テレビ・新聞が報じないお役に立つ話

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2020.12.29
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下記は文春オンラインからの借用(コピー)です

 新型コロナウイルスの感染拡大による「緊急事態宣言」を受けて、日常生活での制限が強化された。色々な面での不自由さを感じるのはもちろんだが、外出自粛による運動不足は、体力の向上や維持を考える上で大きな障壁となる。特に中高年層の場合、日常的に体を動かす機会が減ると、骨や筋肉への刺激が減り、運動器の機能低下を招くことにもなりかねない。 コピーライトマーク iStock.com
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高齢者に起き得る身体機能の低下を指す、3つの用語
 高齢者に起き得る身体機能の低下を指す用語に、「ロコモティブシンドローム」「サルコペニア」「フレイル」などがある。近年耳にする機会が増えたが、よく似た内容な上に、例によってカタカナ言葉なので、正しく理解して使い分けている人は少ない。そこで一応簡単に解説しておく。
■ロコモティブシンドローム
 骨折や変形性膝関節症、腰部脊柱管狭窄症などの運動器の障害が原因で、「立つ」「歩く」などの動きが困難になり、移動がしづらくなる状態。
■サルコペニア
 筋力・筋肉量が減少した状態。骨格筋量は男性で7.0㎏/㎡未満、女性で5.7㎏/㎡未満、歩行速度が1.0m/秒未満、握力が男性で28㎏未満、女性で18㎏未満。
■フレイル
 加齢により身体機能が低下し、放置すれば要介護に進展するリスクが高い「虚弱」の状態。ただし、的確な医療介入で改善が見込める。体重減少、疲労感、日常生活で体を動かす機会が減った、歩く速度が遅くなる、握力の低下なども見られる。
 ただ、これらはあくまで医学上の分類に過ぎない。そもそもこの3つは部分的に重なり合っていて、キレイに分離することもできない。私たちにできる対策といえば、「バランスのいい食事と適度な運動、そして“社会活動に参加すること”」という、この手の記事で何万回も繰り返し言われ続けてきた、漠然としたことになってしまう。
 ところが近年、もう少し具体的な対策が、歯科領域から発信されるようになってきた。
「オーラルフレイル」という概念がそれだ。
フレイルやサルコペニアに至る前の“注意信号”矢島安朝歯科医師

 と語るのは、東京歯科大学大学院歯学研究科長の矢島安朝教授。
 オーラルフレイルは身体的なフレイルの一部分を占めるものだが、フレイルとしてはまだ深刻な状態ではない。フレイルやサルコペニアに至る前の“注意信号”なのだ。
4年以内にフレイルになる危険リスクは、正常な人の2倍以上
 しかし、オーラルフレイルになると、次第に食欲が落ちて色々なものを食べることができなくなる。例の“バランスのいい食生活”が送れなくなるのだ。
「多くの場合、高齢になるとタンパク質の摂取量が少なくなるのと並行して、歯の数が減り、また口腔周囲の筋肉量の減少によって噛む力が落ちるので、うどんやコメなど柔らかい炭水化物でお腹を満たそうとするようになるのです。食品の多様性がなくなるので栄養が不足する傾向になり、さらに筋肉量が落ち、サルコペニアへと悪循環に陥ります。その後、栄養障害、運動障害を起こして、最終的には要介護状態へと進むことになる。言い換えれば、オーラルフレイルを予防・改善することで、“健康寿命の延伸”と“ピンピンコロリ”が達成できるのです」(矢島教授、以下同)
 ちなみに、オーラルフレイルの人が4年以内にフレイルになる危険性は、正常な人と比較して2.41倍、サルコペニアは2.13倍、要介護認定を受ける率は2.35倍、そして総死亡リスクは2.09倍に高まるという。 コピーライトマーク iStock.com
「オーラルフレイル」を見抜く、6つのチェック項目
 次の6項目を読んで当てはまるものはあるだろうか。
(1)むせる、食べこぼす
(2)食欲がない、食べられる量が減った
(3)柔らかいものばかりを食べる
(4)滑舌が悪い、舌が回らない
(5)口が乾く、口臭が気になる
(6)自分の歯が少ない、あごの力が弱い
 この中の3つ以上に当てはまったらオーラルフレイルの可能性が高い。
歯をあきらめることは、人生をあきらめること
 すでに触れた通り、オーラルフレイルの段階で的確な医療介入をすれば、進行を食い止められる可能性はある。具体的にどうすればいいのか。
「いろいろなものを食べられるようにすることに尽きます。硬いものでも食べられるようにするにはあごの力を強化する必要があるが、そのためには“歯”がなければならない。義歯で食べられるなら義歯でいいし、それでは難しいならインプラント治療も選択肢の一つになるでしょう」
 もちろん、「食べる」以外にも、歯の治療をすることで滑舌がよくなれば社会との接点が広がるので、認知機能の低下予防にもつながる。「年だから……」と歯をあきらめることは、人生をあきらめることでもあるのだ。
「口」と「手」の機能を正常に保つことが健康につながる
「ペンフィールドのマップ」をご存じだろうか。
 大脳皮質と全身の関連性を図案化したものだが、これを見ると人間の脳がいかに「口」と「手」を重視しているかがわかる。言い換えれば、「口」と「手」の機能を正常に保つことが脳の活性を高め、認知機能の維持につながる、ということが理解できる。ペンフィールドのマップ
 ちなみに筆者(54)は最近、「滑舌の悪さ」を自覚している。そもそも「かつぜつ」と言いにくい。
 思えば食事中によくぼろぼろと食べこぼしているような気もしてきた。お茶やコーヒーでむせることは日常茶飯事だ。自分の書く原稿で不安になるほど切ない話もないのだが、決して安心はできない、というのが本音だ。
 幸いにして「自分の歯」はいまのところ豊富にある。
 できればフレイルやサルコペニアにはなりたくないので、せっせと歯科検診に通い、口の中のメンテナンスに力を入れつつ、社会との接点を小さくしないように努力しようと思います。





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最終更新日  2020.12.29 09:14:37
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