2008.06.26
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カテゴリ: BOOK


角田光代さんの「この本が、世界に存在することに」を読み終えた。
筆者あとがきの最後に「あなたと本の蜜月の話を聞かせてほしい」とあった。「わたしと本の蜜月」って何だろうと考えると、遠い記憶が次々によみがえってきた。

エジプト小学生の時に夢中で読んだ 黒部ダム物語

中学の時に読んだピラミッドなど世界中の遺跡の話

埃っぽい匂いを覚えている西陽の射す高校の図書室の本棚の間で読み漁ったアルプスやヒマラヤを舞台にした 世界山岳全集

社会人になって読んだ五木寛之のイスタンブール夜景の短編がある「 世界漂流

中沢新一の評論で強烈にインパクトを感じたインドネシア・ジャカルタ博物館の1シーン「扉の快楽」( 野ウサギの走り

アラスカ長年の趣味のカヌーのきっかけとなった本「 宇宙船とカヌー 」の中でのカナダやアラスカの風景


この多くが「いつか実際にその場に立ってみたい」を実現してきたところである。

そこへ立つことの意味、実際の場に立つリアリティーの重要性。ずっとそう考え続けていたつもりでいたが、実は「そこに立っていないことの意味」が私にとって重要だったのだと思えてきた。実際に立った後よりも、立つ前にこそ、想いを積み上げ、行動力を作り出してきた自分がいる。そのエネルギーは、そこに立つことで「ドライブ力」を失う替わりに、そこでしか知りえない事実の発見が「慣性力」となって、生活の軌跡を微妙にカーヴさせていく。


アルプスやヒマラヤなど高校時代に読みふけった山岳小説の舞台は
今まだ「いつか実際に立ってみたい」場所である。

まだまだ本のドライブ力は続いているのだ。





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Last updated  2008.06.26 23:13:35
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