俺にとってのダイア・ストレイツはもうほぼ100%Brothers in Armsであり、つまり一部の曲(=Money for Nothingと「サルタン」)を除いては辛気臭いバンド、と言うのが認識であった。辛気臭くて長い曲。よく聴けばいい曲だが、その前に眠くなる音楽の夢魔。その実態は「あれ?ピンク・フロイド(ギルモア期)とたいして違わないじゃん」である。
で、この度最初の二枚を聴いてみて、実にくっきりと印象が変わった。どちらも9曲入っていて、7分を超えるような曲は無い。全体にコンパクトだし、それにポップだ。だからって未完成かと言うと、とりあえずマーク・ノップラーのギターはもう完成なんて生易しいものじゃなく、強いて言うならBrothers~に比べて手癖依存率が高い印象(サルタンと同じフレーズがしょっちゅう出てくる)って程度か。 とにかく、Money~やWalk of Life以外のダイア・ストレイツに「ポップでコンパクトで聴き易い」という印象は持ったことがなかったので、これは嬉しい収穫だった。いや、レコード店でも他のアルバムを手に取りつつ「う~ん、5曲かぁ」なんて悩んでたからね。プログレなら5曲でも平気なんだけど。
と、いいつつ、最初に書いたように実はBrothers In Arms(曲の方)なんかフロイドみたいで、実はプログレ的な聴き方だって可能なんだ。で、そう思った時点であの陰気くさいアルバムが何故馬鹿売れしたのかも少し理解して。要するに、フロイドの「鬱」が売れたのと同じで、結局イギリス人ああいうの好きなのね。バラード好みな傾向もあるでしょ。結構日本人と嗜好が近いかも。島国根性か。