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2010年01月11日
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カテゴリ: 北朝鮮問題の分析
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「経済原理が理解出来ないのではないか」という憂慮も


去年11月末の貨幤改革以降、北朝鮮が「してはならない経済措置」を相次いで発表している。これによって、本来の貨幤改革の目的を果たすのも難しく、社会の統制力を掌握することもできない、失敗の為の貨幤改革に全力疾走しているようだという憂慮が、国際シンクタンクを中心に提示されている。

◆市場勢力の資金を奪うことだけに没頭=6日で北朝鮮が貨幤改革を施行してから正確に1カ月が経過した。北朝鮮政府は去年11月30日、電撃的に貨幤改革を実施した後、12月6日までに旧貨幣と新貨幣の交換を終えるようにと指示した。

しかし、ピーターソン国際経済研究所は6日、『彼らの不満で一杯の冬:平壌、市場を攻撃する』という報告書の中で、△経済の沈滞△高騰する物価△慢性的な食糧不足の中、どれにも効率的に対応することができないだろうと予測した。

普通、貨幤改革は△施行日程を予め公開して△交換に充分な時間を与えて△1人当りの交換率に限度を決めないのが一般的である。最近、貨幤改革を断行したガーナの場合、7カ月前から貨幤改革を公示して、新・旧貨幣の交換に6カ月の期限を与えた。

しかし、北朝鮮は11月30日の施行前日、党・指導細胞を集めて指針を下した後、次の日、電撃的に施行した上、新貨幣の交換期間を1週間しか与えなかった。世帯当り10万ウォンという上限も決めた。公式月給が1人当り4,000~10,000ウォンである点を考慮したら、1人当たり2~3カ月分の生活費水準。しかし、市場価格から計算したら、10万ウォンはコメ60kgも買えない価格である(コメ1kg=1,700ウォン内外)。闇市場のドル価格にしたら、30ドルほどになる(1ドル=3,500ウォン内外)。

貨幤改革の勝敗は、どれ位経済がうまく作動するかに掛かっていた。しかし、北朝鮮政府は「市場勢力の資金を奪う」事だけに集中しただけで、後続措置や影響を考慮しなかったように見られる。一部専門家たちの間からは、「北朝鮮が経済原理をよく理解できないままで貨幤改革を施行したのではないか」という分析が提示されている。

北朝鮮経済が市場に依存するようになったのは、1990年代「苦難の行軍」を経て、公共領域が生存を保障してあげられなくなったからである。公共経済が崩壊して、「下からの市場化」が自発的に施行されたのである。

このような状況を反映して北朝鮮は、2002年に「7・1措置」を施行するなど、市場経済的な要素を取り入れた。しかしながら、2002年以降、ドルに対する北朝鮮ウォンの価値は、毎月7~9%ずつ低下して行った。年率を基準にすると130~140%にもなる。年平均100%を超えるインフレーションを経験したという話である。

このような状況の中、北朝鮮は2005年から市場措置を元に戻し始める。経済の悪化によってインフレが発生する中、更に物資不足を加速化させる政策を執ったのである。公共配給制を開始し、市場で穀物取り引きを中断させた。2007年(40歳以下の女性による市場活動の禁止)、2008年(市場の取り締まり、10日市措置)、2009年(ピョンソン市場-最大規模の卸し売り市場-閉鎖)といった反市場措置が続いた。


既に北朝鮮経済の相当部分を市場が引き受けているし、全ての財貨が公共領域に戻る可能性がない状況でも、「市場の弱体化」だけが続けられている。

旧貨幣の使用可能期間を6日に制限すると発表するや否や、誰もが品物の購入に没頭し、物価は大きく高騰した。物価が上がったので、卸し・小売商人たちは今後の価格変動を予想して、品物を市場で売らなくなり、従って物価はもっと上がった。

先月28日からは北朝鮮内で国内人はもちろんのこと、外国人まで外貨使用が禁止された。21日には「配慮金」の形態で、現金を配り、事実上の賃上げを誘導した。

この2つの措置は、20年前の冷戦解体と旧ソ連経済崩壊の過程で、東欧国家が物価暴騰と経済沈滞で喘いだ時、ジェフリー・サックス・ハーバード大教授が、「絶対にしてはならない事」としながら警告した、代表的な措置である。通貨の互換性(convertibility:自国の通貨を外貨と交換できる権利)がないと、貨幤価値を評価することが出来ないからである。今回の措置で闇市場でさえ外貨取り引きが中断されたことを受けて、北朝鮮ウォンの価値の歪曲現象は一層悪化する見通しである。外貨が不足するということは、国境貿易が萎縮することを意味するので、物価上昇要因はまた生じる。無差別な賃金の引き上げも、物価上昇を深刻化させる要因である。先月30日には清津(チョンジン)市スナム市場(平安道の代表的な卸し売り市場)も閉鎖されることになり、日常物資の不足が更に加速化する見通しである。

貨幤改革措置が思うように進まないので、今後、北朝鮮が出来ることは、対外援助の手を借りながら、内部的には社会統制を強化する方法しかないようである。年頭の新年共同社説を通じて、対韓国融和メッセージを出し、金正日の訪中シグナルが相次いで出されたことも、このような脈絡である。

先月4日には、(国境貿易を狙う)不法越境者を現場で射殺するようにという命令が出された。 2008年2月に15人を公開処刑したケースより、もっと強化された措置である。ルディガー・フランク・ウィーン大教授も6日、ノーチラス研究所への寄稿文の中で、「中国と国境統制をもっと強化するだろう」と予測した。しかし、このような措置が短期間の効果はあったとしても、貨幤改革自体が期待通りの目標を達成出来ないのは明確である。


最近の北朝鮮の「非経済的」措置
- 2009年11月30日:電撃的に貨幤改革を断行
(新貨幣・旧貨幣の交換期間、交換規模を制限→物価引上げ要因)
- 2009年12月21日:「配慮金」の形態で現金を撒布
(無差別賃上げ→物価引上げ要因)

(貨幤価値の歪曲、国境貿易の抑制→物価引上げ要因)
- 2010年12月30日:清津市スナム市場の閉鎖
(物資不足の加速化→物価引上げ要因)







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最終更新日  2010年01月11日 11時05分37秒
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