温故知新

2009.05.20
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4月の入学式以降から5月の中旬まで、急ぎではない病院は予約を外してきた。

昨日は口腔外科のある大学病院の歯学部病院。
今日は、車で1時間弱かかる、こども病院の心療科である。
給食終了後のお迎えだったので、給食が終わる姿を見てみようと少し早めに行ったら、
娘よりも先に、担任が私に走り寄った。

「△△(娘の名前)さん…今日は、授業に身が入らなかったようで…。
国語のときも練習帳を全くやらないで…。
算数のときは補助の先生が入るのですが、その先生にかなりなことを言ったようで…」


「あのね、△△ちゃん、べんきょうしないっていってた。」
「てんこうするっていってたよ。」
「もう、がっこうこないっていってた。」

なんか、どうしていいか分からなくて、とりあえず私は車の中で娘に聞いてみた。
でも、なんでなんで、と聞いたところで説明できるわけもなく…。
聞けばイライラするだけのお約束パターンで、最後、私は泣きながら怒鳴ってしまった。

幸い、今日は心療科の受診だった。
この病院は、心療科だけで独立した病棟を持つほど心療科に力を、特に、
虐待による心療も得意としている。
前の主治医…といっても半年弱の付き合いしかなかったが…が、転勤したため、
今日から新しく赴任した主治医であったのだが、


すると…、まず、最初に一言。
「えらいねぇ。そんなにやる気がなかったのに、ちゃんと席には座っていたんだね。」

言われて、目からうろこだった。

そうだ。
確かに、教室にはいたのだ。

教室を抜け出して遊んで帰ってこない、という、実に頭脳プレイで恐縮な話も入っていた。
が、それはきちんと守っていたのだ。

「最近、何か変わったことありませんでしたか。」

あった。
病院が増えた…。
それと…あさがお!

生活の時間で植えたあさがお。
自分で水をあげなければいけないのに、水をあげに行かなかった。
水をあげなければ育たないことを知らないのか、と、
「あさがお、かわいそうに…のどがかわいたんじゃない?」
とか、いつも促すことをしていた。
…が、よく考えたら、あの人はうちでハーブを育てている。
「あっ!わすれてた!」
と、自分からあげる日もあるのに…水をあげたら育つことを知らないわけがない…。
水をあげるジョロは人数分ないようだったし…もしかして、あげ方を聞きそびれてしまった
のではないだろうか…。
だとしたら、次第に枯れていってしまうだろうあさがおを思いながら、
どれだけ辛い思いをしていたのだろう。
それなのに、それを追い込むようなことをしてしまって…。

「お母さんの子ども像はどんな子どもですか?」

私があれやこれや思いをはせていると、新しい主治医はそんなことを聞いてきた。
私の中の子ども像…。
すぐに思い浮かんだのは、小学校のとき同じ学年だった男の子だった。
笑顔がまぶしくて、活発で、ノビノビしていて、でも、言葉使いとか丁寧で利発、
そんな子ども…。

「その子ども像と同じ様な子どもがクラスに何人いますか?
お母さんにとっては、1対21に感じているかもしれませんが、
きっと、そんなことないと思いますよ。
いろいろな子どもがいますから。」

確かに…そうだ。
娘も一人しかいないけど、
そんな理想の子どもも数人しかクラスにはおらず。
しかも、それは傍から見てそう思っているだけであって、
内情を知ったら、もっと数は限られてくるだろう。

なんとつまらないフィルターにかけてきたのだろう。

私の中には理想の子どもがいて…それは娘ではないのだ。
そして、いくら理想の子ども像をつきつけても、
そんな理想の子ども像を演じることもできない…それが娘なのだ。

いや、むしろ、演じることができない娘で良かったのだ。
虐待の連鎖を止めることができず、私もまた理想の子ども像を自分の子どもに
押し付けてしまうところだったのだから。
…いや、他の虐待をしてしまってきてはいるのだが…。

最後に、
「△△ちゃんは、この年齢なら大抵言われたことを機械的にやる子どもが多い中で、
自分の気持ちを大切にしたり、理由を求めたりできる、賢い子どもさんです。
怒ってもどうせ変わりませんし、エネルギーも使います。
怒りそうなことは事前にハードルを思いっきり下げて、
むしろいっぱい褒めてあげてください。そうしたら、きっと変わってきますよ。」
と。

褒める…のは、きっと、この主治医の十八番で、私はのせられているのだと思うが、
確かに、褒められれば嬉しい…事実、今、娘を褒められて私が嬉しいのだから。

「大して長い期間じゃないと思いますよ。
子どもは褒められたら、すぐに変わってきますから。」

のせ上手な先生だなぁ。
この先生のもとで、のせられてみるのもいいかな、と思ってきた。





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Last updated  2009.05.25 20:24:34
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