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2006年02月07日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 10.星のない夜


 「私はパメラといいます。テンガに事情を聞きました。私達みんなであなたを手伝いたいと思っています」
 テンガといわれたさっきの女の子が頭を下げた。

 「私達の今夜の予定は、兵士の馬車に乗せられて舞台にいくことになっています。王はそこに待っているはずです。私達の真中にあなたがこっそり隠れていたらきっと誰も気が付かないと思います。どうでしょう」
 「それはとてもありがたいです。それではもうひとつお願いしてもいいでしょうか。僕は光りの石をもらってきました。それを割ると雷のように眩い光りが飛び出します。そのとき、みなさん倒れていただけますか?そのあと後ろへ逃げてください」

 外を見張っていたアグが走って帰ってきた。
 「そろそろ馬車がくるよ。用意して」

 踊り子達は列を作った。そのなかに僕は紛れた。オーロラのように輝く沢山の布を腰に飾っているのでしゃがんでいくと遠くからでは分らない。兵士達の馬車が到着すると、用心深く乗り込んだ。兵士達も彼女達にはなにも警戒していないようで外の路のほうばかりを見ている様子だった。路では何人かの彼女達の両親らが声をあげて怒鳴っていた。それを兵士達が遠離るよう棒で防いで押しているようだった。その様子を見て涙を流している子が数人いた。パメラさんが泣くなと小声でとりなしている声が聞こえた。「あと少しだから」僕も心のなかでつぶやいた。


 踊り子達は舞台に並んでいる。僕は中に隠れている。日は傾いてきている。アグが僕を見上げた。瞳で「緊張しないで」って言ってるようだった。僕は静かに深呼吸をした。隣の服が揺れた。ざわっ。と音が広がった。王が到着したという合図が聞こえた。舞台に王の足音が響く。立ち止まった王は演説をはじめた。その声のなかシルトさんからの合図の音が聞こえた。僕はおもいっきり光りの石を割った。

 パッと閃光が走った!女の子達はキャァーと倒れた。僕は今空から舞い降りたという風な顔をして王をみた。ずんずん王の方へ進んでいった。
 「お前は何ものだ!無礼だ!」

 王がわめいている。
 僕はにっこり微笑んだ。

 「私は魔法使いです」
 「魔法使いが何しに来た!」

 睨む王に指をつきたて、それから空を指差した。
 「あなたは人々から大切なものをむりやり奪いました。だから私はあなたから星空を奪いにきました」

 「奪う?星を!なんとばかげたことを、そんなことができるはずがない!お前は星をたたえる儀式の邪魔をしたこの星空の下で首をはねてやる!」
 「そうしたらあなたはもう二度と星空を見ることはできないでしょうね。星はもう私が固めてしまったから」


 シルトさん達が雲を作ってくれたおかげで空には星がひとつも見えなくなっていた。

 「娘達を家に帰してあげて下さい。それとオアシスの水をあまり無駄使いするのはお止め下さい。みんな苦しんでいますから」
 突然王が飛び掛かってきた。僕の首を片手で絞めてもう片方の手でラピスラズリを取り上げようとした。僕は王ともつれあった。あわてた兵士達が近付こうとしてきたのを、踊り子達がうまく邪魔をしてくれていた。僕の手からラピスラズリを奪い取った王は床に投げて叩き割ってしまった。と、白い煙りのようなものが飛び出てきて王を包むと、今度は王のなかから緑色の煙りが出てきて、天に消えていった。

 「私はここで何をしていたんだろうか」






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最終更新日  2006年02月07日 06時32分01秒
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