tomo_hの映画ログ

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2012.10.03
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カテゴリ: 映画ログ
何だか観ていて哀しくなった映画だ。地球上では多くの動物たちが次々絶滅していっている。タスマニアタイガーは1936年に動物園にいた最後の1頭が死んで完全に絶滅したといわれている。が、この映画ではウイレム・デフォー扮するハンターが山奥に残っている最後のタスマニアタイガー、別名フクロオオカミを追って狩りをする。映画に姿を現すタスマニアタイガーとは?それは大きな山犬(体長1メートル)のような狼のような動物でうしろ半分の背中に黒いトラの縞模様のようなスジがあるのでタイガーと呼ばれている。しかしトラや狼の仲間ではなく、コアラやウオンバットの仲間の動物でオーストラリアの南の方の海に浮かぶ大きな島タスマニア島だけにいる種族なのである。19世紀にタイガーは牧畜業者に憎まれ虐殺されて20世紀にはほとんど姿を消したといわれている。

発端はある大手のバイオ企業に頼まれてデフォーがタイガー狩りに出かける所から始まる。バイオ企業はタイガーの生体のDNAを欲しがっているが、理由はラスト近くに分かる。タスマニアの山奥に行って見ると其処にはタイガーを見たという者もいたが、果たして本当に残っているのか五分五分の確率だった。映画のほとんどの部分はデフォーが下宿した家から、何度も何日もかけて、山へ探索に入り山を歩き回る場面で占められているが、決して退屈ではない。それはタスマニアの自然が素晴らしく雄大で人の気配がなく、原始の感じに満ちているから観ていて飽きないのである。草原のかなたのゆったりとした山山の陰に日の沈む光景などで風景描写が堪能できる。

タイガーの姿は見えなくともタスマニアデビルはわりに沢山居る。タイガーを呼ぶためのオトリの餌に食いついてキーキー言っているデビルが写っていた。ストーリーはちょっとミステリー風になっていて下宿した家の家族が問題になっている。その家の主人は山に入ったきり帰ってこないのである。女の子と男の子の姉弟と母が待っているが、段々この家族が地元では邪魔者になって居ることが分かる。他にもよそから来て森林保護を叫ぶ人たちが居て林業者と対立している。その家の主人については後にデフォーによって謎が明かされるが。世界のほかの絶滅危惧種にしろ、いくら保護を叫んでも昔からその動物を取ることで生業としている人が居て、密猟がやまない。ある理由から狙われた最後の1頭の孤独なタスマニアタイガーも安らかに寿命を終えることは出来ないのであった。厳しい顔つきがハンターという仕事にぴったりのウイレム・デフォーの好演とタスマニアの深い山の自然、そして死に行く動物達の姿(狩りで撃たれ切り裁かれる小動物も)が山の中の静かな挽歌のように思える映画であった。

(おまけ)主人不在の下宿の木造の家には、発電機はあったが、行った時は故障していた。直してやっと灯がついた、レコードが沢山ありに庭の樹上にスピーカーがセットされている。使えるようになって鳴り響いたのがヴィヴァルディの宗教曲「グロリア」で元気の良いメロディがスピーカーから飛び出してきた。趣味から察して地元の木こりとはちがう種族であったことがわかる、なぜタスマニアに来たのか?それは映画でどうぞ。

ハンター





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Last updated  2012.10.04 01:13:29
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背番号のないエース0829 @ ニーナ・ホス 「水を抱く女」に、上記の内容について記…
背番号のないエース0829 @ ニーナ・ホス 「水を抱く女」に、上記の内容について記…
背番号のないエース0829 @ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
アイスクリーム@ Re:エリザベート愛と哀しみの皇妃(オーストリア、ドイツテレビドラマ)(08/09) 綺麗事ではなくメロドラマ仕立て。 勝ち…
zebra@ ボクからの(おまけ) もう少しコメントします。 tomoさんの記事…

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