◆◆ 内分泌療法(去勢術)はやめられない? 死ぬまで? ◆◆
一般的な診療、一般的ながん治療において
ある種の治療の効果が無くなれば、
その治療は、中止して、新たな治療を開始するのが、
普通の対応です。
私 Uromaster が泌尿器科、前立腺がんの診療を始めたとき、
最初の疑問は、
『内分泌療法が効かなくなっているのに、
そして、新たな治療を始めるのに、
なぜ、延々と内分泌療法を継続しなければならないのか?』
効かなくなった、すなわち去勢抵抗性前立腺がんになっているのに、
なぜ、内分泌療法(去勢術)を継続しなければならないのか。
前立腺がんでは、内分泌療法は中止できないのか?
内分泌療法(去勢術)を行っているにもかかわらず、病勢が進行すれば、
内分泌療法(去勢術)は効いていない、効果がないということではないのか?
効かない治療をなんで、継続しなければならないのか?
実は、いまだに、疑問に思っています。
新規抗アンドロゲン剤、
タキソテール、ジェブタナの化学療法
ゾーフィゴ治療
緩和医療
を新たに始めたとしても、延々と内分泌療法(去勢術)は継続されます。
進行前立腺がんとして治療中の皆さん、
去勢抵抗性前立腺がんになっても、延々と内分泌療法(去勢術)を続けていませんか?
なぜ効かなくなった、内分泌療法を継続しなければならないのかと、
疑問に思ったことはないでしょうか。
決して、安価な治療ではありません。
注射のために、定期的に(クリニックによっては
1
ヶ月毎)
診療所に 延々と
通わなければなりません。
どうも内分泌療法(去勢術)の効果が無くなっているらしいにもかかわらず・・・
今までも、そしてこれからも・・・
死ぬまで??
主治医の先生から、内分泌療法(リュープリン、ゾラデックス、ゴナックス)を中止しましょうという勧めや説明はありますか?
内分泌療法(去勢術)には、様々な副作用があることが知られています。
内分泌療法は命を削る治療です。
ある意味サイレントキラー(静かに命を削る治療)です。
健康な人には、行ってはいけない行為です。
男性ホルモンは人間の生活・営みに重要な役割を果たしています。
昨今は、男性ホルモン(テストステロン)が低下した患者さんに対する補充療法まで、
泌尿器科医の診療・治療分野に入ってきています。
内分泌療法(男性ホルモンの低下)の副作用、リスクとして、
以下のものはすぐ思いつきます。
1)性機能への副作用
2)ほてり、顔面紅潮、女性化乳房
3)骨への副作用
4)糖尿病や心血管病(脳梗塞、心筋梗塞など)の悪化
5)肥満とメタボリック症候群
6)精神神経症状(うつ状態、易疲労感、活力低下、認知症)
男性ホルモン低下による副作用は、内分泌療法が継続され、長期になればなるほど増加し、顕著になります。
性機能障害、骨粗しょう症、易骨折(骨折しやすくなる)、ほてり、のぼせ、顔面紅潮、肥満、糖尿病、脂質代謝異常(高脂血症)、心血管病(脳梗塞、狭心症、心筋梗塞)など多岐にわたります。
これらのリスクは、内分泌療法を始める前に知っておくべきですし、きちんと管理していかなければなりません。
昨今は、認知症との関連もいわれています。
副作用で生活の質が落ちたり、身体を壊せば、治療どころか、何をしているかわかりません。
これらの副作用を凌駕する利益を、
『内分泌療法(去勢術)』で、患者さんにもたらさなければなりません。
果たして、内分泌療法(去勢術)は、全体的に総合的に、患者さんの利益になっているのでしょうか?
病状が進行していれば、
我々泌尿器科医は、新たな治療は試みますが、内分泌療法をやめる選択を、
標準治療として、実は選ぶことができません。
病状が落ち着いていれば、勇気ある泌尿器科医は、内分泌療法をストップすることができるかもしれません。
内分泌療法中止!
間欠療法?!
男性ホルモンは、人間にとって、重要な働きを担っています。
男性ホルモンは、社会的ホルモンといわれています。
男性ホルモンを除去する生活を、延々と続けて果たしていいのでしょうか?
正しい答えを私 Uromaster は持ち合わせていません。
たとえ、進行前立腺がんの診断を受けて、内分泌療法(去勢術)が、今は、現時点では必要だとしても、
将来的には、『生活の質・ QOL 』に配慮した、副作用の少ない治療、プレシジョンメディシンが望まれます。
前立腺がんの治療はうまく行っているのに、副作用からくる心血管病で命を縮めたり、認知症が発症して、生活の質が落ちてしまったら、何をしているかわかりません。
面白かった、ためになったという方は、クリックしていただけると嬉しいです。
ご希望であれば、過去のバックナンバーも見ることができます。
前立腺がんで気を付ける生活習慣は? 2025年01月20日
ゾーフィゴ治療の問題点 2024年09月09日 コメント(2)
PSMAを利用した診断と治療 2024年06月16日 コメント(4)