小説家わかつきひかるのブログ

小説家わかつきひかるのブログ

2019年09月01日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
昔は、一次選考は、文章がきちんとしていて、起承転結ができていて、小説になっていたら通ると言われていました。

でも、最近、小説になっていても、一次で落ちる場合があり、なんでなのかなと考えています。
私が「これは王道だ。お話も面白い。最低でも予選は通る」と思った小説が一次選考で落選したりして、小説教室の先生としての自信を失うことがあります。

私は一次選考をしたこともあるし、地方文学賞の選考委員もしたことがあるから、私の基準は正しいはずなのに。

それでいて、
『老人のはなった徒手空拳は…』ラノベ作品の中で出てくる表現が気になる
故事成語の間違いの多い、国語レベルが低い小説が新人賞を取ったりしています。

魔人の少女を救うもの Goodbye to Fate【電子書籍】[ 西乃 リョウ ]

レベルの低い小説が受賞するのは、ライトノベルだけの傾向ではなく、純文学でも起こってることで、
芥川賞候補“盗作”騒動 講談社VS新潮社の「大いなる」泥仕合に 当初は“大人の解決”方向も…
​こういうこともありました。

上手い小説が落ちて、国語力が低い小説や、盗作小説が受賞する? なんでなんだろう?

評論家の池上冬樹先生はツイッターでこうおっしゃっていました。
池上冬樹先生のツイッターから引用します。

‏@ikegami990 · 13 時間13 時間前 
(引用はじめ)
▼ある新人賞の下読みで、出来はとてもいいが、線が細く、また物語的もこぢんまりとしていて、これ以上のものは書けないだろうと思わせる作品に出会った。新人賞をとっても次々に書けないなら賞を与えるべきではない。明らかに書けない人たちがいる。とても完成度が高くても。1作で終わる人たちが。

▼2)ある新人賞をとって、数作後に沈黙して、別の新人賞に応募してきた作家がいた(こういうのが増えている)。応募作を読んで発想はいいし悪くはないが、これで出涸らしだろうと思った。手堅くうまいが勢いがない。どこかの出版社から突き返された作品を応募したのだろう。だから厳しく採点した。

▼3)しかし結果的にそれが賞をとった。最終候補に残ることも意外だったが(この人はこれ以上書けませんよと強く指摘したのに)、編集部の見方は違っていたのかも。で、その人、受賞作のあと一冊も出していない。書けない人に賞を与えては駄目。過去に賞をとった人にはなおさら厳しくしないと。


選考基準が「勢い」を評価する方向へと、シフトしてきているんですね。

私は小説教室で、正しい文法で、原稿用紙の使い方の約束を守って、起承転結をつけて小説を書きましょう、と言っています。私の考え方や好き嫌いを押しつけないようにしよう。基礎とテクニックを覚えてもらおうと思っています。それじゃダメなのかな?

『86』を大賞に推した時雨沢恵一の心意気
(引用はじめ)
言っていいのか、わからないのですけど。この話、22回で一回、応募して…。
で、一次落ちしまして…。 (ネタバレ防止のため中略)今回、あのラストを書き足した次第です。
(引用おわり)


86-エイティシックスーEp.7 -ミストー (電撃文庫) [ 安里 アサト ]
「86」は、一度一次落ちした小説を、ラストを書き足して、再度投稿したところが大賞受賞、そして大売れ、という経緯を辿ったわけなんです。

私も読んでいますが、私は懐かしさを感じました。昔のアニメを思い浮かべたのです。なので、一次選考者は勢いがないと評価したのでしょう。勢いという評価基準はあいまいです。だから、こういうことが起こってしまう。

また、京アニの容疑者は、京アニの新人賞に投稿し、応募規定を守っていないため選考に回されず、誰にも読まれず一次選考で落ちたのを、アイデアを盗まれたと思い込み犯行に及びました。

そもそも、​ 応募規定がおかしい地方文学賞もあります。 ​応募規定通りに投稿したら「応募規定を守ってないから再度投稿しろ」と電話がかかってきたそうです。

一次選考落選、もう一度投稿したら大賞受賞というのはたまにあります。
私の大賞受賞作も、某社で「あなたは女だからポルノは書けないんですよ。女の書いた甘ったるいポルノ、売れるわけがありませんが、売れるイラストをつけて赤字にならないようにして出版してあげます」と言われて二年間お預かりされてレーベルが廃刊になって、投稿したものだったんですよ。ちゃんと売れたし。

巧さや面白さ、発想力(新しさ)より「勢い」が評価基準になると、昔なら大賞受賞する小説が、一次落ちすることが増えるでしょう。

そして、

美しい顔【電子書籍】[ 北条裕子 ]
のような騒ぎは、もっと増えてくることでしょうね。

なので、一次選考で落ちても、書き直して、別のところに投稿してくださいね。

私は、私の小説教室を、基礎とテクニックを覚えて頂く場にしたい。デビューした人、デビューしたい人には処世術をお伝えしたいと考えています。

作家としても、まだまだ現役ですからねっ! 十月に二冊新刊出ます!! 1960年代生まれ50代、文筆業歴23年目のロートル作家で、ライトノベル作家としては最高齢ですが、がんばっています!





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2019年09月01日 10時22分10秒


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: