JUIN

 フランス フランス 1 - 0  ウクライナ ウクライナ
  (6/6 テストマッチ)


今回もスタジアム観戦。フランスはEUROに向けた最終調整試合、すっきり勝って本番に挑みたいところ。
一方、ウクライナは楽しみにしていたシェフチェンコがいない・・・会場の外で配っていたパンフレットの表紙
には、アンリとともに写っていたのに・・・バカンスに行ってしまったのだろうか・・・
試合はフランスが攻めっぱなしという感じ。ただウクライナもアンリ、サア、ジダンにマンツーマンでついて決定
的な場面を作らせない。それでもいずれフランスが点を取るだろうと思っていたが、意外に手こずっていた。
攻撃が単調になっていたというのもあるし、攻撃陣の運動量が少ないように感じた。ほとんどウクライナ陣内
で試合をしていたので、あまりスペースがなかったというのもあるかもしれない。このままドローかとも思ったが
最後はアンリの落としからジダンが落ち着いてゴール。どうにか勝って終わることができた。
フランスはこの試合を見る限り、あまり仕上がりは良くない。アンリは今日もイマイチだったし、攻撃のスピード
がなく、個人が局面を打開しないとチャンスにならないという感じだった。ジダンが調子良さそうなのは好材料
だが・・・うちの奥さんはジダンはゆっくりに見えるのに何でうまいの?と言ってた。確かに何でだろうか?

 フランス フランス 2 - 1  イングランド イングランド
  (6/13 EURO2004グループB)


いきなりの大一番。予選初戦なので両チームとも負けられないところ。
先発メンバーは双方ともほぼベスト。試合はイングランドペースで始まった。イングランドの中盤4人のバランス
が絶妙で、特にランパードが良かった。フランスは相変わらず攻めの形が作れない。ボールを持つと言うより、
持たされていると言った方がいいぐらいだった。前半30分ぐらいでベッカムのFKからランパードのヘッドでゴール。
これはベッカムのFKも素晴らしかったし、シュートも良かった。後半に入ってもイングランドペースは変わらず、
バルテスのPK阻止があっても、流れが変わることはなかった。しかし、試合終了間際にまさかの展開。中央
やや右よりのFKをジダンが直接たたき込み同点、さらに直後にジェラードのパスミスからPKを得て、またもジダ
ンが決め逆転、そのまま試合終了となった。
フランスは勝つには勝ったが、内容は全然ダメ。これでは上は難しいと思う。対するイングランドは負けはしたも
のの、内容は良かった。ただジダンのFKに対する壁の作り方に疑問が残る。ジダンのシュートは壁の横を通っ
ていた。4枚ではなく5枚にしておけば果たして?という感じだった。あとはオーウェンの元気のなさが気になった。
ルーニーがとても18だか19に見えないプレーで絶好調なので、オーウェンの出来次第でもっと良くなると思う。

 イタリア イタリア 0 - 0  デンマーク デンマーク
  (6/14 EURO2004グループC)


玄人好みのカードと言ってもいいかと思うこの対戦。ビエリ、デルピエロ、トッティがどのようなサッカーを見せて
くれるか楽しみだった。両方とも4-2-3-1の布陣だが、デンマークの方がピッチをワイドに使ったサッカーをして
いた。イタリアは相変わらずというか、のらりくらりとしたサッカー。期待の3人もそれほど見せ場はなかった。ただ
しDFはやっぱり固い。そうそう点は取られないような気がする。一方のデンマークはトマソンを中心に小気味の
いい攻めを見せていた。守りも必ず5人は残して危ない場面は数えるほどだった。決勝トーナメントに行く可能
性は十分にあると思う。

 ドイツ ドイツ 1 - 1  オランダ オランダ
  (6/15 EURO2004グループD)


ドイツの前評判は最悪、ハンガリーに5-1で負けるという信じられない結果なのでそれもしょうがないか?
一方のオランダも直前の親善試合で負けるなどこちらもイマイチ。
試合は予想に反してドイツペース。固いディフェンスとサイドからの攻めでオランダを押していた。オランダは4-4-2
できたが、あまり機能していなかった。先制点はドイツ、FKが流れてそのまま入ったものだった。その前にも危ない
FKが2本ほどあったのでそろそろかと思ったらその通りになった。後半、オランダは4-2-3-1にし、交替出場のオー
フェルマルスが左からどんどん縦に勝負するようになってから、オランダペースになっていった。しかしドイツのセンター
バックは激しいというか汚いディフェンスでシュートもそうそう打たせない。ドイツが逃げ切るかと思われたけど、ファン
ニステルローイの見事なシュートで辛くも引き分け。お互いにとって最低限の結果を得た。
ドイツはそれほど悪くないというか結構いい。いつもながら本番に合わせて状態を上げてくるのは見事だ。
一方のオランダは4-2-3-1にすべき。あとは右サイドで勝負出来るプレーヤーが欲しいところ。良くはないけど、
悪くもないので、これから注目したい。

 ギリシャ ギリシャ 1 - 1  スペイン スペイン
  (6/16 EURO2004グループA)


開幕戦で番狂わせを演じたギリシャと個人的には一番楽しみなスペインの対戦。予選ではスペインはホームで
ギリシャに負けている。試合はスペインが中盤でボールを支配するが、シュートまでなかなか結びつかない展開。
モリエンテスの出来がイマイチかと感じた。それでもラウルーモリエンテスのコンビで先制。試合展開から言ったら
スペインの勝ちは固いかと思ったが、追加点が取れずそうこうしているうちに、ギリシャが見事なカウンターから同点
に追いついた。これは左のアウトで出したパスも素晴らしかったし、トラップからシュートも無駄がなかった。その後
スペインも一方的に攻めるが追加点が奪えずドロー。スペインはポルトガル戦の前に勝ち点6にしておきたかった・・・
ギリシャは確かに良いサッカーをするけど、ポルトガルが負けるようなチームではないと思った。
スペインはおもしろいサッカーをしているのだけど、勝負に甘いと感じた。次のポルトガル戦はどうなるだろうか・・・
予想としては、スペイン、ギリシャの勝ち抜け。

 フランス フランス 2 - 2  クロアチア クロアチア
  (6/17 EURO2004グループB)


フランスがクロアチアにすっきり勝てるようだと調子も上がってくるところ。しかし内容的にはイングランド戦とあまり変わ
らなかった。フランスの攻めはボールがなかなかゴールに向かっていかない。ボランチの2人の展開力がイマイチのよ
うに感じる。ヴィエラはもっと良い選手のはずなんだけど・・・アンリ、トレセゲの2人もびっとしない。結局はジダンが
一人でいろんな役割を担っている状態なので、次のスイスはジダンにマンマークを付けてくるのではないかと思う。
クロアチアは内容では完全にフランスを上回っていた。ただ終了直前のチャンスをものに出来ないあたりがチーム力
なのか?プルソも悪くないけど、いいFWがいればもっと良いチームになると思う。
ラパイッチを久しぶりに見た。変わったところもあるが、基本的には同じでちょっとうれしかった。頭が薄くなってきてるの
はちょっと寂しかったが・・・
このグループは順当にフランス、イングランドの勝ち抜けを予想。

 イタリア イタリア 1 - 1  スウェーデン スウェーデン
  (6/18 EURO2004グループC)


イタリアはこの試合中盤にピルロとガットゥーゾのミランコンビが入り、メンバーを大きく入れ替えてきた。
試合はイタリアが素早い出足で主導権を握る。先日のデンマーク戦と同じチームとは思えないほど良かった。ピルロ
は中盤の底に位置し、長短自在のパスでイタリアの攻撃のリズムを作っていた。トッティに代わって出たカッサーノも
小気味よいプレーで攻撃にアクセントを加え、デルピエロもようやく調子が上がってきたようだ。ただ問題はビエリ。
シュートは打つが枠に全く飛ばない。得意のヘディングで決定的なチャンスが何度もあったが、体が流れており叩き
つけることが出来なかった。それでもカッサーノのヘディングで先制、この試合何度もいい上がりを見せていたパヌッチ
からのクロスにうまく合わせたものだった。後半はイタリアが徐々にペースダウン、前半から飛ばしていたのである程度
は仕方ないところ。ピルロのところでボールが収まらなくなってきたしガットゥーゾも足をつっていたので、交替を考える
べきだと思っていたが、イタリアは動かない。スウェーデンがボールを回し始め何度か危ない場面が出てきて、ようやく
イタリアも選手交替したが、ちょっと遅いしあまり効果的な交替とは思えなかった。その後、スウェーデンはイブラヒモ
ビッチのアクロバティックなゴールで同点、イタリアは勝ちきれなかった。今大会は1-0で逃げ切れないケースが非常に
目立つ。イタリアならと思っていたが、崩されたわけではなく、ラッキーな面もあったがゴールを決められてしまった。
イタリアはどんどん良くなってきているが、あとはビエリ。両サイドバックが鋭い上がりからいいクロスを何度も上げてい
るので、ビエリが当たり出せば大量得点も可能だと思う。ビエリに代えて他の誰かを先発にしてもおもしろいかも。
このグループはイタリア、デンマークの勝ち抜けを予想。

 チェコ チェコ 3 - 2  オランダ オランダ
  (6/19 EURO2004グループD)


オランダはシードルフ、ロベンが先発に名を連ねた。ロベンは初めて見るので楽しみだ。対するチェコはやや守備的な
布陣のように感じた。
試合はオランダペースで進み、いきなりFKからバウマがヘディングシュート。なぜか完全にフリーしてしまっていた。
さらにダービッツの見事なスルーパスからロベンのクロスをファンニステルローイが合わせて2点目。ここまでアシストは全
てロベン、噂に違わぬプレーを見せてくれた。争奪戦になるぐらいの価値のある選手である。予想に反してオランダ楽
勝かと思ったが、さすがにチェコ、そんなはずはなかった。選手交替で攻撃的布陣にすると、すぐさまコクーのバックパス
ミスをかっさらって、混戦からコラーがシュート、すぐに1点差に追いつき試合は分からなくなった。しかしその後もオランダ
がペースを握り、何度か惜しい場面があったが、GKのファインプレーとポストに嫌われた。後半はお互いにペースを譲ら
なかったが、残り30分でオランダは何を思ったかロベンに替えてボスフェルトを投入。ボスフェルトは守備的MFの選手、
どう見ても守備固めをして逃げ切ろうという作戦に思えた。残り15分ぐらいだったら理解できるが、まだ時間はあるし相
手はチェコである。またロベンは後半も何度かいい場面を作っており、その彼を替えると攻撃の起点が消えてしまうのは
見え見えだった。全く理解の出来ない采配で、サポーターからも大ブーイングであった。オランダにとってはさらに悪いこと
に、主審の笛がチェコ寄りだったということもある。チェコは残り15分の間に、バロシュ、スミチェルとゴールを決めまさかの
逆転。バロシュは押さえの効いたボレー、スミチェルのはその前のポボルスキーの落ち着いたプレーが光った。
チェコはバランスの取れたいいチーム。ネドベド、ロシツキーを中心に攻めのバリエーションは豊富で見ていて楽しかった。
決勝トーナメント進出を決めたが、DFがイマイチ弱いのがこの先どうでるか?
対するオランダは出来自体は悪くなかった。ダービッツも調子を取り戻し、シードルフ、ロベンもいいプレーを見せるなど
選手層も豊富である。個人的には右のファンデルマイデとコクーを変えたい。しかしこれだけの選手がいて予選敗退し
たら、本当にヘボ監督だと思う。
このグループは希望も込めて、チェコ、オランダの勝ち抜けを予想。

 ポルトガル ポルトガル 1 - 0  スペイン スペイン
  (6/20 EURO2004グループA)


開催国のポルトガルは勝たなければ決勝トーナメントは厳しいところ。こういう厳しい状況でポルトガルが力を発揮で
きるとは思っていなかった。ポルトガルはクリスティアーノ・ロナウドが先発。対するスペインはフェルナンド・トーレス、シャ
ビ・アロンソ、ホアキンが先発メンバーに名を連ねた。
試合は序盤からお互いが真っ向からぶつかる展開。ポルトガルはデコ、フィーゴを中心にロナウドが再三、右からいい
突破を見せていた。対するスペインもビセンテ、ホアキンが両サイドから鋭いクロスを上げ、チャンスを作っていた。
前半は双方譲らず終了、ハーフタイムでロシアリードの情報が入った。後半からポルトガルはヌーノ・ゴメスを投入。前
回ユーロで活躍したFWだ。そのヌーノ・ゴメスがフィーゴのパスからミドルシュートを叩き込んだ。ペナルティエリア外で
DFも寄せが甘かったのは打つとは思わなかったのだろう。一度はたくかと思ったが、そのままシュートにいったあたりは、セ
ンターフォワードらしいゴールだった。これでスペインは何としても同点に追いつかなくてはいけないのだが、プレーを見て
いてもその辺の気迫が感じられない。選手交替も特に効果なく、試合はそのまま終了。スペインがまさかの予選敗退
となった。
ポルトガルは素晴らしい気合いを見せて、まさに気持ちで勝ったと言ってもいいと思う。こういうがむしゃらなポルトガル
を見たのは初めてかもしれない。プレッシャーに負けた開幕戦とは大違いだった。最初、つまづいたがその後2連勝で
いい形で決勝トーナメントに進めるので、これから楽しみである。
一方のスペインは攻撃力不足の一言。あれだけ攻撃的なリーガでプレーしている選手達がなぜこのようなプレーしか
出来ないかが全く理解できない。また監督の采配にも問題ありだろう。特にこの試合は手駒はいっぱいいるのに、そ
れを全く有効に使えなかったように思う。今回こそと言われていたスペインだが、いつにも増して情けない結果で終わっ
てしまった。次回のW杯でスペインを優勝候補にする人はいないだろうと思われる。選手ではラウルの時代が終わりつ
つあるかと思う。良いときのラウルであれば、2,3点は決めていてもおかしくないシーンもあった。ここから復活出来るか?
まだ老け込む年ではないので、ラウルが再上昇すればスペインも再びトップグループに返り咲くであろう。

 フランス フランス 3 - 1  スイス スイス
  (6/21 EURO2004グループB)


スイス相手ならすっきり勝って、決勝トーナメントにはずみをつけたいフランスだったが、相変わらずの調子だった。立ち上
がりこそ上々だったが、セットプレーからジダンが決めて先制してからちょっとおかしくなってしまった。シルベストルのミスから
同点弾を浴びて、その後もスイスが押し気味の展開が続いた。後半もボールは支配するものの、攻めの形が見えぬま
ま時間が過ぎていき、まさか引き分けもあるかと思い始めたところでようやくフランスが勝ち越し点。交替したサアのファー
ストタッチがアンリへのアシストになった。その後、アンリが得意な形からだめ押しをして試合終了。
フランスは何かチームに沈滞ムードが漂っているように見える。何となくサッカーをしているような感じがしてしまうのは気の
せいだろうか?個々を見ていくと、まずDFはシルベストルはミスが多いし、リザラズも全盛期は過ぎてしまったよう。中盤
はジダンは相変わらず好調、ピレスもそれほど悪くはないのだが、底の2人の攻撃面が課題であろう。個人的にはマケ
レレじゃなく、ペドレッティを出すと面白いかと思う。FWはようやくアンリの調子が出てきたのが好材料。2点取ったのは自
信にもなるだろうから、次の試合が楽しみである。一方のトレセゲは身体のキレがないし、身体の芯がぶれるケースが
多いので、体調に問題があるような気がする。次の試合はサアが先発かもしれない。
いろいろと書いたが、それでも7得点しているのはさすがフランスといったところ。ただやっぱり決勝までは難しいと思って
しまう。

 イタリア イタリア 2 - 1  ブルガリア ブルガリア
  (6/22 EURO2004グループC)


イタリアは決勝進出のためにはまずは勝つこと、さらにデンマークとスウェーデンの結果に左右されるという状況。
立ち上がりはイタリアペースだが、その動きはピリッとしない。ビエリに代わって先発したコッラーディは初めて見たが特に
これといって・・・という選手だった。相変わらす攻撃にスピードがなく、見ていて点が入るような気があまりしなかった。
そうこうしているうちに、マテラッティがいらぬPKを与えてしまいブルガリアが先制。しかしイタリアも後半すぐにザンブロッタ
のマイナスのクロスをカッサーノがダイレクトシュート、バーに当たった後混戦からペロッタが同点ゴール。ようやくエンジン
がかかってきたかと思ったが、その後も相変わらずで、本当に勝つ気があるのかと思ったぐらいだった。そのまま同点で
終わってしまうかと思われたロスタイム、カッサーノがきれいなゴールを決めてどうにかこうにか勝利。ところが、デンマーク
とスウェーデンがまさかの2-2だったので、なんにせよイタリアは予選敗退。スペインに続くサプライズだった。
今大会、イタリアらしい姿を見たのはスウェーデン戦の前半のみ。あとはだらだらした展開が多かった。全体的に動きが
悪く、コンディション調整を失敗した印象を受けた。これで監督がリッピになるようだが、選手が大幅に入れ替わるんじゃ
ないかと思う。

 チェコ チェコ 2 - 1  ドイツ ドイツ
  (6/23 EURO2004グループD)


チェコは勝ち抜けを決め、残りをドイツとオランダで争う展開。当然の事ながらチェコはレギュラーを半分以上休ませた
ので、ドイツの決勝トーナメントは固いかと思われた。しかし、チェコの2軍相手にドイツは押し気味ながらもほぼ互角の
展開。バラックのきれいなボレーで先制したものの、すぐさま見事なFKで同点に追いつかれてしまった。後半はドイツが
プレッシャーをかけて一方的に攻めるが、シュートがバーやポストに当たるなどの不運もあり勝ち越せない。こういう展開
になると危ないなと思っていたら、案の定カウンターからバロシュがゴール。ドイツのセンターバック2人を手玉に取った見事
なゴールだった。オランダがリードしているのでドイツは逆転しかないのだが、今日のドイツはそれを予感させるよう出来で
はなかった。そのまま試合は終了、チェコが3戦全勝を飾った。ドイツはラトビア相手に引き分けたのが効いてしまった。
これでいわゆる強豪国でスペイン、イタリア、ドイツが予選敗退という結果、ドイツはある程度予想できたが、ここまで番
狂わせが多いのは珍しいのではないか。この3チームに共通しているのはとにかく点が取れなかったこと。その理由は、枠
にシュートが飛ばないことが一番だろう。まるで日本の試合を見ているような感じさえしたときもあった。
しかし、このチェコにいろいろな条件が重なったとは思うが、アウェーで勝った日本は素直に評価されるべきだと思う。

 ポルトガル ポルトガル 2 - 2 (PK 6-5)  イングランド イングランド
  (6/24 EURO2004準々決勝)


準々決勝一番の好カード、決勝で見てもおかしくない対戦。
試合はいきなりオーウェンのゴールから始まった。難しい体勢からうまくボールを押し込むオーウェンらしいゴールだった。
時間も早かったので、ポルトガルも落ち着いて攻めるがイングランドの守備は固い。フィーゴは動きがイマイチだったし、ロ
ナウドはコールに抑えられていた。この1対1は非常に見応えがあり、プレミアで何回か対戦しているからか、コールはロナ
ウドのフェイントによくついていっていた。イングランドも守るのではなく次の点を取りにいく姿勢を見せ、期待通りの好ゲ
ームとなった。後半に入り、両サイドから崩せず攻め手が少ないポルトガルはなんとキャプテンのフィーゴを交替。確かに
出来は良くなかったが、決定的な仕事の出来る選手なのでこの交替は意外だった。ところが交替で出たポスティーガが
ヘッドで同点、2トップにしたフェリペの采配がズバリだった。このゴールはここまで完璧な仕事をみせていたテリーがマーク
を外したことによるもの。イングランドはこういう失点が多いようなイメージがある。その後、後半終了間際にキャンベルが
押し込むがキーパーへのファウルの判定。この判定は微妙だったし、議論にもなるだろうが、まあ正当なジャッジだったと
思う。試合は延長に入り前半は決定的なシーンはなかったが、後半5分だか10分にそれまでシュートをふかしていたルイ
コスタが目の覚めるようなミドルを決めてポルトガル勝ち越し。このままポルトガルが勝利かと思われたが、イングランドも
ベッカムのコーナーからランパードのゴールでまさかの同点。これもポルトガルの守備がちょっと甘いと感じた。かくしてPK
戦へ。イングランドは1人目ベッカムがふかして失敗。足下がかなり悪そう。ポルトガル断然有利かと思ったが、ルイコス
タが外してしまい、イングランドは続く3人が連続してゴール真ん中に蹴って成功。5人目はGKは中央に止まっていたも
のの横に蹴られサドンデスへ。流れはイングランドで、ポルトガルがかろうじて粘っているという感じだったが、ポルトガルの
6人目の確かポスティガがチップキック。外せば終わりの場面でまさかの選択、若いのに度胸のある選手である。勝負は
このチップキックで決まった感があり、次のヘスキーが止められ最後はGKが決めてポルトガルが劇的な勝利を収めた。
この試合はここまでのベストゲームと言ってよく、おそらく大会通してもベストゲームであろうと思う。ポルトガルはフェリペの
采配がずばりと当たり、PK戦もポルトガルらしい勝ち方だと思った。ただ出来ればルイコスタのゴールで終わって欲しかっ
た。あれで終わらずにヒーローになり損ねるあたりがルイコスタらしいのかもしれないが・・・またこの試合デコの働きが光っ
ていた。攻撃が一本調子になりがちなイングランドに対して、リズムを変えながら攻守に渡って活躍していた。
この試合は控え選手の層の厚さで勝負が分かれたと思う。交替選手がそれぞれゴール、アシストをしたポルトガルに対
して、イングランドはルーニーの怪我により戦力が落ちた感があったし、さらにネビル、ハーグリーブスが出てきても特に危
険な感じはなく、ネビルなどは逆に足を引っ張っていたように思う。控えの層を厚くすることが次のW杯までのイングランド
の課題であろう。

 ギリシャ ギリシャ 1 - 0  フランス フランス
  (6/25 EURO2004準々決勝)


予選で一番の大番狂わせを見せたギリシャが前回優勝国に対してどのようなサッカーをするか?
フランスは調子は良くないが、普通にやればギリシャは負ける相手ではないところ。立ち上がりはギリシャも出足がいい
が、ボール支配率はやはりフランス。ただし攻めあぐねてボールを持っている感じ。ギリシャはウクライナがやったように、
マンツーマンディフェンスっぽいので、前線にボールが入ってもすぐにマークが付き自由にさせていなかった。こういう時は
ボランチやディフェンスのオーバーラップが欲しいところだが、時折、リザラスがいい上がりを見せるものの、あまり効果的
なものはなかったように思う。この日のボランチはマケレレとダクール、二人とも守備の印象が強い選手。相手は格下
なので片方は攻撃的な選手にするべきだと思った。後半も似たような展開、早くもPK戦かな~と思い出したが、ギリ
シャがワンチャンスをものにした。リザラズの不用意なディフェンスから右サイドフリーな状態での、ピンポイントクロスをき
れいにゴール右上に決めた。テュラムがマークについていたが、その前のスペースに2列目の選手が飛び込んできたため
そちらに付いて、ゴールした選手をフリーにしてしまった。あれだけクロスを上げる前に時間を与えてしまうとDFとしては厳
しい、その時間を与えてしまったリザラズのプレーがいただけなかった。その後、フランスもサア、ビルトール、ロタンと入れ
て反撃を試みるが、終了前のアンリのヘディングも枠の外だった。試合はそのまま終了、まさかのフランスの敗戦だった。
結局、フランスらしいプレーを見ることなく終わったような気がする。今日も横パスばかりで縦パスを入れたらそこで潰さ
れる、またパス自体も弱く、ピレスだけが目の覚めるようなパスを出していたが、その他はスピードがないのでDFにとって
は守りやすいものだったと思う。パスの弱さについてはスペイン、イタリアにも同じ事を感じた。フランスは大会前にサンティ
ニのトットナム監督就任のニュースが流れたが、これではチームが一つになるわけがないと思う。今回は協会も含めて
全てがフランスらしくなかった。一方のギリシャは守ってカウンターというのが徹底されている。見ていておもしろくはないが
日本なんかは参考になる戦い方をしていると思う。どこまで守りきれるか注目したい。

 オランダ オランダ 0 - 0 (PK 5-4)  スウェーデン スウェーデン
  (6/26 EURO2004準々決勝)


この試合は後半から観戦。
スウェーデンの両サイドバックがオランダの両ウィングをよく抑えていた。スウェーデンもオランダと互角とまではいかないが
なかなか良いサッカーをしていたように思う。オランダはダービッツに替えてハィティンガ、ファンデルマイデに替えてマカーイ
とまた良く分からない交替をしていた。スウェーデンの交替選手カルストームやウィルヘルソンが際どいシュートなどを打
っていたのと対照的だった。オランダはマカーイを投入した時点でPK戦狙いにしたのかと思わせる内容で、延長後半に
はスウェーデンのシュートがポスト、バーに当たるなど、最後はスウェーデンペースで120分が終わった。オランダはPK戦
には弱いが、いつもは試合内容で圧倒しながらPKで負けるというパターン。ところが今回は逆だった。サドンデスにもつれ
こんだがファンデルサールがPKでは珍しくキャッチするようにシュートをストップし勝負あり。最後はロベンが決めてオランダ
が準決勝進出を決めた。勝つには勝ったがいまいちオランダらしくない試合運び、とことん攻撃という感じがないのだ。次
は同じく攻撃サッカーのポルトガル。打ち合いの派手な試合を期待したい。

 チェコ チェコ 3 - 0  デンマーク デンマーク
  (6/27 EURO2004準々決勝)


個人的にはデンマークが結構良い勝負をするんじゃないかと思っていたこの試合。
前半はデンマークのボール支配率が約60%だったが、危険な場面というのはあまり作れず、シュートも少なかった。チェコ
が相手に持たせていたというところだろう。サイド攻撃はしっかり封じていたし、中央もポストに入った後でしっかりつぶして
いた。後半も同じような展開で始まったが、チェコがコーナーから練習通りと思われるゴールを決めた。その前にもコーナー
があり、その時にコラーにもう一枚つけたほうがいいんじゃないかと思ったのだが、やはりそこでやられてしまった。コラー以外
はファーに集まり、コラーの周りを空けて1対1勝負をさせるのが見え見えだったので、何かしら対処出来たゴールだと思っ
た。まだ1点じゃ分からないと思ったが、すぐさまバロシュが見事な飛び出しからループシュートを決めて勝負あり。おまけに
またもやバロシュがネドベドのスルーに反応して3点目、あっという間に試合が決まってしまった。
チェコは個人能力も高いが、コンビネーションも良く、特にバロシュ絡みは絶妙なものがあった。この試合はまさに横綱
相撲といった感じでチェコの底力を見せつけられた。バロシュはリバプールでは控えらしいが、この活躍で明るい来シーズ
ンが待っているであろう。チェコが次のギリシャ相手にどんなサッカーをするか楽しみである。
一方のデンマークはワントップのサンドの欠場が痛かった。トマソンがワントップに入り、ポストプレーなどもそつなくこなして
いたのはさすがだと思ったが、やはりトマソンは前を向いてプレーをしてこそ輝くように思う。あとはデンマークのパスはグラウ
ンダーがほとんどで、ヘッドで競るようなハイボールがほとんどなかった。サイドを封じ込まれたのでもう少し攻撃のバリエー
ションがあればもっと競った試合になったような気がする。

 ポルトガル ポルトガル 2 - 1  オランダ オランダ
  (6/30 EURO2004準決勝)


試合前は期待も込めて点の取り合いを予想。
前半からポルトガルペース。前の試合で調子の悪かったフィーゴがいい動きを見せ右から何度もチャンスを作っていた。
対するオランダはロベンがポルトガルのミゲルに抑え込まれてしまい、攻撃の形を作れない。今大会のオランダはサイドを
封じられると勢いがなくなってしまう試合が多い。セードルフは悪くないのだが、その後ろのダービッツ、コクーのコンビは攻
撃に限るとあまりいいコンビとは思えない。コクーはもっと攻撃も出来る選手だったような気がするが・・・
試合は前半にデコのコーナーをロナウドがヘッドで合わせ先制。ロナウドはドリブルだけではなく、シュートもいいし、セット
プレーでの高さもあるので、このまま成長していくとかなりの選手になるのではないかと思う。後半にはロナウドのショート
コーナーからマニシュがインフロントで狙いすましたシュートでゴール。これはファンデルサールも含めオランダのDF全体の
ミスであった。またその隙を見逃さなかったロナウドとマニシュも見事。その後、ポルトガルはアンラッキーなオウンゴールで
1点差とされるが、そのままのペースで試合終了。終了間際には3点目かと思わせるシーンもあった。地元ポルトガルは
見事に決勝進出、試合内容も悪くないので決勝も期待できる。対するオランダはいつものオランダらしいプレーが少な
かった気がする。今回は監督がいろいろやろうとするが、それが中途半端というか全くいい方向に行っていなかった。そ
れでも準決勝に来てしまうのがさすがオランダというところ。期待の若手も多いので次回のW杯には期待したい。


Mai Reportへ もどるぅ


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