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今日は書評デー。これは3本目。■1本目、木下半太「悪夢の商店街」書評はコチラ。■2本目、貫井徳郎「後悔と真実の色」書評はコチラ。にほんブログ村↓で、読んだのはコレ。魔法使いの弟子たち価格:1,995円(税込、送料別)【内容情報】山梨県内で発生した致死率百パーセント近い新興感染症。生還者のウィルスから有効なワクチンが作られ拡大を防ぐが、発生当初の“竜脳炎”感染者で意識が戻ったのは、三名だけだった。病院内での隔離生活を続ける彼ら三名は、「後遺症」として不思議な能力を身につけていることに気づき始める。壮大なる井上ワールド、驚愕の終末─。(「BOOK」データベースより)井上作品、いつぶりだろ。…と思って確認したら、去年の3月でした。ふえぇ。■井上夢人「the TEAM」の書評はコチラ。で、本題。「魔法使いの弟子たち」のハナシ。まず、あらすじ読んで「ウィルステロの話?」って感じで読み始めたらなんか全然違うし。途中、あまりの「魔法使い」っぷりに、物語が一体どこへ向かうのかがわからなくて不安になったりもしたけど、でも、読んでいくにつれどんどん話に引き込まれていったし、とにかくラストにはびっくりした。賛否両論あると思うけど、このラストは個人的にはアリ。絶望的な締めじゃなくてほっとしました。それにしても久々の井上作品に満足。あぁ面白かった。にほんブログ村とりあえず今日の書評はこれにて打ち止め。全部読んでくださった方、お付き合いありがとうございました。
2010.10.28
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かなり前に読んでたのに、書くの忘れてた。↓つーことで、コレ。後悔と真実の色価格:1,890円(税込、送料別)【内容情報】あの強固な呪縛から、いつか解き放たれたかった。若い女性を襲い、死体から人指し指を切り取る連続殺人魔「指蒐集家」が社会を震撼させている。警察は、ネットでの殺人予告、殺害の実況中継など犯人の不気味なパフォーマンスに翻弄され、足がかりさえ見えない。その状況下、捜査一課のエース、西條輝司はある出来事を機に窮地に立たされていた─。これは罠なのか?被害者たちにつながりはあるのか?犯人の狙いは何か?緻密な構成で不器用に生きる男たちを活写する傑作長編。(「BOOK」データベースより)だいぶ前に読んだ本。えーっと、読書メーターで確認してみたらこれまた5月でした。あぁぁ。前半はちょっと停滞しつつ読んだ。貫井さんの作品って、いつも割とこういう感じ。でも、後半に差し掛かったあたりからスピードアップ。登場人物たちが頭に入ってきたこともあって、面白くて一気読みしました。ただ、犯人は早々に目星がついてしまうので、そのへんは楽しめません。ヒントわかりやすすぎ。もっと後半まで引っ張ってくれてもよかったのになーって思いました。ちょっと残念かな。でもそのぶん、真実へと迫っていく謎解きの過程が面白い。余韻と、少しの謎を残したラストの1行も含め、個人的には好きな1冊です。にほんブログ村
2010.10.28
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いやー、久しぶりすぎる書評です。作品紹介の字とか、何色でやってたっけーとか、そういうとこからスタート。そんな自分にありえへん…と思って遡ってみたら前回の書評、5月でした。orzあぁびっくりした。(え)にほんブログ村↓つーことで、コレ読みました。悪夢の商店街価格:630円(税込、送料別)【内容情報】美人結婚詐欺師の世良公子が凄腕詐欺師に命じられたのは、さびれた商店街の豆腐屋の息子と結婚すること。詐欺師は億単位の金しか狙わない。ということは、こんな街に大金が隠されている!?公子は大金を横取りしようとするが、味方は五歳の甥だけ。そこに、ヤクザと女子高生ペテン師が参戦し、果てしない騙し合いが繰り広げられる。痛快サスペンス。(「BOOK」データベースより)はい、待ちに待っていた木下半太の悪夢シリーズ最新作です。今回はあのときのあの子が出てきます。相変わらずかっこよくて惚れそうです。そしてさらに新出の「五歳の甥」ってのがすごくかわいい。生意気なんやけど、なんか憎めへん。いつも思うけど、木下作品はキャラがいいね。全体的に非現実的なんやけど、それが逆に、エンターテインメントとして存分に楽しませてくれる。しかしまぁ、相変わらずすごいスピードで読ませるね。あっちゅー間に読了。特に後半はノンストップ。詐欺師とペテン師と魔法使い、騙し合いは誰に軍配が上がるのか。ドキドキしながら読みました。にほんブログ村んで、作品の内容は相変わらずのコメディサスペンスなんやけど、今回は珍しくカットバック形式。そして、ラストは「なるほどこうきたか!」とまずまずやった(←褒めてます)けど、そのあとのエピローグがこれまでの作品とは違ってちょいと異色。木下作品でこんな感じ、今までにあったっけなぁ…って感じ。へぇー、今回はこうしたんやー、って。でも悪くないですよ。相変わらず読後感はいいです。ただ、前作のギャンブルマンションを読んだのが1年前なので、色々と抜け落ちてるところが多くて。またエレベーターから読み直したいなぁと思いました。↓ってことで、過去の履歴。■『悪夢のエレベーター』の書評はコチラ。■『奈落のエレベーター』の書評はコチラ。■『悪夢の観覧車』の書評はコチラ。■『悪夢のドライブ』の書評はコチラ。■『悪夢のギャンブルマンション』の書評はコチラ。にほんブログ村書評、今日はちょっと連発するかも。たまりすぎてるんで…。。。でもとりあえず先にばんごはん食べてくる。(。・ω・。)ノ
2010.10.28
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GWも終わっちゃいましたねぇ。皆様、いかがお過ごしでしたでしょうか。私は意外と忙しくしてまして。GWが始まった当初はほとんど予定もなく、ゆったり爆編みでもしながら過ごそうかと思ってたんですが、なんだかあれよあれよというまに予定が埋まっていき、結局ゆっくりできたのは1日あるかないかってとこでした。ふー。にほんブログ村んで、GW中にも本は読んだんですが、まずはこっちの書評から。↓今、巷で話題のアレです。東野圭吾「新参者」【内容情報】日本橋。江戸の匂いも残るこの町の一角で発見された、ひとり暮らしの四十代女性の絞殺死体。「どうして、あんなにいい人が…」周囲がこう声を重ねる彼女の身に何が起きていたのか。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、事件の謎を解き明かすため、未知の土地を歩き回る。(「BOOK」データベースより)にほんブログ村これ、たしかシリーズものなんですよね。…って、知ってはいたんですが、シリーズの他作品を全く読まずにコレ単独で読みました。でもちゃんと理解もできたし、それなりに面白かったです。舞台は東京、人形町。殺された1人の女性と、それを取り巻く様々な人々。新しくやってきた刑事の加賀は、それぞれの人々と彼女とのつながりを明らかにしていきながら、事件の真相に迫っていく。形式としては各章ごとに1人の登場人物にスポットを当てて進めて行く連作短編のような感じ。途中、誰も彼もが怪しく見えてしまうけど、それも含めて真相を自分なりに推理しながら読み進めるのが楽しい。各章それぞれ、救いのあるラストなので読後感もいいです。ドラマも見てますが、結末が違うということなので、そっちも楽しみ。とりあえず、ドラマを観る前に原作を読んでしまいたかったので間に合ってよかったです。にほんブログ村↓「新参者」以前の加賀恭一郎シリーズはこちら。卒業眠りの森どちらかが彼女を殺した悪意私が彼を殺した嘘をもうひとつだけ赤い指にほんブログ村編み物のほうは「母の日プロジェクト」始動してます。
2010.05.06
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久々に伊坂作品をしっかりと読了した。や、読むのは読んでたんだけど、「しっかりと堪能した」感じは久々。というのも、ここしばらくの伊坂作品は(個人的には)不発が続いていて、前々作「あるキング」はもやっとした感じで読了。前作「SOSの猿」はあろうことか挫折ちう。伊坂さんどうしちゃったのー?って思いつつだったんだけど。にほんブログ村↓今回のこれは面白かったよ!オー!ファーザー伊坂幸太郎の最新長編は、まさに「こんな小説が読みたかった」という直球ど真ん中のエンタメ小説。ありとあらゆる箇所に張り巡らされた伏線に、「えっ、これも伏線だったの?」とラストで驚きの声が挙がることでしょう。もちろん、軽妙洒脱な会話も健在。健在どころか磨きがかかり、思わずメモしたくなるような名言が繰り出されます。ストーリーにも期待あれ。なんと4人の父親を持つ高校生が主人公。それってどういうこと? という興味から、あっという間に物語に引き込まれます。360ページ一気読み必至の娯楽作品。あー面白かった、という満足のため息をあなたに!【内容情報】みんな、俺の話を聞いたら尊敬したくなるよ。我が家は、六人家族で大変なんだ。そんなのは珍しくない?いや、そうじゃないんだ、母一人、子一人なのはいいとして、父親が四人もいるんだよ。しかも、みんなどこか変わっていて。俺は普通の高校生で、ごく普通に生活していたいだけなのに。そして、今回、変な事件に巻き込まれて─。 (「BOOK」データベースより)にほんブログ村いやぁ、もう、ほんとに面白かった。初期の伊坂作品を好きな人は間違いなく好きでしょう。「父親が4人」って、一体どんな設定なのさ?!って思いつつ読み始めたんだけど、あっという間にその世界に引き込まれ。「ありえない」と思ってた設定なのに、いつの間にか「これはアリだな」って思うようになってた。結局のところ、「入れ物」とか「名前」じゃないんだなぁと。血のつながりとしての「父親」は世の中にたった1人で、それは4人いる「自称父親」の中の1人かもしれないし、もしかしたら更に他の誰かかもしれない。(後者だったとしたらそれはそれでまたびっくりだけど。)でも、そんなの関係ない感じで。それぞれの愛し方で、それぞれの接し方で、「俺の息子」をとてもとても大切にしていて、それがきっとこの作品に対して好感が持てる所以なのだろうなぁと。息子である主人公「由紀夫」も、それぞれにメチャクチャな父親たちに振り回されたりで大変な割には、なんだかんだでそんな父親たちを好きなところがなんかいい。何より父親たちだけでなく、母親も、友人たちも、登場人物のみんながそれぞれを大切に思っているのがとてもいい。ほんと、これは読んでて気持ちのいい作品でした。とりあえず、「父と母と僕の6人暮らし」ってとこに地味に笑った。で、まぁ、「事件」も起こるんだけど、そっちのほうは私的には比重が大きくなかったかな。や、面白いんだけどね。ちゃんと伏線も回収されてるし、クライマックスでは息を止めて読んだりするぐらいドキドキハラハラしたりもしたんだけども。でも、この作品に関してはそっちよりも「家族愛」のほうに重点が置かれてるように感じました。会話の妙も見事。思わずニヤリとする言い回しや、ちょっとした言葉遊び、「伏線」としての種蒔きなど、やっぱり伊坂さんの作品は会話がひとつの重要なファクターになってるなぁと改めて実感。軽快な会話で進められる部分は本当に読んでいて楽しかったです。最近の伊坂作品は色々と試行錯誤しつつなのだろうなぁとは思うけど、ごめん、やっぱり私が読みたかったのはこっち。でもモノカキとしての試行錯誤はわかる気がするので、そういうところは応援したい。自分が書きたいものと、周囲が求めてるものとのギャップがあると苦しいことあるよねぇ。着たい服と似合う服が違う時にも感じるような。むむぅ、難しいなぁ。でもやっぱり応援してるので、これからも素敵な作品をいっぱい輩出してほしいです。にほんブログ村↓次に読んでるのはコレ。「オー!ファーザー」とは真逆で、暗っ>< (でもそんなのも好き)貫井徳郎「後悔と真実の色」でも暗くて重たいだけのことはあって、なかなか読み進まないので書評はしばらく後になりそう^^;
2010.04.06
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ちょっと前のことですが。↓コレ、読みました。カラフル【内容情報】生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。不朽の名作ついに登場。(「BOOK」データベースより)冒頭、いきなり天使が出てきたりして、「おぉ、これはなんともファンタジーだねぇ」と思ったんやけど、内容はそんなほんわかしたものではなく、伝えたいことはきっととても現実的。でもそれを、とてもわかりやすい言葉と物語で伝えてくれる。まっすぐでやさしくて少し厳しい、すごくいい本だと思う。にほんブログ村設定としてはちょっと突飛かなという感じを受けたけど、それによって生まれる物語との距離感がちょうどよく、少し引いて見ることができるおかげで全体を見通せる感じ。対して、主人公の「ぼく」がとても等身大で、私はすんなり物語の中に入り込めた。生きてると楽しいことばかりじゃなく、かといってしんどいことばかりでもないんだけど、わかってはいてもそう思えないことも多く。そうしてるうちにいつの間にかマイナスのループに入り込んじゃって、「どうせ自分は」「なんで自分だけ」っていう想いに侵食されて、どんどん閉じこもっちゃう。「本当の自分」と「周囲が思ってる自分」とのギャップに苦しんだりもする。…と、そんな思春期の「揺れ」や「葛藤」がとても繊細に描写されてる感じに好感が持てました。にほんブログ村そして、ラスト。自分の罪を思い出すために与えられた最後の1日を噛みしめるように過ごすさまがとても愛しい。「仮の住まい」である「真」の身体の中で、「真」としての日常を通り抜けながら「ぼくの罪」につながるヒントを拾い上げていく。オチは割と最初のほうで気づいちゃうのでそのへんの驚きはないんだけど、でもそんなの関係ないぐらい素敵な結末。一応「児童書」というジャンルに属するようですが、大人が読んでも充分いい。人間関係に疲れたり、日々が嫌になったり、すこし心が弱くなってしまった時に読みたい1冊。素敵な素敵な1冊です。にほんブログ村ちなみに今日は編み物はおやすみ。というか、編んでるけどあんまり画像的に変わり映えしないので^^;せせらぎショールは2かせ終了。あともうちょい!
2010.03.27
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実はかなり前に勧められて濫読魔の元同僚に借りていたんだけども。ハードカバーの本なので持ち運びには適さないため、なかなかガッツリ読む機会に恵まれず、ちょこっとずつしか進んでなかったんです。でも先日の雨の週末、なぜか朝5時に目覚めて眠れなくなったので続きを読み始めました。そしたらあれよあれよという間に読了。あぁ面白かった。にほんブログ村↓読んだのはコレ。6時間後に君は死ぬ【内容情報】「六時間後に君は死ぬ」。街で出会った見知らぬ青年に予言された美緒。信じられるのは誰なのか。「運命」を変えることはできるのか。(「BOOK」データベースより)↓ちなみに実写映像にもなってるみたい。DVD出てる。6時間後に君は死ぬ高野和明の小説を、塚本高史と真木よう子の顔合わせで映像化し、WOWOWで放送されたドラマ。自称・予言者の青年から“6時間後に死ぬ”と告げられた女性が、死の恐怖に立ち向かいながら謎に迫るカウントダウン・サスペンス。【ストーリー】「6 時間後に君は死ぬ」。渋谷の街を歩いていた美緒(真木よう子)は、予言者を自称する青年・圭史(塚本高史)にいきなり声をかけられた。初めは、くだらない話、と一蹴した美緒だが、先日、知り合いが殺されるという事件があって以来、自身もストーカー被害にあっていることに思い至り、半信半疑ながら圭史と行動を共にすることに決めた。やがて、美緒の知り合いの刑事・沢木(沢村一樹)の協力によってストーカーの正体が判明し、コトは一件落着かに思えたが、実は、さらに意外な人物が美緒を狙っていた…。【解説】WOWOWが贈る「男たちのサスペンス」第三弾!「13階段」で江戸川乱歩賞を受賞した作家・高野和明原作の傑作サスペンス。間もなく誰かが死ぬ、という定められた未来を果たして変えることができるのか。そもそも人間の生死とはどこかですでに決められているものなのか。にほんブログ村この人の作品は好きで何冊か読んでます。中でも「13階段」はとても面白かった。で、今回の「6時間後に君は死ぬ」の話。これ、短編集なんですよね。実はそれを知らずに読み始めたら、いきなり表題作が終わってしまって「あれ?」ってなってしまった。ミステリとしての部分もなんとも浅くて、拍子抜け。でも、次の話を読み始めてそんな想いは一蹴されました。1話目に出てきた不思議な(誰かの非日常を“ビジョン”として見ることができるという)力を持った自称“預言者”なる登場人物がまた出てる。それでやっと「なるほど、これ、シリーズなんだ~」と納得。それからはぐいぐい引き込まれ、ノンストップで読了。にほんブログ村ちなみに私は、中でも最後の2話がお気に入り。最後から2つめの「ドールハウスのダンサー」はとても切ない話。でも、とても共感できる部分の多い一話。最終話「3時間後に僕は死ぬ」ではまず出だしで見たことのある名前を見つけて思わず「ん?」「これって…」と、ページを繰った。で、「おぉ、あの時のあの人か!」と脳内でつながり、そのまま勢いに任せて読み進むと、後半では随所で息を止めて一気読み。定められた運命は変えることができるのか、最後の最後までハラハラドキドキしっぱなしで、読み終えた時には心臓バクバクでした(笑)とにかく、どの話もある意味“救い”を残して終わってくれてるので読後感はいい。最終話の後のエピローグはその最たるもので、最初は「なくてもいいんじゃね?」って思ったけど、やっぱりこれは必要。すごく適度に余韻を響かせてくれます。あぁ面白かった。ミステリとしては久々の、大満足な1冊でした。にほんブログ村そんなわけであんまり編めてないのです^^;(言い訳)
2010.03.10
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もともとこの作品、ハードカバーで出た時から興味はあったんだけど、なんとなくタイミングを逃していてずっと読めてなかった。でもこのたび文庫化され、映画も始まったので、読むことに。にほんブログ村食堂かたつむり【内容情報】同棲していた恋人にすべてを持ち去られ、恋と同時にあまりに多くのものを失った衝撃から、倫子はさらに声をも失う。山あいのふるさとに戻った倫子は、小さな食堂を始める。それは、一日一組のお客様だけをもてなす、決まったメニューのない食堂だった。巻末に番外編収録。(「BOOK」データベースより)なんだこれ。…って、や、悪い意味じゃなく。まったくもって逆。思わずそう言っちゃうぐらい、すんごくいい話。小川さんの作品は実は読んだことがなかったんだけど、職場の乱読家さんが「面白いよ」って言ってたのを聞いていたのでもともと気にはなってたん。で、読んでみたんだけども。他の作品は未読なのでわからないけど、少なくともこの作品はすごく好きな世界観。「恋人にすべてを持ち去られ」云々っていうくだりはさておき、声を失った倫子がつくる料理、触れ合う人々との距離感、彼女のしなやかで凛とした感性がとても心地好い。対して母親との確執が描かれた部分では胸が痛む。そしてその両方がとてもバランスよく配置されていて、退屈しない。倫子の料理との向き合い方も素敵。「私にとって料理とは祈りそのものだ。」それを体現するかのような儀式的行動も含め、私はとても好感が持てた。ラスト、母からの手紙には号泣。母親ってすごい。もうそれしか言えない。とにかくこの作品は素晴らしい。スリルとかサスペンスとかはないけど、かなりオススメ。ほっこりとあたたかく、それでいて背筋が伸びる作品です。出逢えてよかったと心から思える1冊でした。あぁしあわせ。にほんブログ村んで、観るつもりはなかったけど、映画も観たくなってきた。→映画「食堂かたつむり」公式HP(http://katatsumuri-movie.jp/)ふらりと一人ででも行ってこようかなぁ。にほんブログ村そういやマラソンだのポイント10倍だのあるってのに、すっかり忘れてたよ。さ、ちょっと行ってこよ。
2010.02.27
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今回のこのミス大賞受賞作。ということで興味を持って読んだ1冊。↓とりあえず、このミス本。このミステリーがすごい!(2010年版)年末の風物詩、ミステリー&エンターテインメントランキングの決定版! 『このミス』は定価500円、ワンコインで極上のエンターテインメント情報をお届けします! 「ハズレなし!」と、注目のランキングはもちろん、堺雅人さんのインタビュー、ミステリー好きの著名人によるおススメミステリーなどを掲載しています。また、ベストセラー作家・海堂尊、ドラマ「相棒」のスピンオフ小説でおなじみのハセベバクシンオー、若者に絶大な支持を受ける山下貴光、 3名による『このミス』でしか読めない短編ミステリーも特別掲載。50名以上の人気作家による特別エッセイなど、内容盛りだくさんです。↓ほいで、コッチが今回読んだ本。さよならドビュッシー【内容情報】ピアニストを目指す遥、16歳。両親や祖父、帰国子女の従姉妹などに囲まれた幸福な彼女の人生は、ある日突然終わりを迎える。祖父と従姉妹とともに火事に巻き込まれ、ただ一人生き残ったものの、全身大火傷の大怪我を負ってしまったのだ。それでも彼女は逆境に負けずピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生する─。『このミステリーがすごい!』大賞第8回(2010年)大賞受賞作。(「BOOK」データベースより)うん、面白かった。新人さんってこともあり、全体的に荒削りだし、「ミステリ」と呼ぶにはちょっと足りないかもしれないけど、でも、勢いはあると思う。それに伴い、すごく「熱い」です。「スポ根もの」と評してるレビューもあるみたいだけど、納得。実際、音楽って根性いるもんねぇ。その上この主人公は全身火傷によって障害(?)を持ってしまった。体の自由がきかないピアニスト。それでも自分にはピアノしか残ってないからと血を吐くような想いで踏ん張って、魔法使いのような師に出逢い、その力を借りて様々なものを掴みにゆく。音楽描写がとても詳細で、原曲を知っている人なら更に楽しめると思う。そこまでではなくても、ピアノをちょっと習ったことがある人ならたぶん、半分ぐらいの曲名はわかるんじゃないかな。とにかく、読みながら音楽が聴きたくなる小説は稀。この感覚は私にとってはちょっと面白かったです。(でも逆に、音楽に興味のない人にとってはしんどいかも。)肝心の「ミステリ」部分は、まぁ、ありがちといえばありがち。でも私は単純なので、ラストのオチにはまんまと騙されました。うまくミスリードされちゃった。後半では特に、コンクールに臨む主人公に感情移入しているうちに、その部分の読み込み(というか、推理?)がおろそかになっちゃって、結果、騙される。そのへんはうまいなぁって思った。総合的には、微妙な部分もあるとはいえ、個人的には悪くないと思います。エンターテインメント性はあると思うので、ミステリ部分よりはそっちを楽しむのが正解かもしんない。(それはそれで「このミス大賞」としてどうなのって気はするけど。)でもでも、私は面白かったですよ。細かい部分をつつかず、理屈で考えずに読めば楽しめるはず。にほんブログ村↓ほいで、アラジャケはぐんと進んでこんな感じ。右前身頃、もうすぐ袖ぐりの減らし目に入ります。今度は間違えないようにしなきゃなぁ。にほんブログ村最初に伏せ目あるよ!忘れないで!!(自分メモ)
2010.02.23
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この週末はあるステージに参加しておりましたのでまったく編めておりません。しかも、会場がやや遠方(片道約2時間半)なので、前日夜までリハーサル→当日朝からゲネプロ→本番→打ち上げってことで、いちいち帰ってる暇ない(往復5時間も取ってられん。そんな暇あったら寝るか練習するかしたい)ので2日も家を空けてしまいました。なので(?)、今日は書評。とはいえ、実は単に前日の夜(リハーサル後)に眠れなくなっただけのこと(どうやら本番を数時間後に控えて、それなりに緊張していたらしい・爆)。つか、ホンマは早く寝るのがイチバンいいし、もし眠れなかったら編もうと思ってニットアウト用の三角ショールのセットを一式持ってたんだけども、なぜかこの夜は活字を読みたくなった。↓で、宿泊場所の近くで薄い本を買いました。つきのふね【内容情報】あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。進路や万引きグループとの確執に悩む孤独な日々で、唯一の心の拠り所だった智さんも、静かに精神を病んでいき―。近所を騒がせる放火事件と級友の売春疑惑。先の見えない青春の闇の中を、一筋の光を求めて疾走する少女を描く、奇跡のような傑作長編。 (「BOOK」データベースより)…という経緯で手元にやってきた1冊ではありますが、思いがけず(と言っては失礼ですが)これはなんとも素敵なものがたりでした。私、読むスピードはあまり速くないんですが、あろうことか一晩で一気読み。一応、YA(ヤングアダルト)ものというジャンルに属するようなので軽めなんですが、それでも(いや、だからこそ、かな?)まっすぐに届くものがありまして。私はとても気に入りました。難しいことばを使わず、それでいてきらりと光る何かを含有したような。森絵都さんの作品にはそういうのが多いような気がします(って言っても、私が読んだ彼女の本は前回の「DIVE!!」以来まだ3作目だけど)。でも本当、この本はとてもいい。思春期特有の未熟さ、きらめき、勢い。人の心の脆さや、いのちの強さ、尊さ。人と人とのつながりに見え隠れする葛藤、信頼、友情、などなど。大切なものがいっぱい詰まった1冊やと思う。もっともっと若い時に出会いたかったような気もするけど、でもむしろ今だからこそこの気持ちなのかなって気もする。どちらにしても、出逢えてよかったと心から思える1冊。ラストは爽やかで読後感もいいし、個人的にはとってもオススメです。にほんブログ村んで。冒頭の「ステージ」の件を少し。実は私、小学生の頃から吹奏楽に触れておりまして。(ちなみにパートは打楽器)大学時代+αごろまで(大学を卒業してからは一般バンドでお手伝い程度)演奏活動をしていたのですが、ここ10年ぐらいはまったくご無沙汰でして。毎年、うちの大学の吹奏楽部は春に定期演奏会を開催しているのですが、今回はちょっと節目の回ということで歴代OBもたくさん集まるらしく、それなら…と、思い切って出演を決めました。(とは言っても参加するのはほんの数曲)が、決めたのが本番の1ヶ月半前。そこから怒涛の練習。とはいえ、「(練習を)1日休むと3日戻る」と言われる中、ブランク約10年って半端ない。思うように手も動かず、練習のための時間も場所もなかなかとれず、(自分の今できることは全開でやったものの)現役時代のイメージもあり、「もっとできるはずやのに!」「なんでこんなこともできへんねん!」とジレンマいっぱいのまま本番を迎えました。…という人がOBさんの中には私以外にも含まれているので、出来栄えとかはぶっちゃけ微妙やったかもしれんけど、でも、参加できてよかった。(ま、ブランク10年の割には意外とできたって部分もあるにはあるけど^^;)何より、たくさんの仲間に再会できたことはまさにタカラモノ。仕事を含め、ただでさえ普段から忙しい日々の隙間を縫っての活動はさすがに疲れたけど、心地好い疲れです。ま、そんな事情で気持ち的にも時間的にも体力的にも余裕がなかったので最近は編み編みも思うようにできてなかったんですが、ちょっと休んだらまた再開しますよん。にほんブログ村<以下、私信>今回ご一緒できた方々へ。まずはこんな私に声をかけてくれてありがとう。たまたまタイミングが合っただけかもしれないけど、本当にすごく嬉しかったです。ブランクありすぎるから演奏ではたぶん迷惑もいっぱいかけたけど、でもすごく楽しくて懐かしくて、とにかくなにもかもが痛いほどにいとしくて、夢のような時間でした。また機会があればぜひ。今度はもっと早くに決めて、もっとガッツリ練習したうえで臨みたいと思います。お疲れ様でした。本当に本当にありがとう。にほんブログ村んで、もっと浸っていたかったって気持ちもあるけど、でもやっぱり終わってちょっとほっとした(笑)。
2010.02.08
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昨日は諸々の事情により編めておりません。ので、今日は書評。とは言っても、ちょっと前に読み終わった本ですが。パレード【内容情報】都内の2LDKマンションに暮らは男女四人の若者達。「上辺だけの付き合い?私にはそれくらいが丁度いい」。それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、“本当の自分”を装うことで優しく怠惰に続く共同生活。そこに男娼をするサトルが加わり、徐々に小さな波紋が広がり始め…。発売直後から各紙誌の絶賛を浴びた、第15回山本周五郎賞受賞作。 (「BOOK」データベースより)実は初(?)の吉田修一。ちなみに、過去には「パーク・ライフ」を読みかけて挫折してます。それなのに今回なぜまたこの人の作品に手を出したかと言いますと。この作品、今度、映画になるらしくてですね。(→「パレード」公式HPへ)キャスト見ておりましたらば、なんとなんと、昨年末にガッツリはまった「風強」のお二人が共演してるではないの。ってことで興味を持ちまして。(単純)手に取って、本の裏表紙に書かれてるあらすじを読むと、なんだかちょっと面白そうだったので読み始めました。で、感想。うん。えーっと、、、微妙?(誰に聞いてる)あ、いや、スミマセン。でもぶっちゃけ、ちょっと難しい作品かも。ラストはね、衝撃なんですよ。でも、そこに至るまでが長い。なので、何度か脱落しそうになりました。最初からずっと、なんとも淡々と進んでいってて、ちょっと退屈かなーと思いかけた頃にある事件が顔を覗かせるので「やっと(物語が)動き出すか?!」と期待したんですけども。それはその時にちらっと書かれただけで、放ったらかし。んでまた日常の描写に戻っていくので、「え、あの事件は?」ってずっと引っかかったまま。結局、最後の最後、残りページ2ミリぐらいになった時点でやっと真相が解明されまして。たしかにそれは衝撃的でした。判明した一瞬、ものすごく心拍数が上がりました。でも、その事実を固める周囲の要素がイマイチ語られないまま、するっと読了しちゃったもんだから、消化不良。うーん、、、ま、私が読み逃してるだけかもしれんのでなんとも言えないんですが、ちょっとクライマックスがお粗末かなぁ。ただ、もしかしたら、私が気付くよりももっと前から不協和音は鳴っていたのかもしれないと思うと気になる。なので現在、ちょっと再読したいキモチ。あと、これを映画ではどう描いてゆくのかは気になるところ。とりあえず、公開されたら観ますよん。にほんブログ村↓ちなみに今はコレ読んでます。さよならドビュッシーさよならドビュッシーこのミス第8回大賞受賞作ということで読み始めたのだけど、今のとこ面白い。早く続きが読みたいです。にほんブログ村ちなみに、衝撃の後ろ身頃はおそらく巷の予想どおりになりそうな雲行き。(そこ!「やっぱりね」とか言わない!・笑)そして前身頃は、あれだけ言って注意していたにも関わらず、ボタン穴の場所を間違えて痛恨の編み直し。波乱万丈のアラジャケ、まだまだ続きます(泣)。にほんブログ村
2010.02.03
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久々の書評。(って、ここんとこ毎回言ってる気がする。)↓読んだのはコチラ。Dive!!(上) Dive!!(下)【内容情報】●上巻●高さ10メートルの飛込み台から時速60キロでダイブして、わずか1.4秒の空中演技の正確さと美しさを競う飛込み競技。その一瞬に魅了された少年たちの通う弱小ダイビングクラブ存続の条件は、なんとオリンピック出場だった!女コーチのやり方に戸惑い反発しながらも、今、平凡な少年のすべてをかけた、青春の熱い戦いが始まる―。大人たちのおしつけを越えて、自分らしくあるために、飛べ。 ●下巻●密室で決定されたオリンピック代表選考に納得のいかない要一は、せっかくの内定を蹴って、正々堂々と知季と飛沫に戦いを挑む。親友が一番のライバル。複雑な思いを胸に抱き、ついに迎える最終選考。鮮やかな個性がぶつかりあう中、思いもかけない事件が発生する。デッドヒートが繰り広げられる決戦の行方は?!友情、信頼、そして勇気。大切なものがすべてつまった青春文学の金子塔、ここに完結。 (「BOOK」データベースより)いやぁ、すんごく面白かった!「飛込み」の話なんですが、まったく縁のなかった私でも、すんなりとその世界に入り込むことができました。登場人物も魅力的で、ものすごくキャラが立っていて、素敵。それぞれのキャラの視点に立って書かれていて、割とくるくる語り手が変わるんですが、それでもちゃんとついていけました。つか、「ついていく」どころじゃなく、どっぷりと共感。本当に素敵なものがたりです。こないだどっぷり浸かった「風が強く吹いている」に匹敵する爽快っぷり。まぁ、言ってみれば「王道の青春ストーリー」なんやけど、でも、わかっていても引き込まれる。下巻の後半、オリンピック代表を決める最終選考会の部分は、文字通り、一気読み。気づけば息してなかった、なんてことも多々。本当、緊張感漂う描写に脱帽です。この著者の作品は過去に「風に舞いあがるビニールシート」という短編集を読んでいて、とても好感を持っていたんですが。今回、それを不動のものとしました。いやぁ、ほんとに面白かった。大満足です。にほんブログ村↓そういやこの作品、映画にもなってます。ダイブ!! 特別版(初回生産限定)あ、大好きな林遣都くんが出てる。やば、見たくなってきた。(てか、なんかもうすでに買い物かごに入ってるし。爆)↓文中でさらっと書いたコレは、4月にDVD化。現在、予約受付ちう。2010年04月09日発売風が強く吹いている スペシャルエディション【初回限定生産】2010年04月09日発売風が強く吹いている Blu-ray Disc↓んで、次はコレを読む予定。パレードよく考えたらこれも映画化が決まってる。しかも↑の「風強」と同じ、小出恵介くんと林遣都くんが共演。映画も観たいけど、まずは原作から。楽しみ~^m^にほんブログ村
2010.01.18
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編んでばかりの日々を送っているうちに時間は過ぎ、久々の書評。↓こっちは再読。まほろ駅前多田便利軒まほろ駅前多田便利軒【内容情報】まほろ市は東京のはずれに位置する都南西部最大の町。駅前で便利屋を営む多田啓介のもとに高校時代の同級生・行天春彦がころがりこんだ。ペットあずかりに塾の送迎、納屋の整理etc.―ありふれた依頼のはずがこのコンビにかかると何故かきな臭い状況に。多田・行天の魅力全開の第135回直木賞受賞作。(「BOOK」データベースより)↓なぜなら、これを読みたかったから。(こっちは↑の続編なのです)まほろ駅前番外地【内容情報】第135回直木賞受賞作『まほろ駅前多田便利軒』での愉快な奴らが帰ってきた。多田・行天の物語とともに、星、曽根田のばあちゃん、由良、岡老人の細君が主人公となるスピンアウトストーリーを収録。(「BOOK」データベースより)この2冊、続編だか番外編だかの関係だってのは知ってたんやけど、最初は「番外地」だけ単独で読むつもりしてました。でも、やっぱり「便利軒」のほうから読み直したほうがよさそうだったので、素直な私(!?)は2冊続けて読みました。で、通して読んだ感想はというと。とりあえず、やっぱり両方続けて読んで正解。本編のほうのあれやこれやが頭に入ってないと、イマイチ楽しみ切れないと思います。「便利軒」のほうは、相変わらず巧い。再読であるにもかかわらず、やっぱり同じとこで泣いたり笑ったり。まぁこれは私のツボなんだろうけど。で、ラストの締め方が私は好きなのね。なんだかすごくほんわかとしてるっていうか、さわやかというか。一言でいうならば、「読後感がいい」。「番外地」のほうは、「便利軒」に比べると細切れな内容。これは…短編集になるのかな?うん、ある意味、「連作短編」と呼んでもいいかもしれないな。こっちのほうは、主人公の2人以外の登場人物が主役。でも独特の空気感は健在。この作品(というかシリーズ)、やっぱり好きです。ただ、こっちは締め方が(個人的には)イマイチ。まだ続くんかなぁ?って思わされる終わり方で、賛否両論あっていいとは思うけど、私は消化不良。とはいえ、それ以外は概ね好き。中でも星くんが好き。読みながら、「なぁんだ、ほんとはすごくイイヤツじゃん」って感じで含み笑いしてしまう感じ。あと、岡夫妻の就寝間際のくだりがとてもいい。淡々としているようでほんのりとあたたかい感じ、しをんさんはすごくうまいなぁと思う。にほんブログ村この人はいつも、特別な言葉を使うわけではない。むしろ、有り触れた言葉をつなげて、字面としてはとてもわかりやすい。それなのに、ほんのりといいにおいがするような、ちょっと特別な空気を行間に隠すことで、他と一線を画してる気がする。これは私だけかもしれないけど、文章としてはかなりさらりと読み進められるのに、それでいてどこかでこころがくっと引っかかって、そこから感情の扉をこじ開けられるみたいな感じがする。いつもやられっぱなしです。そういや同い年なんだよなぁ、この人。なんかちょっと悔しいぞ。とはいえ、大好きです。これからも素敵な作品をいっぱいいっぱい書いて、たくさん刺激してほしいです。にほんブログ村↓そして今はこれを読んでます。Dive!!(上)Dive!!(下)まだ上巻の前半やけど、面白い。
2009.12.21
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ちょっと前から読んでたんですが、連休最終日の今日、残り半分を一気読み。あぁぁ~、満足。風が強く吹いている走れ、「速く」ではなく「強く」。目指すは箱根駅伝。直木賞受賞第一作!君だったのか、俺が探していたのは。走るために生まれながら、走ることから見放されかけていた清瀬と蔵原。二人は無謀にも陸上とは無縁だった八人と「箱根」に挑む。走ることの意味と真の“強さ”を求めて……。新直木賞作家の本領全開、超ストレートな大型青春小説。いやぁ~、、、、これはすごい。本当にすごい小説です。私にしては珍しく、小説よりも先に映画を観てしまっていたので、ちょっとどうかなぁ~と思ってたんですが、なんのなんの。これに関してはまったく問題ナシでした。むしろ逆に、登場人物が結構多いので、映画で先にキャストがアタマに入っていたのが功を奏したかも。そう考えると、あの映画、すごく良くできてる。割と原作に忠実だし。どちらが先でも違和感なく入れそう。ちなみに、小説は、とても長いです。文庫でもかなり分厚いです。でも、長さはまったくといっていいほど感じなかった。ものすごいチカラで作品の中に引き込まれていきました。走りたくても走れなかった2人と、走ることに無縁だった8人が、「箱根」へと向かう日々のものがたり。…って書くと簡単っぽいけど、執念と、情熱と、信頼があふれてる。それぞれの想いがとても丁寧に描かれていて、共感を誘います。そしてそのたびに涙涙。涙なしでは読めません。読み終ったばっかりやけど、また読みたいなぁ。何度でも読みたいかも。これはかなりオススメです。にほんブログ村やば!道化師姉さん、3000円以上で送料無料セールちうだったの忘れてた!24日の朝10時までって…もうすぐじゃん!!!(*ノ≧∀)ノ急げ~っ↓これ欲しい。スーパータイムセール!!毛糸ピエロ♪ 【605-76】ソフト・ベビーアルパカ並太(グレー)[ベビ...スーパータイムセール!!毛糸ピエロ♪ 【605-77】ソフト・ベビーアルパカ並太(チャコールグレ...↓これかわいい。スーパータイムセール!!毛糸ピエロ♪ 【315-08】シャインメリノ(ターコイズグリーン)[毛95...スーパータイムセール!!毛糸ピエロ♪ 【315-09】シャインメリノ(ガーネット)[毛95%ラメ(ポ...スーパータイムセール!!毛糸ピエロ♪ 【315-05】シャインメリノ(カラシ)[毛95%ラメ(ポリエ...↓このへんも気になる。。スーパータイムセール!毛糸ピエロ♪ 【303-228】ファインメリノ(スモークブラウン)[毛100%...スーパータイムセール!毛糸ピエロ♪ 【303-224】ファインメリノ(オリーブグリーン)[毛100%...スーパータイムセール!毛糸ピエロ♪ 【303-225】ファインメリノ(ナイルグリーン)[毛100% ...やばい。考えすぎで吐きそう(爆)にほんブログ村
2009.11.23
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全然最近じゃないんですけども。↓コレ、読みました。ごはんにしよう。【内容情報】映画の料理はこんなにおいしい。フードスタイリスト飯島奈美*榑谷孝子の究極レシピ全50品。【目次】食卓を囲む/もりもり食べる/お祝いする/料理を作ってもらう/映画「南極料理人」の思い出ごはん/裏メニューも食べていきますか?(「BOOK」データベースより)や、「読んだ」ってのはちょっと語弊があるか。正しくは「見た」かな。ある意味レシピ本なんで。ちょっと前に映画「南極料理人」を観たんですが、それのごはん本。「かもめ食堂」なんかも手がけたフードスタイリスト飯島奈美さんも関わってらっさいます。とにかく美味しそう。それに、なんとも魅力的。んで、映画の雰囲気もほんわかと漂ってくる感じで、ぼんやり眺めているだけでもほっこりします。内容はモチロン映画とつながっていて、映画を観た人なら必ず「むふふ(* ̄m ̄)」ってなると思う。それぞれのレシピが紹介されてるんですが、映画のシーンとともに蘇る構成になってる。その料理が出てきたシーンの写真と、ポイントになるセリフがページに組み込まれてます。私はあの映画自体がとても気に入ったので、見ていてとても楽しい1冊でした。にほんブログ村しかしこの映画、早くDVDにならんかなぁ~。私、DVDとか滅多に欲しいと思わないんですが、これはなんだか手元に置いて何度でも観たい。でもまだ上映してるとこもあるのでもうちょっと先かな。どなたか、DVD化の情報を入手されましたら教えてくださいね~。にほんブログ村↓ついでにコレも気になってきた。(単純)かもめ食堂★特典ディスク付DVD2枚組!かもめ食堂(特典ディスク付DVD2枚組)
2009.11.19
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久々に本を読んだ。ってか、毎日なんだかんだと活字は読んでるけど、まとまった1冊という観点で考えると、あまりに進みが遅すぎて、なかなかここに書けない^^;で、最近好きな堺雅人さん。↓エッセイが出てたので読みました。文・堺雅人つか、いわゆる「タレント本」なんてもんのすごく久しぶりに読んだけども。なんかもう、ほんわかと心地好い本です。でも、ただふわふわと軽いだけじゃなく、どこかちょっと小難しくて、なんだか深い部分もあって、ほんわかの中にもちょっと立ち止まって考えさせられるような咀嚼(そしゃく)ポイントがあったりして。それだけじゃなく、彼の演技にも通じるような、なんともいえない「間」があったり、不思議な空気が漂っていたり。「行間」を堪能することではじめて「読んだ」と言えるかもしれない。サラリと読み進みながらも、「おっ?」って引っかかる言葉や文章に出逢えたりもして、嬉しくなる。中でも私が印象的だったのは「『そこにいて、なにもしない』は『なにかする』とおなじくらい大切なことだ。『そこにいる』ということが、ただそれだけで感動的なことだってある」というフレーズ。ちょっと疲れていて自信がなくなってた時だったのもあって、読んだ瞬間、泣きそうになっちゃいました。そっか、そうだよね、って。そして同時に、なんでもない言葉をつないでこんなやさしい色ややわらかな空気を生み出すことのできる堺さんを、改めて好きだなぁと実感した瞬間でした^m^文章としてはね、とても読みやすいです。ひらがなやカタカナも割と多くて、するすると進みます。けど、内容はけっこう幅広かったり深かったりで、油断してると「ん?」ってなったりもします。いろんな意味でバランスのいい1冊やと思う。で、こういうエッセイ(特にタレント本)って、一回読んだらそれでおしまい、みたいなものがほとんどなんやけど、コレに関しては何度でも読みたいと思わせられる。なんだかわかんないけど、すごく不思議な魅力が溢れてます。この1冊を通して、堺さんの人柄がにじみ出ているかのような。って言っても、お会いしたことなんてないから人柄なんてわかんないけど。でも少なくとも、私がイメージしてる堺さんとはブレがないので安心して読めました。ほんわかとしていて穏やかで、まっすぐでちょっと天然な感じ。総称して「可愛い」と表現してみたくなるみたいな。なんとも素敵な。読みながら、随所で頬がほころんだり、ニヤリとしてみたり、噴き出したり。とてもキモチのいい1冊です。堺さんを嫌いでない人なら楽しめると思う。あと、1ページ半ぐらいでひとつの話が完結してるので、どこから読んでも大丈夫。そういうポイントも含め、軽く読むのにはオススメです。文・堺雅人にほんブログ村そうそう。買った人は読んだ後に是非カバーはずしてみて。きっと笑顔になれるから。こんな仕掛けにも思わずニヤリ。ふふっ(*^m^)
2009.11.11
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最近どっぷりはまってる木下半太。その代表作、悪夢シリーズの最新刊が出ました^^悪夢のギャンブルマンション【内容情報】一度入ったら、勝つまでここから出られない…。勝負に勝って鍵を貰わないと移動できないように、建物がまるごと改造された裏カジノ。オカマ・ママのマッキーら四人は、恐喝に悩む仲間のためにここを訪れた。各部屋で待ち受ける、薄気味悪いディーラーと、巧妙な罠。借金は増える一方だし、死体にまで遭遇。ここから無傷で脱出できるのか。 (「BOOK」データベースより)前作「奈落のエレベーター」に引き続き、マッキーとジェニファーが大活躍。のっけからピンチやし、意外な過去を持つ登場人物、意外な黒幕、意外な展開に、ドキドキしながら飽きる間もなくさくっと読了。いやぁ、面白かった。しかしこの人の作品って、毎回思うんやけど、ホンマにすぐ読めるなぁ。だいたい私で3時間弱ぐらい。(読書スピードは早いほうではないです)文字量が少ないのか?そんなこともなさそうなんやけどなぁ。でもまぁ、とにかく、このシリーズは面白い。ドタバタ、はちゃめちゃで、あっという間に読み終えます。考えるようなことは無いので、人によっては物足りないと感じるかもしれないけど、エンターテインメント小説としては抜群。ありえない設定なので、「共感する」とか「感動する」とかとはちょっと違うけど、ジェットコースターに乗った時みたいに、「あー面白かった~」と、純粋に言える。それにしてもこのシリーズってまだまだ続くんでしょうか?続きそうやなぁ^m^*悪夢シリーズ諸々。刊行順とはちょっと違うけど、この順に読むのがオススメ♪↓この2冊は続けて一気に読むのがいいと思う。ホンマにつながってるから。悪夢のエレベーター奈落のエレベーター↓他の悪夢シリーズとはちょっと毛色が違うかな?でも私はこれが一番好き。悪夢の観覧車↓ものすごい頭脳戦の応酬。最後の最後まで「やられた!」って感じになります。悪夢のドライブ↓これはエレベーター2部作の後に読んでもいいかも。観覧車とドライブにはつながってないです。悪夢のギャンブルマンション
2009.10.24
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日々に追われまくって、書けないまま放置してましたが。実はちょっと前に読了してました。三浦しをん「むかしのはなし」【内容情報】三カ月後に隕石がぶつかって地球が滅亡し、抽選で選ばれた人だけが脱出ロケットに乗れると決まったとき、人はヤケになって暴行や殺人に走るだろうか。それともモモちゃんのように「死ぬことは、生まれたときから決まってたじゃないか」と諦観できるだろうか。今「昔話」が生まれるとしたら、をテーマに直木賞作家が描く衝撃の本格小説集。 【目次】ラブレス/ロケットの思い出/ディスタンス/入江は緑/たどりつくまで/花/懐かしき川べりの町の物語せよ(「BOOK」データベースより)ふむ。。。これはなんというか、ちょっと不思議な話。ちょっぴりファンタジーのようでもあり。でも、やっぱり身近な話でもあり。いくつかの短編でできてるんやけど、1冊を通しての共通した「設定」もあり、それぞれの話同士はそこはかとなく繋がってる。言うなれば、「ゆるめの連作短編集」。ただ、隕石云々っていう設定は私はどうしても伊坂氏の「終末のフール」を思い出すので、ふたつの物語が微妙に自分のなかでごっちゃになってしまった。あと、内容は別として、ずっと淡々とした語り口で進んでいくので、雰囲気としては、(いくらも読んでないけど、既読の三浦作品の中では)「月魚」が似てるかな。三浦しをんの作品は、いつもなんだかちょっぴり不思議。「月魚」を読んだ時にも思ったんやけど、特別な言葉を使っていないのに、なぜか格別に美しい。それでいて、内容はさほど自分から遠くもなく。ほどよい距離感でそこにたたずんでいる、とでもいうような。う~ん、これは表現がちょっと難しい。でも、いい話でした。中でも、「たどりつくまで」は最後のオチが素敵だった。最後の「懐かしき川べりの町の物語せよ」もよかった。たぶんこの本は、読んだ人によっていろんな感想を持つ作品のような気がします。いい意味で主体性が無いというか…見るたびに表情を変える水面のようなというか…う~ん。表現力ないなぁ、私^^;とりあえず、気になる方はご一読くださいませ(←まる投げ・爆)*↓次はこれ。雫井脩介「殺気!」現段階でのレビューはあまり良くないみたいやけど、大好きな雫井さんの久々の新刊なので、一応期待しつつ。しかしハードカバーは相変わらず持ち運びがしんどいわ~><
2009.10.07
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実は結構前に読み終わっててんけど。なかなかゆっくりと感想をまとめる時間がとれず、今日になってしまった。読友のmayuさんもまんまとハマった(爆)木下半太の悪夢シリーズも、いよいよ最終巻。これまでの3冊もあっちゅー間に読み終わったけど、例に漏れず、これまたするりと読了。悪夢のドライブ【内容情報】売れない芸人・クマは、運び屋のバイトを始める。新たな依頼は、ピンクのキャデラックを高級ホテルまで届けること。ただ運転すればいいはずだったのに、途中で命を狙われたり、謎の家出女子高生に追われたり、トランクから巨大な麻袋が出てきたり…。相次ぐ騙しあいと、怒涛のどんでん返しで、驚愕の結末へ!一気読み必至の傑作サスペンス。(「BOOK」データベースより)う~ん、これも面白かった。しかしまぁ、よくこれだけのことを思いつくなぁって関心する内容。今回はペテン師(詐欺師とは違うらしい)を目指す女の子が出てくるんやけど、これがまたものすごく頭いい。しかも彼女だけでなく、どいつもこいつもいたるところで騙し合い。最後の最後まで、知恵比べの根比べ。あと、前2作(「悪夢のエレベーター」&「悪夢の観覧車」)に出てくる登場人物が再登場。(なので、これに関しては前作を読んでからのほうが楽しめると思う。)「おっ、こんなとこにあの作品のこんな人が!」と、そんなこんなも全部ひっくるめて面白かった。んで、ラストはこれまた衝撃的。この作品、終始騙し合いに次ぐ騙し合いの連続なんやけど、読み終わるまで(読み終わっても?)「さて結局のところ、真の勝者は誰でしょう?」そんな感じ。相変わらずのハチャメチャな展開も含め、個人的には大満足の1冊です。ちなみに蛇足ですが、敢えて選ぶなら、私は「悪夢の観覧車」がいちばん好きかも。あの「つながる感」がタマラン。あと、個人的には「悪夢のエレベーター」→「奈落のエレベーター」→「悪夢の観覧車」→「悪夢のドライブ」の順番で読むことをオススメします。それにしても…いやぁ~、ホンマに面白かった。木下半太、今後要注目の一人に昇格です。(←えらそう)*↓すっごく読みやすいので、1日1冊でも軽くいけますよ。(たぶん。)悪夢のエレベーター奈落のエレベーター悪夢の観覧車悪夢のドライブ
2009.09.20
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ここんとこ連続して読んでます。木下半太。すごく勢いがあって面白い。ほいで、今回は↓コレ読み終わりました。悪夢の観覧車【内容情報】ゴールデンウィークの行楽地で、手品が趣味のチンピラ・大二郎が、大観覧車をジャックした。スイッチひとつで、観覧車を爆破するという。目的は、ワケありの美人医師・ニーナの身代金6億円。警察に声明文まで発表した、白昼堂々の公開誘拐だ。死角ゼロの観覧車上で、そんな大金の受け渡しは成功するのか!?謎が謎を呼ぶ、傑作サスペンス。 (「BOOK」データベースより)これ、すごい。めちゃくちゃ面白かった。以前、伊坂幸太郎の「ラッシュライフ」を読んだ時に感じた「繋がっていく感じ」を久々に味わいました。(ちなみに「ラッシュライフ」の感想はコチラで熱く語っております。)最初は単純な誘拐の話やと思ってたのに、登場人物の回想とともにどんどんどんどん掘り下げられ、ちいさなパーツがかちりかちりとはまっていく。なんて壮大な誘拐劇。特に最後に明かされた最大の仕掛けにはびっくりしました。いやぁもうタマラン。ちなみに、これはこないだのエレベーター2部作「悪夢のエレベーター」、「奈落のエレベーター」と違って続き物ではないので、単独で読んでもOKです。いやぁ、面白かった。大満足です。↓さて、勢いが落ちないうちにこっちも読みましょう。(てか、もう読み始めてる)悪夢のドライブそれはそうと、やること、やりたいことが多すぎで、自分が足りません。コピーロボット欲しいなぁ。(真剣)
2009.09.07
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こないだ読んでかなり面白かった悪夢のエレベーターの続編。悪夢シリーズとはまた違って、純粋に悪夢のエレベーターの続きの話。なので、悪夢のエレベーターのほう読んでないとわかりません。奈落のエレベーター【内容情報】やっと抜け出した悪夢のマンションに再び引き戻された三郎。彼の前に、殺意に満ちた少女が立ちはだかる。一方、事情を知らずに車で待つマッキーの元に、男の影が…。薬で眠らされたマッキーが目を覚ますと、大切な仲間が惨い姿で転がっていた。自分たちは最初からハメられていた?『悪夢のエレベーター』のその後。怒涛&衝撃のラスト。 (「BOOK」データベースより)いやぁ~、これも面白かった。悪夢のエレベーターもさくっと1日で読んじゃったけど、こっちも1日。てか、同じように移動の往復で読みきりました。すごい勢いで読み進め、存分にドキドキしました。うん、満足。とりあえず、マッキーかっこよすぎ。ジェニファーかっこよすぎ。話の展開もキャラクターもすごいはちゃめちゃっぷりで、まさに「コメディサスペンス」。難しいこと何も考えなくても軽く読めて面白い。この人の本、息抜きにちょうどいいかも。*↓で、今はこれ読んでます。悪夢の観覧車こっちもすでに半分越えてるので、今日中に終わるかも。面白い。木下半太って読んだことなかったけど、読んだらハマルね。
2009.09.04
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予約までして買ったのって久々かも。ってことで、伊坂幸太郎の新刊です。あるキング天才が同時代、同空間に存在する時、周りの人間に何をもたらすのか?野球選手になるべく運命づけられたある天才の物語。山田王求はプロ野球仙醍キングスの熱烈ファンの両親のもとで、生まれた時から野球選手になるべく育てられ、とてつもない才能と力が備わった凄い選手になった。王求の生まれる瞬間から、幼児期、少年期、青年期のそれぞれのストーリーが、王求の周囲の者によって語られる。わくわくしつつ、ちょっぴり痛い、とっておきの物語。『本とも』好評連載に大幅加筆を加えた、今最も注目される作家の最新作!! (楽天ブックス紹介文より)入手して約2日で読破。するりと読ませる力量はさすが伊坂さんと言うべきか。とはいえ、いつもの伊坂節はあまり出ません。そのへんちょっと寂しい。でも、だからと言って面白くないってわけでもなく。読み終えた今、ちょっと複雑な気持ち。内容は、まさにタイトルの通り。ある「王」が生まれ、育ち、次につながるまで。そしてそれを周囲の人の目線で語っている。でも、その手法がこの作品を淡々とした印象にしている感は否めないかなぁ。物語としての起伏は感じられるものの、感情の移入がしにくかった。総じて言うならば、個人的には「要・再読」かな。一回読んだぐらいではわからないものなのかも。そんな感じがしました。いつもの「驚異的な伏線の回収」もないし、でもだからといって「面白くない」と結論付けるのも早計な気がするし、、、なので、再読で味が出る作品って感じ。また時間を置いて再読します。*ちょっと頭使ったので、次はとりあえずコレを。奈落のエレベーターこないだ読んで面白かった悪夢のエレベーターのその後の話。らしい。これはあまり何も考えなくても楽しめそうなので、そのへん安心。さ、早速いまから読むのだ(*´艸`*)←はよ寝なさい
2009.08.30
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いやぁ、久々の書評ですわ。つか、久々にちゃんと集中して1冊読みきった。とはいえ、本(というか、活字)自体は毎日欠かさずそれなりに読んでるんですよ。でもまぁ、「書評」として書けるような読み方はあんまりしてなくて。なので、「読了!」と言える達成感も久々です。↓つーことで、久々に読んだ作品はコチラ。木下半太「悪夢のエレベーター」【内容情報】後頭部の強烈な痛みで目を覚ますと、緊急停止したエレベーターに、ヤクザ、オカマ、自殺願望の女と閉じ込められていた。浮気相手の部屋から出てきたばかりなのに大ピンチ!?しかも、三人には犯罪歴があることまで発覚。精神的に追い詰められた密室で、ついに事件が起こる。意外な黒幕は誰だ?笑いと恐怖に満ちた傑作コメディサスペンス。(「BOOK」データベースより) 実は木下半太は初。きっかけは、店頭でこの本(実物)を見かけて、裏のあらすじ読んで気になってて。本当は古本で出るのを待とうと思ってたんですが、結局ガマンできず、ちょっと移動時間の長い日に買ったんです。で。あまりの面白さと読みやすさに、その日の移動1往復(たぶん3時間弱ぐらいかな?)で読みきってしまいました。出かける直前に買ってホクホクで電車に乗って出かけたってのに、帰宅する頃にはあっけなく読み終わってたという。。あーあ。こんな時に限って読むのはえーよ、自分。でも、すごく面白かった。展開は、ひとことで言うとドタバタ。キャラクターも立ってていい感じ。なので、何も考えなくても楽しめる。「どうなる?どうなる?!」と、ドキドキしながら読み進め、自分で読んだ展開を裏切られ、「あー、そうきたか!」「え、まじで?」と、もうそれだけで楽しい。物語の収束の仕方としては救いがないんだけど、でもこれはこれでアリみたいな気持ちになる。読後感は悪くないです。軽くて楽しい息抜きにピッタリの1冊です。あと、舞台が関西なので、特に関西圏にお住まいの方、土地勘のある方はより楽しめるかと。ぜひおためしあれ。*ちなみにこれ、「悪夢」シリーズで今のところ3作目まで出てます。(てか、3冊で完結なのかな?)続きを読むのも楽しみ。(もう買って積んでるので、あとは時間を見つけて読むだけ。)よし、久々にガッツリ読むかぁ~。↓悪夢シリーズ第2弾。悪夢の観覧車↓悪夢シリーズ第3弾。悪夢のドライブ
2009.08.17
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久々の書評。ってか、本は常に読んでるんですが。書けてないだけ。書評あと何冊かたまってる。また時間見つけて書きますmmってなわけで、とりあえず、今ドラマでもやってるコレ。臨場【内容情報】臨場―警察組織では、事件現場に臨み、初動捜査に当たることをいう。捜査一課調査官・倉石義男は死者からのメッセージを的確に掴み取る。誰もが自殺や病死と疑わない案件を殺人と見破り、また、殺人の見立てを「事件性なし」と覆してきた。人呼んで『終身検死官』―。組織に与せず、己の道を貫く男の生き様を、ストイックに描いた傑作警察小説集。全八編。 (「BOOK」データベースより)この人、やっぱり短編のほうが面白いかも。(@私見)長編もいくつも読んでるけど、短編のほうが「面白かったぁ~!」って感じることが多いように思います。特に今回は、私にしては珍しくドラマと平行して読んでいたので、イメージがかぶったりかぶらなかったり、そのへんも楽しみながらでした。とりあえず、「倉石」がかっこいいね。キャラが立ってるなぁ。ドラマも嫌いではなく毎週ちゃんと見てるのですが、本は本でちゃんと面白い。それぞれのキャラは設定が微妙に違うので、別物だと思いながら読んでました。内容は、至ってシンプル。派手なものはひとつもなく、割としっかり、かっちり。でも、物語の「軸」とも言える「倉石」の設定がやや破天荒なので、そこが「遊び」になっててちょうどいい重さ。これはなかなかです。ちなみに私、これを読んでる時に新技を編み出しました。…「技」って言ってもいいものかどうかはわかりませんが。実はワタクシ、本を読みながら編み物ができる!ようになったのです。や、前々から思っていたのですよ。テレビ見ながらとかでも大丈夫だったんで。単純な編み方のものであれば、いけんじゃね?って。で、ためしにやってみましたらば。できたじゃないの。\(^▽^)/ヤター…というわけで、「最近、編み物ばっかりしてて本が読めてへんねん><」という悩みは解決できたわけです。スバラシイ。ま、どちらのスピードも単独の時よりは少しずつ落ちるという欠点はありますが、両方とも進められるというのはかなり(私にとっては)魅力的。そんなわけで、しばらくは両刀使い(違)でいきます。あ、そこ!「無駄な技」とか言わないように。
2009.05.27
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ちょっと前の話やけど、ここでリンクさせてもらってる“本友(読書友達)”のひとり、mayuさんとデートしてきまして。それまではちょっと編みラーな日々を送ってたんやけど、読書話に花を咲かせてかなり楽しかったので、読書熱もまた上がってきて。←単純ずっと停滞していた本の残り(半分ぐらい)を一気読みして、やっと片付けることができました。伊坂幸太郎「グラスホッパー」【内容情報】「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに―「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説。 (「BOOK」データベースより)う~ん、他の伊坂作品とはちょっと雰囲気が違うかな?「ハードボイルド」?いや、そこまでではないか?でもいつもよりはちょっと硬め?そんな感じ。そして、いつになくたくさんの人が死ぬ。ま、殺し屋たちの話なんで、当然っちゃ当然なんやけど。でも、後半からラストにかけての物語の収束具合とか、伏線の回収具合とかは、相変わらず絶品。なので、総合して考えると、嫌いじゃないです。私。読後感もいいし、なかなかの1冊やと思う。←えらそう*ってことでちょっと勢いが戻ってきたので、残りの伊坂作品を読破してしまいましょう。さて、どれから読むか…。。。↓これは第一候補。先日のデートの時にmayuさんからお借りしたもの。 つか、これを貸していただくためのデートでした。 (mayuさん、その節はありがとうございましたmm)フィッシュストーリー↓第二候補。積読中。 後回しにする気マンマンやったけど、mayuさんが書評書いてはったんで急に気になった次第(爆)。砂漠↓第三候補。同じく積読中。ま、でもこれは予定通り、最後でしょうな。I love youはてさて、どれから読もうか…嬉しい悲鳴。 ← 今なら送料無料!5月末まで。
2009.04.19
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仲良くしてもらってるmayuさんに薦められて読んだ本。…って言っても、読んだのは先月末のことなんやけど。なんだかんだやってるうちに時間が経ってしまった><奥田英朗「町長選挙」【内容情報】町営の診療所しかない都下の離れ小島に赴任することになった、トンデモ精神科医の伊良部。そこは住民の勢力を二分する町長選挙の真っ最中で、なんとか伊良部を自陣営に取り込もうとする住民たちの攻勢に、さすがの伊良部も圧倒されて…なんと引きこもりに!?泣く子も黙る伊良部の暴走が止まらない、絶好調シリーズ第3弾。 (「BOOK」データベースより)前作、前々作に比べると、今回はちょっとおとなしめやったんちゃう?って感じ。患者に明らかなモデルがいることも影響してのことかな。ま、面白いっちゃ面白いけど、毒気が抜けたぶん、なんとなく物足りなかった。最初に読んだ時は、そのはちゃめちゃな感じについていけず、やや閉口ぎみやったんやけどね^^;でもまぁ、さくさく読めるので、「息抜き」であったり「つなぎ」であったりっていう位置づけなら、ちょうどいいかもしれん。*そんなわけで(どんなわけで?)次はコレ読んでます。伊坂幸太郎「グラスホッパー」最近、読むスピード落ちてるからなぁ…次の書評はいつになるやら。←5月末まで送料無料ですよ~♪
2009.04.11
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最近、空いた時間には編み編みしてるせいもあって、ちょっと読むスピード落ちてるけど、主観としてはイイ感じに読了。ゆっくりじっくり堪能しました。貫井徳郎「乱反射」【内容情報】幼い命の死。報われぬ悲しみ。遺された家族は、ただ慟哭するしかないのか?良識派の主婦、怠慢な医師、深夜外来の常習者、無気力な公務員、尊大な定年退職者。複雑に絡み合うエゴイズムの果て、悲劇は起こった…。罪さえ問えぬ人災の連鎖を暴く、全く新しい社会派エンターテインメント。 (「BOOK」データベースより)いやぁ、面白かった。なんてーか、かなり「やりきれない」話ではあるんやけど、そんなのも含め、私は好き。うん、貫井さんやなぁ。これね、まず構成が面白い。各章に番号が振ってあるんやけど、「-43」とかから始まるねん。で、「マイナスってなんやねん!」と思いながら読み進めていくと、「-42」「-41」と、カウントダウン形式になってる。そこにはたくさんの「普通の人々」が描かれていて、カウントダウンが進むにつれて、事件に近づいていくんやけど、3分の2ぐらいを過ぎてやっと、「0」の章で事件は起こり、ひとつの小さな命が奪われる。(←伏線長っ)その後、「1」から始まるプラスの章で、遺族は事件の原因を探ってゆく。…って流れ。内容も、なかなか。ひとりひとりの小さなエゴが、たくさんたくさん重なって、ひとつの命を奪う。それなのに、誰もその罪を問えない。(こないだ読んだ「無痛」(久坂部羊・著)とは違った意味合いでね。)「運が悪かった」と言ってしまえばそれまでやけど、ものすごくもどかしいし、やりきれない。でも、こういうことって、あってもおかしくないよなぁって思う。で、ひとりひとりの罪がとても小さいし、ごくごく有り触れたこと(でもないかもしれないけど、そんなに突拍子もないことではない)なので、読みながら、自分も無関係じゃないような気になってくる。どこかで自分も何かの犯罪に加担しているかもしれないって思う。ラストも、いい。ものすごく悲しいんやけど、巧い。いい意味で「すっきりしない」作品かなぁって感じがしました。うん、やっぱ貫井さん、好きやなぁ。*↓んで、スローペースながらも間髪入れずに次はこれ。加納朋子「ななつのこ」別に意図したわけやないけど、この方(著者)、貫井徳郎さんの奥様でいらっしゃいます。過去、「ささらさや」というのを読んだことがあって、それ以来かなり久々の挑戦。どうやらこれがデビュー作のもよう。楽しみです(*´艸`*)
2009.03.18
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少し前に三浦しをんのエッセイを貸してくれた同僚が、「面白いエッセイといったらコレですよ!」と、おまけのようにもう一冊つけて渡してくれたのがコレ。菅野彰「海馬が耳から駆けてゆく(1)」【内容情報】その時、姉弟は遭難しようとしていた。どうということのない(ように見えた)川で―。その夏、作者と作者の弟を襲った、人生最大の事件とは…!?波瀾と爆笑に満ちた愛すべき日常を綴る、菅野彰の大人気エッセイ、ついに文庫化!!「海馬が耳から駆けてゆく」、「ネイキッド・ソウル」、そして様々な雑誌で書き綴ったショート・エッセイを集めた「雑文」を収録。 (「BOOK」データベースより)前々から面白いという話はその同僚から聞いていて、機会があったらぜひ読んでみたいと思いつつ、なかなか自分の読書周期と、この本の話題が出るタイミングが合わずに今になってしまった。初めてこの本のことを聞いた日からかなりの年月が経ったけど、期待に違(たが)わず、面白かった。私は普段、睡眠導入剤のつもりで読書をすることも多いんやけど、この本は意に反して面白すぎて、読みながら爆笑しちゃって眠くならない。ま、最終的には笑い疲れて眠くなるという感じなので、当初の予定はまっとうされているとも言えるかもしれんけど…なんだかなぁ。でもホンマに面白かった。途中、呼吸困難になるぐらい笑った。真夜中だったので、布団の中で丸くなって声を殺しました。死ぬかと思った。これを読もうと思っている方、心の準備をしていただき、あとは飲食時と公共の場は避けるのが望ましいでしょう。これ、5巻まで出てるみたいなんやけど、さて、2巻以降…借りるか…どうしようか。。。本気で悩み中。*↓次は反動のように重たいやつをチョイス。貫井徳郎「乱反射」待ってました。貫井さんの最新刊。やっとここまでたどり着いた。よし、読むぞぉ~♪
2009.03.08
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もともとこの人は好きで、よく読んでたんやけど。ここんとこちょっとご無沙汰で、そういえば井上作品は久々やったなぁ、、、と思いながら読んだ。井上夢人「The team」【内容情報】黒いサングラスをかけた派手な衣装のおばさん。この人こそ、今をときめく、霊導師・能城あや子。テレビ番組の人気コーナーを持ち、個別の相談は30分8万円にもかかわらず、5カ月待ちという盛況ぶり。悩みをぴたっと言い当て、さらに奥深くにある真実を探り当てる。恐るべし霊視の力…ではなく、実は彼女のバックには、最強、最高の調査チームがついていたのだ。弱きを救い、悪を討つ。爽快・痛快連作短編集。 (「BOOK」データベースより)この人にしては、ちょっと軽めかな。でも内容はなかなか凝ってて、面白かった。軽快にして、痛快。トリック(と言っていいのかはわからないけど)も、正攻法ではないけど、結果オーライ的な感じで、なんかいい。連作短編っていう構成も、この作品によく合ってる。井上作品の中では、かなり好きな部類に入ります。カラーとしては、貫井徳郎「悪党たちは千里を走る」とか伊坂幸太郎「陽気なギャングが地球を回す」とかにちょっと似てるかも(←あくまでも個人的観点)。というか、このへんの作品が好きな人はきっとコレも好き、みたいな。なんとなく、海外ドラマっぽい感じ?(わかりにくくてスミマセン)でも本当、読んでて楽しかった。途中、ハラハラする場面もあるし、しみじみとする場面もあって、全体的に見てもなかなか。最後の潔さもなんだかいい。バランスのいい適度な一冊でした。内容も文体もトリックもあんまり重たくないので、息抜きにちょうどいい感じかと。「次は何読もっかな~」ぐらいに思ってる方がいらっしゃれば、これぐらいのがちょうどいいかもしれません(*ゝω・)ノ*↓で、次はコレ。同僚に借りて読んでます。海馬が耳から駆けてゆく(1)まだ半分よりも手前やけど、めちゃくちゃ面白い。爆笑しちゃうので、公共の場では読めません(´-ω-`;)ゞ
2009.03.06
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職場で何かの拍子に三浦しをんの話になり、その勢いのまま同僚から借りた本、読了。三浦しをん「妄想炸裂」【内容情報】話題の爆笑エッセイが、文庫になって帰って来た!!東に西におもしろいマンガを小説を探し続け、心からホモ漫(ホモ漫画)を愛する。ある時は愛するバンドを追っかけ、またある時は、盆栽と戯れる。日常の中、炸裂し暴走する妄想は、留まることを知らない!!さすらうマンガハンター・三浦しをんが、書を求めて、今日も街をさまよう。 (「BOOK」データベースより)ちょっと古い本(2001年刊。文庫は2003年刊)なので、破壊力はやや弱め。やけど、やっぱり面白い。タイトルに偽りなし。ホンマにどこまで妄想炸裂やねん、この人。彼女の小説を読むと、その作品はすごく繊細で、文体はすごく流麗で、なんとも言えない淡い味わいと魅力に溢れてるんやけど、エッセイを読むとそれが一蹴されて、たちまち迷子になる。マジで「同一人物?」って思うんよね。でもそれが「ガッカリ」にはつながらず、あくまでも「一粒で二度おいしい」になるあたり、すごい人なのかなぁ、と。ある意味、憧れてマス。いっそのこと、私もそのあたりを目指してみるかなぁ(爆)*さて次は…↓これにしようかと思ってたんやけど。貫井徳郎「乱反射」明日はちょっと遠出する用事があるので、長時間持ち歩くにはハードカバーはキツイ。ってことで、急遽変更。↓これにしました。井上夢人「The team」この人はもともと好きでいくつか読んでるんやけど、これは某兄さんも読んでて読みたくなってん。ちょっと楽しみ♪
2009.03.04
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ひょんなことからこの本の存在を知り、矢も盾もたまらず、あっという間に購入に踏み切りました。小さい“つ”が消えた日【内容情報】小さい“つ”はみんなの笑い者。「自分は必要ない…」と家出をしたから、さあ大変。五十音村にすむ言葉の妖精たちの物語。 (「BOOK」データベースより)これねぇ、すっごくいい本。「絵本」というよりは、「児童よみもの」になるかな。それぐらいの微妙な文章量で、絵本ほどではないにしろ、一瞬で読める。でも、内容はとても深く、時にとても悲しく、時に限りなく優しい。挿絵もかわいらしくて、魅力的。全体的に、ほんわかとやさしい空気の漂う作品。*日本語を構成する五十音。そのそれぞれが持つ個性を踏まえつつ、物語は始まる。たとえば“あ”は自慢好きで、自分が日本語でもアルファベットでも一番最初に来てるのは、いちばんえらいからだ!とか、“を”はいつも文字と文字の間に自分を置き、中立的立場を崩さないとか、“か”はあまり自信がなく、「やろうか?やめておこうか?」と、いつも優柔不断だとか。そして、この物語の主人公である「小さい“つ”」。とてもかわいい男の子で、ユーモアがあって、観察力に優れていて、でも残念なことに、口がきけない。周りの人が話していることはわかるけど、自分ではひとことも話せない。そんなある日、五十音の中で「誰が一番えらいか」という討論になり、答えが出ないままそれはいつのまにか逆転して、「誰が一番えらいかはわからないけど、誰が一番えらくないかは知っている。」と最終的に小さい“つ”のことをみんなで笑う。「彼は音を出さないんだから、そんなの文字でもなんでもない」と。そうしてその夜、彼は家出をする。笑われたことが頭から離れず、眠れないまま。「僕はあまり大切ではないので、消えることにしました。さようなら。」こんな手紙を残して。さてそこからが大変。小さい“つ”の消えてしまった日本語の世界は、めちゃくちゃになります。五十音たちは、小さい“つ”の大切さに気付き、戻ってきてもらえるように、ある作戦をたてます…。…と、これ以上はネタバレしすぎになるので、もうおしまい。でも本当、いい本。何がすごいって、これを書いたのが日本人じゃないってことね。それでもしっかりと色んな特徴を的確に捉えてて、面白い。大人が読んでも満足できると思います。一人でも多くの人に読んでもらいたい1冊。何度も何度も読み返したい1冊。超オススメです。小さい“つ”が消えた日
2009.03.02
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職場(本屋)で実物を見て、裏に書いてある粗筋を読んで以来ずっと気になってた作品。現役医師が小説を書くということで、著者にも注目してました。無痛【内容情報】神戸の住宅地での一家四人殺害事件。惨たらしい現場から犯人の人格障害の疑いは濃厚だった。凶器のハンマー、Sサイズの帽子、LLの靴跡他、遺留品は多かったが、警察は犯人像を絞れない。八カ月後、精神障害児童施設の十四歳の少女が自分が犯人だと告白した、が…。外見だけで症状が完璧にわかる驚異の医師・為頼が連続殺人鬼を追いつめる。 (「BOOK」データベースより)この作品、読んだ感想をひとことで表すなら、「痛い」。物語の中核になっているのが「先天性無痛症」という、痛みを感じない人が起こす犯罪であり、さらに著者が現役医師というのもあって、描写がかなり克明。読みながら、下腹のあたりがなんだかムズムズしてじっとしてられなかった。でも、物語としての題材や構成は面白い。主なテーマは、刑法三十九条。これは「犯罪の不成立及び刑の減免」に関わる条項のひとつで、「心神喪失者の行為は、罰しない」「心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する」というもの。この法律、必要やとは思うんやけど、実際ホンマに病気でどうしようもない人もいれば、それを逆手に取り、精神障害を演じる者もいるってのがネック。ここに出てくる後者にあたる人物は、あらかじめ演技で精神科にかかりそのような診断を受け、薬も処方してもらう。これが犯罪後にはいわゆる「アリバイ」になる。なんて狡猾な奴やねん!と、そのくだりではかなり苛々。けれどそれは同時に「医療の限界」というものも露呈させてしまう。つまり、見抜けない精神科医も悪いという理屈。ちなみにこの話に出てくる二人の医師は、どちらもちょっと特殊な能力を持っており、そのような嘘はきかない。なのに、同じ能力を持ちつつも、その行動はまったく逆の方向を向いている。この二人の対比も面白い。ラストに向かうにしたがって、勢いも増し、伏線もきっちり回収できており、ワタシ的にはまずまずの印象。うん、面白かった。でも、あえて最後にひとつ残した(と思われる)部分は、ゾクリとさせられる。余韻の残し方としては巧い。っつーことで、今後も注目していきたい作家がひとり増えました。うれしいやらかなしいやら(´-ω-`;)ゞ
2009.03.01
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前回のがちょっと(個人的には)噛み応えのある文体だったので、今回はするりと読める文体がいいなぁ、ということで、三浦しをん。気になってた作品の中から、ひとつをチョイス。三浦しをん「私が語りはじめた彼は」【内容情報】私は、彼の何を知っているというのか?彼は私に何を求めていたのだろう?大学教授・村川融をめぐる、女、男、妻、息子、娘―それぞれに闇をかかえた「私」は、何かを強く求め続けていた。だが、それは愛というようなものだったのか…。「私」は、彼の中に何を見ていたのか。迷える男女の人恋しい孤独をみつめて、恋愛関係、家族関係の危うさをあぶりだす、著者会心の連作長編。(「BOOK」データベースより)まさに「会心」。いや、「快心」かな。(って、どっちも同じやけど。)ひとことで言うならば、「巧い」。唸るほどに。マジで何回も、「んむ~」と声が出た。特別美しい言葉を使っているわけではないのに、とても綺麗で、流れるみたい。それでいて、上滑りするでもなく、胸の中にしっかり残る。内容もやけど、文章も残る。ここが彼女のすごいとこやなぁと思う。同い年とは思われへん。この人の作品を読むたびに、感動の裏側で、なんかすごい悔しくなる。内容や構成は、はっきり言ってありがち。にもかかわらず、他の作品と一線を画しているのは、ひとえに文章の巧さであり、バランス感覚であり、総合的な力量であり。(あとは単純に私の好み。)その世界にうっとりと引きずり込まれ、抜け出せないままに一晩で読了。…って、なんや絶賛やけど^^;でもホンマ、すごい作品です。世界観としては「まほろ~」よりは「月魚」のほうが近いかな。扱ってる内容がちょっと重たくて、全体のトーンがちょっと暗めなんで、人によっては苦手かもですが。でも私はすごく好き。出逢えてしあわせな一冊です。(*´艸`*)*↓次は久々に怖いの読もうかなぁ…、、、で、コレ。 かなり怖い(サイコ?ホラー?)らしいんやけど、だいじょぶかな、私。久坂部羊「無痛」
2009.02.22
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これまた兄さんに勧められて読んじゃった。森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」【内容情報】「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。 (「BOOK」データベースより)うん、たしかに。これはファンタジーですよ。悪く言えば「支離滅裂」、良く言えば「痛快」。物語の骨となる部分は、「黒髪の乙女」に惚れちゃった「先輩」が彼女を追うものの、当の彼女はいたって「鈍感」で「天然」な為にまったく気づかないという、青春ものの王道。それにしても登場人物が個性的すぎ。ファンタジーと思って読んでなかったので、あまりのぶっ飛びっぷりに、この世界に入り込むのにちょっと時間がかかりました(途中で気付いて以降はすんなり入れました)。そして、さらにネックになったのが文体。ちょっとレトロでいい味だしてるんやけど、個人的にはなんとなくとっつきにくかったかな。終始、芝居がかった感じで、(私の中には)すんなりと入ってきてくれない。内容の面白さで読ませた感じ?でも、内容は間違いなく面白い。途中、何度か吹き出した。ちょっぴり芝居がかった語り口と、ファンタジーというジャンルが平気な人なら、もっと楽しめると思う。…って、微妙な感想書いてるけど、(なんかちょっと悔しいけど)面白かったので、また時間を置いて再読したいと思ってます(v´∀`)*↓で、引き続き、コレに突入。三浦しをん「私が語りはじめた彼は」
2009.02.21
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兄さんに紹介してもらって以来、なんだか気になって、勢いにまかせて何冊か購入しちゃった三浦しをん。その中の1冊、表紙の綺麗さに惹かれて一番に読み始めたものの、軽く1日で読了。月魚【内容情報】古書店『無窮堂』の若き当主、真志喜とその友人で同じ業界に身を置く瀬名垣。二人は幼い頃から、密かな罪の意識をずっと共有してきた―。瀬名垣の父親は「せどり屋」とよばれる古書界の嫌われ者だったが、その才能を見抜いた真志喜の祖父に目をかけられたことで、幼い二人は兄弟のように育ったのだ。しかし、ある夏の午後起きた事件によって、二人の関係は大きく変っていき…。透明な硝子の文体に包まれた濃密な感情。月光の中で一瞬魅せる、魚の跳躍のようなきらめきを映し出した物語。(「BOOK」データベースより)とにかく、綺麗な作品。まさに、月夜のような。通して読んだ印象としては、割と淡々とした書き味なんやけど、その静寂のなかに情熱が感じられて、時にゾクリとする。(あ、怖いってわけじゃないよ)登場人物のせいもあり、読みようによってはBLなんやけど、そんなのどうでもよくなる感じ。ものがたりの裏側に流れるものに気づいてしまったら、少なからぬ息苦しさを覚える。なんかもう、ただただ切ない。文庫版の書き下ろしの短編「名前のないもの」も素敵。こちらは読むとちょっとほっとする。全編を通し、月明かりに照らされた湖面のように、時折ランダムなきらめきが見え隠れ。読むたびに印象が変わっていきそうで、再読するのも楽しみ。派手なものは何もないけど、しみじみとした魅力がにじみ出る1冊です。
2009.02.17
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濫読魔の同僚に「これ面白いし、●●さん(←私)たぶん好きやと思うで」と言われ、借りて読んだ。殊能将之「ハサミ男」【内容情報】美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。(「BOOK」データベースより)決して心地良い話ではないのに、軽々と読ませる。結構な長編やのに、あれよあれよという間に一気読み。面白かった。それにしてもこれはうまくできてる。構成がすごくしっかりしてて、騙されるまいと先読みしながら読んだのに、まんまと騙された。というか、途中までは読めるんよね。「これ、こう書いてるけどたぶんちゃうで」とか思いながら読んで、実際その通りやったりすると「ほらね」ってな感じで。でも、最後はやられた。ネタバレしたくないんで内緒やけど、すこーんとやられた。キモチいいぐらいに玉砕でした。でも、途中ちょっとわかりにくい(というか入り組んだ)ところがあって、もうちょっとわかった状態で読んだらもっと面白いかもって思ったので、また時間を置いて再読しようと思う。いやぁ、最近、ホンマに読書家みたいやなぁ。読みたい本がいっぱいで嬉しい悲鳴。「読書専用」の自分がもう一人欲しいです*↓そんなわけで、間髪いれずに次はこれ読んでます。三浦しをん「月魚」↓今なら全品、送料無料ですよ~
2009.02.15
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あー、そういえば貫井さんの本、最近あんまり読んでないなぁ。そういやこないだ(っつっても半年ぐらい前やけど)、文庫化になったやつあったよなぁ。…と、そんな感じで読み始めたんがこれ。貫井徳郎「悪党たちは千里を走る」【内容情報】しょぼい仕事で日々を暮らすお人好しの詐欺師コンビ、高杉と園部。ひょんなことから切れ者の美人同業者とチームを組むはめになり、三人で一世一代の大仕事に挑戦する。それは誰も傷つかない、とても人道的な犯罪計画だった。準備万端、すべての仕掛けは順調のはずだったが…次ぎから次ぎにどんでん返しが!息をつかせぬスピードとひねったプロット。ユーモア・ミステリの傑作長編。(「BOOK」データベースより)いやぁ、面白かった。賛否両論みたいやけど、個人的にはすごく好き。いい意味で「貫井さんらしくない」。貫井さんといえば、私の中では「暗い」「重たい」。そしてそれが「面白い」に直結する作家さんやと思ってるんやけど。これは、真逆。言ってみればどたばた劇。つまりはコメディ色がそこかしこに。で、そんな読みやすさとは裏腹に、しっかりと練られたトリックとプロット。それ故にコメディタッチなのがマイナスポイントと捉えるレビューもあるみたいやけど、私は評価したいと思う。するすると読み進んで、大満足。雰囲気的には伊坂幸太郎の「陽気なギャング」シリーズ(「陽気なギャングが地球を回す」&「陽気なギャングの日常と襲撃」)に似てるんやけど、私はこっちのほうが好きかな。ま、伊坂さんのはだいぶ前に読んだきりなんで、再読したら印象も変わるかもしれんけど。とにかく、素敵な1冊でした。楽しいだけでなく、時にドキドキし、時にハラハラし、緊張し、モヤモヤし、それでいて最後はどこかほっこりするような。登場人物は一般的に言うところの「悪党」ばっかりなんやけど、それだけでは終わらない感じで。読後感がスッキリとした、軽めの1冊なので、この季節にぴったりかも。おすすめです(*^ー^)b↓期間限定!今なら送料無料ですよ~♪
2009.02.14
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発売してすぐに話題になったから存在はよく知ってたんやけど。なかなか自分で買うまでに至らず。結局、妹が持ってるのを知ってたので借りて読んだ。湊かなえ「告白」いやぁ、暗い。んで、気持ち悪い。なんていうか、流れてる空気がずっと陰険。読んでる間じゅうずっと、ザラザラした感じ。でも、文章力や構成はまずまず。色んな登場人物が各章モノローグ形式で真相に迫っていく。淡々とした語り口やのに、続きが気になって一気読み。(でも、まとまった時間がとれない時やったら挫折してたかも…とも思う)でもこれ、ミステリというよりはサスペンスやね。いいとか悪いとかでなく。ラストも、好き嫌いが分かれるやろなぁ。私は基本的に、救いのないのは苦手なので、あんまり好きではないんやけど。でも、こういうのもあっていいと思うので、反対派というわけではありません。まぁ、これに関しては再読はないと思うけど。(気持ち悪いの苦手><)とりあえずは、これからが楽しみな作家の一人かな。↓そんなわけで、二作目。これも暗いらしい。(まだ読む予定はないけどね)湊かなえ「少女」***おまけ。読書家の皆様へ朗報!今がチャンスですよ~♪↓今なら送料無料!3月31日(火)23:59までの注文が対象となります。 詳しくは、各ページの「送料無料」の文字から♪↑エントリーで楽天ブックスの本が全品ポイント5倍。エントリー期間:2009/2/10(火)10:00~2009/2/13(金) 9:59 楽天カード決済なら本がポイント最大6倍!
2009.02.09
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リンクさせてもらってる本友(ってのは私が勝手に呼んでるだけなんやけど)のmayu0208さんに紹介してもらったこの本。奥田英朗「イン・ザ・プール」奥田英朗「空中ブランコ」元気になりつつある病床(@インフルエンザ)にて、サラリと読破。短編だってのも手伝って、サクサク進んだ。内容は、伊良部総合病院地下の神経科にいる色白でデブの精神科医、伊良部一郎のもとに訪れる変な患者との治療(?)の日々が描かれた、シリーズもの。しかしまぁ、患者も変なら、医者も変。さらには看護士も変ときた。延々と変な治療(?)が続きます。でも、楽しい。はちゃめちゃな感じが軽くていい。…って言っても、病院に来る患者さんたちは真剣なんやろけど。個人的には「空中ブランコ」のほうに収録されてる「女流作家」の話が好きかな。これだけちょっと毛色が違う感じもするけど。とにかく、身体は元気になってきてたのに外出できないっていう状況の病床で、これほどぴったりな本はありませんでした。mayu0208さん、ありがとー♪ (人-)謝謝
2009.02.06
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前回の「まほろ~」ですっかりハマった三浦しをん(@wiki)。「まほろ~」を読む前ではありましたが、職場(@本屋)の古本コーナーで格安で見つけたので購入してあったやつにそのまま突入。三浦しをん「夢のような幸福」【内容情報】人気作家の愛と情熱と勘違いに満ちた日常を見よ!ノンストップな爆裂エッセイ。欲望の発露する瞬間を考察し、友人と特異な「萌えポイント」について語り合う。伝説の名作漫画『愛と誠』再読でその不可解な魅力を再検証。世界の名作『嵐が丘』を読み乙女のテイストを堪能し、女同士でバクチクライブ旅。独自の見所発見の映画評、旅先の古書店の謎を探索。物語の萌芽にも似て脳内妄想はふくらむばかり―小説とはひと味違う濃厚テイストのエッセイをご賞味あれ。(「BOOK」データベースより)【目次】1章 我が愛のバイブル(欲望の発露する瞬間/我が愛のバイブル ほか)/2章 夢のような話(ムネオ号で行く九州の旅/夢のような話 ほか)/3章 男ばかりの旅の仲間(なにを見ても男の友情(?)に読みかえる/男ばかりの旅の仲間 ほか)/4章 楽園に行く下準備(仏滅の結婚式/楽園に行く下準備 ほか)/5章 世界の崩壊と再生(膿めよ、腐えよ、血に満ちよ!/欲望にまみれたゆく年くる年 ほか)(「BOOK」データベースより)…と、まぁ、エッセイなんですけども。で、私、エッセイってぶっちゃけ好きじゃないんであんまり(いや、全然)読まないんですけども。でもこれは面白かった。そもそも、この人、私と生まれ年が同じ。ってことで勝手に親近感を抱いていたところにこのエッセイ。手にとってパラパラとめくると、目に入ったのはこんな箇所。「ようやくアイルランド風の酒場を見つけた私たちは、食べ物のメニューをすべて注文してたいらげ(つまみ程度の物しかないのだ)、ビールとタラモアデューをごくごく飲んだ。ふぃー、生き返ったぜ。ビールはともかくウィスキーをごくごく飲むのはどうかと思うのだが、酒場を探し求める過程でむくむくと育った飲酒欲はいかんともしがたかった。」ちょっとしをんさん、飲酒欲て。…と突っ込むより前に、おぉ、同士よ!と思っていた私。えへへ。そんな感じで彼女(というかエッセイ)に対して(あくまでも一方的な)壁のなくなった私は、いともあっさりと読了したのでした。内容については詳しくは触れませんが、声を出して笑ったこと、数知れず。…とまではいかなくても、両手の指では足りないほどには吹き出しました。なんだこの人。直木賞作家だってのに、こんなに身近でいいものか。…っつっても、私は「●女子」ではありませんが。でも、ややダメっぽいとことか、酒に対する姿勢とか、ちょっと似てる匂いがします。うへへ。「自分、まだ大丈夫」って思いたい人は読んでみたらいいかも(←大変失礼な暴言)。***私は古本で見つけたからB6サイズだったけど、↓文庫でも出てますよん。三浦しをん「夢のような幸福」(新潮文庫)
2009.02.05
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某兄さんに勧められて出逢った1冊。無事に読了。三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」【内容情報】まほろ市は東京のはずれに位置する都南西部最大の町。駅前で便利屋を営む多田啓介のもとに高校時代の同級生・行天春彦がころがりこんだ。ペットあずかりに塾の送迎、納屋の整理etc.―ありふれた依頼のはずがこのコンビにかかると何故かきな臭い状況に。多田・行天の魅力全開の第135回直木賞受賞作。(「BOOK」データベースより) いやぁ、いい話でした。…と、ひとことで言うのも勿体無いけど。とても軽妙な感じでサクサクと進んでいくのだけど、随所にいい感じのことばが落とされていて、それに引っかかるのがまたいい。そんなわけで、以下、ちょっと引っかかった箇所を珍しくも抜粋。「『だれかに必要とされるってことは、だれかの希望になるってことだ』」「『愛情というのは与えるものではなく、愛したいと感じる気持ちを、相手からもらうことをいうのだと』」「(前略)幸福は再生する、と。 形を変え、さまざまな姿で、それを求めるひとたちのところへ何度でも、そっと訪れてくるのだ。」…と、ここだけ抜き取ると、読んでない人にはチンプンカンプンでしょうか?でもいいの、私の感想だから(爆)。とにもかくにも、読んでる間じゅう心地良い。伊坂幸太郎とは別の次元でキモチイイ感じ。特に、主人公である多田と行天の距離感がいい。どちらもなんだか素直じゃないとことか、それぞれに闇であったりわだかまりを持ってるとことか、なんかいい。それ以外の登場人物もいいキャラ。みんなどこかちょっと変なんだけど、愛すべき人たち。そしてそれはきっと、それぞれに精一杯生きてるのがわかるから。そうして、ラスト。衝撃的な事実を胸に、それでも「いま」を生きてゆく青年のものがたりを越えて、幸福はまた再生をはじめる。本当に素敵な1冊に出逢いました。バリバリのミステリとか、固い感じや重たい感じのが好きな人にはちょっと物足りないかもしれないけど、そこまでのはちょっと…ってな人にはちょうどいい。語り口に比べると内容も深いし。個人的にはこれ、すごくオススメです。兄さん、引き合わせてくれてありがとう。(人-)謝謝(-人)謝謝…ってか、今回「いい」ばっかり言ってるな、私。。llllll(-ω-;)llllllボキャ貧だ ← これまた古っ( ̄□ ̄;)
2009.02.04
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ゆっくりじっくり、再読完了。伊坂幸太郎「モダンタイムス」いやぁ、今回は面白かった。前回読了時はぶっちゃけ微妙で、読んだ人みんな「めちゃくちゃ面白かった!」って言ってるのに、一人だけ取り残された感じやってんけど。でも今回はしっかり楽しみました。いきなり「勇気はあるか?」と問いかけられ、拷問の危機に晒される主人公。そんなシーンから始まるこの小説は、少し未来のお話。検索から監視が始まり、物語は動いてゆく。魔王のエピソードを踏まえながら物語は進み、主人公は不思議な事件に巻き込まれ、真相を解明するために仲間と共に奔走する。…と、簡単に言うとそんな話。けれど、大切なのは「小さなこと」こそ。物語の中には「井坂好太郎」なる小説家が出てきて、「人生は、要約なんてできない」と言い放つ。その人にとっての人生とは、要約したときに省かれる側の、なんでもない日々の小さな出来事そのものなのだ、と。だから、たしかにこの世界は大きな流れの中にあるのだろうが、「小さなもののために生きろ」と。…って、なんかうまく言えませんが。とにかく面白かった。そして、この小説に即したニクイ演出がネット上に。ネタバレするのもつまんないと思うので、詳しくは言いませんが。読んだ人ならわかると思いますが、話の中に出てきた「危険な検索」を実行してみてください。そう、アレとアレとアレのand検索。素敵なものが出てきます。いやぁ、満足。再読して、正解(*´艸`*)***本文とは関係ないですが。少しの間、宣伝させてください^^私が楽天で書き始めた初期の頃から仲良くしていただいているななをさんの作品が、このたび本に掲載されました♪ ヽ(☆´∀`☆)ノオメデトー↓よろしければぜひ、お手元に1冊。ネットの中の詩人たち(6)
2009.02.03
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うれしい知らせが届きました。私が楽天で書き始めた初期の頃から仲良くしていただいているななをさんの作品が、このたび本に掲載されました♪ ヽ(☆´∀`☆)ノネットの中の詩人たち(6)私もまだ手元には届いてないのですが、とりあえずあまりにも嬉しかったのでフライングでご紹介。すごいなぁ。すごいなぁ。知ってる人、しかも大好きな詩人さんのおひとりでもあるななをさんの参加された本が実際に出版されるというのは、こんなにも嬉しいもんなんだなぁ、なんて^^本当ならうちの職場(@本屋)で置けたらいいんですが、私の担当箇所じゃないので…、、、明日にでも相談してみます。つか、知らないフリして発注します(爆)。とりあえず、ななをさん、本当に本当におめでとうございます!!自分のことのように嬉しいです^^皆様も、もしよろしければ、ぜひお手元に1冊。ななをさんの素敵な詩の世界については、私が保障します♪
2009.02.02
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今日は珍しく、漫画のご紹介。佐々木倫子「チャンネルはそのまま!」(1)この人、かなり前から好きなんですが。今回も笑わせていただきました。なんかもう、ずっと面白い。ずっと含み笑い状態だったんですが、途中、たまらず爆笑。内容としては、地方のTV局に通称“バカ枠”で採用となった主人公が、周りを巻き込み、時には強運を発揮しながらも、やっぱりバカまっしぐらな話。ハチャメチャっぷりが痛快です。こんな人、身近にいたら苛々しそうなもんやけど、たぶんどっか憎めない気がする。「バカは運がいい」↑コレ、登場人物のひとりがぽろりともらした言葉。…納得。*おまけ。オナカの皮がよじれても責任もちませんが。腹筋は鍛えられるかもしれません。↓佐々木ワールドを堪能したい方はぜひ。Heaven?(ヘブン) 〔A5版〕全6巻 佐々木倫子/作【漫画】動物のお医者さん [文庫版] (1-8巻 全巻)【漫画】おたんこナース[文庫版] (1-5巻 全巻)
2009.01.31
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ここしばらく、伊坂作品が続いてますが。しかも読む本いっぱい控えてるのに再読ってどゆこと?って感じですが。伊坂幸太郎「魔王」実はこれには理由がありまして。ことの発端は「モダンタイムス」。伊坂幸太郎「モダンタイムス」ご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、この2冊は続いてまして。「モダンタイムス」を読むには「魔王」は必読なのです。で、この2冊を再読しようというのは、もともと、前回の「モダンタイムス」読了時にすでに決めていまして。というのも、その時はなんとなく、集中できない時期にあたっていたようで、どうも他のみんなが言うほどには面白いと感じることができなかったのです。(「魔王」はすごく面白かったんだけど。「モダンタイムス」がね。きっと長くて読み疲れてしまったのでしょう^^;)なので、時間を置いて再読したいなぁとは思っていたのですが。このたび、「モダンタイムス」を貸してくれているうちの店長が2月上旬で異動になることが決定したため、それまでに再読了したいなぁと思ってのこと。で、「モダンタイムス」だけを読んでもよかったんだけど、どうせなら「魔王」から読んでしまえ!ということで、こうなりました。…って、まだ「魔王」しか再読できてないけど。でもまぁ、とりあえずの感想としては、個人的には「再読して正解」。前回の読了時にはかなりの伏線を読み落としていた模様。今回の再読で、色々と見えてきました。特に前編の「魔王」に、あの作品のあの人物(?)が登場してるなんて、私は知りませんでした。今回はじめて気付いて、思わず「おぉっ」ってびっくりしてしまった。やっぱ伊坂作品は、作品同士のリンクも楽しい。あと、純粋に「モダンタイムス」を踏まえて「呼吸」を読むと、なかなかいい感じ。そうか、そこがそうつながるのね、って感じ。うん、この勢いだと今回は大丈夫かな。ってことで、勢いを殺さぬよう、大長編に突入です。
2009.01.24
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ずっと気になりつつも、他に読むものが多くてやっと手を付けることができた感じ。で、予想はしてたものの、サクッと読了。伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」物語は、書店強盗のシーンからはじまる。 (←書店勤務の私からしてみれば、縁起でもないっ><)強盗の片棒をいつのまにか担がされてしまったちょっと気弱な主人公「椎名」は、新しく始まる大学生活のために引っ越してきた。新居であるアパートで黒猫の次に出会ったのは「河崎」という悪魔みたいな風貌の不思議な男で、彼はいきなり書店強盗を持ちかけてくる…。と、そんなふうにスタートするこの話は「現在」のパート。物語はもうひとつ、「二年前」のパートも存在する。二つの時間軸が交互に描かれた、いわゆるカットバック形式。ちなみに私、この形式がちょっと苦手。(たぶん記憶力の悪さが原因)でもこの作品に関しては、なんだかあまり気にならずに読むことができました。集中できていたからか、私好みの伊坂節のせいか(笑)、終始ドキドキしながら勢いよく読んだ感じ。で、設定としては割と無茶なんだけど、嫌な感じはしない。ふたつの時間軸に共通して登場する中心人物「河崎」が、なんともいえず魅力的だからかな。とはいっても、彼、本当に滅茶苦茶。荒唐無稽というか、天真爛漫というか、天衣無縫というか。身近にいたら、苛々するかもしれない。でも、他人事として読んでいる限りでは(爆)、とにかく魅力的。滅茶苦茶ではあるけど、彼なりの理論がちゃんとあって、一本筋が通っていて、かっこいい。迷惑をかけられても、なんだか笑って許しちゃえるような、不思議な魅力の持ち主。そして、ひっそりと張られた罠のような巧妙なトリックには見事にだまされた。全然トリックっぽくないんだもん。やられた。河崎のばかー(笑)あ、そうそう、河崎といえば。ラスト、彼がらみで泣きました。やられた。写真の裏とか反則。(←気になる人は読んでください(笑))河崎のばかー(笑)とはいえ、とにかく面白い話でした。これはフィクションならではの世界観。やっぱ伊坂さん、すごい。***↓そしてまたしても再読中。伊坂幸太郎「魔王」↓で、そのまま続編に突入予定。伊坂幸太郎「モダンタイムス」↓その次は新境地を開拓予定。奥田英朗「イン・ザ・プール」↓いつになったらここまでたどり着けるのやら(苦笑)奥田英朗「空中ブランコ」
2009.01.17
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伊坂作品、順調に制覇中。今回は、うちの店長(@濫読魔)に借りました。伊坂幸太郎「終末のフール」舞台は2***年。「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表されてから5年後の話。「あと3年」となった地球に生きる人々を描いた8つの短編集。それぞれ、「終末のフール」「太陽のシール」「籠城のビール」「冬眠のガール」「鋼鉄のウール」「天体のヨール」「演劇のオール」「深海のポール」と、ことば遊びのようなタイトルも面白い。全体的には割と淡々としてるかな。あっさりとした読み口で、心地よい転寝のような感じ。でも、ものがたりの中の登場人物たちは紛れもなく「死」に直面していて。そしてそれは同時に、「生」にまっすぐに対峙しているともいえるような。でもだからといって決して重たくはなくて、とにかく、「あぁ、いいなぁ」と思わずこぼれてしまうような1冊。個人的には「太陽のシール」と「天体のヨール」が好きだなぁ。中でもこの2編に出てくる、土屋と二ノ宮という二人の脇役が好き。どの登場人物もそれぞれに一生懸命で、「終末」という状況を受け入れてはいるんだけど、この二人って、さらにそれを楽しんでいる感じ。たぶん私はそういうとこが好きなんだと思う。もしも自分がこの物語の世界に生きていたら、とは考えずにはいられないけど。この二人のように生きられるだろうか。そんなふうに生きられる自分でありたいな。
2009.01.11
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以前からずっと読みたくて。店(職場@書店)で見るたびに、欲しいなぁと思い続けていたんですが。このたび、やっとのことで購入。って、別にそんな高いものではまったくないんやけど。サン=テグジュペリ「星の王子さま」で、あまりに嬉しかったので、すぐに読み始め。あっというまに読破。ま、童話っていうか児童文学ですのでね。そんなに長くもないし。難しいこともないし。でもね。すごく深い。子供の頃にも何度か読んだことあったと思うんだけど。大人になってから読むと、全然印象が違う。読めば読むほど、いろんなものが見えてくる気がします。これって、子供向けのお話なんだろうけど、絶対に大人も読むべき。というか、大人こそ読むべきだと個人的には思います。オススメ。***たくさん出ている中でも今いちばん気になってるのは、内藤濯さん訳のオリジナル版。このものがたりを「星の王子さま」と名づけたその感性には、脱帽。星の王子さまオリジナル版(内藤濯・訳)
2009.01.08
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「泣きたくなるほど優しい本です」そう書かれた帯と、いのちの象徴みたいなちいさな手の写真。そんなのに惹かれて手にとってみれば、尊敬する詩人のおひとりでもある谷川俊太郎さんのお名前。これで私が買わないわけはありません。谷川俊太郎 with friends 「生きる わたしたちの思い」一片の迷いもなく、取り置きしまして。帰ってから、早速読みまして。まぁ、詩集なんてものは長編小説とは違い、まずは最初にさらりと読んで、あとは折に触れ、何度も何度も再読を重ねるというのが私のスタイル。なので、とりあえず、初読は一瞬で終了。ちなみにこれ、もともとは某mixiの谷川俊太郎コミュニティの中から生まれたムーブメント。谷川氏の「生きる」という詩を基に、それぞれの「生きる」を書いてみませんか?というのが反響を呼び、本になったもの。なので、等身大の「生きる」がたくさん。ことばとしては谷川さんのものには遠く及ばないけれど、それぞれの「生きる」は、それぞれに魅力的。いろんな「生きる」が描かれていて、読んでいるうちに、涙がこぼれます。そうして読み終わったら、自然と自分なりの「生きる」を考えていたりして。痛ましい事件も多かった2008年。そんな1年の終わりにこの本に出逢えたことが、うれしくて仕方ありません。あまり詩というものに馴染みのない方も、あまり活字を読む習慣がない方でも、だいじょうぶ。老若男女問わず、かなりおすすめの1冊です。
2008.12.30
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以前から気になりつつも、なかなか読むに至っていなかったけど。ついに読了。伊坂幸太郎「死神の精度」いやぁ、いいね。主人公が死神という設定での短編集っぽい1冊なんだけど、実は長編とも取れるような。ひとつひとつの物語のどこか一部がつながっていっているような。正直、読み始めた段階では、設定自体に無理があるよなぁ、なんて思いながらだったんだけど。いつのまにかどんどん引き込まれていって、最後には納得。というか、伏線の回収のしかたがとても優しい。最後の最後でこの物語がまあるく完成する感じ。事実だけを言うならば、とてもたくさんの「死」が描かれているのだけれど、読後感はとてもいい。心地良い1冊です。***そういや映画になってたんですよね、これ。原作が好きなやつって、あんまり見ないようにしてるんだけど。(だってほぼガッカリするもん)これはどうなんだろ。見た人いますか?Sweet Rain 死神の精度 コレクターズ・エディションSweet Rain 死神の精度 スタンダード・エディション
2008.12.29
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