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もうこの作り手も凄く有名になってしまったが、私に取ってやはりこの作り手はChablisに於いて孤高の存在だと思っている。Chablisは一般的にミネラルは或る物の、痩せぎすであまり果実を感じさせないワインである事が多いのだが(GCといえども例外ではない)このドメーヌのワインはどのクリマもふっくらしていてChablisからCote de Beauneに比せる果実味溢れるワインが作れる事を証明している。 勿論彼のワインの中で有名なのはLes Closなのだが、私はこのクリマも好きだ。GCの畑の中で一番北側にあるが、日照が良くワインはLes Closのような力は無い物の、柔らかくフローラルの香りは繊細だ。Le Closより比較的早く(といっても数年は要するが)開くように感じている。ちょうどMontrachetとChevalierの関係に例えられるだろうか。ただ口に含むとミネラルの骨格がきちんとあり、やはりCote de Beauneのワインとは違う事が判る。 残念ながらこの繊細さを出せるドメーヌは殆んど見当たらない。或る意味でRaveneauのワインはChablisではなく、あくまでもSuis Generis、彼のワインだ。高価になってしまったが、彼の代用品は無い。
2013/09/25
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こう言うワインを飲むとブルゴーニュというのは種々のクリマが基本クラシックの種々の曲、作り手は演奏家なのだなとつくづく思う。もう少し追加すると村は作曲家、そして飲み手の我々は聴衆、ワインを飲むのは演奏会、ワインを飲むというのは演奏家が作曲家が作った作品を弾くのを聞くようなものだ。GevreyやVosneという作曲家は色々なクリマという曲々を生み出す。曲々に名曲、や駄曲、小曲、大曲、簡単な曲や難曲があるようにクリマも難しかったり易しかったり、こじんまりとしたもの、偉大なもの、まあこうやってひとくくりにすれば単純だがそれぞれに色々な性質があり個性が有る。そしてその曲を弾くのがクリマからワインを作るのがvigneronだ。素晴らしいvigneronは素晴らしいクリマからもそれなりのクリマからもきちんと作ってくる。閑話休題、このクリマ、Musignyの直下にあって歴史的にもCdVの修道院時代からそれなりにの評価を受けていた。名曲と言っても良いだろう。しかもMonopole、他の演奏家が弾くことはできない。ところがこの出来はどうだろう、抽出が強く果実は黒く平板、あまり楽しさは感じられず力任せに弾いているピアニストのようなものだ。別のVTはそこまででもなかった記憶があるので、難しいVT、更にはMusigny同様難しいクリマと言うことでそれがこの生産者の限界なのかもしれない。もうちょっと簡単なボーモンだとまずまずの美味しさは感じられるのだが。
2023/07/03
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