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2009年04月09日
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カテゴリ: 私の研修生達
「コミュケーションにおける『事実』とは、Aが何を言ったか、ではなく、Bがそれをどう理解したか、である。」

と以前教育心理学の先生が言っていたが、今それを実感している。

結局相手にこちらの意図が伝わらなければ、意思の疎通はなりたたない。
特に、指導する場合、教える立場からの伝授はそうであろう。



先日からロバート君の研修がはじまった。
彼の場合は、学校のプログラム、というわけではなく、春休みを利用した自発的な研修。
一応、職業訓練生を希望しての就職活動中とはいえ、熱心である。

学校の授業で金属加工の経験があるとはいっていたものの、彫金専用の机にすわっての本格的な作業ははじめてのロバート君。


185センチのがっちり体型の男の子が、手をプルプルさせながら、

「手、手がつりそうです、、、、、先生はつりませんか?」

なんて聞いてくるのは、まだ16才だなあ、と微笑ましく思ったりもする。

そんな、はじめの課題に取り組んでる彼とやりとりのなかで、思わぬ「コミュニケーションの壁」にぶちあたってしまった。

・・・・もしかして、話が伝わってない、、、?

ジュエリーをつくるにあたって重要なことは、作業の一環を頭のなかで組み立てること。
順を追って、いかに効率よく、無駄がなく(使っている素材が高価な為、これもかなり重要なポイント)完成させるかにかかっている。
そして、はじめから極力ミスをしないように努めることである。
(してしまったミスを修正するほうが、ミスをしないようにするより難しい場合が多い)

修業期間中に、親方から弟子が学ぶことは、技術はさながら、そういう仕事をするにあたっての作業のコーディネート、科学的な根拠(それが、失敗の再発を防ぐ)、そして臨機応変な応用性であると思う。

弟子が一人前になる為には、それを学ぼうとする弟子側の姿勢と、育てようとする親方の熱意が必要なのだ。



そこで、学校(hauptschule)には、どういう教科があるかのか、と聞くと、

「僕はGtBなんですが、KtBと HsBがあります」

Gt、、、は?
何をいっているのか、さっぱりわからない。

「・・・う~ん、化学、とかはやっているのかな?」


PCB に、GSE?
やっぱり私には意味不明である。(注1)

もしかして、私にこの略語が理解出来ないように、私の話も彼にとってはチンプンカンプンなのだろうか?

なんとか別な方法で、「伝え」なければ、、、、。
たとえ、科学、論理、という共通の言語がなくても、他に方法はあるはずである。

そこで、合金の金属結合を人間に置き換え、
「白人と黒人とアジア人が仲良く手をつないでいる状態」

が三元合金であることを説明すると、一発で理解してくれたようだ。

そして、
「・・・・そこに、もうひとりやってくるわけだ。でも、こいつは他のやつとちょっと違うんだな。まあ、手をつなげないこともないんだけど、そんなに仲が良いってほどでもなくて、、、」

「いわゆる、『アウトサイダー』ってわけですね!」
と、うれしそうにロバート君。

「そう。この状態が、ホワイトゴールドのような『四元合金』なわけだが、このアウトサイダーや、黒人、アジア人の比率が大きくなると、このグループは不安定になってくる、、、、、」

なんて具合に(まあ、一部政治的に正しくない発言も混じっているような気もしないでもないが、それはおいておいて、、、、)金属結合、合金、合金の種類と判別の際に用いる薬品等をすべて説明できたのであった。

ニコニコと熱心に話を聞いている(そして理解している)ロバート君をみていると、ついついくわしい説明を続けてしまった。

合金には、均質性と不均質性、というものがあり、それをドイツ語で、homogen (英homogeneity)というのだが、
「・・・ここに不純物が混ざったりすると、『ホモゲーン』(均質性)だったものが、壊れて、、、、、」
といったところで、

「ホモ、、、、、」
といままで笑っていたロバート君の顔がひきつってしまったのである。

この、ホモゲーンの「ホモ」と、ホモセクシュアルの「ホモ」も、語源はギリシャ語のhomoios「同じ、等しい」。
だから、いつもの私であったら、こんなときには、

「そ~なんだよ~。実は、この白人、黒人、アジア人はみんなゲイだったの~。そこにイケメンのストレートがはいってきたもんだから、もう大騒ぎの大げんかで、団結力もあったもんじゃない、、、、」

といってしまうだろうが、何事も引き際が大切。
せっかく、いろいろと理解をしてもらえたわけだから、こんなところで調子にのって、混乱させるわけにはいかないのだ。

それ以上「ホモ」問題には触れず、ただ「均等」に結合している様子をそういうのだ、と説明しておくことにきめ、目の前に容赦なく浮かんでくる「ノンケの男を取り合うゲイの集団」の映像をふりはらいながら、つくづくわかりやすく「伝えること」の難しさを実感する。

今日の午後にも面接を受ける、という、就職活動中の彼。
君の努力が報われる日がきっとくる。
頑張れ、ロバート君。

おわり
注1GtB、KtB、 HsBとは、hauptschuleの専科のことで、工業技術科、情報技術科、家庭科の略のようである。
そして、PCBは物理、化学、生物の総合教科、GSEは、歴史、社会、地理の総合教科のことらしい。
私は、てっきり民法か病名かなにかかと思ってしまった。





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最終更新日  2009年04月09日 20時03分38秒
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