温故知新

2005.09.27
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障害児を授かってから、こっち。

今までの人生と変わったことはありすぎて、語りきれないほどではあるのだが、一つ。
『障害児耳』になってしまった、ことも、その大きな一つだ。

意識しているわけでもないのに、耳に入ってくる言葉の羅列の中から、
勝手に障害児関係の話を聞きとってしまう。
ただ、ぼやーっとニュースを聞いているだけなのに、
虐待された子供の様子を聞いて、「障害児だったのでは…」と、勝手に思ってしまう。

先日など、こうだ。

24時間テレビを見ていたときのこと。


彼女は、その特徴ある声で、
「この声のせいで人前でしゃべることが出来なくて内向的でした。
ほんと、自閉症気味だったと思う」
と言った。

自閉症気味って、なんだ??

ただ、単に、つけっぱなしだっただけのテレビから、この台詞だけが浮かびあがって聞こえてきた。

今日なども、こうだ。

通っている手話教室で、講師をしている、ろうあ者がこう言った。

「最近では、自閉症、という、自らの殻に閉じこもった精神的に弱い人もいる、
皆さんも病気にならないように気をつけましょう」

正確に言うと、ろうあ者、が言ったのではなくて、

本当に、その、ろうあ者がどう表現したのかは分からない。
が、何もないところから、そんな言葉が生まれるわけはなくて、
そのように表現した、ろうあ者の心の中に、
または、そのように通訳した通訳者の心の中に、
こういった考えがあったからではないか、と、そんな風に思いながら聞いていた。


ジェンダー研究者が、ことごとく、どんな研究、発言にも、
「この資料に男女比がないが、どういったわけか」
「この本自体、ジェンダーの視点が全く入っていないが、
世の中の半分が女性であるのに、これで正確な統計といえるのか」
など、とにかく、なんにでも挙手する女性軍団がいて、
同じ女性の自分から見ても閉口してしまうようなものだった。

そうやって、ジェンダーの視点を持つことが恥ずかしい、と思うことこそに、ジェンダー問題の根底がある、という、
ジェンダー論はここでは置いておいて、
私が言いたいのは、
それほど、彼女たちは『ジェンダー耳』になっていたのだな、ということである。
もちろん、そこで、ことごとくジェンダー論を絡めていって、市民権を得させたい、という野望もあるのだとは思うが、
それにしても、気付かなければ発言できないのであるから、やはり、『ジェンダー耳』を、持っていたのだろう。

自分の子供が障害児だった、という重さと同じ位の熱さでもってして、
ジェンダーという研究に打ち込んでいる。

それだけで、賞賛に値するし、
そういったことに気付かなかった私は、あの場にいる資格さえないような未熟な人間だったのだな、と、思う。

そう思うとき。

少しだけれど、娘を授かって良かったな、と思ったりもする。
ほんの少しなのだけれど。





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Last updated  2005.09.27 21:11:31
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お久しぶりです。  
ゆばあば さん
先月書き込ませてもらいました、ゆばあばです。
実は、pmsさんの日記にも出てきた「自閉症」という表現に対して、偶然、昨日今日に疑問を持っていたところでした。日記のテーマとは今ひとつずれた反応で申し訳ないのですが、またまたお邪魔しにきました。
自慢できることじゃありませんが(笑)、私、とある人気少女コミック(NANAじゃないですよ)の隠れファンなのです。何年も前に台湾でドラマ化されてましたが、今度日本でもドラマになるということで、久しぶりに読み返してました。
そしたら、どうも細かいことが気になるんですよね。その一つが「自閉症」でした。「あいつの家は父親がすごく厳しくて、子どものとき自閉症だったんだ」とか、「俺が昔、自閉症だったの知ってるでしょ?」とか。
「自閉傾向」「自閉的」ならともかく、「自閉症」では明らかに意味が違うし問題じゃないの?と思うんですけれど、どうなんでしょうか。

連載時に編集者は言葉のチェックをしなかったのだろうか、
こんな大手出版社だけどコミック部門に配属される人材はレベルが低いのだろうか、
所詮、少女マンガの読者だと軽く考えられ、表現チェックなど存在しないのだろうか、
はたまた、こんなこと気にする自分ってやっぱりおばさん?(ハイ、おばさんです)などなど…。
考えてたらとまらなくなりました。
マスコミ(テレビ、活字媒体)による無意味な言葉狩りにも危うさを感じますが、無頓着すぎるのもよくないですよね。出版する以上はせめて辞書くらい引こうよ…と言いたいんですけど野暮かしら。
・・・余談ですが、「彼があのグループのリーダーなのよ」みたいなセリフで、なぜかRにリーダーというルビがふってあったのには脱力しました…Lだろっ(笑)
ま、要するにその程度の軽い少女コミックなので、細かいこと気にせず楽しく読むのがいちばんいいんですけどね♪ (2005.09.28 20:28:56)

補足です  
ゆばあば さん
えらそうなこと書いた後にごめんなさい。
もちろん私も「自閉症」に関する理解は深くありません。もしかしたら「自閉傾向」って言葉も明らかに間違えた表現かもしれませんね。よく調べずに書き込んだ私に批判する権利はないですね。
ただ、先天的な脳障碍と、環境からくる後天的な情緒障害を混同している人が多いなぁと、そういうことを書きたかったんです。

おわかりになった方もいるかもしれませんが、ネタは「花より男子」でした。(はずかし…) (2005.09.28 20:56:07)

Re:『障害児耳』(09/27)  
マルゴー92  さん
私、お気に入りで昔からとってある本が本棚の何列かを占めいます。といって座右の銘になるような名作は少なくて、ミステリとかとにかく何でも読み返したくなる本なんですね。

そうした本を読み返すと物語の背景に結構、自閉症だとか精神薄弱とか(昔の本です)出てくるんです。

その子は精薄児特有の途方にくれたような表情をしていた、とか

読み方が昔とは全然違います。
かといって、そういう背景がなくなればいいとは思わないです。当然、そこにある存在なんですから。

でも、ろうあの人にかかわる人は障害者耳ではないのかしら。そうだとすると無理解の壁は絶望的に厚いですね。

(2005.09.29 11:13:21)

ゆばあばさん へ>Re:補足です(09/27)  
pms  さん
ゆばあばさん

>えらそうなこと書いた後にごめんなさい。
>もちろん私も「自閉症」に関する理解は深くありません。もしかしたら「自閉傾向」って言葉も明らかに間違えた表現かもしれませんね。よく調べずに書き込んだ私に批判する権利はないですね。
>ただ、先天的な脳障碍と、環境からくる後天的な情緒障害を混同している人が多いなぁと、そういうことを書きたかったんです。

>おわかりになった方もいるかもしれませんが、ネタは「花より男子」でした。(はずかし…)
-----

書き込み、ありがとうございます。

あのアニメ、テレビ放送していましたよね?
その分を楽しく(主人公を羨ましく、笑)見ていました。
確か、持田まきが声をしていたような(笑)

そうですか、あの漫画にもそんな表現が…。

私も、全然知らないんです。
『自閉症気味』がどんな意味合いを持つか分かりません。
でも、ゆばあばさんがお書きになってくださったように、先天的な脳障碍か、環境からくる後天的な情緒障害か、くらいも知らないんだなって思うと、
テレビドラマにまでなって、最近、市民権を得てきた障碍名のように思っていたので、
お先真っ暗な気持ちになってしまいました。

こういうのって、声を限りに抗議していくしか、ないんでしょうかね。。
それもまた、疲れるんですよね。。
(2005.09.29 11:51:10)

マルゴー92さん へ>Re[1]:『障害児耳』(09/27)  
pms  さん
マルゴー92さん

>私、お気に入りで昔からとってある本が本棚の何列かを占めいます。といって座右の銘になるような名作は少なくて、ミステリとかとにかく何でも読み返したくなる本なんですね。

>そうした本を読み返すと物語の背景に結構、自閉症だとか精神薄弱とか(昔の本です)出てくるんです。

>その子は精薄児特有の途方にくれたような表情をしていた、とか

>読み方が昔とは全然違います。
>かといって、そういう背景がなくなればいいとは思わないです。当然、そこにある存在なんですから。

>でも、ろうあの人にかかわる人は障害者耳ではないのかしら。そうだとすると無理解の壁は絶望的に厚いですね。
-----

ええ。
ろうあ者にしても(その通訳者にしても)そうですし、
24時間テレビ(日本テレビ系)などは、みんなで手話で歌ったり、
車イスの人がマラソンしたり、
福祉色の強い番組じゃないですか。
それで、こんな認識度だから、マルゴー92さんの表現をお借りすると、思った以上の無理解の壁の厚さに愕然とします。

ただ、マルゴー92さんもおっしゃているように、こういった言葉(存在)が世に出てくること自体は良いことだと思います。
当たり前のように世にいることから、目を向ける社会こそ、怖いと思います。

それと離れるようで、自分的には関連があるのですが、
娘を幼児番組に出したいと思っているんです。
朝の有名な教育番組に、補聴器をつけて。

今、養護学校が出演する教育番組がありますが、
それも良いのですが、
例えば、あの教育番組に出演中の40人くらいの子供の中に、補聴器の子供が一人いる、
その比率くらいの障害児が、世の中に暮らしていると思うんです。
そのことを排除した形は、なんだかおかしい気がして。

ま、出演できたら、の話ですけど(笑) (2005.09.29 12:01:40)

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