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テレビのニュースを見ては涙ぐみ、新聞を読んではまた涙ぐむ。歳のせいでもあるでしょうが、震災後は、めっぽう涙もろくなってしまった。 何の理由もないのに、あまりにも多くの尊い命が奪われた。 すぐそこにある危機に、自分はいったい何ができるだろう。 無力感に苛まれる。
2011.03.26
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版元として、読者の方のご意見には、素直に耳を傾けている。お手紙や電話を頂戴して、直接ご要望を承ることも多々あり、その場合には、わたくしの方もできるだけ率直にお応えしている。 最近気にしているのが、ネット書店さん等のレビューだ。楽天さんアマゾンさんの二つが大きなものだが、個人のブログでも、検索でヒットする場合には、拝読している。 なかには、もろ同業者の嫌がらせだろうと思われるモノもあるようだが、それはそれで仕方がないと諦めている。むしろ気にしてくれてありがとうございますという気持ちだ。 後発の企業は、既存の概念にとらわれていては生き残れない。存在理由そのものが、経営方針にもつながる。大手版元さんと同じことをしていては、存続が危うい。 企画にしろ営業にしろ、弊社独自のものを常に生み出していかなくては、スタートラインにも立てない。そんな取るに足りない端数のような存在であることを、日々実感している。 テキストに現役人気講師の音声講義を無料で付けて販売する。という企画を推し進めている。しばらくの間は、弊社で発刊するほとんどの書籍がこの形態のものになるが、それ以上の発展系も視野に入りだした。 読者のご意見からである。 何度も申し上げているようだが、弊社は、出版社である。教室や通信教育で、収益を上げているのではない。読者の方に1冊の本を買っていただくことで、社員全員が何とか食べている。 つまり、読者の方の購買意欲を喚起する付加価値は、いかなるものであろうと可能ということだ。それが、教室でも通信教育でもかまわない。 その原価を、本の売価に転嫁することなくご提供できれば、こんないい話はないだろうと思う。もちろん、著者にご理解とご協力いただかなくては実現は難しいし、システムとして確立しなければ、弊社のような小版元では賄いきれないかもしれない。 ただ、理想や目標としては常に掲げておきたい。牛歩のような歩みではあろうが、一歩ずつ進んでいこう。
2011.03.02
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ある業界紙の発表で、NET21という書店さんの団体の版元別売り上げランキングのうち、「資格・語学」ジャンルの98番目に弊社が登場した。 単純に、名前が載っただけで嬉しかった。第三者に認められたようで、順位に関係なく、素直に喜べた。 アマゾンさんや楽天さんのジャンル別売り上げには、単体の書籍として、まあまあ掲載されるが、ごくごく限られた狭い範囲のジャンルでのこと。総合順位ではさほどでもない。 リアル書店さんの版元売り上げランキングも発表されているが、総合では、以下省略扱いになるほど下位である。 もちろん、「簿記、会計」だとか「宅建」だとかの出版ジャンル別にランキングしていただけるなら、ある程度は健闘できるかも知れないが、それでも、上位ではないだろう。 出版は、1冊で、あらゆるものを変化させる力を持つ。1冊の出版を機に、世界が変わる可能性がる。大げさかもしれないが、そんな気持ちを維持しながら、今日も仕事をする。 それにしても、全部の版元を存じ上げてるわけではないが、このランキングに登場した版元さんの中では、弊社が、一番小さいのではないか。
2011.02.22
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出版社として、会社を維持していくためには、ある程度の粗利を、確保し続けなければならない。その方法として、最もリスクのない施策が、在庫を売ることである。 新刊や増刷、改定には、制作費、印刷費、印税のコストが生じる。もちろん人件費もかかってくる。弊社の場合、そのほとんどが前払いになる。 卸業者である取次ぎさんとの契約により、いくら本が売れようとも、その売り上げが弊社に入金されるのは半年以上先になる。 つまり、売り上げがないのに経費を払うということだ。厳密に言うと、在庫を売っても、その売り上げの全額が振り込まれるのは半年先である。 在庫を売るにも経費がかかるが、それは、新刊を出すほどではない。基本的に、在庫はいくら倉庫に眠っていても、売り上げに結びつかない。 どうにかして、その機会を与えなければ、それこそ新本のまま廃棄される運命にある。いずれにせよ、できるだけ経費を押さえて、粗利を得る方法が、在庫を売ることだ。 弊社の場合、そのほとんどの売り上げが、書店さんでのものである。つまり、書店さんに在庫を並べてもらうことが、粗利確保への第一歩であり、そのすべてでもある。 それには、書店営業しかない。黙っていても、注文はくれないし、まして平積み面陳にしてくれない。営業がすべてである。
2011.01.15
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関節炎で膝は曲がらず、椎間板ヘルニアで腰は動かず、五十肩で両肩上がらず、借入金と未払い経費で首は回らず、いたるところ固まってばかりで、どうにもこうにも動きづらい一年でした。 経営者がこんな状況ですから、社員さんたちが動いてくれなければ、会社は止まってしまう。どうにかこうにか、新刊を出し、増刷、改定し、小さい組織のわりには結構大胆に書店さんにも応援していただいているのは、これ皆すべて、機転の利く社員さんたちのお陰で、経営者は、ただただひたすら口だけ出した一年でもありました。 面と向かってはなかなか言えないので、この欄を借りて言っておきます。 朝令暮改は当たり前、適切な指示などひとつもなく、気にしてるのは、注文部数と資金繰りのみで、福利厚生など考えたこともない。よくぞこんな経営者についてきていただいて、ほんとうにありがとう。 業界には激烈な嵐が吹き荒れています。2011年は一層厳しい年になるでしょう。小さい出版社だからこそできることがあるはずです。一丸となって、大嵐に立ち向かいましょう。期待しています。
2010.12.29
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電子書籍にまったく興味がないわけではない。いずれ弊社のレベルの版元でも、参入しなければならないのかも知れないが、今は、まだまだ時期尚早と考えている。 他社さんが十二分に地ならしをしてくれたあとでいいのではないか。わざわざ未知の市場に飛び込むことはない。 大手さんはそうもいっていられない。業界のナンバー1という自負もあるでしょうし、先陣を切って業界を引っ張っていくという見栄もあるでしょう。 資格書の出版社であれば、電子データに講義をつける程度の発想はすぐ出てくるはず。企画者の立場で、読者のことを考えれば、ひとつの端末で、文字も読めるし、講義も聞ける。一挙両得に思えるかもしれない。 しかし、果たしてそうだろうか。 弊社は、もう既に経験したことだが、講義をつければ、読者は必ず喜んでくれるとも限らないのだ。 電子書籍の可能性として、音声や画像の付加価値だけでは満足していただけない気がする。ただ、その先がまだ掴めていないので、静観するしかないのだが。 まあ、大手さんのお手並み拝見といったところか。
2010.11.06
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思い入れが強すぎると、肩すかしをくらったときの失望もまた大きい。 そういう気持ちの連続が、経営者の耐力を奪っていく。仕事でもプライベートでもこの春からいろいろなことがありすぎた。 そのひとつ、弊社の売り上げNO1の書籍の類似書が、またまた刊行された。これで8冊目か。タイトルから中味の組み方まで、参考にした程度じゃ済まされないほど似通っている。 専門学校さんによっては、この本をヒントに新しい講座までおやりになっているところもある。まあ、柳の下にはドジョウが何匹もいるといいますから、出版界じゃしょうがないですけど、それにしてもなあ。せめて参考文献に掲載するぐらいの礼儀があってもいいのじゃないの。 実害もあるのだ。そのまねっこ本をお出しになっている版元さんのほうが、圧倒的に大きい。知名度もあるし、営業力もある。弊社の本がない地方の書店さんまで配本している。 都内大型店さんでも弊社の本を押しのけて、平積み面陳状態だ。ああ、切ないなあ。 またもうひとつ。企画者の気持ちとは裏腹に、読者に受け入れられない本がある。まったくというほどではないが、思い入れが強かった分、揺り戻しも大きい。 お買い上げいただいた読者の方からの反応は頗るいい。レビューや電話等の問い合わせもいい反応だった。だが、実売に伸びがない。 コアーな読者には受け入れられるが大衆には受けない。大衆に受けなければ、本は売れない。 新聞広告も出したし、急遽、帯の付け変えも行った。今日が今月の締め日、返品の数を見るのが恐ろしい。 現状把握と営業展開や打開案の会議を何度も持った。著者にも相談した。 空振り三振になる前に、おもいきった打開策をとることに、今決心が付いた。 出版して3ヵ月、なのに改訂版を発行する。カバーデザインを一新し、定価も見直す。タイトルも変えたいがそれは難しいか。 大衆に迎合するとは思いたくないが、ただ単に、作り手と受け手の気持ちに乖離があるのだ。そこを1ミリでも近づけようと試みる。
2010.06.25
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昨年の暮れより、一月に1、2回、業者さんにお願いして、関東以外の書店さんに向けて、FAXでチラシを送付している。B4、1枚のときもあれば4枚ほどのときもあり、送付件数とあわせて、費用が決まってくるが、大体10万円から20万円といったところ。決して安いものではないが、今年は定期便として続けていこうと思っている。実はこれまでも新刊のたびにこの方法はとってきた。それこそ不定期に、送りつけていたわけだが、受け取る書店さんにとってみれば、迷惑極まりない話である。チラシを送るにもかかわらず紙代は受け取る側の負担である。弊社にもいろいろ送られてくるが、腹立たしい業者も時にはくる。どうして、あなたのような会社の宣伝に、リースされているコピー機の経費をうちが負担しなくてはならないのか。書店さんもそうだろう。何の面白みもない新刊案内など、受け取りたくはない。取次ぎさんからの情報で十分だろう。大体、DMやチラシの信憑性が非常に薄れている。新しい振込み詐欺の手段に使われているとも聞く。 それでも、である。ほかに頼る方法がない。もちろん訪問営業が基本であろう。お伺いするのがいいに決まっている。いや迷惑に思っている書店さんも中にいると思うが、それを言っちゃ何もできない。まあ、それはよしとして、いっそ送るなら喜ばれるものにしたい。ただ単に、新刊の情報だけを掲載しても読んでいただけないと思う。他社さんにまぎれるだけだろう。読まれるチラシ、創意工夫が必要だ。
2010.06.03
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新聞広告を出すぐらいなら、その経費で、出張に行かせてください。 昨晩、出版営業担当者と打ち合わせをしていたときの彼の言葉です。正直驚きました。正鵠を射るといえばいいのか、ここの所抱えていたつかえがとれたような、感動を与えてくれました。 この欄でも何度も書いていることですが、弊社も、読売新聞、日経新聞等に定期的に広告を出稿しています。確かに、大手版元さんに比べれば、相当安価な出稿料で済んでいますが、それでも零細版元にとっては、大きな金額に変わりはありません。 広告宣伝費としての新聞広告の割合は相当高いものになります。FAXによる販促やDM、インターネット関連に出稿する広告費、いろいろありますが、金額としてもダントツでしょう。 まして一日限りのものですし、反響もそれほどありません。 受注率のような確かな数字は得られませんが、電話の数やメール注文から自ずと感じ取れるものはあるのです。それが年々減少していると思われるのです。 特に最近はひどい状況です。読売新聞の半五段広告を出稿しても、申し込みが数件というような惨憺たる有様です。 諸先輩から、新聞広告で元を取ろうと思うのが間違いで、単なる呼び水にしかならない。とは忠告をいただいているのですけど、やはり、頼ってしまっていました。なんといっても全国紙ですから。 潤沢につかえる経費などどこにもありません。たとえ売り上げが絶好調でも無駄な経費は切り詰めなければならない経済状況の今です。 著者のため、書店さんへの生存報告、他社への見栄、いろいろ理由は考えられますが、売り上げに直結しない広告宣伝費、販促費は、考え直すべきでしょう。 さっそく経費の見直しを行います。広告代理店さんには申し訳ないですが、出張費に振り替えます。
2010.04.23
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この4月で弊社は創業15周年を迎える。それを記念して、とんでもない本のシリーズを刊行する。 名づけて、『究極のテキストシリーズ』 市販するテキストに、WEB上に著者自身による音声講義をつけ、質問を受け付けるというもの。通信教育やほとんどのe-ラーニング等では実現できなかった双方向性の授業を、できるだけ安価で、操作性もよく、より学習者の立場に立って、提供するというものだ。 もちろん、通常の本の定価にその他の費用を上乗せしようとは一切思っていない。 著者のご理解あってのことだが、ゆくゆくはもっと付加価値をつけていきたいと考えている。 その第一弾を、本日発売する。 『究極のテキスト 日商簿記3級ネット授業』1,890円(税込み) もちろん著者自身によるWEB音声講義つき、メール質問も受け付け、単元ごとの小テストもフリー、模擬問題までサービスする。 その上、このサービスは、本を購入しなくても受けることができる。完全フリーなものなのだ。 テストや模擬問題は順次改定増幅し、拡充していく。 つまり、インターネットの環境さえ整えてくれれば、本の金額だけで、これまで数万円もしてきた通信教育や高額な授業料を支払ってきた専門学校さんの対面授業に参加しなくてすむのだ。 革新的で画期的な出版になると思う。 続く続刊も進行中である。ご期待ください。
2010.04.01
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昨年12月前半に出した新刊の増刷を、編集部に申し伝えました。今期の新刊では、これで2冊目になります。 既刊本では、毎年増刷するものもありますし、毎年改定増刷するものもありますが、まったく新規の企画で、この短期間に増刷を決めるのは、弊社ではあまりないことです。 一昔前までは、増刷するぐらいなら、初版時に多めに刷っていた方が、印刷コストの面から見て割安になるから、そうするべきだという諸先輩方からの出版方法も実行しておりました。 確かに、出版してすぐの増刷は、ある意味、初版部数の見誤りを示唆しているわけで、決して褒められることではないのかもしれません。特に、弱小版元においては、印刷コストの縮減が、最命題なわけで、チョコチョコ増刷するぐらいなら、いっぺんにドーンと刷っておいたほうがいいのでしょう。 ただ、出版する時点で売れると分かっていれば、誰でもそうしますよね。そこが難しい。もちろん、想定読者はこれぐらいで、類書もこれぐらい売れていて、弊社の販売能力からいって、こんなもんだろうという落しどころの部数を、編集部と詰めるのですけど、それでも、ほとんどの場合、多めに見積もってしまうものです。 つまり、初版部数を売り切らない。話がズレてきているようですが、チビ版元にとって、必ずしも増刷はいいということでもないという現実があるのです。 初版を売り切って、製作コストも回収し、印税もお支払いでき、少々の利益が出る。これがベストです。増刷はしない。いくら客注がたまっても金輪際しない。これが弱小版元のリスクヘッジだと、強く主張される社長さんもおられます。 増刷して、在庫を抱えることを考えれば、次ぎの新企画に傾注した方がいい。これも経営判断です。 最近は、こうだと断定できない企画が増えました。DTPに費用がかかりすぎて、初版部数を売り切っても制作原価を回収できないもの。想定読者がまったく読めないジャンルもの。印刷コストのかけすぎで、印税も利益もまったく無しの企画等々。 やりきれないですが、そんな中での増刷の判断です。もちろん、市中在庫も相当数あるでしょうし、明日突然受注がぴったり止んでしまうこともあるかもしれません。ああ怖い。
2010.02.03
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はなはだ、おくればせですが、新年のご挨拶を申し上げます。 年末年始の忙しさにかまけて、まったく更新をなおざりにしておりました。もう何度も改心しているのですけど、新年ですから再度、発起して今年こそはせめて週刊にはと決意しております。 年頭ですから抱負をいくつか申し上げます。 昨年から、資格の受験勉強の新機軸として、ご提案しておりますWEB講座つきの参考書の拡充を積極的に図ってまいります。出版点数の増刷はもとより、同一のジャンルでも単一企画に安住することなく、千差万別の読者環境に、より密着した企画を立案してまいります。 闇雲に出せばいいという考えはもうとうありませんが、昨年のようにとにかく出版点数をまず抑えて、コスト削減を断行するまでのことはないと、考えています。企画進捗の流れの中で、自然発生的に生まれてきた企画の芽をあえて摘むこともないと思うようになりました。 決して余裕が出てきたわけでもないのですけど、年頭ですから、できるだけ明るい方向性で。 自然発生的といえば、この企画もそうなんですが、参考書出版の延長線上の事案として、教室事業やネットを使った授業等のご提案もできるのではないかと、長年計画だけはあるにはあったのですが、やっと、今年は現実味を持ってきました。先日来、ホームページ等の制作をお願いしている製作会社さんと具体的な打ち合わせに入りました。 春ごろには、ご案内できるものと思っています。 上記の件もふくめて、事業規模が、大幅に膨らむ可能性が出てきました。当然、社員さんたちの仕事量も増えるでしょう。そうなると今の人員では捌ききれなくなるでしょうから、増員しなければなりません。給与基準の見直しも行いたいと思っています。 弱小零細出版社ですから、代表者も含めて、平均給与は、下の下、それを何とか、中の上ぐらいには持っていきたいですね。欲を言えば、少人数で高待遇な会社を目指したいです。 少しは希望を持ってくれますか、社員さん。 いずれにしろ、今年も業界の冷え込みは止まらないでしょう。書店さんの廃業、版元の縮小、取次ぎさんの再編。いろいろありそうですが、とりい書房は、しぶとく生き残ってまいりますので、関係者の皆様、今年もよろしくと付き合いのほどを、お願い申し上げて、新年のご挨拶とさせていただきます。
2010.01.14
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指値で印刷を発注するという豪胆な社長さんがいます。もちろん、大体の印刷経費の見積もりができるほど、業界経験が豊富な方です。判型はこれで、何ページの本で、紙はこれを使って、何部刷ると指示し、この仕事はいくらいくらでやってくれと言うわけです。 ほとんど嫌とは言われないそうです。3、4社の印刷会社さんを順番に回して、1社に絞らないのは、緊張感の継続とリスクヘッジから、とのこと。担当の営業さん同士も顔なじみで、他社さんがどれぐらいの仕事を請け負っているのかも当然知っているそうです。 先払いの社長さんもいます。印刷の見積もりは、編集者に任せず、社長さんが全部取り仕切り、提示額のある程度を値引きさせ、企画の都度、合い見積もりを取り、競合させるとのこと、仕事薄の印刷所は、とんでもない金額で、時々仕事をやってくれるそうです。 お一人でやっている版元さんの社長さんが、未払いの印刷費が、1社だけで2千万円を超えたと仰っていたときもありました。1冊百万として、20冊分以上が未清算のまま動いていたことになります。 出版社の場合、人件費のほかにもっとも大きな経費が、紙を含めた印刷製本代でしょう。DTPやデザイン費も、今の製作体制では相当な割合のものですが、これは後述いたします。 ちょっと酷な言い方ですが、どんなに仕事が忙しくなっても、人員を増やさなければ、人件費はそれほど増えるものではありません。版元の仕事の忙しさと印刷量は正比例の関係にありますから、仕事が増えれば、新刊、増刷の印刷経費が右肩上がりで上昇カーブを描くことになります。 ですから、紙を含めた印刷製本経費の圧縮を、版元の全経営者は考えているわけです。こんな不況時にはなおさら、新刊を出さなければ売り上げ増は見込めない。増刷しなければ、入金の底上げにはならない。でも、印刷経費は天井知らずに伸びてしまう。とにかく1円でもどうすれば縮減できるかを企画の段階から知恵を絞ることになります。 昨年、一昨年と紙が連続で高騰したとき、全取引相手の印刷会社さんに対して、印刷代の20パーセントを値引きするよう要請した版元さんもあると聞きます。 これまでは企画の都度、選定していた紙を、一般的な上質紙一種類に絞り、年間の紙代を相当金額抑えた版元さんもあります。 各社さまざまな取り組みをされています。それでは小社の試みを次回に。
2009.12.17
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印刷しただけでは本は売れない。 配本しただけでは本は売れない。 広告しただけでも本は売れない。 平積みしただけでも本は売れない。 印刷し、配本し、広告し、書店に平積みしてもらっても、本はなかなか売れない。 書評に掲載されても思ったほど本は売れない。 ネットで話題になってもそれほど本は売れない。 アマゾンでランキングが上がっても実態はそれほど本は売れていない。 上記の条件は、言い方を変えれば、すべて少しは売れるになる。広告すれば少しは売れる。平積みしてもらえば、ちょっとは動く、書評してもらえば少しは注文が来る。ネットで話題になれば、ネット書店でランキングが上がる。上がれば少しは流れる。 まあ、それほど本は売りづらいものだと分かってもらえばいい。それも、初版千とか2千とか3千部のある意味チマチマした話である。 じゃあどうすれば本は売れるのか。分かっていれば、すべての版元が実行している。実行して利益を出しているはずだ。秀才がたくさんいる大手版元さんは、確実に儲かっているはず。方法論も確立され、そもそも売れない本など出版しないはずだ。 確かにそれでいい時期があったのも事実。大量印刷、大量配本で、それなりに売れていたし、利益も出ていた。弱小も少ない固定客をしっかりつかみ、小部数売り切りで何とかやっていた。 それが今は。どこも赤字、業界新聞には暗いニュースばかりだ。増収増益の版元もあるが例外扱いされる始末。微々たるモノだ。 上記の条件をすべて揃えれば、まあ、それなりには動く。動く規模は、版元の規模にも左右されるが、最低限、費用は回収できる程度か。 版元としては、最低限やらなくてはいけないこと。これがすべてではないが、これぐらいやらないと回収も出来ない、ということ。 古くから言い伝えられている出版論や出版販売論が、もうとっくに崩れている。読者の多様化、活字離れ、言われ続けて久しい。 本は売れないもの。という観念から出発しろ。売れないものだから仕方ないじゃなく、売れないものだからこそ、売るための何かが必要だと。その何かを求めて早14年、少しだけ光が見えてきた気がするのですが。
2009.12.02
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久方ぶりの更新です。 体調も売り上げもいまいちで、なかなか書こうという意欲がわいてきませんでした。あまりほっとくと、やっぱり借入金がふくらんで、首が回らなくなっているらしいとか、新刊があまりに絶不調で、リストラが始まったらしいとか、それでなくともいい話を聞かない出版界、どんな些細なことで悪い噂だ立つか分かったものじゃありません。 それにまあ、あまりに愚痴ばかり書くもので、社員さんからも注意されますし、この前は、2ちゃんねるで、シリーズモノの続刊が刊行されるかどうか分からないと書かれる始末、関係各方面にご心配をかけているようで、心苦しくもあるのです。 そりゃまあ、新刊が増刷の増刷で、印刷所への支払いが大変です。というようなうれしい悲鳴も上げてみたいのですけど、そこはなかなか、確かに支払いは大変なのですけど、意味合いがまったく逆ですから、切ないですねえ。 また愚痴になってしまうかもしれませんが、このブログを続ける意味の1つでもある、チビ版元の実態を包み隠すことなく知っていただくことで、同情でもいいのですけど、関係各方面の方々に、一体感を共有していただければと思うのです。 そこでまず、関係者の一番手として著者のお話。 著者といえば印税のことですよね。この欄でも何度か取り上げていますが、出版界全体で統一された規約というものがあるわけではありません。各社まちまち、それこそ同じ著者の場合でも企画によって、パーセンテージが下げられたり上がったり、個別対応が当たり前になっています。 当然実績のある著者は率が上がるでしょうし、その他の条件もよくなるでしょう。その他の条件とは、基本となる部数や単価の算定方法や支払い時期のことです。じゃあ実績のない著者の場合はどうなるかといえば、印税無し。というパターンが弱小版元界では定着しています。 初版だろうと増刷しようと印税はお支払いしないというかたち。一見理不尽なように見える契約ですが、今の時期、これが前提にならないと企画自体進行しないという実態もあるのです。細かいことは別項に譲りますが、これが実情です。 次ぎに多いのが、初版はもちろん無し、増刷して、損益ラインを超えてから実売で支払うというもの。それも定価の4から8パーセントが主流、10パーセントなんてここ最近聞いたことがありません。 次が、とにかく実売でお支払いするというもの。部数の算定は、6ヵ月後か1年後が基本。増刷しても支払いは年度末。このパターンも多くなりつつあります。 弊社の場合で申し上げると、とにかく制作原価の損益ラインを超えるまでは、無支給、その後実売換算で定価の10パーセントというのを基本にしています。換算というのは、実売というのもあくまでも出荷部数で判断せざるを得ないので、期間を定めて、6ヵ月後、1年後の出荷部数で精算してお支払いする。という意味合いです。 企画をご提案するときは、大体上記のどれかの条件をご提示します。まったく未知の分野の新刊については、印税無しどころか、著者買い上げを前提にお話したいところですが、まだこれは経験したことがありません。 学術研究書のジャンルでは、もう当たり前になっています。その上、大学や振興会の助成金を受けなければ出版しない版元もあります。 刷り部数かける定価の10パーセント、なんていう条件は、もう大手有名版元さんでも稀になってきているでしょう。 著者の方々には大変恐縮ですが、そこまで版元は追い詰められているというのが実態です。もっと忌憚なく申し上げると、本を出せるだけでもいいじゃないか、と思っていただきたいのです。いかがでしょうか。あまりに一方的過ぎますか。
2009.11.12
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前回からの続き。 勉強する環境として、生講義に勝るものはないだろう。実際に先生や講師から発せられる言の葉だけではなく、その場にいなくてはならない緊張感もある。 学校や資格試験の受験勉強でも、出来れば生講義に参加したいのが本音ではないでしょうか。時間と場所と金銭的なことが折り合えば、誰だって、直接、講義を聴きたい。それが一番効果的な学習方法だとも皆さん認識している。 だから、小中高大の入学試験対策の塾や予備校はあまた存在し、資格試験の専門スクールさんもドンドン地方に分校を新設されている。生講義の有効性を立証するものだろう。 ただ、ずいぶん前から、教育環境の平準化として、都会の人気講師の講義を地方の分校さんでも受講できるようなシステムをとる予備校さんやスクールさんが現れ始めた。これは、全国どこの教室でも同等の講義が受けられるようにするという大義名分があるからだろう。 同時にだからこそ、あえて、人気講師をつくらない、というスクールさんも現れ始めた。いずれにせよ、教室にさえ足を運べば、全国どこでも同じようなレベルの講義を、テレビやパソコンを使って受けられるのだ。 版元として、じゃあ、生講義以上の教科書や参考書をつくれないのかという命題がある。まったくの独学用で、生講義以上のテキストを。 挑戦したことはある。生講義を出来るだけ忠実に原稿にしてくださいと。紙面上も先生役生徒役のイラストを配し、デザインも工夫した。日商簿記の入門書である。読者対象を高校生程度とし、言葉遣いも平易なもので再現するのを心がけた。 お陰さまでご好評を得ている。高定価の割には、単価の安い他社さんの本にも負けてはいない。弊社のNO.1のシリーズになった。 それでもである。全受験者に占める弊社の読者の割合は、大手専門スクールさんの受講生の以下省力部分の数にしかならない。微々たる物なのだ。 活字だけでは、生講義に勝てないのか。活字は、あくまでも補助教材にしかならないのか。果たして……
2009.10.23
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独学者にとって、最適な参考書とはどういう形態のものか、最近はずっとこの考えにとらわれている。 参考書の定義もいろいろあるだろうが、教科書とは違うもの、ということには異論が無いと思う。教科書は、教師や講師が講義でまとめることを前提に編集されたものである。資格の専門スクールさんが使用されているテキストも、いわゆる教科書の部類になるでしょう。 小学校や中学校の教科書を独学で使うことを考えれば分かりやすいか。例題はあるが、練習問題の解答はない。基本定義は解説されているが、応用はあまりない。 教科書だけで独学をしようとすれば、そのガイドが必要になる。結局、教科書だけでは、学習は完結しない。 参考書はそれだけで完結する。つまり、教師の講義や講師の解説を前提に編集されていない。 編集者として著者に原稿依頼する場合も、生講義の音声を出来るだけ忠実に活字にしてくださいという。教科書の行間を出来るだけ埋めてくださいともいう。 可能性として、講義のすべてを活字化できれば、最良だろう。たとえば、大学予備校の人気講師の1年間の授業が、すべて活字化することが出来れば、それはいい。 ただ単純に活字化していけばいいというわけでもない。分かりやすくする編集上の工夫も必要であろう。それがなければ、講義の録音をただ聞いていることと同じだ。 ところが、ずいぶん前から語学書や技術書の参考書に、さらにDVDで解説を付録する参考書が出版された。その上、ダイヤモンド社さんが、ネットで解説講義をフリーで公開する参考書の出版をしはじめた。すでに4タイトルが出ている。 つまり、読んでいただければそれで完結するはずの参考書を、さらに解説するという、新たな領域に入ってきた。 専門スクールさんでも、市販の参考書を使って、講義をするというスタイルも定着してきた。 活字だけという形態では満足しない読者が出てきた。提供する側も、付加価値をつける環境が整ってきたともいえるが、読者は欲張りである。 異論もあるでしょうが、この稿は再考が必要か。
2009.10.08
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同じジャンルを出版している版元さんは、それはもうあまたあるわけで、決して弊社だけの独占市場ではありません。それも、うち以外のところは、大体大手さんで、社員さんも多いですし、営業力にも編集力にも月とすっぽん、雲泥の差があります。 当然、大手さん同士の競争もあるのでしょうけど、ある程度は住み分けていらっしゃっていて、生き残りをかけた熾烈な戦いを繰り広げている的な状況は、はたから見ているとそう感じないのです。 たまに、老舗のあすこが危ないらしいというような噂が流れたり、実際、倒産、吸収合併とありますが、市場原理として、はじき出された結果、そうなったわけで、それはそれで仕方のないことなのでしょう。 一方、新参で弱小は、その生まれから理由のないもの。もともと、その市場には必要ないのに、無理に割り込んできた異物。喉に刺さったいわしの骨みたいなもので、存在自体が余計なものなのです。 そういうことは、独立してから嫌というほど味わってきました。日々、存在証明を繰り返しながら新刊を出し続けてきたともいえるのですけど、弱小にだって、知恵や意地もあるのです。 真っ向から大手さんに挑むことだってやろうと思えばやれる。やれるはず。やれるんじゃないかな。まあ、次ぎの新刊はそんな意気込みで刊行します。 読者の共感は当然として、大手さんの足元に、小石を蹴飛ばすぐらいのことはできるかも、です。
2009.09.18
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いつものように突発的に新聞広告を掲載しました。昨日、9月8日の日経新聞全国版5面の五段二分の一という、これもいつものサイズです。 税理士の資格試験の受験参考書のみを選んで掲載しました。8月の試験が終わって、来年に向けて新たに勉強を始める時期ということもあるのでしょうけど、てきめんに、受注に結びつきました。 やはりアマゾンさん。午前中からランキングが上がり、午後にはジャンル別1位の本も出るほど。この動きが全国の書店さんに結びつけばいいのですが、話はそう単純でもありません。 惜しむらくは、在庫切れ、ある程度の受注は予測できるので、事前に取次ぎさんに交渉して、押し込んでおくべきでした。 掲載日が決まるのが2、3日前という特殊性もあるのですけど、それにしてもやりようはあるはずです。いつも後手後手の対応になってしまう。みすみすお客さんを逃している。 新聞掲載日にあわせて事前に書店告知、FAX営業、事前の直納といろいろできるはずです。どうも空回りしている感が否めない。 新刊委託はできるだけ抑えて、注文でまわしていくという弊社のビジネスモデルでは、どうしても地方の書店さんや読者を置き去りにしてしまう。それをカバーするのがネット書店さんです。そのネット書店さんに在庫なしはありえない。
2009.09.09
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あまりいい傾向ではないが、今月末から年内いっぱい立て続けに新刊の予定がある。ざっと数えても15点ほど、7、8月と何にも出さなかったのにこんな具合である。よく考えると、4月からの今期で、まだ2点しか出していない。 新刊のほかに、増刷、改定の予定も相当数ある。昨年度は、設立以来最高の発刊点数であった。それに匹敵するぐらいの予定が立ってきた。 年初の計画は、今期は、とにかく発刊点数をまず抑えて、出費をできる限り小額にしていこうというもの。もともと数うちゃ当たる的な出版はできないのだが、練りに練った企画しか、出版化しないと決めていた。 業界全体の冷え込みである。同じジャンルの出版社間の競争も激化している。本の定価を低く抑える傾向は以前より増しているし、反比例に新刊点数は増えている。 向こうはなんとも思っていないだろうが、弊社のライバルは、大手の専門学校さんである。本だけでなくメインの講座のダンピングも始まった。専門学校さん同士の戦いも熾烈である。 出版企画も違ってきた。講義で使うテキストをそのまま一般にも販売するような安易な出版物は少なくなった。どちらさんも考えていらっしゃる。 そんな中での上記の数字である。 つまり、面白い企画があるのだ。売りに直結するとは断言できないが、今までにないもの。特色はあるが売れるとは限らない。無かった物だから判断もできないが、さざ波は起こせるかもしれない。そんな新刊だ。さて、制作経費をどうしよう。
2009.09.03
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楽天さんやアマゾンさんのレビューに悩まされています。もちろん、いいこと書いていただけるのは非常にありがたいのですけど、そうじゃない場合もあるわけで、その、そうじゃない場合が、あからさまでとっても困っているのです。 それも明らかに悪意のあるもの。ましてや同業者の方ではないかと疑いたくなるレビューがあるのです。 自分の場合もそうですけど、最近は本を買うときにレビューを参考にします。特に初めての著者の場合は、じっくりレビューを読みます。賛否両論取り混ぜて、じっくり読むのですけど、否定している方を特に参考にします。 ずいぶん前から問題にもなっていますけど、関係者の投稿もありますよね。ネットの映画の評価に関係者が投稿しすぎて、その信憑性が疑問視されるほど話題にもなりました一時期。 本の場合もあると思うのです。業界の人間がこういうことを言うと問題になるかもしれませんが、著者か出版社の関係者が書いたなあと思われるレビューありますよね。正直な話。 ランキングを上げるために積極的に社員に書かせていると噂になっている版元さんもありますし。 それはそうとして、弊社の場合、同業他社に比べて明らかにレビューの数が多いのです。出版点数も少ないですし、売れている総部数も少ないでしょうけど、もちろん、非常によろしいと褒めてくださるレビューもたくさんありますが、褒めているレビューが多ければ多いほど、そうじゃないレビューも多くなっている状況が生まれています。 それだけ多くの読者の方に読まれているとも考えられますが、それにしても、他社さんに比べ多いのです。同じジャンルで弊社より売れているだろう本よりも、モノによっては多いのです。 被害妄想かもしれませんが、攻撃されているような感じがしないでもない。 こういう書き方は、業界関係者しかしないだろうと思われる、あからさまなものまであります。 もちろん、読者の批評、批判は、真摯に受け止めますが。 レビューについては、まだいろいろあるので、また書きます。
2009.08.25
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弊社の出版物の場合、版面のデザイン、書籍タイトル、カバーデザインの順番にだいたい決まっていきます。 企画段階から仮タイトルとして進行していたものが、そのまま本タイトルになることもありますが、どちらかといえば大変稀なことでしょう。 本当にごく稀に、企画立ち上げとほとんど同時にタイトルが決まる場合もあります。内容をそのまま表したタイトルが多いのですが、タイトルありきの企画です。それ以上のものをつけられないのです。 資格試験の参考書がほとんどなので、版面(はんずら)のデザインも非常に重要です。デザイナーさんから何例も出していただいて見本組みを組み、それでも決まらないということもしばしばです。 何回かは、デザイナーさんを変えてやり直したということもあります。デザインの場合は優劣ではなくフィーリングですので、説明も難しいのですが、何かシックリこない、というパターンが多いのです。 文字組みだけの版ではないので、より見やすくより分かりやすいデザインにするということが求められます。同時に、内容を端的に表し、読者に対して訴求力のあるタイトルにしなくてはなりません。 往々にして間違うのは、著者と編集者の思い入れが強くて、独りよがりのタイトルにしてしまうことです。 はっきり申し上げますが、書名タイトルは、読者のためにあるのです。 自分で書いた本ですから、著者の思い入れも十二分に理解できますが、自費出版ではないので、その点はご理解をいただきたいのです。 読者のためにあるとは、同時に、売れやすいということを含有しています。 売れやすいタイトルをつけるということが、読者にとっても一番のメリットになるはずです。ただ、タイトル倒れは避けなくてはなりませんが、少々、デフォルメするぐらいでちょうどいいと思われます。 こんな世の中です。読者は、本当に必要と思われる本しか買ってくれません。特に、ネットで本を買う機会が増えたいまでは、書名タイトルがより重要性を増しています。それは情報性を兼ね備えたタイトルが必要ということです。 タイトルだけで購買行動を起こさせるだけの力が必要です。 タイトルだけで8割がた売れ行きが決まるという話も業界にはあります。 いずれにせよ、タイトルづけには細心の注意と最大限の熟考が必須です。
2009.08.04
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独立してこのかた、月末が待ち遠しいと思ったことは一度もない。まあ、それだけ苦しい経営を続けてきたのだが、今月も何とか新しい月を迎えることができる。 企画出版オンリーの弊社は、取次ぎさんからの入金が、ほとんどすべての売り上げである。電話注文等で読者から直接いただき、郵便振替でご入金いただくものもあるが、割合は数パーセント、学校やセミナー会社の大口注文もほとんどないので、99パーセントが書店さんの売り上げである。 大手取次ぎさんの入金は、月末、中小の取次ぎさんは翌5日である。つまり、全体の入金が確定するのは、翌5日まで待たなくてはならない。 中小といっても取次ぎさんの規模のことで、弊社との取引規模ではない。最近では、その中小の取次ぎさんとの取引額の方が、単体で見ても、大手の取次ぎさんを上回り始めた。 この欄でも何度も書いていることだが、大手二社の取引金額を中堅の一社が単独で上回る月もあるほどだ。 それに通称神田村といわれる神保町の取次ぎさんも侮れない。 もう今はない会社もあるが、設立時からお世話になっている。中でも明文図書さんは、弊社に最初に口座を開いてくれた取次ぎでもある。 大手書店さんには日に二度定期納品するという特色で、頑張っておられる。 弊社も明文さんの店売に、常時本を置いていただいているので、読者注文をその日に届けるという芸当も、書店さんによっては可能なのだ。 あれこれ書いたが、つまり、入金の大部分が月初の5日なのである。 人件費、倉敷料、諸経費の多くは月末払い、ですから、月末の銀行営業日までにそれなりの金額を用意しなくてはならない。ところが、月末入金といいながら、大手取次ぎさんの一社は、取引銀行さんの関係で、入金が翌日になってしまう。 今月のように、月末が金曜日になってしまうと、入金が週明けの月曜日になってしまうのだ。要するに、月末入金を待ってその足で、当月の支払いを済ましてしまうという段取りが実質不可能なのだ。 まあ、大手さん一社の入金ですべてを賄えれば、こんなチマチマしたことを申し上げなくても済むのですけど、いまだかつてそのようなことは一度もございませんです。ハイ。 このような状況で、考え出したのが、支払日を毎月10日に設定する、というものです。 弊社は、いつもニコニコ現金払いです。手形はやりません。ですから、現金がなければ支払いはできません。そこで、現金が一番手元にある毎月5日を過ぎた段階で、少し時間的な余裕を持って10日を支払日としようじゃないかと。 ただ、すべての支払いを10日にずらしてもらうのは、今のところできていません。家賃や人件費は、まだ月末です。電話や光熱費等の雑費も月末ですよね。 もっとも高額の制作、印刷費は、10日にしてもらいました。近い将来は、すべて10日にしてもらおうと考えています。その移行期ですね、今は。 その結果といいますか、当然の帰結ですけど、月末の二分化が起きました。つまり、支払日が月末と10日の二回あるということ。辛い、苦しい日が、月で二度に増えてしまったのです。 ああ、なんと申しますか、やりきれないですね。 経営は、支払い続けること、ともいいますが、入金を楽しみに待つ経営というのも、そろそろしてみたいものです。 そんなこんなととりとめもないことを、考えております7月末日の朝です。
2009.07.31
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朝から一日中校正をしていると、夕方には、気力がなえてしまう。若いころは、それこそ徹夜で文字を追えたが、もう遠い昔。 数年前から、校正用の眼鏡を使っているし、夜には、文字が霞んでしまう。最近顕著なのは、細かい字画が見えないこと。特に辞書の文字が見えない。 林檎の檎の字の中が、どうなっているのか、眼鏡を使っても、眼鏡をはずしても、判然としなくなった。 昔、母親が新聞を読むのに、拡大鏡(虫眼鏡の大きいやつ)を使っていたのを思い出した。確か老眼鏡をかけてその前で拡大鏡をかざしていたと思う。あれは何歳ごろのことなのだろうか。 もともと視力は悪くはなかった。独立して、しばらくして乱視になった。文字の輪郭がぼやけるようになった。しばらく乱視矯正の眼鏡をしていたが、今度は、近場が見づらくなってきた。老眼の始まりである。 乱視矯正の近場用の眼鏡を新調した。これが数年前である。最近は、とうとうこれでも見づらいのである。 この仕事を続ける以上、文字は読み続けなくてはならない。校正を任せるのもいいが、最後の確認だけはまだしたいと思う。まるっきり人に任せられるほどの人員もいない。まだしばらくはしなくてはならないだろう。 校正紙を拡大コピーすることも思いついたが、全ページ対応するのは大変だ。それに版面のイメージがつかみづらくなる。 あれこれ言っているが、制作進行の遅れの言い訳です。聞き流してください著者の皆様。
2009.07.30
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教科書に無料のWEB講義をつけるという方法の受験参考書を、先月発刊した。 おかげさまで、購読者の方には大変好評だ。 そりゃまあ、専門スクールさんの有名講師の講義がタダで聴けるわけですから、こんないい話はない。 電話注文の際に、「こういう本を待っていた」と大変ありがたいお言葉を頂戴したりもした。入院中のある読者の方は、家族に講義をダウンロードしてもらい、病室で勉強するとも仰られていた。 通信教育やDVD講座では、通常、10万円程度はする。それを、書籍代のみで受講できる。その上、WEB講義はフリーの状態で公開しているので、聴こうとすれば、本を買う前にその全部を試聴することも可能だ。つまり、本を買わなくても聴くことができる。 その分書籍代に上乗せになっていると考えるとも思うが、そういうこともしていない。 資格試験や受験参考書の魁になるものと思う。 第二弾、第三弾も進行中だ。 次に出版予定の本はもっと手取り足取りの本である。 WEB講義はもちろんサービス、本の中に、講師による板書の掲載もある。重要箇所を空欄にし、講義を聴いて穴埋めするという方法。ホームページ上で正解も掲載する。 つまり、教室の生講義とほとんど同じ状態を再現しようと試みた。 ああ、それから、ネットにより質問も受け付ける。もちろん無料だ。 どえらい本になると思う。 これまでも、講義をCD化したり、CD付の本はたくさん出ているが、値段も、内容も正直今ひとつの感がぬぐえない商品だった。 WEB講義にすることで、読者の反応や、要望、法律改正等をいち早く反映できるとも思う。 講義を売りにしている専門スクールさんには、申し訳ないと思うが、弊社は版元である。本という商品にいくらでも付加価値をつけられる。 読者にとって最良の手段を提供するのも、またはそれを追求するのも、版元の責務だとも思う。 選択するのは読者である。 専門スクールさんは、それにも応えられる生講義を頑張って続けていけばいいと思う。 ただ、問題もある。告知のことだ。 今回の本もそうだが、まだまだ広報不足だ。そこに読者がいても、商品を知っていただかなくてはどうにもならない。知らないものは選択の対象にもならない。まずは、どう知らしめていくかが、最大にして最優先の課題だと思う。 この企画進行については、別稿にておいおいご報告いたします。
2009.07.24
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初版2,000部でスタートした新刊が、約2ヵ月で在庫400まできた。 弊社の新刊としては、まあまあの数字である。このまま売れ続けてくれると、年間売り上げが1万部の大台にのる。話はそう単純でもないのだが、うれしい限りだ。 そこで問題になるのが増刷部数である。 一月の売り上げ実績が1千部程度なので、また、2千部で様子を見るのが一番か。これまでやらかした失敗は、発刊当初の初速を、恒常的なものと見誤って、年間部数以上の印刷をかけたりした。 結局、失速し、大量の在庫を抱え込むはめになる。何度こういう判断ミスをしてきたことだろう。 このミスの根本原因は、小部数の増刷を繰り返すことより、いっぺんに刷ってしまった方が安上がりだからという安直な理由によるものだ。 確かに、例えば同じ5千部売りにしても、1千部ずつ5回増刷をかけるより、1回に1万部刷ってしまって、5千部廃棄した方が安上がりになる可能性がある。 特に、紙が安かった時期は、こういう考え方が一般的だったかもしれない。 今は、紙は高い。印刷原価も安いわけではない。 判断に迷うところだ。 いずれにせよ、想定売り上げ部数の予測を立てなければ、判断できない。この欄でも、何度も書いているように、初版は、テスト販売としての部決だが、テスト評価の自己認識の基準がまだまだ定まっていないので、明確な答えが出せないでいる。
2009.07.16
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先日、シリーズモノの執筆をお願いしている著者の方々と、次年度の企画の方向性について打ち合わせを持った。 まだ2年目ということもあり、今ひとつ確定していないのだ。それに、今年度版の売り上げ状況を勘案して、読者対象の確定と、企画意図の徹底を図ろうというもの。 初版2,000部で4タイトル、増刷は1冊も無し。損益ラインも怪しい4冊。ただ、光明も。 同じジャンルで飛びぬけて売れている他社さんの本に追随する本がでたのだ。 紀伊国屋新宿本店さんや丸善丸の内本店さんでは、単独2位の売り上げ。その他の大型書店さんでもいい位置にいる。結構頑張っている。 初版2千だから当たり前だが、新刊委託で網羅できる書店さんは限られてくる。資格書の常備店でさえも行かない書店の方が多いだろう。同じ紀伊国屋さんでも支店さんにはゼロという場合もある。 最悪なのは、好調の売り上げという状況が、他の書店さんへ波及しないこと。 今回の本も、ある条件で売れるようになったのだが、その手段を、その他の書店さんに告知もしていない。できていない。 初版2千という選択は、間違っていないと思う。うちのような版元が、大手さんと同じような売り方をして、今の時期、続くわけがない。それは十二分に分かっているのだが。 極論だが、返本率50%でも、実売1万部売れればいいと割り切れるのか。難しい。 いずれにしろ、数箇所にしろ売れている本を、そのままにしておくのは版元の怠慢でしかない。改定までにそれほど時間もないので、早急に対応策を考えなくては、著者にも失礼だ。 全国的に名前の知られている大型店の支店は、300もない。どうにかしなくては。
2009.07.15
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もう7月、早いものです。この6ヵ月に出した新刊は、4点6冊、うち二つが上下巻とシリーズモノなのでこの数字。 半年で4点とは、去年に比べて極端のペースダウン。発刊できるものが数点あるが、時期を見合わせているという感じ。出すときには一気に攻める。 この新刊のうち今現在それなりに動いているものが1点で、その他のものは、まあボチボチ、ベストセラーの兆しは今のところない。 何度も書いていることだが、弊社の書籍は、動き出すのに比較的時間がかかる。広告宣伝費と営業経費を潤沢に発刊と同時にかけられるような規模の版元ではないので、まあ仕方がないかとも思っているが、この不景気、そんなに悠長なことは言っていられない。 できれば、発刊とほとんど同時に増刷がかかり、1ヵ月で単純原価を回収し、その後は、刷るだけ利益になるというような、本ばかりでありたい。これは欲張りすぎか。 せめて、3ヵ月で原価を回収し、半年に1回増刷を繰り返す。というような本に育ってくれれば、経営は安定する。 こんな時期、発刊点数を抑えるのは、印刷会社さんを安心させる意味でもいいこと。新刊を出せばいいというものでは決してない。 究極は、新刊点数ゼロ、既刊本だけで十分という体制。編集部は、改定と重版の仕事がメイン。 そのためには、読み捨てにされない本をどれだけ蓄積させていけるかが課題。息の長い本であると同時に古臭くならない定番本。そんな本が100冊あればいい。 夢には終わらせたくない、何とかしたい。
2009.07.01
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関東近辺の大型店さんを中心に、書店営業を委託している会社の担当さんと打ち合わせました。 月々定額料金で、ノルマなしでお願いしています。自社の営業がなかなかお邪魔できない郊外の大型店さんだけですが、売り上げの底上げには貢献していただいています。 お願いすれば平積み営業もしていただけるのですが、返品のことを考えると、やはり棚にしっかり置いていただき、回転するのでいいのじゃないかと、今は思っています。 ただ、いつかは脱皮し、ある程度の規模の書店さんにはどこでも平積みされている、というような版元になりたい気はあるのですが、根が小心者ゆえ、なかなか踏み出せないでいます。 基本的に書店さんにある本というのは、売れずに残っているということですから、在庫であるわけです。まあ社外在庫ですけど。 たとえば、5冊平積みされていて、うち2冊が売れた場合、補充していただけるかが問題なのです。それこそ営業に頻繁にお邪魔していなければ、残りの3冊は返品される可能性が高くなるのじゃないかと。 そうすると返品率60%以上、つらい数字です。実数として、2冊は売れたのに、このパーセンテージ。じゃあ棚でじっくり回転させたほうが安全なのではと考えてしまいます。 常態として、伺える組織になれば、積極的にどこの書店さんでも平積み営業を行えるでしょう。それだけの人員も社内にいませんし、外部に委託するのも莫大な経費が必要です。 チビ版元はどうすればいい?! 先達はいろいろな教訓を残してくれています。 何店かの基幹店を選別し、営業を集中してそこにかける。常備店または特約店と呼べるようなお店にする。 あとは、ネット書店さんに任せる。 その基幹店をどれぐらいの数字にするのかは、それこそ会社の規模によるのでしょう。 弊社で、目標300店。5冊ずつ平積みしていただいて、これだけで1,500冊になる。十分な数字です。果たして可能かどうかです。難しいですが。
2009.06.23
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人生で二度目の胃カメラを飲みました。症状は、1ヵ月以上も続いていたのですが、どうしても怖くて先送りにしておりました。 先日どうにもこうにも我慢ができなくなり、医者に駆け込み、それじゃ即胃カメラとなったしだい。サラリーマン時代からかれこれ20年ぶりのことです。 そのときも大変だったのですけど、今回も、通っているのが大学病院という事情もあって、どうやら研修医の先生、喉の部分で何度も行き来をして、それはもうたいそう苦しい思いをいたしました。 そんなこんなで、検査は終了、結果を聞くまでの1時間は生きた心地がいたしませんでした。 まあ、良性のポリープ二つと軽い炎症ということで、たいしたことはなく、一般的な薬の処方ですみました。 ただ、原因は、メンタルな部分にあるのは明白で、ここしばらくの売り上げの落ち込みに主因も遠因もあるのでしょう。そうなると、どうもこうもできないのでして、ジッと売り上げの回復を待つか、新刊に望みをかけるか、思案のしどころです。 いづれにせよ、既刊本の落ち込みと、近刊の初速の悪さは、現実として数字に表れているので、経営者として何か方策を考えなくてはなりません。 ふっう、辛いとこです。
2009.06.16
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今日は、月10日の支払日。月末とあわせて、毎月2回の資金繰りをしなくてはならない。どういうわけか、今回の支払いは、とんでもない金額になってしまった。 まあ、私の管理ミスだが、制作費等の請求がいっぺんに来てしまったのだ。先月も税金の支払いに困ってしまったが、今月は制作費、いずれにせよお支払いしなくてはならないもの。 これから数時間でカタをつけなくてはならない。 規定の弊社の支払条件は、月末締めの翌々10日支払い。当初はすべてこれでやっていただいた。しばらく経って、印刷費をリボ払いにしていただいたり、溜まった広告費を先延べにしていただいたり、あれこれやった。 基本は現金支払い。つまり手形は一切切らない。 もともと管理能力に疑いのある経営者のこと、4ヵ月も先の支払いの管理などできるわけがない。と、手形は一切やらないことにしている。 だから、もし現金がないときは、無いとはっきり素直に言って、待ってもらうという芸当ができる。何度かお願いしたことも過去にはある。 ところが最近は、制作費を含めてできるだけ早めに入金しようと心がけている。これがいけない。 当月中にいただいた請求書は、翌10日に支払う。現金がなければ到底できないことだが、これだと数ヵ月先の資金繰りを考えなくていい。 とりあえず今月と来月の2ヵ月だけを考えればいいのだが、取次ぎからの入金は、月に一度しかないので、どうしても、現金が足りなくなってしまうときがある。 ああ、どうすればいいのでしょう。
2009.06.10
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6月初旬に発刊予定の新刊の見本が出来上がってきた。取次ぎ見本用なので小部数しかないが、取り急ぎ著者のご自宅に、お届けに伺った。 全1,300ページ、上下巻の大作である。それも著者にとって初めての上梓となる。 弊社にとっても初めてづくしの本だ。新しい資格分野への参入である。ネットによる無料講義をつける。制作は著者ご自身のワード原稿をそのまま使用した。 正直、新しい市場への踏み込みは勇気がいる。何のデータもないし、営業戦略もとにかく未知なのだ。 ネットによる講義の無料配信は、受験参考書界では、これからのトレンドになるかもしれない。著者の負担は増えるが、版元はそれほどの手間でもない。ホームページに少々の細工を加えれば済むし、プロバイダーの容量を増やす程度か。 著者のワード原稿をそのまま版下に流用するのは、きわめて効率的な方法だ。制作時間も大幅に短縮できるし、コストも削減できる。まあ、デザイン組み方をそれほど気にしなくていい制作物は、これからも試みていきたい。 この4月から初版部数を極端に抑えると宣言してから2冊目の本だ。この本も、上下巻各1,000部の印刷しか行わない。 取次ぎの仕入れ担当さんには驚かれたようだ。必然的に新刊委託も抑える。営業がしっかり動いて注文をとらなくては書店に並ばない。 全国の主要書店300店にしっかり置くことだけに傾注する。それ以上配本してもいたずらに返品を増やすだけだろう。 あとはネット書店さんへの対応だ。特にアマゾンさん。しっかりジャンルに入れてもらうことと、在庫切れをなくす。新聞広告を出すとすぐ在庫切れになってしまう。これを何とかしなくては。 できればシリーズ化していきたい。だからこそ1冊目が大切だ。これを売らなければ次へ続かない。祈る気持ちだ。
2009.05.28
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決算が確定しました。明日、税理士の先生がいらっしゃって、申告書類にサインし、税務署に提出していただきます。 売り上げは微増、経費は増大、利益は無し。少しばかりの消費税と均等割りの納税ですみそうです。 前期で10年ほど新たな借り入れはしていません。無借金経営ではありませんけど、売り上げのみで賄っています。 借金の返済も少しずつではありますが、何とか続けています。親族からの恩借は、今期で何とかめどをつけたいと思っています。金額が大きすぎますから、難しいですが、少しずつでも…… ここ数年は、純粋に本の売り上げだけで、回転しています。請負の仕事を徐々に減らし、出版専業という意識で、いるせいもあるのですけど、既刊本と新刊本のバランスもよく、何とか回転しているという状態か。 会計の専門家の方が見れば、よく維持できていると言われるかも知れませんが、役員報酬をもう何年も取っていませんから、できているようなもの。まだまだ組織としては未熟なものです。 不況の影響でしょうか、4月からの今期の売り上げは、少々厳しいものとなりつつあります。まだ2ヵ月ですが、売り上げには顕著に現れてきました。 資格ビジネスは、不況に強いといわれてきましたが、例外もあるようです。 出版は新刊を出さなければ、新たな売り上げは生まれません。ただ、経費をかけすぎた前期の反省として、今期の新刊企画は少々慎重にならざるを得ません。 リスクを最小限に抑えて、ぽてんヒットを続ける。これでしのげれば今期は良しといたしましょうか。
2009.05.21
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資格書の専門出版社になると決めたことで、専門出版社が進むべき出版の方向性について、日々頭を悩ませている。 そのひとつの解答が、究極のテキストシリーズの刊行だろう。 読者が資格試験を受ける上で、学ぶ方法はいくつかある。 スクール通学(ビデオ等も含めて) 通信教育 e-ラーニング 市販の本だけで独学 出版社の読者対象は3番目の独学の方のみ、あえて言えば、専門学校さんの出版部はそうでもないですが、出版オンリーの出版社は、独学の方のみを対象に出ざるを得なかった。 もちろん、スクールに通いながら弊社の本もあわせて読んでいただけるようなありがたい読者の方もいらっしゃるようですが、数としては少数でしょう。 スクールに通おうと思っていた方、通信教育をしようと思っていた方、eラーニングを受けようと思っていた方、もちろん独学で受験しようと思っている方、全部ひっくるめて、今回の企画は対象とする。 ダイヤモンド社さんからipod○○というシリーズが刊行されていますが、この企画の上を行くものと意図しています。 学校に通わなければ受けられなかった授業が、パソコンで聴ける。通信教育やeラーニングのテキストが書店で買える。まして、値段も既存の参考書と大差なし。 著者も現役の人気講師、音声講座は、フリーで誰でも聞ける状態。ダウンロードし持ち歩くことも可能。もちろん本を買っていただくような仕掛けも施しているが、基本はフリー。 つまり、本を買う前に音声講座は確認できる。それも試聴でなく全部を聞ける。 これで質問もフリーになれば完璧だが、そこはこれから。 参考書と同時に解説した音声講義つき。という形を定番化したい。 専門学校さんにとって脅威になりたい。そうじゃなければ出版の意義もないと考える。新しい価値の創造。試行錯誤もあるでしょう。 目標は受験者の50パーセント以上が読者になること。大風呂敷だが、これぐらいの大きな気持ちでいたい。
2009.05.19
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来週20日の日経新聞に広告を打ちます。空きの知らせをいただいたのは、昨晩です。今日版下を入稿の予定です。 このところ読売新聞と日経新聞に定期的に広告を出しています。 もちろん、弱小版元には似つかわしくないほどの広告費を投入しております。費用対効果の実数で見ると、当たり前のように赤ですが、続けていくつもりです。 著者に対しても、書店さんに対しても、読者に対しても、告知をしなければ、知らせる方法がありません。新刊配本として、書店さんに流せばある程度は売れる、などとの幻想はとっくのとうに捨てました。 ですから、著者、書店さん、読者の皆さんに対しての最低限のマナーだと考えています。 ただ、経費はできるだけ削減していきます。何度もお知らせしているとおり、特に初版時の印刷部数の削減による初期投資の最少化を図っていきます。 今月の新刊は、定価1,300円の初版2,000部です。 来月の新刊は、定価4,000円の初版1,000部です。500部でもいいと思いました。 今月の新刊は、初版分は全部売り切っても赤です。来月の新刊は、新刊委託を極端に下げようと考えています。いずれにしろ、初版はテスト販売という方法論です。 大手さんのように、8,000部以上刷ってばらまいて、というようなことはもうしません。 この方法をとる場合、一番の弊害は、著者が持つ負のイメージではないでしょうか。特に他社さんでお書きになった経験がある方の場合、初版1,000部、2,000部!という驚きは必ずあるはずです。そんなに少ないのか、と。 印税については、弊社は、もともと実売換算ですから、あってないよなものです。言いすぎですが。それを承知で、お書きいただくわけですが、それにしても、でしょう。 ですから新聞広告ぐらいは、という意味合いもあるのです。 チビ版元で書いて、初版1,000部で、印税なしで、出版したことを誰も知らない。 これじゃ出版の意義以前の問題ですよね。 だからなおさら新聞広告なのです。いくら部数が落ちてきているとはいえ、一流紙の力はまだ捨てたもんじゃありません。著者の身近で必ず反応があるはずです。 ご自身の名前が新聞に出るんですから、全国版に。それも意外に大きく。
2009.05.15
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サラリーマン時代、自分が思っていて、できるだけそれに近づこうとした社員像がある。 仕事を人一倍こなし、売り上げにも十二分に貢献し、事務所にはできるだけいないで、そのくせ、社員同士の交流には積極的に参加する。 上司からすると扱いづらい部下だろうが、どちらかといえばアウトロー的な従業員になりたかった。 仕事はきっちりやりますが、後は自由にやらせていただきます的な存在が理想でした。 もともと独立志向があったので、そうかもしれないが、上司にへつらおうなどとは、これぽっちも考えていなかった。 こういう従業員は、一般的に上司の評価も分かれるもの。独立のきっかけをくれた上司との相性は最悪だった。 まあ、その話はおいといて。 自分が監督する立場になっても、従業員に求めている理想像は、上記のものとあまり変わっていない気がする。 売り上げさえしっかり上げてくれれば、あとは自由。これでいいと思っている。 営業職でも編集職でも同じことだ。社員が何人になって基本は同じだと思っている。 単行本の企画編集をしなくてはならない版元は、経営方針もこれでいいと思っている。 年間10万部の売り上げを上げてくれればボーナスもそれなりに出すし、会社に来なくてもいい。それぐらいの気持ちでいる。 大型店さんのフェアーを次々と決めてくれれば、1ヵ月間の有給を出したっていい。 はき違っては困るが、結果が先だという現実だ。 結果を伴わない目標や希望など何の意味もない。ビジネスは結果で勝負。 自分ならこういう会社や上司の下で働きたかったと思うが、どうだろう。 今月は昇給月なので、あえて書いておきます。
2009.04.28
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ここ何日かのニュースでたびたび報道されているので、ご存知の方も多いだろうが、ある出版社のベストセラーに盗用の疑いがかけられている。 直接見たわけではないので、確かではないが、社長が自ら会見し、釈明をしたらしい。この種の事件は正直よくあることだ。報道になるほどでもないもの、違う版元からの指摘で、販売を中止したり、和解したりするもの、制作途中で判明し、取りやめになったもの、いろいろなパターンがあるだろう。 予約販売のチラシに見本として載せた数ページに何ヵ所も盗用があるとの指摘で、出版を取りやめ、著者と裁判沙汰になったという事例も知っている。 参考、資料、引用と既刊書や他の発表物からの借用はいろいろあるが、版元としては、著者を信じるしかないといわざるを得ない。 もちろん、執筆前や原稿の段階で、確認したりはするが、編集者としての限界もある。すべての文章が以前発表されていたものと似ているかどうかのチェックなど不可能だろう。 ましてやインターネットの時代である。大元の情報がどこからのものか判断できない場合もあるだろう。伝聞として記載するとしても確認はとりたいところだが、実質無理といわざるを得ない。 こういう場合、編集者の責任という識者もいる。が、実務上は正直どうだろう。 いかなる理由があろうとも著者の責任という考えもある。どこまで版元、編集者が責任をとる必要があるのか。 版元の責任。 編集者の責任。 著者の責任。 どれほどの割合で考えればいいのか。実務上は個々の問題、結局は司法の判断を待つしかできないのか。 読者の立場から考えれば、どうだろう。裏切られた感があるか。その本で初めて知りえた情報なら、それでもいいと考える読者も多いはず。 版元経営者からすれば、代表者の対応が気になる。大手さんの場合、社長はまず出てこない。編集部責任者どまりか。著者を擁護し、非は版元にあるという態度をとるか。うちも被害者、責任は著者にある、とするか。自分ならどうだろう。 意見は分かれるところだと思う。実務上の問題、道義的な事情、法律的な解釈いろいろあるだろう。 こうだといえる根拠も自信もないが、自分なら版元が全責任を負うという態度でいたい。
2009.04.21
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前年度はちょっと作りすぎなあ感が、あったのですけど、それだけが理由というわけではなく、今期の経営的テーマの1つは、販売を第一に考えること。企画の段階から、売りやすいもの、どうすれば売れやすくなるかを、タイトル付けから帯のコピーから考える。 もちろん営業としても、書店営業、FAX営業、新聞広告、ネット広告、DM、とにかく可能なものすべてにチャレンジいたします。それもできるだけ継続し、連続したものにする。 資金不足のはかなさで、どうしても単発的になりがちだった広報宣伝展開を、新刊を抑えてでも、今年は連続してやっていきます。 とにかく、既刊本と新刊を売る!特に既刊本の売れ筋本をもっと売る。零細版元でもそれなりに売れ筋の本はあるわけで、そういう本のおかげで食いつないできたのですけど、その本たちをもっと売る。売れるように仕掛ける。 在庫はあります。書店さんでもそれなりに認知されています。でも、絶対数が圧倒的に足りない。要するに読者対象は相当数いるけれども、まだまだ知られていない状態。認知不足、浸透不足が否めない。 購買意欲があっても、知ってもらわなければ、売りにはつながらない。どう知ってもらうか。どう知らせるか。その答えが、上記の方法と考えます。 ですから、DMやりました。新聞広告も打ちました。今度はネット広告をやってみます。アマゾンさんに広告を出します。まだ先の話ですが、連休を挟んだ3週間、ぶっ続けて広告を打ちます。詳細は後述しますが、すでに事前注文として、アマゾンさんから千部ほどの予約をいただきました。 もちろんこれは、売れなきゃ即返品になるものですが。それにしてもすごい数字。闇雲の数字ではないでしょう。実績からの判断でしょうが、もっと売りたい。同時進行で、まだ何かを仕掛けたいと思っています。 果たしてどうなりますか。
2009.04.14
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まったく初めてのことに挑戦します。 資格試験の参考書に、WEB講座を無料でつけるという企画です。専門学校さんでは、書店売りのDVDとして、実況収録講義を販売されていましたが、金額的に高価なものでした。 それを相当安価に設定します。 専門スクールに通わなければ聞けなかった授業を、ネットで配信します。本を買わずに視聴することもできます。当面は、音声のみの提供になりますが、ゆくゆくは動画でも可能と考えています。 弊社は、版元です。資格スクールを開校するつもりはありません。ですから書籍の付加価値として、講義を無料でご提供できます。 読者にとっては、パソコン通信環境さえあれば、通信教育を受講することと同等のサービスを、本を買うだけで受けることができるようになります。 無料といっていますが、厳密には、本自体の定価に、少しばかり経費を上乗せしたものになりますが、それにしてもこれまでの、専門スクールさんの授業料に比べればとんでもなく安く提供できます。 著者にとっては、明らかな負担増になります。しかし、今のところ印税等の条件は従来のまま変更するつもりはありません。 それは著者に対しても、相当数のメリットが発生するということをご納得いただいているからです。詳しくは後述いたしますが、受験参考書のトレンドになる可能性があります。 この方式は、もうすでに他社さんで行われているもので、弊社がパイオニアという訳ではありません。ある程度の実績もあるのです。市場調査も行いました。 感触はまあまあと判断し、実行に移します。 弊社が出版しているジャンルのすべてに導入していきます。「WEB無料講座つき参考書」と呼べばいいのでしょうか。もちろん、講義時間や内容については、相当お得感を持っていただけるものにしなければなりません。 無料とはいえ、10分や20分程度では納得していただけないでしょう。実際の通信講座や通学講座で受けられるものとなんら遜色ない授業を提供することを前提に考えています。 ですから、テーマによっては、これまで数十万円していたものが、1万円弱で受けられるというものまで出てくるでしょう。 専門スクールさんには脅威かもしれません。いやむしろ、脅威になりたいのですが。 読者に貢献できる最良の参考書は?という命題のひとつの解答になるものだと考えています。
2009.04.02
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今日から新年度、3月決算ですから経営的な数字はもうしばらくしないと出てきませんが、大体のところはつかんでいます。 売り上げは微増、経費は増大、しめて何とか回ってきたというのが本音のところ。しいてあげれば、家族からの恩借を少しではあるが返済できたことと、外注費、人件費、印税と、まあ十分ではないと思うが、支払いが継続してできたこと。良しとしよう。 今期への抱負。 まずはこの不景気の中、売り上げ、利益率をどう確保するか。 企画の厳選、出せばいいというものじゃない。読者の支持を得、どれだけ売り部数を伸ばせるか。 未払い経費の圧縮。 既刊本への再需要を喚起する。在庫は経営資源だが、眠らせているだけでは何の利益も生まない。想定読者に再アピールを。 おそらく何もしなければ、前期の利益を確保するのは難しい情勢でしょう。人件費を含めて経費の大幅な削減をしなくてはなりません。 新刊を出すより、既刊本を売る努力をする。新刊制作に経費をかけるより、既刊本の広告宣伝にお金をかける。書店営業を強化し、実売につながる機会を増やす。 できることはまだまだあるはずです。生き残りをかけた勝負のときです。自覚しろ。危機感を持て。
2009.04.01
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今日で当期も終わり、来期をめざして総括を。 新刊点数……15点 改定点数…… 7点 増刷点数…… 5点 以上27点が今期の印刷数だ。どれも過去最高の数字、こんなに出したことはない。もちろん経費も最高額。そのわりに楽だとちっとも思えないのは、利益率がいまいちのせいだろう。 チビ所帯なのにこれだけの出版をすれば、それなりに売り上げは上がる。しかし、利益を伴わない。要するに経費倒れなのだ。 倉敷料を含む販売管理費が一挙に3倍になった。印税の支払額も過去最高。制作外注費も過去最高。人件費も当然過去最高額。それなのに売り上げは最高額でない。悲しい。
2009.03.31
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世の中不景気です。不景気、不景気というからなおさら増幅していくとの考えもあるようですから、あまり吹聴しないほうがいいのかもしれませんが、それにしても、いい話を聞きません。 出版業界も右にならえのようで、業界紙には、赤字決算や事業停止、倒産の記事が毎週のように掲載されています。 こういう時期は、何もしないで、ジッとしているのが一番ともいいますが、単行本の版元は、新刊を出さなくては、売り上げが上がらない仕組み、どんなに苦しくても次の新刊を進行させなくては、来月の給料も出なくなります。 といって、闇雲に出せばいいというわけではもちろんなく、企画を厳選しろということと、コスト管理をしっかりするという前提で、進めなくてはならないということ。特にコストの面では、これまで以上にシビアにならざるを得ない。 絞れるところはとにかく絞る。印刷経費はもちろん、人件費、販売管理費、そして印税もはずすわけにはいきません。 印税は、社員の人件費を考えなければ、印刷経費に次ぐコストです。 業態や出版形態によってまちまちでしょうが、多くは、定価の6パーセントから12パーセント、弊社の場合は、10パーセント前後の実売と決めています。 ジャンルと印刷部数、想定読者数、実売実績から、パーセンテージを決めていました。この欄では何度も書いていることですが、弊社の場合、印税率にかける部数を、実売を基本にしています。 責任部数もありませんし、かける印刷部数でもありません。それだけでも、著者側には不利ではないかといわれたことがありますが、今では、これでも厳しいと思っています。 まあゼロということはほとんどなかったですが、実売ということになれば、その可能性もあるわけですし、支払いも、早くて7ヵ月後というものです。 そういう条件でも、印税カットを考えなくてはならないほど、最近の状況は厳しいものです。弊社のような出版ジャンルでも、全体の売り上げ数は極端に落ち込んできています。 これも何度も書いていますが、そのため、初版の部数や増刷の刷り部数を相当シビアに削減しています。 初版千部も多いと思う企画もありますし、増刷は100部単位で考えるようになりました。 もちろん、それに対応した定価付けをしているので、また売り上げが落ちるという悪循環も内包しています。 言い訳めいたことを書き連ねていますが、そんな事情で、印税です。 弊社として、初版は支払わないということを基準にしてはどうかと、今、考えています。 初版は見本刷りという考え方もこの前言いましたが、テスト販売という位置づけです。 弊社の著者の場合、執筆が本業という方はいらっしゃいません。つまり、生活の糧はしっかり稼いでいてその上での出版ということになるわけで、だから印税ゼロでもいいということでは決してないですが、それなりのメリットが出版するだけで発生する。といいたいのです。 本業であるお仕事に、プラスになる出版であれば、印税はゼロでもいいのではないかという考えです。 もちろんそれに値する企画をご提案するのが前提ですが。 初版に関しては、どちらかといえば、版元側がリスク高で、これまではやってきました。それでは立ち行かなくなってきたのです。
2009.03.17
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良い本という定義は、同じ版元でも意見の分かれるものでしょう。 とにかく売れる本が良い本だ 売れなくても評論家が支持してくれれば良い 読者からの反応がある本が良い本だ 著者が喜んでくれれば良い 平均して売れ続ける本が良い 図書館が買ってくれる本が良い本だ 書店の担当さんが褒めてくれる本がいい 書店で平積みされる本が良い本だ いち零細版元経営者としては、上記の条件すべてをクリアーする本が良い本です、と無条件に言いたいところですが、いち編集者として考えるとそうでもないので、そのハザマで毎夜眠れぬ夜をすごしております。 ベストセラーと一口に言っても、出版ジャンルや版元の業態によってその基準はそれぞれでしょうから、あまり包括的にいってしまうと疑義の生まれるところでしょうが、弊社の基準で考えると、年間1万部を超える書籍は、十分ベストセラーです。 ところが、初版3万部で10万を超えないとベストといわない版元もあります。 売れれば良いというだけで、これだけ判断が違うものなので、上記の項目についても、版元や編集者によって、考え方は千差万別ですから、これから申し上げることはあくまでも、私個人の考え方の一例です。 良い本とは、年間を通じて平均的に注文があり、年1回か2回増刷をかけ、書店さんや読者 から相当数の反応があり、その繰り返しが少なくとも3年以上続く本 と定義します。また、良い編集者とは、そういう本を1冊でも多く企画出版する編集者をいいます。 ですから、たとえ10万部売れたとしても、1ヵ月や2ヵ月間でその大半を売り、その後は月間で数十部しか出ないような本は良い本ではありません。 いくら著者が喜んでいるとはいえ、レビューや読者の反応がいまいちなモノは、良い本ではありません。 端的に申し上げると、読者や書店担当さんに好かれ、読み継がれる本です。 そう要約すると、編集者の視点は、書店や読者に向いていると考えなければなりません。まったくといっていいほど読者や書店さんとの直接のつながりのない編集者が、その思考や志向でなければならないのです。 申し訳ないですが、著者と編集者の関係は、上記のことをよく理解していただいたうえでのことで成り立つものだと考えます。 編集者は、著者の代弁者ではありません。 編集者は、著者の部下でもありません。 決して仲たがいしろといっているのではありません。そういう微妙な関係を維持しながら、本を作り上げていく共同体なのです。 分かっていただけますか。
2009.02.26
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朝8時前に出社して、窓を全開し掃除機を回し、ゴミを集めて、お茶をいれ、パソコンを起動し、新聞を読みながら考えをめぐらす。 もう何年も続けている朝の習慣です。 個人的にはもっと早く出社してもいいと思っていますが、そうあまり社員さんたちにプレッシャーをかけても可哀想と、今の時間に落ち着いています。 営業さんは、9時出社、その他の皆さんは10時始業です。 尊敬している版元の社長さんが、自著の中で、10時以降始業の出版社は、伸びないと断言されています。9時か、それより前に出社している会社が伸びていると。 ご自身の経験もあるでしょうし、数多くの版元さんの実情も見てこられた経験則です。 版元といえば、タバコの煙がもうもうとして、深夜まで明かりがついていて、店屋物ばかり食べているイメージがあるかもしれませんが、今はもうそういう版元さんはあまりないでしょう。 私自身が知っている版元さんも、一応9時始業ですが、早い方は7時ごろもう出社されている社員さんが多くいるところを存じ上げています。確かに、順調に業績を伸ばされてきています。 かといって、一律に夜が早いわけでもないのです。必然的に労働時間が長くなるのは当然で、月の残業時間が150時間を超えているという状況もうかがいました。つまり、朝も早いし夜も遅い。その上、休日出勤は当たり前。ということです。 朝の時間が重要だとは、いろいろな方が本にも書かれています。私も実感しています。企画や判断が求められる事項の決定は、朝がいい。理由を聞かれても、生物学的にそうなっているんだというしかないですし、何の論証もできないですが、朝がいいのです。 だからどうだということですが、業種、職種の特色として、版元になろうとか、勤めるようであれば、それぐらい覚悟をしろといいたいのです。 嫌なら、公務員にでもなればいい。(公務員の皆さんすみません) 朝早くなければ他社さんに遅れをとるし、いいアイデアも浮かばない。業績が伸びなければ給料も上がらない。給料が上がらなければ、いい暮らしもできない。 時間的にも質としても、他社さんより働かなければ、零細は生き残れない。 労働時間の短縮だあ、ワークシェアだあ、いっているのは大企業のはなし。 零細の経営者と働く者は、自覚を持って自戒しろ。といいたいのです。ちょっと愚痴っぽくなりましたが。
2009.02.20
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今年はじめての増刷が、2点決まった。2刷り目と3刷り目、初版はそれぞれ2千部と5千部。2千部のほうは、約1年かかったが、500か1,000部の増刷。5千部のほうは、2刷りに3年かかり、3刷り目は半年しかたっていない。 つまり、3年以上かかって売れてきたということ。これでも、今は反省している。初版の刷り部数が多かったのではないかということ。 弊社の新刊委託部数は、600前後。6社の取次ぎさんと契約しているので、それぞれ100程度の配本部数となる。つまり、新刊の刷り部数は1,000部もあれば十分ということだ。まあ、さすがにこれだけだと単価が高くなるので、2千から3千は刷っているが、これからは、ほんとに初版は、1,000部でいいじゃないのかと思い始めた。 ページ数や刷り色にもよるが、これじゃあ、定価2千円以下の本の場合は、初版は、売り切っても赤字になる。これでいい。初版で売れるかどうか見極めるのだ。リスクは最小限におさめる。今の経営の鉄則だろう。 初版は、あくまでも見本刷り。これに徹する。 大手さんのように初版をばら撒いて、棚を占拠し、返本はある程度覚悟する。というようなビジネスモデルは、踏襲しない。いや、決してするべきでない。 時間がかかっても、じわじわと浸透させ、爆発を待つ。これでいいと思う。爆発しなければ、スッパときる。または練り直す。初期投資が少なければこれもできる。 ただ、著者には説明が必要だろう。定価2千円で、初版1千部。印税10パーセントでも、20万円にしかならない。これで納得してもらわなければ、本が出せなくなる。 もともと弊社の印税計算は、半年後の実売を基本に考えていた。つまり、売れた実数でお支払いするというもの。刷り部数でもなければ、責任部数を決めるわけでもない。これが、零細版元のコスト感覚だと今でも思っている。 ただ、お支払いする印税が数万円ということも以前はよくあった。数万円でもお支払いできればいいほうで、企画の段階から損益ラインを超えなければ印税はお支払いしないというものも多々あった。実は、今でもある。 それほどシビアにならなければ、続かない。続けられない。 それから考えれば、初版1千部で、刷り部数の10パーセント印税は、まだいい。もちろんお支払いは半年以上あとになるが。 初版は、見本。この意識をスタンダードにしていきたい。どうでしょう?
2009.02.13
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ある方から、自分からチビチビと、自らを卑下するよな言い方はよくないと、お叱りをいただいた。そういう考えかたが身についてしまうと、なかなか抜け出せなくなるものらしい。 確かに一理ある。自分の会社がチビだというときは、少し自嘲気味なところがある。別段恥ずかしいことだとは思っていないが、やっぱり大手さんは羨ましい。そんな気持ちがいけないのだ。 「チビ」ということと小規模ということはイコールではないだろう。小規模にはスケールメリットがある。あえてそうしているんだと。 分類上は、300人までの会社は中小企業だそうだ。 出版社で、300人以上の会社は数社しかない。そういう業態なのだ。 経営の本によると、10人を超えることが一つ目の壁らしい。数千社あるといわれる版元の多くは10人以下ということも聞いた。ほとんどが小規模会社なのだ。 先輩経営者の多くの意見は、あえて大きくしないという。 その一番の理由は、商売に走ってしまうからというもの。会社なのだから、売り上げのことはある程度気にするが、社長個人の意見として、出版したくないものは出さないというこだわりを持ち続けられる規模、それが10人程度なのかもしれない。 それ以上になると、お金、売り上げを最優先にして、経営しなくてはならなくなる。個人商店の感覚でいいと思っているのだ。 ひるがえって我が身をみても、確かにそういうところはある。 出したくないものは出さないし、付き合いたくない著者とは付き合わない。企画のご提案は幾たびもいただくが、出したくないものは、たとえ買取があるといわれても出版しない。 逆に、売りづらいと分かっていても、出したいものは出版する。 どうせ責任は、経営者がとらなくてはならない。責任をとるとは、会社を潰してもいいと思うことだ。責任者の首を入れ替えるだけではすまない。 小規模の版元の経営は、いつも危うい。この1冊が命取りになる可能性を秘めている。 そのリスクを背負って出版しているのだ。 当たり前のことだが、小規模版元に勤める従業員のすべては、このことを理解しないといけない。危うい立場だからこそ、自分がやらなければいけないという自覚、それを経営者は求めている。 できれば、著者にも、読者にも分かってもらいたい。 おおげさかもしれないが、小規模版元の社長は、命を削りながら出版している。だからこそこだわりもあるし、良い本も生まれる。 ところで、「チビ」のことだが、ブログタイトルはこのままで、本文中は、あまり使わないことにします。 しばらくは、この規模を維持するだけで大変ですから。
2009.01.28
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出版界では、柳の下にドジョウは2匹いるといわれ、売れ行き好調の書籍の類似本を出しても、それなりに売れるという商法が歴然と存在し続けています。 だいたいベストセラーになった本は、何冊も類似本が出ていますよね。 類似のくくり方にはいろいろあり、タイトルテーマであったり、ジャンルであったり、著者であったり、最近の事例では、お笑い芸能人の本がそうでしょう。 ただ、この類似本の出版にも、紳士協定といいますか、暗黙の了解が古くにはあったのです。だいたい、真似をして後から出す版元が、ベストセラーを出した版元より小さいこと。つまり、小さな版元が生きるために仕方なくやる的な意味合いです。 もっといえば、大手のプライドとして、類似本など出さないという気概があったと思うのです。常にパイオニアたれ。誰が尻馬に乗るような姑息なことをするかと。 弊社は誰がどう見ようと、弱小チビ版元です。先はどうなるかはこれからですが、今のところ大手では決してありません。まあ、いまさらですが。 そんな版元の本を明らかに真似した本が、出版されています。 いえいえ真似され続けてきました。何冊も。 それがこのたび、同じ業界の最大手といわれる版元さんから、弊社の書籍が明らかに種本と分かる類似本が出版されました。 年末の最終か、新年の第一弾か、いずれにせよそれなりに売らんとする姿勢がうかがえるのです。主要書店さんの配本部数を聞いても、それは明らかです。 どういうことかというと、先行している弊社の書籍を、あわよくば駆逐してやろうという営業姿勢がうかがえるのです。 はっきりいって、弊社の営業力はそれほど強くはありません。 どちらかといえば強くないからこそ生きてこれたともいえるのですが、まあここでの趣旨とは違いますので別項に譲るとして、大手さんとは比較にならないほど弱いものです。 広報宣伝力、自社内の営業の数から、外注の営業ルート、網羅している書店の数、何をどう比べても、すべての項目に劣っています。 営業力からいえばとうてい太刀打ちできません。 じゃあ、どうして生き残れてきたかといえば、それが企画力だと思っています。 大手さんが参入してこないだろうジャンルを絞って出版することも含めて、単行本1冊、1冊の企画力です。これで生き残ってきたと思いますし、自信でもあるのです。 それが、類似本です。規模に物を言わせてパイオニアを潰そうとしているように感じます。 どうお感じになりますか。 どういう気持ちですか、大手の編集者さん。
2009.01.14
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あけましておめでとうございます。 皆様のご多幸を心からお祈り申し上げます。穏やかな年になるといいですね。 何事もなく平々凡々と時を過ごしていく、理想の生活です。なかなか難しいですが。 新年第一弾、今朝の読売新聞朝刊の第二面、双葉社さんの隣に広告を出しました。宅建シリーズの告知です。 今年は、新聞広告を含めて、広報に力を入れたいと思っています。最新の目録を用意することからはじめて、ネット広告、新聞雑誌、テレビは無理ですけどラジオあたりは可能性があるかもしれません。 制作ももちろんしますが、売ることに集中する年にしようと思っています。 それは、昨年、一昨年と規模の割には発刊点数がやたら多くなってしまったことの反省と、版元はいくら在庫を抱えていても売り上げにはならないという、しごくまっとうな事実を再認識したためです。 適正部数、適正配本、適正在庫、この三拍子がそろって、はじめていい出版計画と呼べるものです。それをすべての企画でめざしていきます。 ですから必然的に出版点数は絞られてくるでしょうし、改定や増刷も、部決に細やかな神経を持ってあたりたいと思っています。 テレビも新聞もそのニュースのほとんどが、今年は大変な年になると声高に叫んでいます。 出版業界も例外ではないでしょう。暗雲が垂れ込めています。 ただ、チビ出版社は、設立当初からずーと台風の中にいたようなものですから、いまさらの感が無きにしもあらずなのです。正直になところ、これ以上下がりようがないというところから出発していますから、それほど心配をしていません。 社員の前では言いませんが、いい兆しが見えてきてもいます。今年は面白いとしになりそうです。期待もあります。自信もあります。 読売新聞ご覧になってください。こんな本を出しているチビ出版社です。 本年もよろしくお願いいたします。
2009.01.06
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27,000,000円、今月の10日までに、印刷会社さんにお支払いした制作費の総額です。このほかにリボ払いの未払い金が1500万円ほど残っています。 デザイン、版下制作費として、これも1千万円弱お支払いしているので、総額4千万円ほどの制作原価になる。 正直、いっぱいいっぱいだ。いくらなんでも使いすぎだ。 印刷の支払いをリボ払いでお願いしているので、何とかやり繰りができている、といっていいでしょう。つまり借金。金融機関の無借金体質になってしばらくたつが、今度は製作会社さんへできてしまった。 ただ、基本条件が、6ヵ月で返済できる総額までというもの。つまり半年の手形の代わり、この条件をクリアーにしていれば、健全な経営の範囲といえるのでしょうが、新年の目標は、とにかく一度この借り入れをチャラにするというもの。単純に出版点数を絞るだけじゃなく、企画を厳選し、想定部数の的確な見極めを行い、ロスをなくす。 理想的な版元の体制にしてみたい。 それにしてもこの金額には驚きました。数年前までは、ちょうどこの金額の年商しかなかった会社です。 冬季のボーナスも支給できましたし、暮れの資金繰りも何とかめどが立ちました。世間は大不況の嵐が吹き始めたところ、まあ上々の2009年でした。
2008.12.25
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今年も師走、出版界では年末商戦がすでに始まっていますが、単行本の版元は、12月からだといって、これといった変わりはなく、淡々と仕事をこなしています。 新刊と増刷をあわせて23点、今年制作した点数です。 これは、設立以来最大の点数です。しかも売れ行き好調による単純増刷が何点かありますし、刷り部数も1万部を超えるものまでありました。 絶好調!と叫びたいところですが、そこはなかなか。 当然、制作費も設立以来最大の金額をお支払いしていますし、原価率が極端に悪くなっているのです。 倉敷料の値上げ、紙の高騰、人件費の圧迫、いい材料はまったくありません。 初版の基本単位部数を2,000部まで下げました。これも原価率を上げる要因です。 でも、こんな点数を出してしまうと、在庫の数はとんでもないものになってしまいます。 チビ版元が抱え得る量ではありません。少しでも絞っていくのが得策でしょう。 その分、定価を若干上げて、というふうに経営的には考えてしまいますが、それは時流に逆らうものです。 刷り部数数百部、定価数万円という高額品を中心に出版されている版元さんも存じ上げておりますが、状況はあまり変わらないようです。 定価は安めに、その上小部数で、というのがこれから来年にかけての出版界のキーワードになってくると思います。 もちろん、それを実行して、会社を維持していくのは大変難しいものです。 今以上の企画の絞り込みも必要でしょうし、ひとつのハズレがボディーブローのように経営を圧迫してくるはずです。 いずれにせよ、来年が勝負の年になるのは避けられないでしょう。 出版界全体としても、チビ出版社自体としても。
2008.12.02
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