法務省赤レンガ棟
明治19年、政府は西洋建築による官庁街集中計画に着手した。
当初の案では、主要官庁すべてを一ヶ所に集めて、巨大な官庁街にする筈だったが、諸般の事情により縮小された。
最終的に、現在は残っていない最高裁判所と、この司法省の庁舎の完成のみにとどまった。
赤レンガ棟は、明治28年に竣工し、計画の壮大さを今に残す唯一の遺構である。
堂々たる建物は、ドイツのネオバロック様式で、ドイツ本国の建築にも優るとも劣らない。
屋根中央に小さな尖塔を乗せ、左右両翼に張り出したゴシック風の外観は、気品さえ感じさせる。
レンガ造りの西洋館には珍しく、なんとなく懐かしさもある。