小説家わかつきひかるのブログ

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2021年04月25日
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島田彩氏のnoteが炎上したそうで、ニュースから遡って読みました。

ニュース記事​ はこちら ​。

島田氏は新今宮という街をテーマパークのように楽しんでいる。貧困やホームレスを娯楽として消費している。ああ、これは炎上して当然だと思った。

無邪気な傲慢さにウェッとなった一方で、この感覚、覚えてる、と思い出した。

35年ほど前、バブルの頃、海外旅行で香港に行き、九龍城(カオルンサイ、貧民窟みたいなところです)を観て興奮し、観光ルートと違う怪しげな夜店で月餅を買って食べた、あの頃のことです。

ペニンシュラホテルの豪華さにうっとりし、カオルンサイを観て魔窟のイメージに興奮し、下手な英語と北京語(第二外国語が中国語だったんです)で買い物して楽しんでいた。

当時の私と島田氏に悪意はない。無邪気な好奇心があるだけだ。だが、その好奇心は残酷で傲慢だ。

はっきり言うけど、当時の私に、カオルンサイに住んでいる人が、私と同じ人である、という感覚はなかった。ディストピアもののSF映画の中にいるような感覚だった。



おそらく当時の私には、私はこちら側(豊かな側)の人間で、あちら側ではない、という思い込みがあったのだろう。

でも、今は違う。日本は貧しくなり、コロナ禍で、みんな苦しい。私は50代後半で、不安定な仕事をしている。去年の今頃なんて、仕事が全部飛んで呆然としていた。いつあちら側に行くかわからない状況にいる。もしもゴジラがでてきたら、ぺちゃっと踏みつぶされる人間。それが私だ。

島田氏のエッセイを読んで感動していた人は、豊かな側の人間だ。島田氏の謝罪文も読んだけど、エッセイ風キラキラ文体で紡がれた謝罪文は「何が悪いのかわからないけどとりあえず謝っておこう」感がすごかった。

島田氏は、おそらくわからないだろう。当時の私が、カオルンサイに興奮する自分の醜悪さに気付かなかったみたいに。そして島田氏に発注した電通も、電通に発注した新今宮市もなぜ炎上したのかわからない。

だって、島田氏も電通も新今宮市のお役人さんも、無邪気で傲慢で心優しい、豊かな側の人間だから。
醜悪で無邪気な傲慢さが炎上に薪をくべる。


ゴジラ・モスラ・メカゴジラ[東京SOSボックス]





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最終更新日  2021年04月25日 18時43分33秒


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