モーツァルトへの旅

モーツァルトへの旅

2009.09.25
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カテゴリ: ギリシアへの旅
デルポイの遺跡.jpg

  かつては「汝自身を知れ」の託宣が刻まれていたという古代都市デルポイの遺跡。急峻な

パルナッソス山 の斜面にある。


 ソクラテスは、この
デルポイ を訪れたとき、「ソクラテスほど賢いものはいない」との託宣

を受けた。「そんなはずはない」と、アテナイ市内の有識者を訪れ、彼らの「知」を吟味し、

一つの事実に気づく。「私がもし彼らより賢いとすれば、それは自分が無知であることを知っ

ていることだ」と。これが有名な「無知の知」である。

  なんという謙虚さ。この謙虚さが、ときにとぼけているととられ、ときに馬鹿にしてい

る、ととられた。だが、これこそ、ソクラテスの本音であるに違いない。プラトン描くソクラ

テスによれば、彼自身、自分が「一匹のけだもの」なのか、それとも逆に「神に近い存在」な

のか、わからない、と次のように告白しているのだから。



  ぼくは、あのデルポイの社の銘が命じている、
汝自身を知れ 、ということがいまだにでき

ないでいる。それならば、この肝心の事柄についてまだ無知でありながら、自分に関係のない

さまざまのことについて考えをめぐらすのは笑止千万ではないかと、こうぼくには思われるの

だ。…はたして自分は、テュポンよりもさらに複雑怪奇でさらに傲慢凶暴な一匹のけだものな

のか、それとも、もっと穏和で単純な生きものであって、いくらかでも神に似たところのあ

る、テュポンとは反対の性質を生まれつき与えられているのか、とね。


            (プラトン
『パイドロス』)


テュポン とはギリシア神話に出てくる魔神で、大地の神ガイアの子である。

腿から上は人間、腿から下は巨大な毒蛇がとぐろを巻いた形をしていて、火を放つ目をもち、

肩からは百の蛇の頭が生えているという。

二-チェがいみじくも「怪物」と喝破した ように、ソクラテスの中にさえ「獣性」が潜むならば、む

しろ我々はどこかホットするのではないだろうか。つまり、我々でもソクラテスになれるの

だ、と。








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最終更新日  2009.09.26 07:26:57
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