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2003年12月30日
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 やれるのか?



 血の祭壇に巣食う魔物達を全滅させた後に出現した魔物「アイドラ」。

私の眠りを妨げる愚かな人間ども・・・死を以って自らの愚を知るがよい・・・

 私はパーティを組んだ仲間を少しでも守るために、限界近くまで引き上げたホーリーアーマーを唱え、マイナーヒーリングを連唱する。しかし、このホーリーアーマーを無視するがごとく、一人また一人と奴の足元にひれ伏していく。
 だが血の祭壇に集結した強者たちは何度も戦場に帰還し、奴へと攻撃を繰り返す。

やるではないか。出でよ我が息子たち、闇の貴公子たちよ!

 恐怖を胸に抱いた我々の周りに奴は魔物たちを召喚する。ほとんどの者が「アイドラ」を相手にするのが精一杯だ。そんな中魔術師達がシャスタを召喚し魔物たちを一掃する。
 一掃後の安堵。しかし、一瞬の間隙を縫うように奴は叫ぶ。

驕るな! 愚かで卑しい地上の猿ども。

 奴は再び魔物たちを召喚し我々に追い討ちを掛けるがごとく言い放つ。

見えるであろう? 地獄の門が口を開けてそなたを待っている。

 奴は何度でも魔物たちを召喚する気だ。「アイドラ」と魔物たち。双方を相手にすることができるのか。

 「雑魚に構うな!」
 「アイドラに集中しろ!」

 誰が叫んだであろうか。いや、誰であろうと構いはしない。私はこの血の祭壇にきた目的を思い出す。

 「アイドラ」を倒す。

 そのために我々はこの地に集ったのだ。他の魔物を一掃するのは後でもいい。全てはアイドラを倒すため。


 ある戦乙女は全てを貫かんと弓を放ち
 ある魔術師は全てを焼き尽くさんと雷撃を放ち
 ある聖騎士は全てを切り裂かんと剣を振るい
 そして・・・・・・。

 遂に奴はその力を使い果たし体を消滅させる。

 拾い集める冒険者たち。
 しかし・・・・・・。

 「また無かったか・・・・・・。」

 「アイドラ」が妖刀「村正」を持っているという噂を聞き、アイドラ討伐戦に参加すること10数回。
 未だその姿を見ることは出来ない。
 「アイドラ」を討伐したことの感慨もないまま立ち尽くす私の胸に一つの想いが過ぎる。

 「所持する前から魅入られてしまっていたのか・・・・・・。」

 これからどうするかはわからない。
 しかし、討伐戦に参加ばかりしていては己の鍛錬を怠ることになる。何より大事な者を忘れかけていたことだしな。

 いつの日か・・・・・・。
 私は苦笑を浮かべながら血の祭壇を後にした。
 この後待ち受ける恐怖も知らずに・・・・・・。





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最終更新日  2003年12月30日 22時21分17秒


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