小さな夢の糸


「大沢先生になりたい」
ピアノの先生になりたかった私が2番目に抱いた夢。

黒板の前に立ってはいないけれど。
何人もの生徒の前に立ってはいないけれど。

英語の先生になりたいという、今はまったく忘れていたけれど
過去の一時期、確かに私の心にあった小さな夢は、
もしかしたら、かなったといえるかもしれない。

このコーナーに文章を書いていて、ふとそう気づいた。


夢は、かなえようとしてかなえるときもあるし、
もともと心の中や、自分のそばに、そっといるときもあるのだ。
追いかけるだけのものじゃないのだ。

そう気づいたら、昔から夢見がちな少女だった私がいくつも描いては消し、
また描いてきた小さな夢の数々を思い出していた。


「私はカフェが好きだから、自分の好きなカフェなんかをホームページで
 紹介して、いろんな情報をやりとりできたらなんて楽しいだろう」

このホームページを作る前、私はそんなことを友人に語り、でもマシンおんち
な私にはなかなか実現できないでいた。
そして今、形は少し違えど、自分が自由に文章を書ける、しかもそこに人が
訪れてくださるようなページを、作ることができた。
今でもページをアップするのにはかなり時間がかかるけれど、それでも日々、
ここに文章をかくことで、私の日常は清算され、淘汰される。


何もなかなか達成できないようなすばらしい実績をおさめることばかりが、
夢ではないんじゃないか。
私たちは自分が自分でも気づかない間に、きっといろいろな夢を描き、その糸
を無意識につむいでいる。

「こんなはずじゃなかった」「どうしてこうなってしまったの」
自分を責めて泣きじゃくったことも、劣等感にさいなまされることも、
何度もあったし、今でもある。
でもやっぱりそんな時は、すでにかなえているいくつもの夢を、無視している
時であるかもしれないと思ったりするのだ。










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