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【内容紹介】
京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父親の遺品の中からカセットテープと黒革の手帳を見つける。
ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。テープを再生すると、
自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われたテープとまったく同じものだったーー。
本屋前の通りにイチオシ書籍をプッシュするいわゆるショーケースがあるんですが
そこでこの表紙とタイトルを見たときに「読みたい」と思った本です
内容紹介で確認してさらに読みたさが上がったのですが
初読み作家さんをハードカバーで購入するのは勇気がいるので図書館に入っているのを確認して予約。
なかなかの人気作だったので4カ月待ちで手元にやってきました。
序盤(といっても数十ページ)集中できず苦戦したのですが
進むにつれて展開が気になり仕事行きたくなくなるほどでした(笑)
以下はさらなるネタバレ注意です
内容紹介に書いたとおり、京都テーラー2代めの曽根俊也が偶然父親の遺品からカセットテープと黒革の手帳を見つけてしまうところから話は始まる。
手帳のほうも気になるものの英文が多くて俊也には手が出なかったのでカセットテープを聞いてみると
たわいもない録音の後に不可解な言葉を読み上げる自分の声が録音されている
手帳の最後のほうに記されていた「ギンガ」と「萬堂」
まさかーー
自分の声が脅迫に使われている。もしかしたら家族がこの事件にかかわっていたのか
もしそうなら自分たち家族はどうなってしまうのか
俊也は録音したことすら覚えていないくらい小さな子供だった。
脅迫テープに声を使われた被害者といえるが、加害者(犯人)の関係者である可能性はかなり高い。
俊也は父親の同級生を頼り、自分の父親が関係していないことを信じて事件を探り始める。
また他方大日新聞文化部の記者阿久津英士は社会部の年末企画の助っ人として
昭和・平成の未解決事件の特集を組むにあったって「ギン萬事件」を追うことになる。
犯罪被害者、加害者の関係者という立場から事件を探る俊也サイド
新聞記者という立場から事件を追う阿久津サイド
それぞれの視点が交互に現れ
記者視点ではモデルになった「グリ森」での事件情報が使われているので
フィクションのお話なのノンフィクションのドキュメンタリーを見ているような感覚にもなる
俊也たちが関係者しか持ちえないテープという重大証拠から数少ない伝手を頼って
31年前に迫っていくのはハラハラするミステリでもある
虚実入り混じるそのさじ加減が丁度よかった。
事件が残した爪あとは深く、それだけの事件をひき起こした顛末というのは愚かなものだったが
事件のために当たり前の生活の何もかもを失ってしまった親子が
最後に少し救われたのが良かったと思う
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