助は、テンテンを見上げた。テンテンはハッとする。
「あっごめんね、こんな話――」
「やめればいいじゃないですか」
「えっ?」
「班の人のこと思うの、やめたらいいじゃないですか」
きっぱりと言う夢之助。
「そうすれば、もう悩んだり、苦しんだりしなくていいでしょう?」
冷めた目で、水面を見つめる夢之助。
「夢ちゃん……。あのね、仲間っていうのは、そんな簡単に裏切ったりできないものなのよ。大切って気持ちが心の中でいっぱいで――」
「分かってます」
夢之助は、再びテンテンを見上げる。
「だけど、仕方ないでしょ。苦しくって悩むくらいなら……初めからそんな風に思わなければいいんだ」
「夢ちゃん……」
「ボクにはみなさんが理解出来ません。そんなに仲間を思うテンテンさんも、うまくいかない任務に必死なネジさんも、怪我で悩むリーさんも。……人はどうせいつか死ぬのに」
テンテンは息を呑んだ。一瞬にして国を、仲間を失ってしまったこの子がそんなことを言うのも無理はない。テンテンはそう思い、これ以上何も言えなくなった。
またネジに怒られちゃうな……。テンテンは小さくつぶやいた。
いの『次回はうちの班よー! 特に私が主役かしらー!!』
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