哲学


 しかし、それがわかったからといって、何になるものでもない。今、現実に生きている中で、どのように向上していくかが問題です。

 2・人間は一生涯、自分自身の宝石を掘り出し、磨いていくべきです。学校時代にはあまりぱっとしなかった人が、社会に出てからいろんな経験をするうちに、今まで掘り当てていなかった自分の鉱脈を発見する例は、無数にある。

 3・「学ばずは卑し」という言葉があるが、人間の人間らしさというものは、「学ぶ」ところにある。しかも今は、高度な情報社会です。一生涯、つねに学んでいかなければ、すぐに遅れてしまう。「一生涯、勉強」「一生涯、学ぶ」-これが、これからの指導者の要件です。

 4・もしも「頭のよくなる薬」ができたら、それは麻薬のようなものだ。だれも努力しなくなる。そうなれば人間崩壊です。
 苦しまないと、人格はできない。自分らしく、どう努力するか、どう悩むか、どう苦しんでいるかで、人格が決まる。磨かれる。ダイヤモンドのように。

 5・だれが見ていようと、見ていまいと、つねに人間として正しい行動を貫いている。いっさいに恥ずるところがない。ゆえに心は青空のごとく晴ればれとし、悠々としていられる。これも、優れた人物に共通する楽しみであり、また誇りである。

 6・「精神」という「目に見えない価値」に、どれだけ敏感でありうるか。どれだけ「見えないもの」に目を凝らし、「聞こえないもの」に耳をそばだてることができるか。そこに人間としての「証」があり、文明を導いていく羅針盤がある。

 7・見る側に「眼」が具わっていなければ、どれほど偉大な人物を目の前にしていたとしても、その真価を見分けることはできまい。

 8・自分をよく見せようとすると、しゃべるのが苦痛になる。ありのままのあなたでいいのです。背伸びせず、自分の短所も長所も、正直に知ってもらえばいいのです。

 9・偉人の「器」を感じ取れる人とは、本来、その偉人と同様の「器」をもった人ではあるまいか。

10・当たり前の人生を、ただ無難に送るだけなら苦労はいらない。深き哲学もいらない。しかし、人間として生まれた、その“人間の証”をどう示しきっていくのか。生涯かけて、その追究の実践を貫く人こそ偉大である。わが生命を極限まで燃やしきっていく。そうした生きざまのなかに真の生きた哲学がある。

11・「私はこう生きる」-人生は結局、自分で決めるしかない。人に決めてもらうものではない。

12・何でもいい、自分らしく自分自身を革命していく努力を開始したとき、その周りも必ず変わる。本人も喜び、周りにも感動が広がることは間違いない。

13・“人の間”と書いて、人間と読む。人間と人間の切磋琢磨のなかでこそ、「人間」ができていく。「自分」も豊かになっていく。友とともに、喜怒哀楽を繰り返しながら、にぎやかな“人間の世界”で行きぬいてこそ、成長もあるのである。

14・「能」の真髄を書いたとされる、世阿弥の『花伝書』では、「時分の花」(若さゆえの美しさ。時とともに散る)と、「まことの花」(鍛えぬいた修行による美しさ。時とともに輝く)の違いを説いている。自分をたゆまず磨いた人だけが、年をとっても変わらない「まことの花」と咲くことができるというのである。

15・時代の混乱の原因の一つには、「知識」と「知恵」の混同がある。
 学んだ「知識」を何に使うか。それが「知恵」である。「知恵」のない「知識」をいくら集めても、価値は生まれない。習った「知識」を記憶しているだけでは観念である。
 それに対し、「知恵」は、生活であり、生きる力であり、生き抜く源泉だ。「知恵」こそが、勝利と幸福につながる。「知識」だけでは幸福につながらない。

16・「知識」は「知恵」を生むものです。いわば「知識」はポンプ、「知恵」はポンプによって得られる水です。水を使えなかったら、ポンプに意味はない。
 また、「知識」という、ポンプなくしては、「知恵」という水も十分には得られない。

17・だれでも皆、必ず使命がある。自分にしかできない使命がある。君の力を必要とする人が必ず、どこかにいる。自分にしかできないこと、自分が本当にやりたいと思うことが、きっとある。
 それを見つけるためには、まず目の前の「現実」から逃げないことだ。逃げずに頑張る「くせ」をつけることだ。そうやって、もがきながら、時分らしく、一ミリでも二ミリでもいいから、「前へ」進むことだ。

18・人間は「生きる意味」を求める動物です。それさえあれば、どんな苦しいことでも頑張れる。それがなかったら、他のすべてがあったとしても虚しい。心はゆっくり死んでいく。

19・苦労さえも美しさに育てるような生き方とは何か。それは世界でたった一つしかない自分の人生を愛おしむ、一日一日をていねいに生き、一生を自分らしく仕上げていく。そういう“自分を大切にし、自分に忠実に生きる”ことではないか。その人にはグチがないし、いつまでも若々しい“心の張り”がある。

20・目立たなくても、皆から、ちやほやされなくても、黙々と自分の夢に向って努力している人-その人こそ、本当にカッコいい人です。
 「自律(セルフ・コントロール)」の人こそ、真の自由の人なのです。その意味でも、私は「目標」に向かって戦い続けることが大事だと思う。

21・自分らしく全力疾走することです。全力で走ってみなければ、自分にどれだけ力があるかわからない。走ってみもしないで「どうせ自分なんか」と決めつけるのは傲慢です。生命に対して、自分に対して傲慢です。卑怯とも言える。

22・人間の可能性というのは不思議なもので、自分は頭が悪いんだと決めつけると、本当に頭が働かなくなってしまう。「自分の頭脳は、ほとんど使っていないんだ。眠っているんだ。だから、努力すれば、いくらだって自分はできるんだ」と確信することです。事実、そうなのだから。


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