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2019.02.17
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カテゴリ: 読書
友人が「和田竜は面白いよ」というので有名どころでも読んでおこうと,『のぼうの城』を読んでみた。映画にもなっているからね,タイトルくらいは知っていたわけだよ。

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のぼうの城 上【電子書籍】[ 和田竜 ]

大まかなあらすじとしては,主人公,成田長親たちが平和に暮らしている忍城に,豊臣秀吉の命を受けて石田三成が攻めてくるわけだ。
普段は「でくの坊」だから「のぼう様」と呼ばれている成田長親だが,この危機に立ち上がる,とそういう筋書きになっている。
僕は成田長親という武将については知らなかったわけだが,秀吉が天下を取ったことは知っている。そうすると,どうあがいてものぼう様たちは最終的には負ける,ということは分かっている。
それでも,「きっと一泡吹かせるくらいはするのだろうな…」と思いつつ,読むことになるわけだ。

内容的に,戦場での戦闘描写なんかが細かく,迫力があって映像向きの作品だなぁ,と思った。
主人公の成田長親は戦場ではほぼ活躍しないので,正木丹波や柴崎和泉が一騎当千の活躍をしていくのだが,ここぞというときに正木丹波が槍をくるりと一回転させるところなんかカッコいい。

そして,こんなに強い正木丹波や柴崎和泉が,ヒロインの甲斐姫にコロリと投げ飛ばされたりするわけで,これもまた面白いところだ。

ただ,反面で心理描写があんまりない。
なぜ成田長親は,圧倒的不利な状況で降伏ではなく,抗戦を選んだのか,という点もそうだし,意図的にか,成田長親の心理描写は差し控えられてる。だから,成田長親の行動は,正木丹波だとかその他の百姓の口から説明されるのを待つか,読者が考えるしかないという感じになってる。
特に,水攻めで絶体絶命の危機のとき,また水攻めを破るため自分の命を駒として使ったときの成田長親の心情はどうだったのか,とかは特に描写はない。
最後は秀吉に降伏し,甲斐姫を差し出さざるを得なかったときの成田長親の心情はどうだったのだろうか。外見上はかなり淡泊な描写になっているが,ここは相当気になるところだ。

逆に,敵将の石田三成なんかは,「なぜ水攻めなんて戦術をとったのか」というところを含めて心理描写がかなり充実しているうえ,大谷吉継との会話という形で内心の説明があるので,非常にわかりやすくなっている。
そういうところがあって,「秀吉の圧倒的武力に逆らい,一泡吹かせることに成功した弱小領主の物語」というより,「武功を立てたいと焦った光成が失策をするものの,精神的に成長する物語」として主役は三成じゃないのか,と思わないでもないかな。


のぼうの城 下【電子書籍】[ 和田竜 ]





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最終更新日  2019.02.17 15:51:47
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