幼児教育の観点から


最重要だと考えます。

 大学4年のときに、教育学科の「幼児教育における児童中心主義について」
というゼミを取りました。本来、他学科の学生が履修できるゼミでは
なかったのですが、教授の教育理論と人柄にほれ込んだ私が無理やり
頼みこんで混ぜてもらったというわけです。そこでは、さまざまな幼稚園の実例をビデオで視聴、
8人ぐらいの学生でデイスカッションという授業を何度か行いました。それ以外には、エミールやエレン・ケイなんかを講読したと
記憶しています。

 そこで、強烈に感じたこと、当時、「どろんこ保育」がもてはやされて
いたのですが、「どろんこ保育」をしているからいいという訳ではない。
自由という名の下に、放任なだけかもしれない。
「どろんこ」そのものが一つのセールスポイントになり得るので、
それで保育の質を見定めることは出来ない。

 一方、四字熟語や論語なんかを覚えさせる幼稚園もありました。
これも一つの特徴です。
イベント時の組体操や鼓笛隊も然りです。
完成したものは立派ですから、そこに行かせたいなと考える親心も
理解できますが、立派なものを披露するために、上手く出来ない子を
参加させなかったり、保育のほとんどを練習につぎ込んでしまったり。
もちろんそれを親が望めば問題ではないのかもしれませんが・・。

 私は一番魅力を感じた園は、はさみを上手く使えない園児がいて、
教諭は励ましたり、教えたりします。そして「今日は寒いから
手が動かないのかもね」というようなことを言って、手を握って
あげます。
数日後、上手く切ることが出来ました。その時に思わず園児は
「切れたよ。あったかいね」とつぶやくんです。
確か、このビデオのタイトルは「切れたよ。あったかいね」
だったと思うのですが、こんな風に自然に身体を触れ合って、
出来たときの喜びをこんな風に伝えられる子ども、そして
それに気づく教諭のいる園が、「児童中心主義」の現場なのかな
と思いました。
私は教育学科ではないし、幼稚園教諭の免許は取得できませんから
現場に出ることは不可能だけれど、いつか子どもが出来たら、
そんな園に行かせてあげたいなという夢も抱きました。

それから、10数年・・もっとかな?

行かせたい園なんて、なかなかありません。
期待、失望、その繰り返しだったかもしれません。

ゼミで語りあった仲間は幼児教育の道に進んだ人もいます。
母校の付属幼稚園に残った人も・・。
外から伺い知ることはできないけれど、きっと彼女なら
「児童中心主義」を実践していることだろうと信じています。
恩師は当時、助教授でしたが、教授になり、今でも
私に読むべき本を薦めてくださったり、アドバイスを
くださいます。私がお薦めした本を学生のゼミに使って
下さったり、感想をおっしゃってくださったり・・・。

でも、プリスクールで体験したことはほとんど話していません。
「愚かだ」「ばかげている」「大学で何してたの?」
なんて言われることが怖かったからかもしれません。


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