SweetPain

生 3





「GO!」

走れ 走れ
回れ 回れ
理解(わか)っていたのは今の過去
あっと言う間に目を塞ぐ


    うわづった声
    下品(げひ)た笑み
    硬い心に歯を喰いしばり
    何故なのだろうと訝しがる


ようくお聞き
裸でいたのは今の過去
すぐに忘れて空回り


    お前はとても嫌らしい
    ゲームに勝ったと思い込み
    許されていると思い込み
    選ばれし者と思い込む


思い込んだら もう終わり
変化は既に息も絶え絶え


    走れ 走れ
    回れ 回れ
    心がもがくその前に


しがみつく過去を振り切り
現在(いま)を生きて
一秒先の未来を追え



もう一度だけ言うよ
もう二度と言わないよ
だから
ようくお聞き
理解(わか)っていたのは今の過去
裸でいたのは今の過去


いつだって


本当のお前は何者でもないのさ


さあ 走れ!








「my life」

追いかける影を呼び覚まし
「何か」にたどり着く道
探して走る


裸足の身体は
熱を浴び
狂ったようにうなりをあげて


踊り 踊れ
  夢がため息つく前に


走り 切り裂け
探してた場所は もう すぐそこ


ぼろきれ 二度と掴んで離さない


踊り 交われ
「何か」にたどり着く道


四足で這うように
泥水を舐めるように
ただ
進め


期待など 追い越してしまえ


口先だけの聖者なんか
誰も 望んでない


望んでなんかいないんだ








「かといって」

かといって
全てを洗い流してくれる
雨が降るはずもなく


空は
悲しいほどお天気


仕方ない


埃だらけの体で
今日一日を生きてゆけ


垢まみれの体で
明日一日分の朝日を掴め


滑り落ちそうになる
幸せと
爪の間に挟まったままの



そして


一生かけても消せない
十字架を
胸に








「ハレルヤ!」
準備はもう出来たかい?


何してる
詰め込む荷物に 意味はあるのか
ごらんよ
そんなのとっくに 腐ってる


荷物なんか
お前のからだ一つで十分だ


さあ
目を見張り
耳を研ぎ澄ませ
鼻を動かし
五感に交われ


時はもう すぐそこまで来ている



お前を 待ち望んでいる








「ミチノハテ」

意味のない不協和音が
聞こえてくる カンジ


緻密な時計が
ニヤリと笑って


砂嵐よ
つくるならここに道を造れ
うねりの分だけの長い長い道を


こわすなら勝手におやり


お前の痛みに
引きずられてる余裕はない


「ミチノハテ」が 私を呼ぶんだ



行かなきゃ



意味のない不協和音
むしろ 心地いいぐらいで


緻密な時計
どこまで顔をゆがませる?


全部つれて
少し 勝気で


歩いていってみようかな


その「ミチノハテ」ってやつに逢いにさ


何が待ってるんだろう
誰が待ってるんだろう


今は まだ 
眩しすぎて何も見えないけれど



行ってみたいな・・・


行ってくるね 探してくる 「ミチノハテ」 を

・・・先に 行ってるよ








「ものごとは・・・」

ものごとは
あまりにもシンプルで
現実を受け入れるだけでよかったりする


    ものごとは
    あまりにもシンプルで
    現実を楽しむ知恵だけでよかったりする


ものごとは
あまりにもシンプルで
闘いを手放すだけでよかったりする


    ものごとは
    あまりにもシンプルで
    地球自体が一つの生命体だと
    気づくだけでよかったりする


ものごとは
あまりにもシンプルで
人間はその中の細胞の一つに過ぎないと
気づくだけでよかったりする


    ものごとは
    あまりにもシンプルで
    細胞の一つでも欠けたら生命は成り立たないと
    気づくだけでよかったりする


ものごとは
あまりにもシンプルで
笑っていれば他の細胞も元気になるもんだ
と笑ってるだけでよかったりする


そうだな


複雑なのは
その「思考」だけなんじゃない?
アイデンティティーだと思い込んでる「思考」の事さ!


難しくなんかないよ


そうだな


ものごとは
あまりにもシンプルで


シンプルだからこそ
生きてるって
楽しい








「運命の輪」

貴方がもし
そうだと思うのなら
全ては
すでに廻りはじめている


心から
そう願うのなら



森羅万象



貴方もその一部であり
私もまた
運命の輪の一つである


全ては
然るべき時に
然るべき事をなすようにできている


見逃すな


本能を研ぎ澄まし


閃光をつかめ
時間を乗りこなし
生命
そのものとなれ



もし
貴方がもし
そうだと思うのなら
全ては
すでに廻りはじめている



繋がり始めてる








「手綱」

少しずつ 緩めてく
急に手放しても
戸惑うだけだから


暴走した身体が
天に向かって
燃え尽きてゆくのをみたい?


私は嫌
そんなの 決して本望じゃないもの


だから
少しずつ 緩めてく


思ったより力が要るのね
擦れあう 手のひらと藁の綱
赤い肉が 顔を覗かせ
でもね
なんとなく 生きている気がするの


いつだって 望んでたのは
針の筵(むしろ)のような力だった


一点に集中する力
爆発の まさにその瞬間


多分
この星が生まれた瞬間
そのぐらいのものを望んでた



急に手放せば
赤い肉から 炎が叫びだすわ
擦れあう 手のひらと藁の綱
爆発の  まさにその瞬間


暴走した身体が
天に向かって
燃え尽きてゆくのをみたい?


私は嫌
まだ 生きていたい



お終いなんて 何処にもない


手の 届く範囲にも
耳の 感じる範囲にも
鼻の 香る範囲にも
そして
目の 限りなく澄ました範囲にも


まだ
お終いなんて 何処にもない


ああ 指の腹からも 赤い肉が


でも
本当に不思議ね
なんとなく 生きている気がするの


許された気がするの


手綱を堅く 握り締めながら
少しずつ 緩めて



ねえ
私は 笑ってる?








「水」

愛情や優しさは
流れる水のようだ
いくら頑張って
注いでみたところで
受取る器がなければ
貯めておくこともできない


愛情や優しさは
流れる水のようだ
いくら頑張って
貯めこんでみたところで
安心して胡座をかいていれば
いつかは蒸発してしまう


愛情や優しさは
流れる水のようだ
いつも心地良いとは限らない
目が覚めるほど
冷たいときもあれば
痛みを伴うほど
熱いときもある



それでも私が水を求めるのは
「生きているから」
ただ それだけの事



だけど
待っているだけでは
干からびてしまうし
かといって
私の中の水を出し惜しみすれば
いつかは腐ってしまう



なら どうすれば良いのだろう



難しいことなど何もない
それでも 分からなくなるのは
時に
答えがあまりにも単純すぎて
物事を複雑にしたがる
私の傲慢さが邪魔をしてるだけ


本当に
ただ それだけの事
だけど とても
大切な事








「閃光」


ただ独り犀の角のように進め
全てを抱え
光ほとばしる 地平線を目指して
荒野を
どこまでも どこまでも



    忘れたいものは何?


愛された記憶
愛されない記憶
信じた記憶
裏切られた記憶
笑顔 涙 怒り 恐れ 嫉妬


    何もないここでは
    己自身が生の証
    向かうところに敵はなく
    ただ
    荒野が果てしなく広がるだけ


それでも
歩いていけ
光がみえるかぎり



底をついた素面の頭で
もう一度
地獄を見に行って来い




雨の日も
照りつける日も
雪の降る日も
風の吹く日も


    汝
    ただ独り犀の角のように進め
    全てを抱え
    光ほとばしる 地平線を目指して
    荒野を
    どこまでも どこまでも



決して見失うことのない光を目指して








「法則」

ひんやりと
爪を 研ぐ


目的が
あるわけでなく


何かの法則が そう させるだけ




ゆれる
ゆらぐ


流される




発見したのは
君かい?


声なんか
どこからも 聞こえないさ


内なる響きに
視覚は
必要じゃ ないの?


ねえ 想像の産物をおしえてよ




そして今日も
夜が来て


行為は繰り返される


目的が
あるわけでなく


終末が
香るわけでもない


何かの法則を



確実に 何処か 流されながら






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