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ハンティング・パーティ



ジャーナリストの実体験に基づく、リチャード・ギア主演のサスペンス。紛争地帯のサラエボに足を踏み入れ、危険な突撃取材に挑む男たちの冒険を迫力たっぷりに描きだす。

落ちぶれたリポーターのサイモンが、CIAでも捕らえられない戦争犯罪人の重要情報を得ることに成功。戦場カメラマン、新米テレビ・プロデューサーと共に取材を開始した彼の行く手には、想像以上の危険が待ち受けていた。


映画の舞台は、紛争の終結から5年がたった2000年のボスニア・ヘルツェゴビナ。すっかり平和になったはずの首都サラエボに、3人のアメリカ人ジャーナリストが降り立つ。

かつてはテレビで売れっ子の戦場リポーターだったが、生放送中に“不適切な発言”をして業界から追放されたサイモン。彼に引きずられるように危険な場所でカメラを回し続け、今はニューヨークのテレビ局に戻って快適な生活を送っているダック。テレビ局の重役である父親を見返すためにダックについてきた新米プロデューサーのベン。起死回生のスクープを狙うサイモンの「ぶっ飛ぶようなネタがある」というホラ話に乗せられ、3人は500万ドルの懸賞金がかかった戦争犯罪人フォックスにインタビューするべく潜伏地へと向かう。

1992年の独立宣言後、この地ではセルビア人とクロアチア人が勢力の拡大を狙って対立し、「民族浄化」のために多くのムスリム人が殺された。紛争は多くの〈社会派映画〉の題材にもなった。『パーフェクトサークル』『ウェルカム・トゥ・サラエボ』『ボスニア』『サラエボの花』……。マジメ路線ばかりではない。サラエボに生まれ、戦地で多くのドキュメンタリーを手がけたダニス・タノヴィッチ監督は『ノー・マンズ・ランド』で戦争のアホらしさをブラックな笑いで包んで見せ、サラエボ生まれのセルビア人エミール・クストリッツァは皮肉な視線にマジカルな風味をきかせた『ライフ・イズ・ミラクル』を撮り上げた。時がたつにつれ、視点や手法が広がった。そして、この映画は一見アメリカ人監督が撮った能天気な作品に見えて、実話に基づく物語。〈嘘のような本当の事〉が面白おかしく、辛らつに語られている。

スリルを求める報道人の〈性(さが)〉。情報を得るための〈駆け引き〉と〈機転〉。国連の〈限界〉と〈勘違い〉。真剣さが勘違いを助長する〈皮肉〉。民族浄化がもたらした〈悲劇〉。人間としての〈良心〉と、報道人としての〈落とし前〉……。そして、3人のとぼけたやりとりが〈笑い〉を生み、〈友情〉と〈愛〉が映画に叙情をまぶしてみせる。さらに、フォックスの潜伏地に近づくにつれて〈恐怖〉や〈緊張〉が加わり、サスペンス・アクション映画の様相まで呈してくる。

ちなみに、フォックスのモデルとなったのは紛争当時のセルビア人指導者カラジッチ。彼は未だに捕まっていない。


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