S.F. SorrowやDefecting Greyが「作曲」の枷を取り払い、これ以降プリティーズの楽曲には「曲名クレジットは2曲(以上)、でも実は一曲」というのが増えて行く。例えばこのアルバムだとまさしく前半の流れがそうで、勿論トータルアルバム、組曲的な意味(ストーリーは無い)もあるだろうけど、そういう曲作りがSorrow以上に強調されている。 序曲的なScene Oneはともかくとして、The Good Mr.SquareとShe Was Tall, She Was Highは一つの曲の二つのパート、と考えても差し支えない。実際、シングルはGood Mr. Squareと言うタイトルだけど、She Was Tall~まで含まれた形でカットされている。Scene Oneが無いので少し始まりが唐突に感じる(いや、元々繋ぎが唐突なんだけど、ソレ込みで場面転換の意味だからさ)。
この次の流れ(In The Square / The Letter / Rain)も組曲だけど、ここまでの流れは全体にフォーキー、アコースティックな雰囲気が全体を包む。前作から繋がる美しいハーモニーを生かした楽曲が多く、そこにやさぐれたメイとだみ声のウォーラーという、どっちも「美しいハーモニー」にもう一つ馴染まない要素を何故か見事に馴染ませている、ってのが不思議で、面白くて、しかも格好良い。
Cries from the Midnight Circus, Sickle Clowns, She's A Loverあたりのヘヴィな曲と序盤の楽曲群が同居するのがこのアルバムの面白さ。何となくフーのSell Outみたいに途中でコンセプトが終わっちゃったようにも聴こえちゃうけど、まあ曲がいいからオッケーでしょ。この辺の曲死ぬほど格好良いもん。1stのガレージ野郎が1970年になったらこんなことやってるって、凄く自然じゃん。それこそフーだってそうだしね。