このオメガ因子と「命を授ける」という意味の「アスラシステム」OSが似通っているように感じました。 人の感情のうち、安堂麻陽によって「愛」に目覚めたロイドに比べ、七瀬の別人格である黎子の嫉妬・憎悪の感情に触発されて人間をも殺めてしまうようになったARX IX - THE LAST QUEEN。 人間が善にも悪にもなりえるように、より人間に近いアンドロイドもまたクライアントや係わる人間の思想によって善にも悪にもなってしまうという啓示のようだと感じました。
回数が限られたアスラシステムの起動は、ウルトラマンが3分しか戦えずカラータイマーを鳴らしながら戦っていたような緊迫感を与えるためかと最初の頃は感じていました。でも、9話でロイドが言っていたように、アスラシステムのような特別な力の発動ではなく、愛の力に目覚めたロイド、サプリ、角城たちが自らの意志で行動を起こすこと、その想いの力は絶対を誇るARX IX - THE LAST QUEENの力を凌駕することを伝えたかったのではないかと思いました。
角城がサプリに、ロイドが麻陽に遺言を託し、「お前に遺言を託せる人がいるのか?」とロイドが問いかけたシーンは、誰からも名前をつけてもらえずそして名前を呼ばれることがなかったARX IX - THE LAST QUEENが感情をインストールされても愛に目覚めなかった理由なのではないかと感じました。
そんな孤独なARX IX - THE LAST QUEENを腕と翅で包み込み球体と化したロイドは、「兄」として彼女の罪も背負いながら自分の愛する人々を守ろうとした。 その姿は、「鉄腕アトム」の最終回でアトムが地球にミサイルを落とさないように自らミサイルにつかまり方向を変えながら太陽へと飛んで行ったラストシーン、あるいは「サイボーグ009」の最終回で力尽きた009と002がともに大気圏に突入し地上の人が流れ星だと思って世界平和を祈ったラストシーンを思い出しました。