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2014.05.05
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カテゴリ: Jリーグ観戦記
監督の文脈(10)

2014年5月3日@等々力 18,261人(91%)
J1第11節

川崎フロンターレ 2-0 ヴァンフォーレ甲府
【得点者】
後半 8分 森谷賢太郎(フロンターレ)
後半13分 OG(小林悠・フロンターレ)


「憲剛に無理をさせて、わざわざ長引かせる必要はないと判断しました」
(風間八宏・川崎フロンターレ監督)


 配布されたメンバー表に、憲剛の名前はなかった。7人のベンチ組からも消えていた。風間八宏は考えたのだろう。憲剛がコンディションを落としている。「勝点3」を確実に
モノにするため、彼を強行出場させるべきなのか。だが中3日の翌週7日には、AFCのFCソウル戦が控える。ここで憲剛を使うリスクを負うよりも、温存すべきではないのか。

 開幕からここまでのあいだ、予想外の故障者続出と引き換えに、フレッシュな戦力に経験を積ませることができた。ACLやカップ戦をはじめとする厳しい日程のなか、誰が出てもフロンターレのサッカーを表現できる自信が芽生えはじめていた。ならば……と。メンバー表から消えたキーマンのかわりに抜擢されたのは、セカンドキャストの山本真希だった。

 “生真希”を最初に目撃したのは、たしか06年のアジアユースだったと記憶している。翌年カナダで行なわれたU-20では森嶋康仁らとともに闘い、グループ予選を突破したが、決勝トーナメント1回戦でチェコにPK戦で惜敗した。
 各カテゴリーの代表に選ばれた選手たちが、そのままトップカテゴリーにまで上がれる保証はどこにもない。いやむしろ、その確率はひじょうに低いという現実がある。たとえば96年のアトランタ五輪で「マイアミの奇跡」を演出した西野朗・五輪代表世代で、当時の加茂周・日本代表監督が空けておいたのは、前園真聖の席ひとつだけだった。ゾノのその後の下降ぶりについては、ここで念を押すまでもない。昨年、コンサドーレ札幌からフロンターレへ完全移籍した真希も、中村憲剛という日本代表選手の陰で不遇の日々をかこつていた。清水エスパルス時代、17歳でトップデビューをはたした男も、この夏、27歳になろうとしていた。日本のフットボーラーは、野球よりも年俸が低く、選手寿命はずっと短いのである。
 この日は4月11日の柏レイソル戦以来、今季3度目の先発となる。真希は、ライバルの大島僚太と中盤の底を組んだ。フロンターレの同じポジションには、すべての年代カテゴリーで名を連ねてきたエリート、稲本潤一もいる。真希にとっては、大きなチャンスの到来だった。


「ヴァンフォーレに与えられた使命は、若い選手の成長=補強だと思ってます」
(城福 浩・ヴァンフォーレ甲府監督)


 ヴァンフォーレの城福監督は、無念の想いを表情と声に出した。
「2-0という今日のスコアが、そのまま両チームの力の差なのか。それは皆さんの判断にお任せいたします。だけど皆さんの予想通りの結果になってしまい、とても口惜しいです」
 前節までの集計記録によれば、フロンターレの総得点は18である。同じくわずか8得点のヴァンフォーレが、最初の45分間を失点ゼロで凌ぎきったのだ。両チームの総失点数が、ともに「11」という事実も見逃せなかった。ヴァンフォーレは第7節の名古屋グランパスと第8節の大宮アルディージャを相手に2連勝、左サイドバックの佐々木翔が2ゴール、甲府一筋14年目の石原克哉と、189cmのハイタワー・盛田剛平もそれぞれ1得点ずつ決めている。だが前節、開幕9連敗中だった徳島ヴォルティスに初白星を献上してしまったのが、彼らの実力ということなのだろうか。徳島は、城福監督の生まれ故郷だった。

 指揮官は、振り絞るような言葉で、こうつないだ。
「奪ったボールを、その後、どう動かすのか。これは、各選手の質に関わる問題です。だけど、この部分を上げていかなければなりません。ウチには決定力の高い選手がいるわけじゃありません。しかし決定機の数を増やしていかないと、J1には残れないんですよ」
 熱い男は、ヴァンフォーレというクラブに課された使命は何か。それを口にした。長年にわたってユース年代を指導してきた誇りからか、具体的な言葉でこそ表そうとはしなかったが、サンフレッチェ広島のような育成型クラブを目指す。おそらくそれが、当たらずとも遠からずの本音だろう。
 だが育成型チームには、現在浦和レッズでプレーする槙野智章や柏木陽介、西川周作のように、資金潤沢なクラブに選手を奪われるという宿命がある。それでもサンフレッチェは、J3連覇を目指すだけでなく、同時にACL王者という野望ももつ。武田信玄で名高い山梨のクラブが目指すのは、「3本の矢」で知られる中国地方の名将・毛利元就というわけだ。

 いずれにしろフロンターレがゲームを支配するのは、両チームの戦力差を見れば当然だった。カウンターの成功がヴァンフォーレの鍵を握っていたが、相手のわずかなミスに乗じて得点までつなげるには、かなり高い集中力が求められる。しかしキックオフ時、気温は26度まで上昇していた。
 ハーフタイムで、風間監督は次のような指示を出している。
 「全体をコンパクトにして、走る距離を短くしよう」


 後半8分の先制点は、まさしく「短い距離での崩し」から生まれた。左サイドバックの谷口彰吾正から、中央の小林悠、そして真希が森谷につないでネットを揺らした。この間、わずか3秒ほどしか要していない。いかに速いスピードでボールが回っているかを証左する決定的なワンシーンだろう。
 その5分後には、城福が警戒していたレナトのドリブル突破から早ばやと2点目を奪われ、ヴァンフォーレはパワープレーに頼るほかなくなった。パラナとジウシーニョのふたりのブラジル人を投入、3トップの中央に盛田剛平を送り込んだが、強烈な攻撃力をもったフロンターレに対して、これ以上ぶざまな姿をさらすわけにはいかない。守りながら反撃も企てるというサッカーの矛盾を前に、ヴァンフォーレは力尽きたのだった。

 さて、FCソウル戦では、憲剛もベンチに入るだろう。巡ってきたチャンスゲームでアシストを記録した真希の起用はあるのか。競争の激しさを増すフロンターレの中盤に注目していきたい。

【了】


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最終更新日  2014.05.06 00:37:19
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