福岡市個別指導塾慶應修学舎の記憶「石橋の思考」

福岡市個別指導塾慶應修学舎の記憶「石橋の思考」

2025.10.28
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テーマ: 学校・教育(258)
カテゴリ: 思想
「質問する力」が、その人の仕事の質を決める――。
これは、企業だけでなく、教育の現場にも深く通じる真理です。
日々、生徒や同僚との関わりの中で、「どう質問するか」で、結果も信頼も大きく変わります。

今日は、私が実際に現場で感じた「質問力の5つの階層」についてお話しします。
この考え方は、塾講師や教師が生徒を育てるうえでも、チームで働くうえでも、大きなヒントになるはずです。

■ 質問力には、5つの段階がある
「質問力」には、次の5つの階層があります。

「どうすればいいですか?」(思考停止の丸投げ)
「AかB、どっちですか?」(選択肢の要求)
「私はAと思います。なぜなら〜」(仮説の提示)

「なので、次はBを試します。了承ください」(提案と確認)

多くの人が①や②で止まりがちですが、本当の成長は③以降にしかありません。
③からは「自分の頭で考える」姿勢が芽生え、④で「実践的な学び」が生まれ、⑤でようやく「信頼される存在」に近づきます。

■ 教師・講師こそ、質問の“質”を問われる

教室では、生徒から毎日たくさんの質問が飛んできます。
しかし、よく考えてみると、私たち大人の質問の仕方こそが、生徒の質問力を育てることに気づかされます。

たとえば、
「どうすれば成績が上がりますか?」という質問を受けたとき、
すぐに答えを与えるのではなく、こう返すとどうでしょう。

「君は、どんな勉強法を試してみたの?」
「うまくいかなかったとしたら、どこが壁だった?」

この一言で、生徒の思考は①から③・④へと一歩進みます。


■ 現場でよくある「②止まり」の会話

たとえば、職員室でよくあるやりとりに、こんなものがあります。

「プリントはA4でいいですか?それともB5ですか?」
「会議で使う資料、どれを提出すればいいですか?」

もちろん、確認は必要です。
でも、毎回ここで止まっていると、自分の判断軸が育ちません。



「プリントはA4にしました。理由は、掲示時に視認性を上げたかったからです。問題ありませんか?」

この一言だけで、“思考の深さ”と“自律性”が伝わります。
相手は指示を出す必要がなくなり、信頼も一気に高まります。

■ 「⑤の人」には、仕事を任せたくなる

私自身、教育現場で若手講師を育ててきて感じるのは、
⑤「なので、次はBを試します。了承してください」といえる人は、もう“半分上司”です。

その人は、問題の把握から仮説・検証・提案まで、一連の思考プロセスを自分の中で完結させている。
もはや「質問」というより、「改善提案」なのです。

こうした人には、自然と責任ある仕事を任せたくなります。
そして、生徒指導でも同じことが言えます。
生徒が自分から「次はこうしてみます」と言えるようになった瞬間、
私たちは初めて「教えた」ではなく「育てた」と言えるのです。

■ 「質問力」を育てるにはどうすればいいか

教育現場でこの“質問力の階層”を活かすには、次の3つの意識が鍵になります。

答えを急がず、問いを返す
 → 思考を促す質問を返すことで、生徒・同僚のレベルを③以上に引き上げる。

失敗の報告を歓迎する
 → ④の「壁にぶつかりました」を安心して言える環境づくり。

次の一手を一緒に考える
 → ⑤の「次はBを試します」を支援する“共創的コミュニケーション”を意識する。

■ 最後に:質問の深さは、信頼の深さ

教育とは、知識を教えることではなく、考える力を引き出すことです。
そして、その力は「質問」からしか生まれません。

「どうすればいいですか?」の世界にとどまる人は、
どんなに真面目でも、他者の指示なしに動けません。
しかし、「私はこう考えます。だから次はこうします」と言える人は、
自分の意思で学び、変化をつくり出せます。

質問力は、思考力であり、生きる力そのものです。
教師・講師という立場だからこそ、自分の質問力を磨くことが、最良の教育なのかもしれません。





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Last updated  2025.10.28 13:14:15
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