虹の橋2006夏 第2章 再会 第1話 すまーふ

虹の橋2006夏
第2章 再会 第1話 すまーふ



皆さんこんにちは、すまーふです(^^)/

めいちゃんと別れて、私はかあさんのおうちに戻ってきました
そしたら、私(ワンたくし)何を見つけたと思わはります?

それはね(^^)、私自身
何のことかと言うたら、母さん私そっくりのフィギュアを持ってはったん(^^)/

ほんまに、人間さんは、こんなに瓜二つの私のそっくりさんを作ってくれはりました
ほんまによう似てるわあ、というより、まるで私みたい

私は思わずフィギュアにCHU!をしました
そしたらそのフィギュア、どうなったと思う?

私が笑うたら真似してニコッと笑うんよ
こわい顔したら、ちょっとこわい顔になる(^^)
私の気持ちの鏡みたいになってくれてはる

母さんは、お留守みたい
買い物にでも行かはったんやろか?

あっ、車の音がした。帰って来はったんや(^^)/
ちょっと隠れとこ(^o^)

カチャ、バターンとドアの閉まる音がしたら、母さん次に何しはったと思う?
「すまーふ、ただいま(*^_^*)。今日も外は暑いわ」
って、私の写真に話しかけはったんよ



ここまではいつも私も見てる母さん
その次に母さん、こう言った

「すまーふ?すまーふ?いるの?」

分かるんやろか、私がいるのが

私は、黙っとかなあかんと思うたのに
「かあさん」
と声を出してしまいました

かあさんは、私を見つけてさっきまで笑っていた顔が凍り付きました
「すまーふ?すまーふなん?」
「かあさん、分かる?」

かあさんは、買い物のビニール袋を台所の前に投げ出して私の方に走ってきました
「すまーふ!」
「かあさん!」
「すまーふ!!」

かあさんは、思い切り私を抱きしめてくれました
「すまーふっ、すまーふ!」

そう言う度にかあさんの身体が震えました
「かあさん!」
そう言おうとしても、あんまり強く抱きしめられたもんやから、声が出ませんでした

どれくらいの時間、そのままにしてたやろか?
ようやくかあさんは、腕の力をゆるめてくれました

「すまーふ、帰ってきたん?」
「そうやで(^^)、というよりほんまはいっつも帰ってきてるんやけど、こうしてかあさんとお話が出来るのはお盆の間だけやねん」

「ちょっと肥えたん?」
「うん、向こうの世界では一番元気やったときの姿で過ごしてるねん、びっくりした?」

「ううん、びっくりなんかしいひんわ(^^)、きっとそうやと思うてたんよ(/_;)」

「かあさん、元気にしてくれてた?」
「元気よ(*^_^*)早う死んでしもうたすまーふに悪いくらい」

「よかった、すまーふはそれが一番うれしいんよ」
「すまーふっ(T_T)」
「かあさん、ちょっとゆるめてぇ、しんどいやん(^^;)」

そこで初めてかあさんは、私を驚いたような眼で見た
「すまーふ、あなた、しゃべれるの?」

「驚かせてごめんなあ、そうなんよ、しゃべれるんよ、けどお盆の間だけやけどね」

その次に、かあさんは私に、私が死んでから周りの仲間がどれほど暖かかったか、それがどれほどうれしかったか、話してくれました

実は私は、いつもかあさんのそばにいたから、よく知っていたけど、初めて聞いて驚いた振りをしました

それからお盆が終わるまでの間、私はかあさんといろんな場所に行きました
例えば、まだ私がいけいけだった頃行った信州や海(^^)/

ご近所の散歩に嵐山、大堰川沿いの道
そして花火見物(^^)/ ほんまにきれいやわあ

そして、明日が最後の日という夜、かあさんは言いました
「すまーふ、ひとつだけ聞いてもいい?」
「なあに?かあさん」

それからかあさんが、質問するまで随分時間がかかりました
聞いていいものかどうか、迷っている様子でした

「すまーふ?かあさん、あなたにお薬飲ませたり、お医者さんに連れて行ったり、点滴を打ったりしたでしょ?」
「うん」
「かあさんは、あなたに元気になって欲しくて…。なんとかしたくて…」
「…」
「でも、ほんまに良かったんやろか?あれが却ってすまーふを苦しめただけと違うんやろかと、今でも迷うてしまうのよ」
「…」
「でね、あれがもしほんの少しでもあなたを苦しめてたんやったら、謝りたいの…」

私は、すぐに声が出ませんでした
なんでかというと、私はかあさんとは全く逆のことを考えていたのです
私さえ、いなければかあさんはもっと自分の生活を楽しめたんじゃないか、夜もゆっくり寝られたんじゃないかと

「かあさん(T_T)」
「うん?(T_T)」

「かあさん、それは全然違うんよ」
「…」

「かあさんは、出来る限りのことをしてくれはった。自分の生活を削って…自分の健康を削って私のために…こんだけたくさんの、いっぱいの…」
「…」
「私を苦しめたなんて、とんでもない。かあさんからわたしに向かって祈りと暖かさが押し寄せてくるのをいつも感じてたんよ…(T_T)」
「…」
「そやから、もう少し生きてみよう。がんばってみようって思うたん」

「本当?ほんまにそうやの?すまーふ?」
「ほんまやで(^^)それよりかあさんこそ、私のために自分の生活を削ってしもうたんと違うの?」

「(*^_^*)すまーふ、それこそ心配いらんのよ。あれはね。今から思えばかあさんの生きがいやったんやもん。がんばってた頃の自分がいじらしいとさえ思うの」
「かあさん、おおきにありがとうm(_ _)mありがとうございました(T_T)」

「すまーふ、それはこっちの言うことよ。ありがとうね、すまーふ」
かあさんの身体は、私が死んだ時みたいに、キラキラ輝き始めました

「かあさん、そろそろ送り火の時間になったわ。そろそろ私も虹の橋の向こうの世界へ還るわね」
「うん、すまーふありがとう(*^_^*)かあさん、もう大丈夫。また来てなあ」

「私は毎日来てるんよ(^^)かあさんが気づかへんだけで」
「すまーふ、元気でね。また来年楽しみにしてるわ(^^)/」

「あっそうそう、かあさんこれだけは言うとくわ。橋の向こうの世界はね。妬みややきもちのない世界やねん(^^)。だから、もし縁があって新しいわんにゃんと暮らすことになっても、私は大賛成やということを憶えておいてや(^^)/」
「すまーふ、さよなら、またね」

「かあさん、おおきにありがとう!さよならぁ(^^)/~~~」

私はそう言ってベビーカーに飛び乗りました
「かあさ~ん、またね~っ(^^)/~~~」
「すまーふ~っ!ありがと~うっ」

そしていつまでも、かあさんの幸せを祈りながら手を振り続けました

   つづく





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