全1812件 (1812件中 101-150件目)
下記の記事は日経グッディ様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。生活習慣病を解消し、一生ものの体をつくるために知っておきたいことを解説する本連載。今回は「腎機能」について教えていただこう。腎臓は血管の塊であり、血管の老化ともいえる動脈硬化が進むと腎機能が低下することが分かっている。特定健診でも腎機能を調べるが、中でも特にチェックすべき検査項目は「クレアチニン」と「たんぱく尿」だ。また、将来、人工透析のお世話にならないためには、クレアチニン値から算出される自分の「eGFR(推算糸球体ろ過量)」を把握しておくことも大切だという。(イラスト:つぼい ひろき)こんにちは。大阪大学大学院で生活習慣病予防の研究をしている野口緑です。今回は「腎機能」についてお話ししたいと思います。この連載の第3回でもお伝えしたように、メタボ(メタボリックシンドローム)や、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病になって動脈硬化が進行すると、腎臓の機能が低下していきます。おしっこをつくる腎臓は、血管の老化ともいえる動脈硬化とは一見関係なさそうに思えるかもしれませんが、実は腎臓は「血管の塊」とも呼べるほど、血管が集まる臓器。「糸球体(しきゅうたい)」と呼ばれる毛糸玉のようになった0.1~0.2mmの毛細血管の玉が片方の腎臓におよそ100万個ずつ入っています。そこに血液を流して体に必要なものと要らないものをより分け、不要なものを一旦、血液からこし出しています。これが尿の元になります。動脈硬化が進んで血管が傷んでいくと、この糸球体にも影響が出ます。糸球体はとてもデリケートな血管の塊で、一度壊れると再生しません。糸球体は老廃物などをこし出す仕事をし、普段から他の血管よりも強い圧力に耐えているので、それ以上の圧力がかかる状態が継続すると、その血管は傷んで壊れてしまうのです。糸球体に血液を送る輸入細動脈や、複数の糸球体を通った後の血液が集まる輸出細動脈が動脈硬化になると、糸球体に流れ込む血液の圧力調整がうまくいかず、糸球体がより傷むことになります。また、高血糖状態があると糸球体の血管を束ねている部分を肥大化させ、結果として糸球体の血管を押しつぶして死滅に至らせてしまいます。健康な状態でも、年齢とともに腎機能は低下してきますが、このように高血圧や高血糖、さらには高LDLコレステロールがあるとそのスピードは速まってしまうのです。私たちの命を守るためには、腎臓に、生涯にわたって体内の水分量や塩分量などの調整、老廃物の処理のために働き続けてもらわなければなりません。ですから、何らかの腎疾患がなくとも、高血圧や高血糖、脂質異常などの生活習慣病が腎臓にとても関係があることをぜひ知っておいてほしいと思います。また、腎臓の血管(腎動脈)は、脳血管や心臓の冠動脈と同じ構造を持つ「strain vessel」と呼ばれ、腎動脈の変化は同様に、脳血管や心血管の変化を表しているともいわれていることを心にとどめてください。今のところ、腎機能を根本的に改善する薬はありません。したがって、一定以上腎機能が低下すると腎移植をするか人工透析をするしかありません。透析はとても大切な治療法ですが、一旦透析を受けるようになると、週2~3回、1回に数時間透析治療に時間を要することになります。長期の海外旅行はもちろん、国内旅行に行く場合も、旅先で透析治療を受けることができる医療機関を事前に確保しておく必要があるなど、QOL(生活の質)が大きく下がってしまうことは否めません。できればそうならないよう、早期から腎機能の数値に目を光らせながら、生活習慣を見直していくことが大切です。 腎機能の数値が高い場合は、血管障害が進んでいる可能性がある腎機能は加齢とともにある程度は低下するが、高血圧や高血糖、高LDLコレステロールがあるとそのスピードは速まる。クレアチニンや尿たんぱくの数値が高い場合は、血圧や中性脂肪の数値が高い場合に比べ、血管障害がより進んでいる可能性が高い(Noguchi M, et al.J Epidemiol. 2020 Apr 5;30(4):194-199.から概念のみ示す)
2022.02.07
コメント(0)
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。29歳男性と“同居した60代女性”の悲惨な末路不幸な生い立ちは犯罪を起こした理由にはならない。正当化の理由にもならない。同じような境遇でもまっとうに生きている人はいるのだから――こうしたコメントはよくネット上で目にする。また、日常会話でもこういう意見を言う人は珍しくない。もちろん貧しさは窃盗の動機にはなるが、それを正当化する理由になる、とまでは言えまい。また、いかに相手に腹が立ったからといって傷つけてよいはずもない。これは正論ではあるが、一方で議題にあがりづらいのは、犯罪者の知能の問題である。犯罪の中には、「一体、この行為をして何のメリットがあるのか」と首をひねってしまうものが一定の割合で含まれている。たとえば今年10月、話題になった埼玉県桶川市の自転車危険運転“ひょっこり男”。少年時代の生い立ちが不幸だった、という報道もある(「週刊女性PRIME」11月4日)が、それではどうにも説明がつかない行為なのは間違いない。道行く人に迷惑をかける以外に、「ひょっこり」をすることに何の意味もないのだ。また同じ10月、札幌市で29歳の男が同居する60代女性を殺害するという事件が起きた。容疑者には前科があったが、女性はそれを承知で同居させていたという(「文春オンライン」12月1日)。冷静に考えれば、庇護者ともいうべき女性を殺害することにはまったくメリットがない。しかし、「金銭をめぐるトラブル」で口論となり、彼女をボコボコに殴打したという。同記事では、彼は健常者として認められるIQをギリギリ上回る、または下回る可能性のある人物であると指摘。ベストセラーとなった『ケーキの切れない非行少年たち』(宮口幸治・著)で扱われている「境界知能」の可能性が強く示唆されている。「ケーキを等分に切る」ことすらできない非行少年が少年院には大勢いたが、問題の根深さは“普通の学校”でも同じなのだ――。「すべてが歪んで見えている」子どもたちの驚くべき実像とは日本人の7人に1人そうであるならば、メリットのない犯罪に簡単に手を染める説明はつきやすい。同書で紹介されている「ケーキの切れない非行少年たち」の特徴としては、たとえば以下のようなものがある。・すぐにキレる・思いつきで行動する・人のせいにするこれらは特徴のごく一部だ。しかしこの容疑者の行動を合理的に解釈するには有効だろう。つまり、本来なら世話になっている相手に対して「すぐにキレ」て、後先を考えずに「思いつき」で殴りかかる。「金銭トラブル」云々というのも「人のせい」に等しい(彼の収入はほとんど無かったはずだ)。誤解してはならないのは、こうした解釈は決して彼らを甘やかすために行っているのではないという点だ。ただし、仮に知能に問題があるのだとすれば、通常の受刑者とは別のプログラムを用意する必要はある。児童精神科医である著者の宮口氏は、医療少年院で勤務していた時に「コグトレ」という認知機能向上への支援として有効なトレーニングを自ら開発したが、これは一定の効果を見せているという。宮口氏が指摘しているのは、こうした人々には「認知の歪み」がありえるということ。つまり一般的な人と同じものを見て、聞いてもまったく別の受け止め方や解釈をしている可能性があるのだ。宮口氏は、彼らは「反省以前の問題」を抱えている、と指摘している。彼らに対して「不幸な生い立ちをバネにしている人もいる」「努力は報われる」といった常識的な説諭は必ずしも有効ではない。罰を受けるのは当然としても、その罰の意味を理解させること自体が難しいのだから。同書によれば、実はこうした「境界知能」の可能性のある人は意外と多く、日本人の7人に1人はそれにあたる可能性がある、という。もちろん、そうした人の中には、家族や社会とうまく折り合っている人も多くいる。それだけに、早めに(なるべく子供の頃に)そうした傾向に気づいて、トレーニングなどで周囲が支えることが重要だ、と宮口氏は述べている。デイリー新潮編集部
2022.02.07
コメント(0)
下記の記事はデイリー新潮オンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。勉強と仕事のバランス2月を迎えると、再び小室圭さんがニューヨーク州の司法試験に挑むことになる。7月の試験では不合格となっていたが、今回はどうなるか。その結果によっては生活設計も含め大きな環境の変化もありえる。取材記者や宮内庁ら展開を見守っている側の声を拾ってみた。データ面をおさらいしておくと、圭さんが受けた2021年7月の試験の合格率は約63%だったが、同年2月の合格率は約49%となっている。「合格率に差が出るのは、ロースクールを5月に修了して7月の試験まで、特に抱えるものがないため全力投球できるということがあるようです。2月の場合は、仕事などと折り合いをつけながら受験する人たちが多く、失敗する可能性が高くなるということでしょう」と、社会部デスク。「試験勉強に集中すればそれだけ普段の仕事がおろそかになりかねず、下手をしたらクビになってしまう。仕事はかなりハードでそれをこなそうと思えばその分、勉強時間が失われる。身もふたもない言い方になってしまいますが、勉強と仕事のバランスを取るのがとても難しいということでしょう」日本とコネクションを圭さんの代理人弁護士は以前、取材に対して、〈仕事をしながらの勉強で大変だとは思いますが、前回合格しなかったのは学力の問題ではないので〉などと語っていた。学力の方はクリアできており、言及こそなかったが、たとえば結婚に関する一連の騒動で落ち着かない日々を送っていたことが足をひっぱったということを匂わせた。ロースクールを修了後、試験までのあいだ全力投球できなかったというわけだ。晴れて試験をクリアすれば問題ないが、万一うまくいかなかった場合、どんな動きが想定されるのだろうか?「宮内庁としては常に生活費の問題を懸念しているということでした。2月も落第するとなると、勤務する法律事務所とずっと雇用関係を結べるかは不透明です。法曹資格がなければ法律事務所で仕事ができないというわけではもちろんないでしょうが、大きく方向転換を迫られることは間違いないでしょう」(先のデスク)それが悪い方ばかりに転がるかというと実際はそうでもないようだ。「アメリカには多くの日本企業が駐在しますし、日本とコネクションを持ちたいとか強めたい外国の企業も数多く存在しています。そういった会社が小室夫妻にアプローチし、皇室や政府との距離を縮められると判断すれば手を差し伸べることは考えられるようです」(同)日本に帰りたくない2人の生活については現地の日本領事館などが下支えしているといい、「結婚を機に日本政府と切れたということはあり得ません。司法試験でつまずいたとしても、そういった企業のサポートがあるならアメリカでやっていくことは可能ではないかと宮内庁は見ているようです」(先のデスク)その一方で眞子さんについては、「かねて”何があっても日本を出たい”だったのが今は、”何が起こっても日本に帰りたくない”という思いだと聞いています。裏腹な言い方になりますが、そんな中でも帰国があるとすればお子さんができた時ではないでしょうか。”日本で育てたい”という気持ちを丁寧に説明すれば、2人の結婚に批判的だった人たちもさすがにそう強く非難はできないのではないか……。そんな見立てもあるようです」(同)眞子さんが「30歳で結婚」にこだわっていた背景には、「圭さんとの子供を早く」と熱望していたという話もあるが、果たして――。デイリー新潮編集部
2022.02.07
コメント(0)
下記の記事は日経グッディ様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。このところ発酵食品ブームが続いている。ヨーグルト、納豆、塩麹(しおこうじ)、甘酒、漬物、味噌、酢……と発酵食品は多種多様。「体によさそう」なイメージはあるが、何にどんな健康効果があるのかについては、はっきり整理できていない人が多いだろう。そこで、発酵食品の専門家である東京農業大学名誉教授の小泉幸道さんに話を聞いた。生きた菌を生食したければヨーグルトか納豆が効率的 ©Oksana Bratanova-123rf(ヨーグルト)©reika7 -123rf(納豆)生きた菌を生食できるヨーグルトと納豆発酵食品の健康効果といえば、整腸作用を思い浮かべる人が多いだろう。例えば、「ヨーグルトの乳酸菌は、生きて腸まで届き善玉菌として働く。だから、腸内環境が良くなる」ということはイメージしやすい。しかし、生きた微生物(細菌、カビ、酵母など)が含まれている発酵食品は意外に少ないことをご存じだろうか。「例えば、酢は酒に酢酸菌を加えて発酵させたものですが、最後に加熱処理を行うため、出来上がりには酢酸菌は含まれません。また、パンは酵母が発酵するときに排出する炭酸ガスを利用して生地を膨らませますが、焼くと酵母は死んでしまいます」(小泉さん)つまり、製造工程では微生物が生きていても、製品となった段階では死んでいる場合が多いのだ。味噌のように製造工程で加熱処理をしないものもあるが、調理の段階で加熱すると麹菌や乳酸菌、酵母は死んでしまう。つまり、グツグツ煮た味噌汁には生きた微生物は含まれていない。生きた微生物を腸に入れる」という観点で整腸作用が期待できる発酵食品はヨーグルトと納豆くらい(©liza5450-123rf)「生きた微生物を腸に入れる」という観点で整腸作用が期待できる発酵食品は限られる。それは、ヨーグルトと納豆だと小泉さん(ぬか漬けやキムチなどの漬物からも生きた微生物はとれるが、確実性が高く、効率よくとれるのはこの2つだという。漬物については第2回で解説する)。ヨーグルトは牛乳に乳酸菌を、納豆は大豆に納豆菌を加えて発酵させたものだが、どちらも短時間で急激に菌数を増やし、長期間発酵、熟成させずに出荷する。そして、生で食べる。つまり、この2つの発酵食品は、生きた菌を菌数がピークの状態で口にすることができるレアケースなのだという。もっとも、菌が死んでいるからといって、健康効果が期待できないわけではない。「そもそも発酵とは、米が麹菌や酵母の働きで日本酒になるように、もとの食品が微生物(細菌、カビ、酵母など)の作用で別のものに変化することをいいます」(小泉さん)つまり、発酵食品は本来、「微生物が生きているかどうか」というよりも、「微生物が何を作り出すか」という点に着目して作られたものだといえる。たとえ微生物が死んでいても、微生物が作り出したものに健康効果があるものも多い。それは、整腸作用に限らない。発酵食品の特色は「風味」「栄養」「保存性」発酵には、細菌が働くもの、カビが働くもの、酵母が働くものがある。これらが複数重なってできるものも少なくない(下図)。また、「微生物は関わっていないが、魚介類の内臓に含まれるたんぱく質分解酵素やアミラーゼ、リパーゼなどの酵素が作用してできる発酵食品もあります。代表的なものは塩辛やアンチョビです」(小泉さん)■発酵を起こさせる微生物や酵素[画像のクリックで拡大表示]「微生物は自分が生きていくために食品の成分をエサとして食べ、違うものを放出します。この微生物の“排せつ物”が人間にとって有益な場合が『発酵』、有害な場合が『腐敗』です。例えば、ブドウを放置すると腐敗してしまいますが、ブドウに酵母が繁殖すると、酵母がブドウの糖を食べてアルコールや二酸化炭素、また、香りを生み出し、ワインになります」(小泉さん)ワインには「ブドウにはない独特の風味」があり、「ブドウよりもポリフェノールが多い」。また、「ブドウよりも保存性が高くなっている」。小泉さんは、この3つが発酵食品の特色だという。発酵食品の特色独特の風味が生まれる栄養価が高まる保存性が高まる発酵食品が体にいいのは、発酵によって元の食品にはない栄養素が生まれたり、栄養素の量が増えたり、栄養素が吸収されやすい形になったりするからだ。「健康効果」より「風味」「保存性」が勝るものもしかし、こういった栄養面のメリットが少なく、「風味」や「保存性」の点が勝っているものもあるため、全ての発酵食品に高い健康効果が期待できるわけではないと小泉さんは指摘する。例えば、発酵食品のなかには塩分が多いものもあるため、「体にいいから」ととり過ぎると高血圧や腎疾患などの原因になることがある。また、甘酒は元の米に比べると驚くほど栄養成分が高まっているため、栄養補給に役立つ。しかし、高エネルギーで、糖が吸収されやすい形で含まれているため、とり過ぎると血糖値を急激に上げてしまったり、肥満の原因になることもある。つまり、発酵食品は「流行っているからとやみくもにとるのではなく、自分に合ったものを選んで、適量をとること」が重要ということだ。次回は、さまざまな発酵食品の健康効果について解説しよう。小泉幸道(こいずみ・ゆきみち)さん東京農業大学名誉教授1951年生まれ。1973年東京農業大学農学部醸造学科卒業。1997年東京農業大学教授に就任。専門は発酵食品学。発酵食品の科学的な成分変化と機能性に関する研究を行ってきた。
2022.02.07
コメント(0)
下記の記事は日刊ゲンダイデジタル様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。自衛隊によるコロナワクチン3回目の大規模接種は、先月31日から東京でスタート。大阪では今月7日から始まる。自治体での3回目接種も少しずつ広がっているが、変異株オミクロンの波は強くて速いため、神奈川は医師の診断なしに自分で検査して判断する「自主療養」を打ち出した。テンヤワンヤのこの事態、3回目接種や自主(自宅)療養について、どう対応すればいいか。 ◇ ◇ ◇ 東京の大規模接種の予約は、31日に受け付けた今月7日からの1週間分が15分で埋まった。その前回の予約は9分で“打ち止め”だ。関心の高さがうかがえるが、自治体での接種は必ずしもそうではない。 東京・港区に住む40代の男性は先月28日に3回目接種のクーポンが届いたという。「封筒のチラシには、2回目からの接種間隔が8カ月以上と書かれていました。そうすると、私の2回目は昨年8月なので3回目は4月から。でも、『クーポンの到着がやけに早い』と不思議に思って区のHPを見ると、高齢者も64歳以下も『2回目から6カ月以上』に短縮されていたのです。区に確認すると、『HPの通り6カ月以上なら予約できます』と。3回目接種の間隔を巡る国の方針転換で、印刷の変更ができなかったようです。で、2月の予約を期待して予約サイトを見ると、ファイザーはすでに2月半ばまでほぼいっぱい。モデルナは7日から予約できる施設があり、より早く受けられるモデルナを選びました」 国のドタバタでクーポンの印字が「8カ月間隔」のまま届くケースは少なくない。「6カ月」に短縮した広島市もそうで、市への問い合わせが相次いでいるという。この点については、40代男性のように確認が重要。問題は、それができない高齢者だ。仙台医療センターウイルスセンター長の西村秀一氏が言う。「オミクロン株の感染で重症化しやすいのは、高齢者と基礎疾患がある人、そしてワクチン未接種の人です。高齢者の中には、HPを見るのが難しい方もいますから、身の回りに高齢者がいれば、接種の情報を教えてあげること。3回目接種は、高齢者と基礎疾患がある人を優先するのが無難です」 では、健康な64歳以下はどうか。ほかの点も含めて西村氏に詳しく聞いた。「基礎疾患のない64歳以下の方が2回接種済みなら、私は東京や大阪の大規模接種の予約に必死になるほど焦らなくていいと思います。それぞれの自治体でワクチン接種の準備が整ったときに接種すればいいでしょう」■先行する沖縄で98%が無症状・軽傷の事実 沖縄では、オミクロン株が先行して拡大。先月19日時点の療養者数1万1427人のうち、97.9%は「無症状・軽症」だ。こんなデータも、“ワクチン狂騒曲”に踊らされなくていい根拠のひとつだという。「入院している方々は、高齢者と基礎疾患がある人がほとんどで、オミクロン株による肺炎の治療というより、悪化した持病の治療と管理が中心になることが多いですが、もちろん肺炎がある『中等症Ⅰ』や酸素投与が必要な『中等症Ⅱ』で入院される方もいます。ですから、高リスクの人は3回目の接種が無難です。でも、そうでない人はそこまで焦らなくていいと思います」 それでも全国の自治体は、拡大するオミクロン株の防御策として、3回目接種の準備を急ぐ。クーポンが配られた自治体では、予約がファイザー製に集中し、モデルナ製に余裕があるケースが多い。この場合は?「どちらを3回目に接種するにしても、感染そのものはなかなか防げません。インフルエンザのワクチンと同じで、もっとも期待されるのはあくまでも重症化予防。事実、3回目接種の中にも感染者がいます。もうひとつ、オミクロン株の感染スピードを考えると、3回目接種が全国に行き渡る前に感染がピークアウトする可能性が高いでしょう。そうすると、3回目接種は、オミクロン対策というより、次に予想される変異株対策の意味合いが強くなる。接種可能な人は、その目的で接種するといい。種類はどちらでも構いません」広告ファイザー2回+3回目モデルナの抗体は30倍ファイザー製を待つならモデルナ製を早く(C)ロイター拡大する 各地の予約状況でファイザー製に押され気味のモデルナ製を巡っては、こんなデータもある。 米国で3回目に接種したワクチンの15日後の中和抗体価を、接種前と比較したもの。体内にはさまざまな抗体があり、ウイルスを直接攻撃する抗体が中和抗体で、それが血液中に含まれる数値が中和抗体価だ。 表の通り7つすべての組み合わせで3回目の接種前より中和抗体価が上昇。とりわけ2回目までと異なる種類のワクチンを3回目に接種する方が上昇度が明らかに高い。2回目までファイザー製の人がモデルナ製にすると31.7倍、同アストラゼネカ製の人がモデルナ製だと27.2倍だ。 この点を踏まえると、2回目までファイザー製やアストラゼネカ製だった人たちは、モデルナ製を接種するのがベターだろう。しかも、モデルナ製の方が予約に余裕があり、より早く接種できるのも合理的だ。 それでもファイザー製に予約が集まるのは、モデルナ製の副反応やワクチンの種類を変える交互接種が心配されるのかもしれない。 ファイザー製の副反応は、発熱や倦怠感など主なものは1、2回目と同程度。脇の下の痛みやリンパ節の腫れもあるが、1~3日で治るという。モデルナ製は、接種量が2回目までの半分で、その分副反応は2回目より少ないとされる。ただ、もともとの量はファイザー製より多く、2回目までの半分でもファイザー製と大差ない。交互接種は、「海外で安全性も確かめられている」というから、いずれにしても過剰に心配する必要はないだろう。隔離部屋は廊下側の扉を風上にして風を流す感染者の部屋は外に向けて扇風機を(提供写真)拡大する もうひとつ、オミクロン株対策で気になるのが、自宅療養だ。オミクロン株は肺炎のない軽症が多く、神奈川は抗原検査キットなどで陽性が判明した人のうち、49歳以下で基礎疾患がない軽症者は医師の診断を受けずにセルフチェックで療養する自主療養をスタート。東京も、自宅療養者のうち50歳未満で基礎疾患がなければ、同様の仕組みを導入している。 たとえば、夫婦のいずれかが感染し、健康な人と同居しながら自宅療養するとき、どんな点に注意すればいいか。「大切なのは、感染者を一つの部屋で隔離し、健康な人は別の部屋やリビングなどで生活することですが、部屋分けをする前に空気の流れは確認しておくことです」 たとえば、台所のレンジフードをオンにして、リビングの窓を1カ所開けると、その窓からレンジフードに向けて風が流れる。感染者の部屋での風の流れを、隔離する前にチェックするのだ。「調べるには、電池式の簡易加湿器を使って吹き出す水蒸気の流れを追うと便利です。外に面する窓を開けた状態で廊下側の窓を開けると、水蒸気がどうなるか。逆に外の窓を閉めて、廊下側の窓を開けると、どうなるか。感染者がトイレや入浴などで部屋を出たり、食事の受け渡しをしたりするときは、必ず廊下側の扉が風上になる状態にするのです」 もし廊下側が風下になると、感染者がいる部屋の換気が十分でなかった場合、そこに充満したウイルスが、扉を開けた瞬間、流れ出る。 対角線に窓が設置されていて、両方の窓を開ければ、そこに風の通り道ができる。問題は窓が1つ、あるいは2つでも角の近くなどの場合だ。そんなケースでは、1つの窓を開けて、廊下側の扉から窓に向けて扇風機を置いて風の流れをつくればいいだろう。「感染者がトイレなどに行くときは、必ずマスクをして部屋を出てもらうことです」 手洗いもいいが、それ以上に「感染者がマスクをすることやエアロゾル対策としての換気が大切」だという。 オミクロン株のピークアウトまでもう少しの辛抱。慌てず、騒がず、乗り越えよう。
2022.02.06
コメント(0)
下記の記事はダイアモンドオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。少年が通っていた高校のコメントは「模倣犯」を生みやすい!?東京大学前の歩道で高校生の男女と男性の3人が刃物で切りつけられた事件で、逮捕された17歳少年が通っている進学校の対応が称賛されている。事件の翌日、「保護者・学校関係者の皆さんにご心配をおかけしたことについて、学校としてお詫びをします」というコメントを出すとともに、「勉学だけが学校生活のすべてではないというメッセージ」をコロナ禍で生徒たちに、しっかりと届けることができなかったと反省の弁まで述べたのだ。これを受けて、ネットやSNS上で「学校側として言える最善のコメント」「危機管理体制がしっかりしている」などとベタ褒めされている。仕事柄、多くの学校の危機管理に関わってきた経験がある筆者もこれにはまったく同感だ。誰に対して、何について謝罪をしているのかということも明確だし、反省から再発防止まで、紋切り型のコピペ文章ではなく自分たちの言葉でしっかりとまとめられている。ただ、「学校の危機管理」ということをちょっと脇に置いて、「模倣犯を出さない」という視点から見ると、この高校の出したコメントはやや問題がある。次のように「言ってはいけないこと」まで言及してしまっているからだ。 <『密』をつくるなという社会風潮のなかで、個々の生徒が分断され、そのなかで孤立感を深めている生徒が存在しているのかもしれません。今回の事件も、事件に関わった本校生徒の身勝手な言動は、孤立感にさいなまれて自分しか見えていない状況のなかで引き起こされたものと思われます。>「これのどこが悪い!教育者らしい的確な分析ではないか!」というお叱りを受けるかもしれないが、この手の事件が起きた際、「孤立によって引き起こされた」などと原因を推測したり、「孤立を防げ」などと声高に叫ぶことは、少年と同じような心理状態に陥っている人にかえって悪影響を及ぼす恐れがあるのだ。見ず知らずの他人を傷つけているので「少年による刺傷事件」だと勘違いしている人も多いが、今回の少年がやったことは「拡大自殺」と呼ばれる自殺の形態のひとつだからだ。なぜ原因を推測で言ってはいけないのかメディアでもちょこちょこ報じられるようになったのでご存じの方も多いだろうが、「拡大自殺」というのは、人生に絶望したり、社会に憎悪を抱いたりした人が、無関係の人を大勢巻き込む形で自殺を図ることだ。昨年10月の京王線刺傷事件や、年末の大阪で24人が犠牲になったクリニック放火事件もこの「拡大自殺」だと言われている。と聞くと、「やはり日本でも格差が広がって社会が分断されているからだ」と感じる人もいるだろうが、これは近年になって急にあらわれた現象ではない。古くは昭和13年に、岡山県の山村で男が親族や近隣住民を次々と猟銃で殺害し、最後に自殺をした「津山30人殺し」なども、凶行前に遺書を準備していたことから「拡大自殺」だったと言われている。これ以降も、「死にたい!」と叫びながら、見ず知らずの人を切りつけるような「拡大自殺」事件は定期的に発生している。今回、事件を起こした17歳少年もその系譜である可能性が高い。「人を殺して罪悪感を背負って切腹しようと考えた」と言っているからだ。さて、では今回の事件が「拡大自殺」だったとしたら、なぜ「孤立感にさいなまれて引き起こした」みたいに、原因を推測で言ってはいけないのか。WHO(世界保健機関)の「自殺対策を推進するために メディア関係者に知ってもらいたい 基礎知識 2017年最新版」から引用しよう。「有名人の死を報道する上で自殺の原因がすぐにはわからない場合は注意が必要である。有名人の死として考えられる原因を、メディアが不確かな情報に基づいて推測することで悪影響を及ぼす可能性がある」どんな悪影響かというと「影響を受けやすい人による模倣」、つまりは後追い自殺だ。例えば、有名人が自殺してメディアが「恋人に別れを告げられて絶望した」「育児ノイローゼが引き起こした」などと原因を憶測で報じてしまうと、その有名人のファンで、なおかつ失恋したり育児のノイローゼになっていたりする人は影響を受けて、亡くなった有名人と自分を重ねて、同じ行動に走ってしまうケースがあるのだ。実際に、いのち支える自殺対策推進センターによれば昨年、2人の著名人が自殺してから10日間程度、自殺者数が急増しているという。特に衝撃的なのが次の分析だ。「自殺日を含めた10日間で、約200人が女性俳優の自殺・自殺報道の影響を受けて亡くなった可能性がある」(厚生労働省 著名人の自殺に関する報道にあたってのお願い 令和3年12月19日)「拡大自殺の後追い」が起こる可能性さて、ここまで言えば、なぜ、今回の少年が東大前で他人を切りつけた原因を「孤立感にさいなまれて引き起こした」などと推測で語ることを避けるべきなのか、ご理解いただけたのではないか。今回の少年がやったことは「拡大自殺」という自殺の一種なので、「模倣」や「後追い」を防ぐためには情報発信には細心の注意を払わなくてはいけない。有名人の自殺のようにセンセーショナルに報道をしてさまざまな憶測が飛び交うようであれば、当然「影響を受けやすい人による模倣」が引き起こされてしまうからだ。例えば、今回のような事件でマスコミの“動機予想合戦”が繰り広げられて、「孤立感にさいなまれて自分しか見えていない状況のなかで引き起こされた」というストーリーが社会に広まったらどんなことが起きるか。まず、少年と同じように「なりたいものになれない」「思うように生きられない」という境遇にある人や、孤立感にさいなまれている人はこのストーリーに関心を持つ。「あ、オレと同じかも」と自分と少年を重ねてしまう者も現れるだろう。そうなれば次に起きるのは「模倣」だ。有名人の自殺に影響を受けて、同じように命を断つ人があらわれてしまうのと同じ現象だ。この少年のように精神的に追い込まれて、「もう死ぬしかない」という考えが頭によぎると、少年と同じアクションに走ってしまうのだ。つまり、自分が死ぬため、たまたま目に入った人を殺すという「拡大自殺の後追い」である「拡大自殺」にも早急に報道ガイドラインを今回の事件の原因を早々に「孤立感にさいなまれて自分しか見えていない状況のなかで引き起こされた」などと推測をしたり、「このような人がでないように孤立を防げ」と声高に叫んだりすることが、実はかなり危険な行為だということがおわかりいただけたと思う。しかし、ここで断っておきたいのは、コメントを出した高校を批判しているわけではないということだ。確かに、事件の当事者でもない高校側が、捜査もしっかりと進んでいない発生翌日に、少年の心情や犯行に及んだ原因まで言及するというのは「蛇足」である。通常は「捜査に全面的に協力して、事実関係が判明し次第、ご説明します」くらいに留めるのが定石だ。ただ、生徒や保護者の不安を一刻も早くとりのぞきたいという思いからしたことだと考えれば、そこまで責められない。多くの子どもがコロナ禍で孤立を感じているのは事実なので、「君たちは独りじゃないよ」としっかり言って励ますというのは、教育者という立場からは当然だ。問題はそんな「身内向けのメッセージ」を報道機関にまで発表してしまったことだ。メディアというのは「拡声器」なので、発信者側の意図を無視して、強いワードをチョキンと切り取って、「わかりやすいストーリー」に落とし込む。例えば、次の通りだ。●「孤立し自分しか見えず」と高校 東大前刺傷事件で謝罪コメント(共同通信 1月16日)●【東大刺傷】逮捕少年通う高校が謝罪「孤立感にさいなまれ引き起こされた」(日刊スポーツ 1月16日)こういうニュースが大量に拡散されれば、「孤立している人はあのような事件を起こしがちなんだな」と受け取る人が増えて、「孤立を防げ」の大合唱が始まる。一見すると、「孤立する人に手を差し伸べる機運が高まっている」ので良いことだと錯覚するが、それはあくまで「孤立していない人」の視点だ。本当に孤立している人たちには心の余裕がないので、「わかりやすいストーリー」を示されたらそこに飛びついてしまう。つまり、「孤立している人が無差別殺人を起こしました」というニュースを朝から晩まで流されると、「孤立している人」は精神的に追いつめられる。そして、人によっては「あなたが進むべき道はこっちですよ」と暗示にかけられて誘導されてしまうのだ。情報操作の世界では、これは「アナウンス効果」と呼ばれる。自殺報道がまさしくこれだ。今はだいぶ自制してきたが、かつてマスコミは有名人が自殺をすると、それを1週間くらいぶっ続けで扱った。通夜、葬式、出棺まですべて中継し、自殺の手法をCGで詳しく解説した。家族や友人、幼なじみ、果てはなじみの店まで探して、店員や常連客にまで追悼コメントをしゃべらせて、ワイドショーのコメンテーターたちは、ああでもない、こうでもないと好き勝手に自殺の理由を推測していた。神妙な顔をしていたが、やっていることは完全に「祭り」だった。マスコミ側は、「故人をしのぶ」「愛したファンのため」「このような悲劇を繰り返さない」ともっともらしいことを言って、自分たちの行いを正当化したが、なんのことはない。亡くなった有名人の熱心なファンや、自殺の動機だと推測されるようなことと同じ悩みを抱えている人たちに、「あなたが進む道はこっちですよ」と煽っていたのである。海外から十数年遅れで、ようやく自殺報道はガイドライン遵守の動きが出てきた。「人を殺して死のうと思った」と他人を道連れにする「拡大自殺」にも、早急に報道ガイドラインが必要なのではないか。(ノンフィクションライター 窪田順生)
2022.02.06
コメント(0)
下記の記事はデイリー新潮オンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。非行少年が“三等分”したケーキの図。「すべてがゆがんで見えている」子どもたちの驚くべき実像児童精神科医である筆者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ非行少年が“三等分”したケーキの図このところ、様々な事件やトラブルに関連して登場するキーワードが「認知の歪み」というものだ。もともとは心理学用語で、「レッテル貼り」「白か黒かの思考法」「拡大解釈、過小解釈」等々、さまざまなパターンがあるとされている。ごく大雑把に言ってしまえば、事実や現実を適切に解釈、受け止められない思考様式のことだと考えてもいいだろう。たとえば最近では、「親韓」「反韓」双方が、互いに「あっちの認知が歪んでいる」、と批判しているという見方が可能だろう。前者からすれば「反韓」の人たちは「いたずらに嫌韓感情を煽るとんでもない人たち」であり、「身の危険すら感じる」という主張をすることになる。後者からすれば、「親韓」の人たちは「現在の文政権の非道、危険に目をつぶる人たち」であり、「国益を考えていない」ということになる。双方とも、相手のことを「現実を正確に認識できていない」として、批判をしているという構図。つまり互いに「認知の歪み」がある、と考えている。簡単に言えば双方が「レッテル貼り」をしているとも言える。他に「認知の歪み」が話題になった最近の事例は、大雨で川が氾濫し、流域に取り残されてしまった人たちへの論評の際だ。「大雨が降るってあれだけ警報が出ていたのになぜ川に遊びに行くの? 理解不能」そんな疑問から、彼らには「認知の歪み」があるのではないか、といった指摘がネット上では相次いだ。台風が来ることはわかっていたにもかかわらず、わざわざ子ども連れでバーベキューを楽しもうと考えるのは、常識的な判断とは言えない。つまり警報の意味をきちんと受け止めることができていない。ここにも一種の「歪み」が見られる。これは前述の「過小解釈」にあてはまるのかもしれない。ただ、ここに挙げたような例は、実際には「情報リテラシー」の問題だとも言えるだろう。情報を受け止めるところまではできているが、それぞれが抱えているイデオロギーや、あるいは思考のバイアス(「俺たちだけは大丈夫!」)によって、間違った処理をしている、ということだ。一方で、もっと深刻な「認知の歪み」も存在している。本人の主義主張などとは関係なく、純粋にすべてが歪んで見える人たちが一定数存在しているのだ。医療少年院に勤務した経験を持つ精神科医、宮口幸治氏の新著『ケーキの切れない非行少年たち』には、衝撃的な事例が紹介されている(以下、引用はすべて同書より)。医療少年院での「生涯忘れ得ない衝撃的な体験」医療少年院に勤務してすぐ、宮口氏は少年院の中で最も手がかかっていた少年の診察を頼まれた。「少年院で『手がかかる』というのは、学校で『手がかかる』というのとは次元が違います。その少年は社会で暴行・傷害事件を起こし入院してきました。少年院の中でも粗暴行為を何度も起こし、教官の指示にも従わず、保護室に何度も入れられている少年でした。ちょっとしたことでキレて机や椅子を投げ飛ばし、強化ガラスにヒビが入るほどでした。いったん部屋で暴れると非常ベルが鳴り、50人はいる職員全員がそこに駆け付け少年を押さえつけて制圧します。制圧された少年は、トイレしかない保護室に入れられ大人しくなるまで出てこられません。そういったことを週に2回くらい繰り返していた少年でした」そんな情報があったので、宮口氏は内心びくびくしながら診察にのぞんだ。ところが、実際に部屋に入ってきたのは、小柄で痩せていておとなしそうな表情の、無口な少年だった。質問にも「はい」「いいえ」くらいしか答えない。あまり会話が進まないので、宮口氏は診察中のルーチンとして行っていた「Rey複雑図形の模写」という課題をやらせてみた。下のような複雑な図形を見ながら、手元の紙に写すという課題である。認知症患者に使用したり、子どもの視覚認知の力や写す際の計画力などをみたりすることができるという。(図1)【図1】上記のような複雑な図形を見ながら、手元の紙に写すという「Rey複雑図形の模写」意外にも少年はすんなりと課題に一生懸命取り組んでくれた。が、そこで宮口氏は「生涯忘れ得ない衝撃的な体験」をすることになる。少年の写した絵は、下のようなものだったのだ。(図2)【図2】少年の写した絵。(少年が描いたものを著者が再現)宮口氏はこう解説する。「これを見た時のショックはいまだに忘れられません。私の中でそれまでもっていた発達障害や知的障害のイメージがガラガラと崩れました。児童精神科医である筆者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだある人に見せて感想をもらったことがあるのですが、彼は淡々と『写すのが苦手なのですね』と答えました。確かにそうかもしれませんが、そんな単純な問題ではないのです。このような絵を描いているのが、何人にも怪我を負わせるような凶悪犯罪を行ってきた少年であること、そしてReyの図の見本が歪んで見えているということは、“世の中のこと全てが歪んで見えている可能性がある”ということなのです。そして見る力がこれだけ弱いとおそらく聞く力もかなり弱くて、我々大人の言うことが殆ど聞き取れないか、聞き取れても歪んで聞こえている可能性があるのです。私は、“ひょっとしたら、これが彼の非行の原因になっているのではないか”と直感しました。同時に、彼がこれまで社会でどれだけ生きにくい生活をしてきたのか、容易に想像できました。つまり、これを何とかしないと彼の再非行は防げない、と思ったのです。私はすぐに少年院の幹部を含む教官たちにも絵を見せたのですが、皆とても驚いていました。ある幹部は『これならいくら説教しても無理だ。もう長く話すのは止めよう』と言ったほどでした。すぐに理解してくれたのはいいのですが、私が意外だったのは、ベテランの教官たちがどうしてこれまでこういった事実に気付かなかったのか、ということでした。気付かずに『不真面目だ』『やる気がない』と厳しい指導をしていたのか。だとしたら、余計に悪くなってしまうのです」実際に、その後、宮口氏はこういう「歪み」を抱えた少年たちと数多く出会うことになる。「もちろん、障害のある少年だからといっても犯罪行為は許されることではありません。しかし、本来は支援されないといけない障害をもった少年たちが、なぜこのような凶悪犯罪に手を染めることになったのかが問題なのです。これまで多くの非行少年たちと面接してきました。凶悪犯罪を行った少年に、何故そんなことを行ったのかと尋ねても、難し過ぎてその理由を答えられないという子がかなりいたのです。更生のためには、自分のやった非行としっかりと向き合うこと、被害者のことも考えて内省すること、自己洞察などが必要ですが、そもそもその力がないのです。つまり、『反省以前の問題』なのです。これでは被害者も浮かばれません」彼らに欠けているのは、見る力や写す力だけではない。次回では、さらにこうした「反省以前」の子どもたちの実態を見てみよう。デイリー新潮編集部
2022.02.06
コメント(0)
下記の記事は日刊ゲンダイヘルスケアデジタル様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。「コロナ、陽性」 クリニックへ電話連絡し、受診しに出掛けていた家人(53)からラインがあったのは、1月16日のこと。風邪だと思っていたら、まさかの結果。皮肉なことに、記者が「オミクロン株感染者激増」関連の原稿を書いた翌日のことだった。 家人は14日に咳が出始め、15日夕方に寒けがあり、熱を測ると38度。16日には熱は下がっていたが、念のためにクリニックへ電話したところ、「すぐに来てください」とのこと。抗原検査の結果、コロナ陽性が判明した。ちなみに、陽性と言われたその日も含め、自宅療養期間中、食欲は全く衰えておらず、本当はNGだがお酒もおいしく飲め、身体感覚としては、平時と全く同じだった(家人談)。 同じ家で過ごしていた記者(47)は……というと、幸いにも家庭内感染せずに済んだ。何が功を奏したのかは分からないが、やったことを紹介したいと思う。■風邪を疑った瞬間から別室で過ごす 前述の通り、抗原検査を受けるまでは、完全に風邪だと思っていた。ただ、風邪であっても「うつす・うつされる」は避けたい。 そこで14日の夜からお互い部屋の中でもマスクを着け、家人は寝室、記者はリビングで分かれて過ごした。 同時期にコロナ感染が分かった知人からは、「風邪だと思って家の中ではマスクなしで普通に過ごしていた。コロナと分かって家庭内感染対策を始めたが、風邪だと思っていた期間に家族がコロナに感染した」と聞いた。風邪のような症状が出たら、「コロナではない」とはっきり分かるまでマスクを着け、別室で過ごすようにした方がいいかもしれない。■置き型のウイルス除去グッズを活用 除菌スプレーをトイレや電気のスイッチなどお互い手を触れる部分に振りかけるのは当然として、それとは別に、以前から買い込んでいた置き型のウイルス除去グッズを、部屋のあちこちに置いた。■布で居住スペースを分ける 家人が過ごす寝室と、記者が過ごすリビングは離れているものの、部屋を区切るドアがない。つまり、完全に居住スペースが分かれた“療養部屋”がない。 そこで、寝室の周りに布をぶら下げ、ウイルスが記者が過ごすスペースに浮遊して来づらいように工夫した。ネットでも紹介されているこの方法、自分がやることになるとは思わなかったが、背に腹は代えられない。 トイレやお風呂に行く時以外は、家人は寝室にこもりっきり。パソコンと携帯電話があればできる職種なので、仕事は通常通りにやっていた。■トイレや洗面台で鉢合わせをしない 何か用事がある時はラインで連絡。トイレ、洗面台、お風呂など共有スペースを使う時間は分けるようにした。■マイ○○○を作る 歯磨き剤、タオル、食器など手に触れるものはすべて各自専用のものにした。除菌スプレーはそれぞれが自分専用のものを持ち歩き、触ったものにはすぐに振りかけるようにした。 食器は、発症が判明してから5日ほどは、紙皿や割り箸といった使い捨てのものを使い、やむを得ず使い捨てでない食器を使う時はゴム手袋を着けて触り、すぐに洗剤で入念に洗うようにした。■軍手着用 家人は寝室から出る時は、常に軍手を着用。素手で共有スペースを触らないようにしていた。■マスクは2枚重ね 食事や飲み物を寝室の前に置く時、トイレ、洗面台、風呂場に行く時は、不織布マスクを2枚重ねにしていた。■部屋で自主トレ じっと部屋の中で過ごしていると、太るし、筋肉も落ちる。免疫力も低下しそう。各自、部屋の中で、スクワットや腹筋、もも上げなどのトレーニングをした。活動量は激減していたにもかかわらず、おかげで太らなかった。ここに挙げた以外に、一般的に言われる感染症対策はもちろん徹底して実施。感染力が強いといわれるオミクロン株、今後も気を引き締めて対策に取り組みたい。
2022.02.06
コメント(0)
下記の記事は日刊ゲンダイデジタル様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。愛子さまの人気が急上昇しているという。昨年の12月、愛子さまは成年の行事で身に着けられるティアラをあえて新調せず、叔母で元内親王の黒田清子さんから借用されたことが話題になった。女性皇族が成年を迎えた誕生日には、ローブデコルテにティアラ、それにネックレスやブレスレット、勲章などを身に着けた正装で両陛下に挨拶をするのが習わしになっていて、このティアラを新調すると2000万円以上かかるといわれる。戦後は主に国の費用(税金)で制作されてきたが、黒田清子さんは天皇の長女ということもあって、天皇家の私的なお金である内廷費で制作されたから手元にあったのだろう。愛子さまが借りた理由について宮内庁は、「コロナ禍で国民生活に影響が出ていることに配慮した愛子さまが両陛下と相談して決めた」と説明すると、「さすが愛子さま!」と、絶賛する声がしきりだという。■10年前と様変わり 昨年、共同通信が調査した数字では、愛子さまが天皇になることを国民の85%が支持していたが、現時点ならこの数字はさらに上がっているかもしれない。10年前には、雅子さまが愛子さまの登校に同伴することがたびたび批判されていたことを思うと様変わりだ。徳仁皇太子が小和田雅子さんと納采の儀を行ったのは1993(平成5)年。コウノトリはなかなか舞い降りてくれず、2001年にようやく愛子さまが誕生した。しかし、雅子さまは帯状疱疹を発症し、03年ごろから宮中祭祀や公務を休むようになった。そしてこの2年後に「適応障害」と発表される。原因は今もはっきりしないが、あまりにも環境が違う宮中に慣れず、日嗣御子(皇位継承者)を産まなければならないというプレッシャーから、生きる目標を失ったのではないかといわれた。愛子さま(C)共同通信社拡大する ただ、当時はほとんどの人が「適応障害」がどういう病か理解していなかったから、元気な一面を見て「公務をずる休みしている」「ワガママだ!」と批判を受けた。さらに愛子さまが不登校になり、学習院の「校外学習」に雅子さまが付き添う形で同行すると「税金を使って!」と批判される始末だった。愛子さまも激ヤセされるなど、この頃の皇太子家の評価は最悪だった。皇太子が「雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です」と発言したのは04年である。その後、秋篠宮さまが誕生日に「せめて陛下とその内容について話をして、その上で話をするべきではなかったか」と皇太子に苦言を呈するような発言をして秋篠宮さまの評価が一段と上がった。紀子さまも同じで、結婚当初は「3LDKのプリンセス」と騒がれ、翌年に眞子さまが誕生すると、「仲むつまじい秋篠宮家」の人気はさらに高まった。さらに御所に引きこもる雅子さまに対して、紀子さまは美智子皇后に倣って次々と公務をこなしたうえ、06年に男の子を出産した。この頃は絶頂期だった。今、「眞子さんの乱」をきっかけに批判が秋篠宮家に向かい、とりわけ紀子さまから「笑顔が消えた」といわれる。かつて「初々しい笑顔」といわれたのに、今や「氷の微笑」と呼ばれるありさまだ。その一方、あれほど批判された雅子さまは「国母」と持ち上げられるほどの人気で、さらに「愛子さまを天皇に」という声が一段と高くなっている。それにしても皇族の人気がこれほど乱高下するのも珍しい。戦前と違い、象徴天皇は国民に支えられるものだから、人気があるのは悪くない。では、国民に支えられるとはどういうことだろう。たしかに大衆の支持を集めることは必要だが、かといって人気に左右されていたら安定した皇室は築けないだろう。不安定な「国民統合の象徴」は、果たして「象徴」になるだろうか。
2022.02.06
コメント(0)
下記の記事はダイアモンドオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。オミクロン株での感染者が急増しています。誰がいつ感染してもおかしくない状況です。同居する家族が感染し、自宅療養となった場合、どう対処すればよいのでしょうか。感染症専門家の岡田晴恵氏が上梓した『新型コロナ自宅療養完全マニュアル』(実業之日本社)の一部を抜粋・編集し、オミクロン株の状況に合わせて内容を更新して、今備えるべき知識を伝えます。(白鴎大学教育学部教授 岡田晴恵)家族が感染!自宅療養どうすれば?今後、2月にかけて感染者数が増多し、その多くの方が自宅で療養するということになると考えられます。 オミクロン株は主に鼻や喉、気管支などで増えやすく、軽症化の傾向がみられ、肺炎などの重症化率は下がっているとされています。一方、上気道で増えやすいため、ウイルスを外に出しやすく、ウイルス増殖が速いため感染力は強くなっています。潜伏期間も約3日と短くなっています。それでは、同居する家族の誰かが感染した場合、周囲の人はどう対応すればよいのでしょうか。4人家族の長男(5歳)が感染した場合と、2世帯家族かつひとり親家庭の母親が感染した場合を考えてみました。4人家族の5歳長男がかかったら…まず、看病はひとりで行いましょう。看病者は感染しやすいため、重症化リスクが高い妊婦や高齢者、基礎疾患のある人は避けます。また、看病の後は着ていたものを必ず洗濯をして、手も石鹸でよく洗うようにします。感染者は基本的には個室で過ごし、他の家族との接触はできる限り控えるようにします。お風呂やトイレなどを共用する場合は清掃と換気を十分に行い、お風呂は感染者が最後に入るようにしましょう。また、感染者が触れたものは必ず消毒をしてください。拡大画像表示親が新型コロナウイルス感染症に感染した場合は、子どもが親を看病するほかありません。また、2世帯住宅で祖父母と暮らしていても、高齢者は重症化のリスクが高いため、看病を頼ることはできません。冷静に対処をしましょう。2世帯家族・お母さんがかかったら…2世帯家族、かつひとり親家庭の、母親が感染した場合について考えます。まず、先述の通り祖父母を感染者に近づけないようにします。1階と2階など居住スペースを完全に分けましょう。また、もし他に兄弟姉妹がいたとしても、看病者はやはり1人に限定しましょう。不安かもしれませんが、同居している家族は感染者の症状が軽快してから14日間経過するまでは、自分の健康状態を注意するほうに集中しましょう。もし自分だけで看病することが難しいと感じる場合は、居住地の自治体の担当者に相談をし、宿泊療養に切り替えるというのもひとつの手です。宿泊療養というのは、自治体の用意した宿泊施設やホテルなどで療養をするということです。高齢者との居住スペースを分けることが難しい場合なども、宿泊療養の対象者になります。
2022.02.06
コメント(0)
下記の記事は日刊ゲンダイヘルスケアデジタル様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。 血糖値の1~2カ月の平均を反映し、血糖コントロールの指標となるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)。この数値を良好に、さらに長期的に保つと、新型コロナウイルスに感染しても重症化しないことが、米国の大学の調査で明らかになりました。 調査をしたのは、レンセラー工科大学の研究グループです。米国で医療サービスのネットワーク提供を行うオプタムヘルスの医療データベース(2017年1月から20年11月)を解析。対象になったのは1万6504人の男女で、平均年齢は67.6歳でした。 すると、コロナ感染の2~3年前からHbA1cの平均値が1%高いごとに、集中治療室(ICU)に入院するリスクが12%上昇するという結果が出たのです。HbA1cが7%にコントロールされている群は、コロナの重症化リスクは1.12倍でしたが、8%以上の群は1.34倍、9%以上の群は1.48倍に上昇していました。 糖尿病治療ガイドライン(日本糖尿病学会)では正常範囲を4.6~6.2%とし、6.0~6.4%を「糖尿病の可能性が否定できない」、6.5%以上を「糖尿病が強く疑われる」としています。また、すでに糖尿病と診断されている場合には、合併症予防のために、HbA1cは7.0%未満を目標に、コントロールすることとなっています。 この米国の調査では、「高血圧」「男性」「腎障害」「肥満」もコロナの重症化リスクを高め、しかし血糖降下薬で治療を受けている人は重症化リスクが抑えられるという結果も出ました。コロナに感染した時、血糖降下薬のメトホルミンを服用していた糖尿病患者はICUの入院リスクが12%低く、メトホルミンとインスリンを使用していた人は入院リスクが18%低かったのです。■感染2~3年前までさかのぼって調査しているところがポイント この調査結果を、私は非常に興味深く見ました。実はこの結果が発表される前、HbA1cの数値とコロナの重症化リスクとは関係あるという調査結果も、またないという調査も発表されていました。コロナに感染した一時点のHbA1cだけが重症化に関わるという調査結果には、疑問を抱かざるを得なかったのです。 というのも、たとえば、「HbA1cが高い」といっても、コロナに感染した時期がたまたまその数値だったのか、過去何年にもわたり数値が高いのか、今まで低い数値をコントロールしていたけど数カ月前から生活の変化などで数値が高くなっているのか。 糖尿病の合併症は短期間で起こるのではなく、悪い数値を長く継続していることで生じます。もちろん、HbA1cは一時的に高くなると、白血球の働きが悪くなり、免疫力が落ちて感染症になりやすいという点はありますが、「これまで」を見ずに、血糖コントロールとコロナの重症化の関係を結びつけることは無理があるのです。今回の「HbA1cが7%にコントロールされている群は、コロナの重症化リスクが低い」という結果は、コロナに感染した時だけのHbA1cを見ているのではなく、コロナ感染2~3年前からのHbA1cの動きを見ています。過去に数年さかのぼって数値が高い人はコロナの重症化リスクが高いという結論は、非常に納得しやすいのです。そしてもうひとつ、私が着目したのは、数値を良好に保てている期間が2~3年と短くても、効果があるという点です。HbA1cを2~3年から5年くらい良好に保てれば、コロナに限らず感染症の重症化リスクを抑制でき、体に対してさまざまな良い影響があるとは言われていましたが、2~3年でも効果がある。もしかしたら、1年間良好な状態を保つだけでも、効果があるかもしれない。大切なのは、継続するということです。コロナの重症化抑制だけではありません。糖尿病の薬は日進月歩しています。効果が高く、使いやすい薬が続々と登場しています。血糖コントロールが良い状態を1年でも長く継続していれば、新しい薬が出た時の恩恵を受けやすい。複数の合併症に見舞われた後では、せっかくの新薬の効果を得られない可能性があるのです。坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。
2022.02.06
コメント(0)
下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。今、自宅で保管している金(ゴールド)が特殊詐欺犯に狙われている。2022年1月、オレオレ詐欺で3000万円以上の価値がある金塊を詐取される事件が首都圏で続けて起きた。ルポライターの多田文明さんは「『息子』を名乗って高齢者宅に電話して、お金を振り込ませるのではなく、所有していた金塊を詐取するのです。過去には買わせた金塊の詐取もありました」。なぜ、そんなことが可能なのか――。※写真はイメージです2022年になって自宅の金塊を詐取される事件が続発2022年に入って、「息子」を名乗ったオレオレ詐欺犯によって金塊を詐取される事件が続いています。こうした詐欺はいったん成功事例が生まれると、同様の手法がその後も繰り返し行われる傾向があります。読者の皆さんもオミクロン株感染防止同様に最大級の警戒をしてください。今回の手口は具体的にはどんなものだったのでしょうか。1月21日、千葉県に住む80代女性の自宅に、息子や医師などをかたった複数の人物から電話がかかり、その後、家にやってきた男性に金の延べ板10枚(計5kg)を渡してしまっています。3500万円相当といいますから、かなりの被害金額です。10日ほど前にも都内に住む80代女性が、やはり息子をかたる人物からの電話を受けて、60万円と3000万円相当の計4個(約4kg)の金塊を詐取されています。両事件とも、詐欺犯のアプローチは同じです。「かばん(や携帯電話、財布)をなくしてしまった。すぐにお金が必要なので貸してほしい」以前からオレオレ詐欺でよく使われる古典的なセリフであるにもかかわらず、なぜ、大事な金塊を差し出してしまったのか。5年前と今回の金塊詐欺金の共通点・相違点実は、この金塊詐欺は以前にもありました。約5年前にも、手口は若干違っているものの複数件、発生していました。その時も、息子などの身内をかたった「オレオレ詐欺犯」からの電話がきっかけでした。息子になりすました男は「かばんをなくした」と言い、「実は、そのなかに仕事の重要な契約書類が入っていた」と畳みかけます。そして「今日中に、支払い先へのお金を立て替えなければならないので、貸してほしい」と言います。ここまでは定番のだましの手口ですが、ここからが違いました。当時も、振り込め詐欺への警戒はかなり強まっていました。もしここで高齢者を銀行に行かせて、多額のお金を引き出させたとすれば、銀行側が「詐欺」を疑うことは間違いありません。そこで詐欺グループは一計を案じて、次のような手を打ってきました。「銀行口座から、一度にたくさんのお金を下ろせないから、金(金塊)をまず買ってほしい」そう高齢者に話したのです。都内に住む70代女性は、なりすました人物から指示された金の販売会社の銀行口座に5000万円以上を振り込みます。おそらく窓口でお金を引き出して振り込みを行ったと考えられますが、なぜ、容易にそれができてしまったのでしょうか。それは、この販売会社が詐欺グループとは何の関係もなかったと思われるからです。一般の会社との正規の取引であれば、よもや銀行もその背後に詐欺グループがいるとは想像もしなかったことでしょう。それに、資産防衛や投資目的のために、値上がりが期待できる金を購入する高齢者は少なくありません。※写真はイメージですその後、金の延べ板12本が自宅に届けられます。その頃を見計らって、詐欺グループは、「支払い先へのお金を払わないとクビになる」といった口実で高齢者を無理やり説得した宅配バイク便の業者を向かわせて、金塊をまんまとだまし取ることに成功したのです(その後、金の買い取り業者に転売したと思われる)。当時、他にも同様の手口による被害者もいますが、やはり数百、数千万円の高額な被害になっています。銀行側でも高額な引き出しであれば、詐欺との疑いを持てるでしょうが、このような金の購入をして、金品をだまし取る手口は知られておらず、しかも一般の会社へ正規の取り引き(振り込み)となれば、詐欺とは気づかなかったのも致し方ないといえます。まさに虚を衝く手口でした。なぜ、資産状況をべらべら第三者にしゃべってしまったのか今年に入って続発する金塊詐欺も、5年前に被害に遭った人たちと同じように「カバンをなくした」という電話がきっかけでした。しかし5年前と違う点は、タンス預金に何があるか、資産状況を聞き出したうえで、自宅にある金塊を持ち去る方法に変えてきていることです。冒頭で触れた、1月上旬に現金60万円と3000万円相当の計4個の金塊を詐取された都内在住の80代女性。港区・麻布署によると、息子を名乗る男は「印鑑などが入ったかばんをなくしてしまい、お金をおろせないんだ」と言い、さらに「お金を貸してほしい」といった話をしてきたそうです。高齢女性は、その話を信じて「家に金の延べ棒がある」ことも伝えてしまいました。しかも、男は息子の名前だけでなく、職業についても知っており、それで女性も真実だと思ってしまったのでしょう。これまで詐欺犯らがだまし取るものといえば、現金やキャッシュカードでしたが、そこに金塊も加わったといえます。※写真はイメージですその背景には、コロナ禍で金の価格が上昇し、それを購入する高齢者が増えたこと。さらに、詐欺グループも、金を高値で転売することができる状況があると踏んでの犯行ではないかと思われます。歴史的にみて、詐欺は既存の手口に新たなものを加えアレンジしながら、常に“進化”しています。今回の手口も「カバンをなくした」という電話をかける従来のオレオレ詐欺をベースに「金塊詐取」というひねり技を混ぜて再登場させたということでしょう。それにしても「なぜ古典的ともいえるオレオレ詐欺の手口でだまされてしまうのか」「なぜ資産状況をべらべら他人にしゃべったのか」と疑問に思う方が多いでしょう。「役所の者」「NHK番組スタッフ」をかたり資産を把握する姑息な技その理由のひとつに、詐欺の前触れ電話である、アポイント電話(アポ電)の巧妙化があります。電話をかけた相手に詐欺をしているとは思わせずに、役所などをかたり、情報をさりげなく抜き取っていく。このやり方が悪い意味で洗練化しているといえます。以前に、NHKの番組アンケートを装った詐欺犯と思われる人物からのアポ電が報道されたことがありました。自称番組スタッフはまず「現在、お一人暮らしですか?」と問いかけます。そして「お買い物はお一人で行かれますか?」と尋ねて、銀行にお金を引き出しに行ける人物かを探ります。極めつきは、最後の質問です。「(世の中の一般世帯の)預貯金平均額は600万円との数字が出ています。具体的な金額はお聞きするのは控えさせていただきますが、その金額より『上』か『下』かだけお答えください」相手が「上です」と答えれば、「ありがとうございました」とさっと電話を切ります。番組アンケートの時間は全部で1分と少々です。すでにこの電話をかけているわけですから、名前、住所などの個人情報はある程度、わかっていることでしょう。そこに資産の状況が加わるわけです。※写真はイメージです今回の詐欺事件も、似たような洗練された聞き出しの手法によって金塊の有無を含む資産状況などの重要な個人情報の多くが丸裸にされてしまったなかで、被害者に遭った高齢の女性は相手が本当の息子であると信じてしまい、トラブルに巻き込まれた息子を救うためなら、と金塊を差し出してしまったのではないかと考えています。被害を防ぐためには、やはり「電話の詐欺は電話で防ぐ」という発想が大事になります。先日も80代女性の家に詐欺の電話がかかってきましたが、AI(人工知能)機能が付いた装置を電話機に取り付けていたために「詐欺」とのアラートが区役所職員のもとに伝わり110番をして、お金を受け取りにきた14歳の少年が警察に逮捕されています。まさに、電話機が本人も気づかない詐欺を見抜いたわけです。振り込め詐欺の被害が深刻になってきた時から、玄関に鍵をかけるように「電話にも鍵をかける」ことが大事であると訴えてきました。しかし当時は、あまりこうした防犯意識は乏しく、留守番電話にして知らない電話番号には出ないくらいしか方法がありませんでした。しかし今は、多くの会社がさまざまな詐欺対策用の電話を発売しています。筆者の親も、自宅に詐欺対策用電話をつけましたが、こちらが電話をかけると、その番号を認識して「文明さんです」といった音声が流れて、親に教えてくれるのです。呼び出し音がなるととっさに電話に出てしまう高齢者の方もいますので、こうした音声で相手が誰かを知らせる手立ても、不審な電話を取らないためにも有効だといえます。ぜひとも、詐欺対策用電話を設置していない方は、「電話の詐欺は電話で防ぐ」ためにも検討することをお勧めします。それがだまされないことにつながります。このご時世、自宅に多額の現金を置いていなくても、金塊を置いている人は、案外多いかもしれません。くれぐれも警察、役所など何者かになりすましたアポ電を通じて資産状況を知られないようにしてください。これで個人情報を伝えてしまうと、詐欺に遭う確率はぐっと増してしまいます。約5年ぶりに手口を変えて連続して発生した金塊詐欺をぜひとも覚えておき、被害を防いでください。筆者の思うところですが、金塊はそれなりに重量があり、それを受け取った詐欺犯が、長時間持って歩くことは疑われやすく、難しいかと思います。となれば、車内などで待っていた近くの人物に受け渡すなどしているのではないかと考えます。そこで、見守る私たちも、不審な車両が高齢者宅の近くに止まっていないかを気にしてあげることも大事になります。それに、なんとも世知辛い世の中ですが、重そうな袋を持参した見知らぬ人物が高齢宅から出てくれば、これまた詐欺かもしれないと疑うことも必要なのかもしれません。多田 文明(ただ・ふみあき)ルポライター1965年生まれ。北海道旭川生まれ、仙台市出身。日本大学法学部卒業。雑誌『ダ・カーポ』にて「誘われてフラフラ」の連載を担当。2週間に一度は勧誘されるという経験を生かしてキャッチセールス評論家になる。これまでに街頭からのキャッチセールス、アポイントメントセールスなどへの潜入は100カ所以上。キャッチセールスのみならず、詐欺・悪質商法、ネットを通じたサイドビジネスに精通する。
2022.02.05
コメント(0)
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。「オッカムのかみそり」という思考ツールをご存知でしょうか? 「ものごとを考える際、不必要な仮定をいくつも立てるべきではない」と述べた中世の論理学者ウィリアム・オッカムにちなんだ思考法で、思考をめぐらせるとき最も単純な解釈を選ぶべきというメソッドです。この「シンプルな思考」を成功の要諦に挙げる成功者は多く、ウォール街で情報発信を続け支持を集めるシェーン・パリッシュ氏は「複雑な要素を削ぎ落としてこそ、最適解に近づく」と先人たちの頭の中を説きます。パリッシュ氏の著書『知の巨人たちの「考え方」を一冊で、一度に、一気に学びきる グレートメンタルモデル』より一部抜粋・再編集してお届けします。IBMを救った意外すぎる社是1990年代前半にルイス・ガースナーがIBMのCEOに就任したとき、同社は創業以来最悪ともいえる苦境にありました。多くのビジネス評論家からガースナーがトップとしてビジョンを示す声明を発表するよう求める声が上がります。どんなマジックを使ってガースナーはビッグ・ブルー(IBMの愛称)を救うのか、と。それを受けたガースナーは次のように発言します。「素晴らしく優秀な人々が働くIBMという組織は、成功するための大胆なシナリオがあれば喜んだだろう。そのシナリオが知的で複雑なものになればなるほど、みながそれを気に入ったはずだ」しかし、彼はシンプルなアプローチが最も効果的であることにも気づいていました。そこで彼が出した声明が、「今のIBMにとってもっとも必要ないものはビジョンだ」です。IBMにとって本当に必要なのは、顧客にきちんとサービスを提供し、現在行っているビジネスの競争力を強化し、すでに利益を出している事業に注力すること。言ってみれば、「なりふり構わず、目の前のことに集中する」という宣言のもと、1990年代末までガースナーはIBMを牽引し、壮大なビジョンや大規模な技術変革を伴うことなくIBMを窮地から立て直すことに成功したのです。私たちは、何かを解釈する際、ついつい不必要に複雑な考え方をしてしまいがちです。夫の帰りが遅い。交通事故に遭っていたらどうしよう?息子の身長の伸びが去年より1センチ少なかった。体のどこかおかしい?つま先が痛い。骨肉腫?こうした最悪のシナリオが当てはまる場合もありますが、夫は仕事が忙しくて帰れなかったり、あなたが子どもの身長測定をミスしていたり、靴がきつすぎる可能性のほうがはるかに高いのです。要素が多いほど「不正確」になりやすい自分の周りの出来事を解釈するとき、私たちはしばしば長い時間をかけてとても複雑なストーリーを考えだします。これは人間にとって一般的な傾向。そのため、できる限り単純な解釈を見つけてそれに従う「オッカムのかみそり」は、人間の思考につきまとう不必要な複雑さを回避し、より本質的なことに集中して考える優れた思考の指針です。複雑な説明のほうが真実である可能性が低いのはなぜか? 数学的に考えてみましょう。特定の現象に対して、いずれも同じくらい説得力がある2つの説明があるとします。片方が3つの要素から、もう片方が30個の要素から成る説明です。各要素が99%の確率で正しい状態にある場合、1つ目の解釈が間違いである可能性はわずか3%。しかし、より複雑な2つ目の説明が間違いである可能性はその約9倍、26%になります。不確実な状況下では、より単純な説明のほうが信頼性が高いのです。科学者のカール・セーガンは「ほぼすべてのことにおいて、単純で地味な解釈のほうが当てはまる傾向にある」と説きます。「ひまわりが空を横切っていく太陽を追うことでさえ、光屈性と植物ホルモンのことがわかるまでは奇跡にほかならなかった」と述べ、奇跡とされるような現象であっても、その背後にはシンプルなカラクリが働いているものだとしています。ここで、複雑な解決策がうまく機能せず、反対にシンプルな解決策が効果的だった2つの実例を紹介しましょう。ただ「ボール」を浮かべる水汚染対策ロサンゼルスにある約4万平方メートルの広さを誇るアイヴァンホー貯水池は、60万人以上の住民に飲料水を供給する貴重な水源。そこに貯められた6000万ガロン近くの水は、一般的なやり方にしたがい、塩素で消毒されています。一方で、臭化物と呼ばれる化学物質が高濃度で含まれていて、塩素と臭化物が混ざり合って日光に当たると臭素酸塩と呼ばれる危険な発がん性物質が発生します。ロサンゼルス市水道電力局(DWP)は、水源の臭素酸塩汚染を避けるため、貯水池の表面を覆う手段を必要としていました。しかし、会議でブレインストーミングを重ねた結果、4万平方メートルのシートを池に被せるか、巨大な開閉式ドームを建設して覆うという2つの実行不可能な解決策しか考え出せないでいました。そんなあるとき、DWPの生物学者が「バードボール」の応用を提案します。バードボールとは、空港で滑走路近くに鳥が集まるのを防ぐ「水に浮かべるボール」です。工事も、建設資材も、労働力も、メンテナンスも不要で、費用はボール1つあたりわずか40セント(約44円)。このアイデアが採用され、紫外線をカットする黒いボールが貯水池に浮かべられ、低コストかつ迅速に、深刻な事態につながる問題を解決することができたのです。次の例は生死に直結する問題をシンプルな方法で解決した事例です。1989年、インドのガンジス・デルタ地域でベンガルトラがおよそ60人の村人を殺害しました。送電線を巻きつけた人形にトラをおびき寄せ、電気ショックを与えて人間の住む場所から遠ざけようとするなど色々な方法を試しましたが、どれも効果はなし。複雑なものをシンプルにするのが創造性そこで、カルカッタ科学クラブに所属するある学生が、虎は獲物に自分の姿が見えていないと判断したときにしか攻撃しないと気づき、蝶や甲虫、毛虫の一部の種は大きな目に見える模様を持ち、捕食者に対して「獲物も自分を見ているのだ」と思わせていることを思い出します。『知の巨人たちの「考え方」を一冊で、一度に、一気に学びきる グレートメンタルモデル』(サンマーク出版)それを応用して作ったのが、後頭部に装着する「人面マスク」。それからの3年間、マスクを着用した人は誰もトラに襲われませんでした。その期間、トラに殺されたのは、マスクの着用を拒んだか仕事中にマスクを外した人だけ。シンプルな「マスクをかぶること」以上のトラ対策はなかったわけです。不必要な複雑さは、誤りを覆い隠してしまうことがあります。要素が増えるほど、道筋が複雑になるほど、最も大事なことがぼやけてしまうのです。アメリカの作曲家チャールズ・ミンガスが言うように、「シンプルなものを複雑にするのは誰にでもできる。創造性とは、複雑なものをシンプルにすること」なのです。問題にぶつかったり解決策に悩んだりしたときには、複雑に考えすぎていないか、もっとシンプルに考えられないか、「オッカムのかみそり」を思い出してみるといいでしょう。シェーン・パリッシュ : 「Farnam Street」創設者
2022.02.05
コメント(0)
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。筆者が療養していたホテル。1棟ごと宿泊療養を受け入れている(筆者撮影)「今から20分でお迎えに行きます」「手違いでキャンセルになりました。申し込みからやり直してください」――。東京都の対応は二転三転し、混乱していた。1月22日、患者が急増する東京都内でコロナ陽性の判定を受けた。重症化リスクが高い家族がいる私は一日も早い隔離を求めたが、その道のりは長く感じた。いまコロナに感染すると、わが身にどんなことが起きるのか。“万が一”への備えとして、それをみなさんにお伝えしたい。のどの痛みと寒気から数時間後に発熱異変の最初はのどの痛みと寒気だった。1月20日午前8時ごろ、自宅で寒気を感じた。体温を測ると、36度3分。のどが少し痛い。市販の風邪薬を飲んで寝込んだところ、午前10時半には38度8分まで上がった。その後、体温はさらに上がり、39度6分に。このころになると、もうろうとしており、何時だったのかもわからない。目が潤んで体温計の表示がにじんでみえる。足の関節が痛い。抗原検査キットを求め、家族が薬局に走ってくれた。しかし、承認済みは品切れ。やむなく、研究用の「未承認」セットを購入し、それを試した。陰性だ。それでも「念のために」と思い、近くのクリニックへ発熱している旨を告げ、指定された時間に駆け込み、PCR検査を受けた。結果判明まで1~2日かかるという。翌21日には、のどの痛みが激しくなり始めた。何を飲んでも食べてものどが痛い。おかゆをゆっくり噛んだうえで、しょうが湯で胃に流し込む。夜はのどの激痛で眠れなかった。そして、22日午前10時20分、クリニックの医師から電話が入った。「陽性でした。保健所に発生届を出します」私には、重症化リスクの高い家族がいる。ワクチンは2回打った。幸い、勤務先は在宅勤務の措置を取り、私自身、人に会わないように気をつけてきた。それでも感染した。どこで感染したかと問われても、思い当たるふしはない。クリニックの医師は、電話診療で炎症をやわらげる薬や解熱剤を処方してくれた。これまでも風邪の際に処方されたことがある薬だ。新型コロナ用の飲み薬「モルヌピラビル」が処方できるようになったのではと思ったが、それは重症化リスクが高い人のみ。通常の風邪よりも段違いにつらくても、私には通常の薬しか出ないようだ。陽性判定後に処方された薬(筆者撮影)咳もでてきた。発作のような咳でしばらく止まらない。この先、どうなるのか。高熱の中、あれこれと思い巡らせた。東京都のホームページによると、保健所は、発生届に記載された陽性者の電話番号に連絡し、療養先を調整するとなっている。感染者に対する注意書きには、こう書かれていた。「ご家族や周囲の方に感染させないことが大切です。そのため、感染した方のうち、入院治療の必要のない軽症や無症状の方には、都が用意した施設での宿泊療養をお願いしています」「自宅から宿泊療養施設に入所する場合は、保健所からご本人に連絡があります」このとおりだと、私は隔離され、宿泊療養することになる。昨年9月、同世代の知人男性がコロナで亡くなった。医療崩壊で入院できず、自宅療養していたところ、悪化して、緊急入院したときには手遅れだった。私も咳で息苦しいが、彼の苦しさはこの比ではなかっただろう。家族が感染したらと思うと、気が気ではない発熱から4日目の1月23日。正午すぎ、私のスマホにショートメールが届いた。厚労省と区保健所からだ。クリニック医師の「陽性です。発生届を出します」の連絡から26時間過ぎている。ショートメールの指示は、HER-SYS(ハーシス)という健康管理システムに入り、質問に答えるようにという内容だ。指定された通りにアクセスし、体温や体調を記入。「息苦しさはありますか」「食事は困難ですか」などの質問が並ぶ。酸素飽和度の記入も求められた。パルスオキシメーターを持っていない人はどうするのだろう? 保健所のホームページには「必要と判断される方」にはパルスオキシメーターを貸し出すと書いてあるが、ショートメールに貸し出し案内は見当たらなかった。私は昨年ネット通販で買ったメーターを使って測定し、記入した。正常値は96%以上のところ、私は95~98%の間を行き来した。このころになると、のどの痛みで声が出なくなった。激しい咳を繰り返し、炎症が進み、声が枯れてしまったのだ。しょうが湯やコーンスープなど温かいもので水分を補給し、うがいをして、痛みを少しでもやわらげようとした。そして、保健所からの連絡を待った。咳が止まらない自分を早く家族から隔離したかった。これだけ患者が急増しているのだから、簡単に対応できないだろうと頭では理解していた。でも、家族が感染したらと思うと、気が気ではない。家族にうつって重症化した場合、医療逼迫の中で入院先を見つけるのは大変だろう。保健所の対応を待っているうちに患者が亡くなったという昨夏のニュースをいくつも思い出した。今回は重症化率が低いと言われているとはいえ……。保健所からの連絡を待つ間、自分の部屋から出ないようにし、部屋にたらいを置いた。ここでうがい、歯磨きを行う。洗面所には行かない。部屋を出るのはトイレだけ。トイレに行く際は手指を消毒したうえでビニール手袋をし、マスクをし、短時間で戻った。洗濯物は家族と別にした。家族は濃厚接触者で外に出られないため、買い物はネットしかない。生活費は高くつく。生活のことが心配になり、傷病手当金や保険で出るものはないかを調べた。このままだと、少なくとも10日の間は仕事を休むことになる。これは大きい。寒気から5日目、陽性判定から3日目の1月24日。少し回復してきた。声が出て、体も動かせるようになってきた。東京都のホームページを見ていると、保健所から連絡を受ける前に、陽性者が自ら宿泊療養を申し込める電話窓口がある。早速、電話した。重症化リスクが高い家族がいることを告げ、早く自分を隔離してほしいと申し込むためである。受付時間は9時から16時。話し中でなかなかつながらなかったが、5回目で男性の係員が出た。事情を訴えると、相手はこう言った。「混みあっていますので、最短で明日、または明後日に保健所から連絡が来ると思います」やっと気持ちが少し楽になった。保健所から連絡がようやく来るのだ。搬送車のドライバーから唐突な連絡1月25日。保健所から連絡はない。自室にこもっているため、テレビのニュースも見られず、スマホで情報を集めた。そんな中、ネットで「東京都の自宅療養者3万人超! ホテル療養施設2000室も空いているのになぜ入れないのか」という記事に行き当たった。この日の午後2時にアップされたばかりだ。それによると、自宅療養者は24日に過去最多の3万1963人、それとは別に「入院・療養等調整中」が2万9490人。一方で宿泊療養者向けに用意されたホテルでは2000室以上が空いているという。使用率の低さは1年以上も前から報道や議会で指摘されてきたが、まだ改善されていないのか。すっかり暗くなった午後6時9分、スマホに着信があった。表示された番号に覚えはない。男性だった。「ドライバーです。午後6時35分にお迎え予定です。今から20分後です」陽性者を宿泊施設まで連れて行く搬送車の運転手だという。私が聞いていた手順では、宿泊療養が決まった場合、前日夜に行先と迎えの時間を電話で知らされ、搬送車の到着直前にドライバーから電話があるはずだった。ドライバーから電話がいきなり来て、しかも20分後に来ますと言われても……。「保健所から1回も電話をもらったことがなく、(この時間に迎えが来るとは)聞いてないんです。大丈夫でしょうか」私はそう尋ねた。ドライバーさんによると、搬送車にはもう1人陽性者が同乗するが、その人も保健所から何も聞いておらず、搬送会社を通じて確認中だという。私は、急いで荷造りを始めた。行先はホテルなので着替えがあればなんとかなりそうだ。ところが、今度は迎えの時刻を過ぎても、どこからも連絡がない。私はドライバーさんに電話してみた。「どうなりましたか」「(会社から)連絡が来ないんです。自分も待機しているんです」電話を切った。5分後に電話が鳴った。ドライバーさんだ。「キャンセルになりました」「え? どういうことですか?」「わかりません。この時間以降の搬送はありませんので、きょうはないということです」同じ搬送車に乗る予定だったという、もう1人の陽性者もさぞかし驚いたことだろう。すると、30分後にまた電話があった。今度は別の男性だ。「都です。手違いで連絡がいっていませんでした。申し込みがキャンセルになりましたので、明日以降、もう一度申し込みをお願いします」キャンセル? どういう意味だろうか。「また最後の順番で申し込めと言うのでしょうか」「はい。きょうはもう窓口がやっていませんので」宿泊療養申し込み窓口は午後4時までだ。今はもう午後7時。「何が起きたのですか。保健所に問い合わせますので、電話番号を教えてください」「お伝えしますが、保健所はもうこの時間は電話に出ません」「すみませんが、咳がとまらないので、重症化リスクが高い家族にうつる前に私を隔離したいのです」「検討します」電話を切った後、激しく咳き込んだ。電話で話すと、咳がひどくなる傾向がある。念のため保健所に電話した。確かに誰も出ない。呼び出しコールは自動音声に切り替わってしまった。ようやく保健所から初めての電話午後8時50分、また私のスマホが鳴った。今度は女性だ。「区の保健所です。都から、あなたが宿泊療養をキャンセルしたいとのことで話があったんですが」初めての保健所からの電話だった。しかも、私が宿泊療養のキャンセルを申し出たことになっている。「違います。逆です。早く入れてくださいと言っています」「わかりました。都に確認します」約40分後、午後9時半に再び保健所の女性職員から電話。「明日から入れます。都から連絡が来ます」しばらくすると、またスマホが鳴った。「都です。明日から入所です。(迎えの)時間は明日の午前に伝えます。(入所は)午後からになります」ホテル名を告げられた。ここまで確定すればたぶん大丈夫だろう。どっと疲れた。服はホテルの部屋で手洗いすることになるから、その準備も要る。のどを痛めている人は小さい加湿器を持って行ったほうがいいというネットの体験談も見た。荷造りを本格化させていると、また電話が鳴った。もう深夜の午後11時近い。「遅くにすみません。都です。明日からの入所のお知らせです。行っていただく宿泊施設が決まりました。施設は……」「あ、先ほど同じ内容のお電話をいただきました」「そうなんですね。重複してすみません」かなり混乱していることがわかった。1月25日のこの日、東京都内での新規感染者数は1万2813人に達し、過去最多を記録している。翌1月26日の午前9時22分、見知らぬ番号から着信があった。男性が「これから食料を届けます。本日中に届きます」と言う。食料を届ける区のサービスだ。7日目になって、ようやく……。正午ごろに届いたのは、カロリーメイトのゼリー、スープ、スポーツドリンクなど。ありがたかった。もし、のどが最悪だった初めの5日間にいただければ、さらに助かっただろうと思った。届いた食料やトイレットペーパー(筆者撮影)この日の午後2時半に白いワゴン車で迎えに来た。先に女性1人が乗っていた。車内はビニールで運転席と後部座席を仕切ってある。運転手がホテル側に到着予定時間を電話する以外、車内は終始無言。感染リスクを考えてのことだ。ホテルに着くと、入り口にカードキーが入った封筒が置いてあり、職員からガラス越しに部屋に行くように案内された。このホテルの宿泊療養者は20代、30代が目立ち、軽くせき込んでいる程度の人が多かった。1日3回の食事は、それぞれ自力で1階ロビーに取りに行く。衛生上、館内アナウンスがあってから1時間以内に弁当を受け取って自室で食べ、空き箱を1階に捨てる。エレベーターは2基。数十人がエレベーター待ちの行列をつくることもあった。もちろん、言葉を交わす人はほとんどいない。宿泊療養期間は発症から10日間で、11日目の午前に退所すると決められている。発熱が続いた場合は延長になる。私の発症は1月20日だったから、療養は1月30日までの5日間となった。この間、「宿泊療養者向けのホテルが都内で2000室空いている」というニュースが気になっていた。この記事では、都が確保したのは24日時点で4940室、そのうち使用しているのは2700室未満となっていた。都の30日更新のデータでは宿泊療養は3359 人となっている。部屋のやりくりは、実際はどうなっているのだろうか。私の療養先は高層の大型ホテルだった。1月27日段階で見ると、ある階では68室のうち空きが19室で、使用率は7割程度だった。別の階では空き53室・使用率2割程度だったが、その階は29日になると、空き室が13室に減っていた。空室が発生するのは「部屋の消毒・清掃で、患者が療養を終えた部屋ごとではなく、1つのフロアの患者全員が退所するのを待って消毒と清掃を行っている」「リネンの交換を行う業者などから感染への不安の声がある」(NHKニュース、1月17日)ことが大きな要因とされている。このホテルでも1階以外でスタッフを見かけることはなかった。状況は刻々と変わっている感染力が強いオミクロン株の影響で、新型コロナの状況は刻々と変わっている。東京都の小池知事は1月23日、「感染者が増えている流れの中で、軽症や無症状の人はできるだけ自宅にいていただく」と述べ、それまでの原則宿泊療養の方針を転換させている。重症化リスクの高い家族がいるため私は隔離を認められたが、宿泊療養待ちの人は数多いだろう。家族を心配する気持ちは同じ。宿泊施設の利用方法を改善したり、連絡に関わる事務作業の効率を上げたりといった工夫の余地はもうないのだろうか。感染しても自宅療養を強いられるとなると、備蓄は必須だ。液体で栄養を取れる食品、保温ポット、生理用品、パルスオキシメーター……。品薄だが、承認済みの検査キットもあったほうが安心だ。もしかしたら、コロナに罹患していない多くの人は、まだどこか他人事かもしれない。だが、この感染爆発は尋常ではない。重症者やそのリスクが高い人以外は、国も自治体も支援できないというフェーズに入っている。状況はそれこそ時間単位で変化しているし、私のこの経験すら読んでいただいたころには古びてしまっているかもしれないのだ。青木 美希 : ジャーナリスト
2022.02.05
コメント(0)
下記の記事はデイリー新潮オンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。日本屈指の伝統ある名門校秋篠宮家の長男・悠仁さま(15)の筑波大附属高校への進学が取り沙汰される中、特別ルートと呼ばれるその進学方法が批判の対象となりかねないことに宮内庁は気をもんでいるという。その一方で、それ以上の懸念材料も存在するとされる。一体どういう問題なのか。まず、最近にわかに話題にされることが増えた「特別ルート問題」についておさらいしておこう。お茶の水女子大は中学まで共学で高校から女子校となるため、男子は外部に進学することになる。悠仁さまも例外ではなく、本命は筑波大学附属高(筑附)だとされている。筑附は日本屈指の伝統ある名門校で、卒業生は政財官から芸術の世界までまさに多士済々である。筑波大とお茶の水女子大との間には2017年から導入された「提携校進学制度」というものがあり、悠仁さまはこの制度を利用しての筑附進学を検討されているという。「この制度は面接や書類審査などを経て両大学の附属校への転入が可能となり、学力テストは必要ありません」と、社会部デスク。将来の天皇陛下を迎える環境として不足するところがなく、両大学附属校の在校生にとってメリットになるのなら外野があれこれ口を挟むべきではないはずだが、どうしてこの制度が冒頭に記したように「特別ルート」と呼ばれ、批判の対象となりかねないのか。仮に進学された際にこの制度が設けられたのは、悠仁さまがお茶の水女子大附属小に在籍され、中学への進学を控えておられた時期にあたっていた。「さらに、5年間の時限的な試みという位置づけがされていたこともあって、悠仁さまのための制度ではないか、皇室特権ではないかという声がくすぶってきたわけです。中学進学の際にもこの制度を使って筑附への転入を模索されたものの、一連の『小室問題』が持ち上がっていたこともあって回避されたと言われていました」(先のデスク)それが今回、特別ルートによる高校進学が現実味を帯びてきたというわけだ。「宮内庁の人たちに話を聞いてみると、その進学方法が国民からの批判の対象となりかねないことに気をもんでいるようでした。宮内庁が特別ルートの策定などに関与した事実はなく、秋篠宮家からも情報が細かく入ってくるわけでもなく、さらに心配を募らせている様子でした」(同)もっとも、懸念材料はそれだけではないという。「仮に筑附に進学されることになった際に、勉強についていけるのかという点です」と、宮内庁担当記者。実現しないのではないか悠仁さまの学力は非常に優秀だとも言われているようだが、「うーん……どうでしょうか。東大をはじめとする難関大はもちろん、海外の有名大に挑戦するであろう同級生らに伍していくことができるのかと疑問を呈する宮内庁の面々は少なくありません。加えて、現時点ですでに東大への推薦入学が取り沙汰されているわけですが、その理由として”実力的に現役合格が難しいからではないか”と指摘する声があるのは事実です」(先の記者)大学進学という岐路まではまだ3年の時間がある。「ドラゴン桜」を例に出さずとも、ここからはいくらでも伸びる可能性はある。それだけに今から現役合格を危ぶむというのは、ちょっと問題だろう。「確かにそうですね。ただ、東大も推薦入学についてはウェルカムだという話がまことしやかに流れていますが、そのあたりについて秋篠宮家として、国民からの批判に抗しきれず実現しないのではないかとの意見も聞こえてきています」(同)つまり、小室問題が浮き彫りにした「皇室特権」に関する記憶が、3年後に再び盛り上がりかねないというわけだ。しかし結婚が当人の自由であるのと同様、何を学びたいかについても、まずは個人の意思が尊重されてしかるべきだろう。そもそも多くの国民は天皇陛下の学歴を気にするはずもない。悠仁さまの場合、過去、リアルな信号機やトンボのオブジェを製作するなど、工作の腕、美術センスには目を見張るものがある。果たしてご本人の素直な気持ちはどこにあるのだろうか。デイリー新潮編集部
2022.02.05
コメント(0)
下記の記事はヨミドクター様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。外的妥当性について考えてみよう南アフリカのオミクロンが早期に収束したから、日本のオミクロンも早期に収束するだろう。そういう意見をあちこちで耳にします。そうなればよいとは思いますが、そうなるとは限らないのが、難しいところです。これはつまり、「他人に起きることは、自分に起きるとは限らない」という話です。専門的に難しく言えば、「外的妥当性(がいてきだとうせい)」ということです。外的妥当性とはどういうことか。例えば、ある人のある病気にAという薬を使いました。患者さんがよくなりました。別の患者さんが同じ病気でやってきました。はたしてAという薬は効くでしょうか。このとき、この患者さんにもAという薬が効くのであれば、外的妥当性はあり、ということになります。しかし、前の患者さんでは効いたのに、次の患者さんでは効かなかった場合は、これは外的妥当性がなかった、ということになります。厳密に言えば、ぼくらはみんな、別々の人で、一人として「まったく同じ」な人物はいません。たとえ一卵性双生児であったとしても、生まれた後の生活はまるで同じ、ではありませんから、この双生児の二人も「別の人」です。よって、「あの人に起きたことがこの人に起きる」、100%の保証はどこにもありません。南アで感染が収束した特有の理由とはましてや、国レベルとなると、かなりバラバラです。僕は南アには2回、短期訪問しただけで、そんなに詳しいわけではないですが、それでもデータを比べてみると日本と随分違う国なのが分かります。例えば、 かなり高齢者が少ない、とか。南アがオミクロンに対して、何もしなかったわけではありません。 昨年末までは夜間外出禁止令を出していましたし、現在もロックダウンレベル1ということで、一定の集団形成の禁止など、様々な社会抑制策を取り続けています。南アが「何もしなくても」「自然に」オミクロンを制圧したわけではないのです。 地域的にもヨハネスブルクのあるハウテン州中心の感染だったことも幸いしたのかもしれません。そんなわけで、南アはオミクロンをうまく抑え込んだのですが、「だから日本もそうなる」とは限らないのです。もっとも、同じ理由で「日本は南アとは異なる帰結をたどる」と断定もできないのですが。英国では下げ止まり傾向 流行の経過は各国各様そこで、 英国です。英国も南ア同様、オミクロンの激しい感染爆発が起きました。そして南ア同様、わりと速やかにピークアウトしたのですが、そのピークアウトもさーっと下がっていくのではなく、下げ止まり、停滞状態が起きています。 英国と似たような時期に流行拡大が起きたフランスでは、英国のようなピークアウトはしませんでした。 ずっと患者が増え続けたのは、ゆるい感染対策のためだったのでしょう。ここ数日でようやくピークを越えた感がありますが、あまりにピークが高すぎたので、これが収まるには相当時間がかかりそうです。というように、感染の経過は各国各様です。これは、流行がオミクロンの特徴のみならず、「人の活動のありかた」も加味されて決定されるからです。そりゃ、そうですよね。人の活動と感染の流行が全く無関係、というのなら、僕らが感染対策をするのは全くのムダ、ということになりますから。南アと英国とフランスと日本では人口動態も違いますし、各国の感染対策も、国民の防護態度も異なります。あちらで起きることがこちらで起きるとは限らない、は当然なのです。感染力が強く重症化しにくい特徴は共通じゃあ、外的妥当性なんて、言っても仕方のないことだよん、とニヒルになってはいけません。外的妥当性を担保する条件は、それなりにあるのです。例えば、再現性です。異なる条件でも繰り返し観察される出来事は、外的妥当性が高まります。南アでも、英国でも、フランスでも、日本でも、その他の国でも、オミクロンは感染力が強く重症化しにくいことが分かっています。あと、ワクチンを打っていない人よりも2回打っている人の方が感染しにくく、3回打っている人はさらにかかりにくいことも分かっています。条件が違う複数の地域で同じ現象が繰り返し再現されれば、それは「一般法則」として採用し、外的妥当性を活用したほうが便利です(厳密に言えば外的妥当性は完全には保証されていないのですが、そういうポパー的な議論は現場的には役に立たないので、ここでは棄却します。役に立つのが、大事です)。「2回接種なのに入院」が多いのは分母の人数が多いためそうそう、こんな話をすると、「病院に入院してるオミクロン患者はほとんどワクチン2回打ってるらしいやんけ。ワクチンなんか効かへんわ」と怒られることがあります。が、これは分数の数え間違え。確かに、「入院患者」を分母にすると、ワクチン2回群が最多となるのですが、これは日本ではワクチンを2回打ってる人がめっちゃ多いという、ただそれだけの話です。 「ワクチンを何回打った」を分母にして、「ワクチン2回接種群の感染率」「ワクチンを打っていない群の感染率」という数え方をすると、ワクチンを打ってない群の方が感染率は高いです。 分数を扱うときは、分母に注意する。基本です。最良の策はブースター接種このように、「外的妥当性が使えるもの」と「使えないもの」があります。「あちらで起きたことが、こちらでも起きる」のか、「そうとは限らない」のかを、区別できることがとても大事なのです。さて、第6波が「さっと」静まってみんなが楽になるか、それともなかなかピークアウトせずに中長期戦を強いられるかは、我々次第です。ウイルスの方は変えられませんから、ヒトの方が変わるしかないのです。まずは、3回目のブースター。接種できるチャンスがあれば、これを活用するのが最良の手です。一般に、感染力が強くなればなるほど、「普通の」感染対策の効果は目減りしていきます。そして、ワクチンの効果が相対的に強くなります。感染力の強い病原体ほど、ワクチンが効力を発揮するのです。前回も同じことを言いましたが、大事なことなので繰り返します。最良の策は、ワクチンです。重症者や死亡者は増えているあとは、結構、難しい。社会全体に抑制をかけるほど、オミクロンの病原性は高くない。しかし、だからといって、ぶらりノーガードでほったらかしにしていると、感染爆発が起きて重症者や死亡者は少しずつ増えていきます。数週遅れで。時間をずらして。今回の波でも「重症者全然出てないやん、死亡者全くいなかったやん」という主張をするインフルエンサーがいましたが、この話は何度繰り返せば……。厚生労働省のデータを見ても、重症者・死亡者は増えています。今後もしばらくは増え続けるでしょう。ただし、英国やフランスがそうだったように、絶対的な重症者数・死亡者数は、第3、4波のそれより小さくなる可能性が高いです。可能性が高いので、そのようなシナリオに流行を収める必要があります。強すぎず、弱すぎない、中くらいの感染対策です。新たな変異株のタイプは予想できずさて、予想できないことが一つあります。それは、新たな変異株の誕生です。いや、変異株が誕生すること「そのもの」は容易に予想できるのですが、これが「いつ」「どこで」誕生し、どのような変異株になるのか。これは全く予測できません。地震や津波の発生予測にちょっと似ているかもしれません。変異株が誕生するたびにウイルスは弱毒化するという、これまたインフルエンサーが言いそうな説がありますが、この話は根拠薄弱です。事実、ワイルドタイプから発生したアルファ株やその後出てきたデルタ株は、むしろ病原性が高まり、重症化しやすかった可能性があります(論文によってデータがいろいろなので決着がついていません)。ウイルスが弱毒化するというのは一つのシナリオに過ぎず、そうなるという保証はどこにもないのです。ここでも外的妥当性の適用可能性の検証は必要です。オミクロンでそうだったから、次もそうだとは言えないというわけで。いずれにしても、今回紹介した「外的妥当性」の概念は、めっちゃ重要です。このことだけ知っておけば、日々のニュースや、インフルエンサーの主張の見方が、少し変わると思いますよ。(岩田健太郎 感染症内科医)岩田健太郎(いわた・けんたろう)神戸大学教授1971年島根県生まれ。島根医科大学卒業。内科、感染症、漢方など国内外の専門医資格を持つ。ロンドン大学修士(感染症学)、博士(医学)。沖縄県立中部病院、ニューヨーク市セントルークス・ルーズベルト病院、同市ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院(千葉県)を経て、2008年から現職。下記の記事は日刊ゲンダイヘルスケアデジタル様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。3回目接種「あり」の症状が出る確率は「なし」より66%低くなる 米で論文が オミクロン株によるアメリカのコロナ感染はピークを越えましたが、先週の時点で1日の死者が2400人と、昨年のデルタ株の記録を更新。まだまだ予断は許しません。そんな中「ブースターショットがオミクロン株に効果あり」というアメリカ人の実感が数字で証明されました。 アメリカのコロナの99%はオミクロン株に置き換わり、ワクチンを打っていても感染するブレークスルー感染が当たり前になっていますが、CDC(米疾病対策センター)がその状況下で数百万人のデータを分析しました。それによるとブースターが入院を防ぐ確率は90%、それに比べ、ブースターなしで2回目から半年経っていた場合は57%。また、ブースターありだと医者にかからずにすむ確率は82%、なしだと38%。さらに10万人当たりの感染は、ブースターありだと149人、なしだと255人という結果でした。 さらにJAMA(米国医学会雑誌)に発表された別の論文では、ブースターショットを打っていた場合に症状が出る確率を1万3000人を対象に調査した結果、症状が出る確率はブースター「あり」は、「なし」に比べ66%低いことがわかりました。アメリカでは12歳以上ならブースターを打つことができますが、実際に打ったのはその5割にとどまっています。でもこの数字を見る限り多くの人は今回ブースターに救われたと言えそうです。一方で、2回のワクチンを完了していない人も人口の4割近くいて、それが死者や重症者の数につながっています。ただ、気になるのはニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された記事で、オミクロン株に対しては今のブースターショットの効力も半年後には落ちてくるとのことで、4回目の接種が現実味を帯びてきました。一方、モデルナとファイザーがオミクロンに特化したワクチンを開発中で、すでに臨床実験の段階と報告されています。またあらゆる変異種に効果がある万能ワクチンも開発されていますが、こちらはまだまだずっと先になりそう。いずれにせよ今後かなり長い間コロナとワクチンとの共生が続くのは間違いなさそうです。シェリー めぐみジャーナリスト、テレビ・ラジオディレクター横浜育ち。早稲田大学政経学部卒業後、1991年からニューヨーク在住。
2022.02.05
コメント(0)
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。「鉄」欠乏が引き起こす不調「食生活の乱れ」というと、朝食を抜くことや、インスタント食品に偏るなどのイメージを持つかもしれない。それももちろん問題だが、朝はトーストとコーヒー、昼はおにぎりとスープ、夜はパスタとワインといった、一見普通に見える食事でも危険だ。心の危機を招く原因に、心や体を健全に働かせる栄養素の不足がある。パンやパスタ、ごはんなどの糖質中心の食事になると、肉や魚の動物性タンパク質や、野菜などが不足しがちになり、そこに含まれる栄養素も摂取できなくなる。特に注目したいのは、鉄だ。鉄は赤身の肉や魚に豊富に含まれている。不安やうつをやわらげるセロトニンや、ときめきを感じさせるドーパミンなどの脳内の神経伝達物質は、作る過程で鉄が必須となっている。また、鉄が欠乏すると、全身の細胞のエネルギー産生工場であるミトコンドリアの機能も低下する。神経をはじめさまざまな細胞や臓器の機能低下につながるため、鉄欠乏の症状は多岐にわたる。イライラ、憂うつ、不安、疲れやすい、冷え、頭痛、髪が抜けやすい、アザができやすい、眠りが浅い、爪が平坦で割れやすいといった症状があらわれる。タンパク質やビタミンB群、亜鉛、マグネシウムなどの栄養素も心や体に重要な栄養素だが、過労や寝不足などのストレスがかかるとより多くの量が必要となる。また、ストレス状態が続くと、体内に慢性の炎症が起こりやすくなる。「炎症体質」になると鉄の吸収や利用が低下し、鉄欠乏の状態となる。甘くなくても糖質過多は炎症体質・ストレスの原因に糖質過多も体にとってはストレスで、炎症体質につながる。糖質過多に伴う腸内環境の悪化や脂肪肝、肥満、そしてタンパク質の糖化などが炎症の原因になるからだ。一見フツーに見える食事の多くは、実は、糖質過多。糖質とは、炭水化物から食物繊維をのぞいたものを言うが、白いごはんやパン、パスタには、甘くなくてもたくさん糖質が含まれている。ストレス状態になると、副腎(腎臓の上にある臓器)からストレスに対抗するためのホルモン「コルチゾール」が分泌される。この状態が長く続くと、副腎がオーバーワークとなって次第に疲弊し、コルチゾールが分泌されにくくなる。そして「朝起きるのがつらい、疲れやすい」などの症状が出て仕事のパフォーマンスが下がる。また、糖質過多により血糖が乱高下する生活を続けると、低血糖になるたびに、コルチゾールが分泌されるため、副腎が徐々に疲れてしまう。コルチゾールは、ストレスや炎症、低血糖を緩和してくれるとても大切なホルモン。ストレスに強くなる、また炎症体質になりにくくするには、副腎を弱らせないことが重要だ。具体的には、夜更かしをせずによく寝ること。そして、良質なタンパク質と脂質をしっかりとりながら、コーヒーなどのカフェインを控え、ビタミンCとビタミンB群、亜鉛、マグネシウムなどの栄養素を十分にとるのがいいだろう。特にビタミンB群とタンパク質、そして男性は亜鉛、女性は鉄をまず意識的にしっかりとると、疲労や憂うつ感が回復してくるケースが多い。まず食べてほしい食品は良質な肉。牛肉や豚肉などは、タンパク質、ビタミンB群、鉄、亜鉛などを豊富に含んだスーパー食品だ。また、抗炎症作用のあるEPAが豊富な青魚や、腸内環境を整える納豆などの発酵食品も意識的にとるとよい。糖質過多にならないよう、注意したいのは間食だ。手軽に食べられる食品のほとんどは糖質。間食には、ゆで卵やくるみ、アーモンド、小魚などがいい。ココナツバターを冷やして固めて食べるのもおすすめ。漢方薬でゆるやかに心の元気を回復させる栄養状態の改善とともに、漢方薬の使用も効果的だ。春は、東洋医学的には五臓でいう『肝』の季節とされる。肝を良くする=イライラ解消には、柴胡(さいこ)という生薬を含む漢方薬がおすすめだ。ストレスをうまく言葉にできず周囲に打ち解けないタイプには、抑肝散(よくかんさん)。加えて、胃腸が弱ければ抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)、緊張して手足が冷えるなら四逆散(しぎゃくさん)。おしゃべりが好きで周囲に打ち解けやすいタイプには、加味逍遙散(かみしょうようさん)。『マンガでわかる ココロの不調回復 食べてうつぬけ』(主婦の友社)。神経質で何でもないような細かいことに悩み、驚きやすく、ドキドキしやすいタイプには、柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)。柴胡剤は、脇腹からみぞおちあたりにかけての緊張や苦しい感じがみられる人に効果があり、これらの漢方は心の不調によく使われる漢方薬だというから、覚えておきたい。漢方にも、食事を改善することで体調を整える「食養生」という考え方がある。漢方的には春は「酸味」をつかうとよいだろう。酸味は肝の働きを助ける。また、酸味のある食品は、鉄の吸収を促進するので酢の物やレモンを使った食品などを積極的に食べるのがおすすめだ。新生活のスタートには、夢や期待があふれている。それをストレスでつぶしてしまわないためにも、「何を食べようか」という小さな選択の積み重ねが重要なのだ。いま手にとったその食品が、自分の新生活を支えてくれる味方なのか、あるいは敵なのか、ぜひとも考えて選びたいものだ。また、抗炎症作用のあるEPAが豊富な青魚や、腸内環境を整える納豆などの発酵食品も意識的にとるとよい。糖質過多にならないよう、注意したいのは間食だ。手軽に食べられる食品のほとんどは糖質。間食には、ゆで卵やくるみ、アーモンド、小魚などがいい。ココナツバターを冷やして固めて食べるのもおすすめ。漢方薬でゆるやかに心の元気を回復させる栄養状態の改善とともに、漢方薬の使用も効果的だ。春は、東洋医学的には五臓でいう『肝』の季節とされる。肝を良くする=イライラ解消には、柴胡(さいこ)という生薬を含む漢方薬がおすすめだ。ストレスをうまく言葉にできず周囲に打ち解けないタイプには、抑肝散(よくかんさん)。加えて、胃腸が弱ければ抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)、緊張して手足が冷えるなら四逆散(しぎゃくさん)。おしゃべりが好きで周囲に打ち解けやすいタイプには、加味逍遙散(かみしょうようさん)。『マンガでわかる ココロの不調回復 食べてうつぬけ』(主婦の友社)。神経質で何でもないような細かいことに悩み、驚きやすく、ドキドキしやすいタイプには、柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)。柴胡剤は、脇腹からみぞおちあたりにかけての緊張や苦しい感じがみられる人に効果があり、これらの漢方は心の不調によく使われる漢方薬だというから、覚えておきたい。漢方にも、食事を改善することで体調を整える「食養生」という考え方がある。漢方的には春は「酸味」をつかうとよいだろう。酸味は肝の働きを助ける。また、酸味のある食品は、鉄の吸収を促進するので酢の物やレモンを使った食品などを積極的に食べるのがおすすめだ。新生活のスタートには、夢や期待があふれている。それをストレスでつぶしてしまわないためにも、「何を食べようか」という小さな選択の積み重ねが重要なのだ。いま手にとったその食品が、自分の新生活を支えてくれる味方なのか、あるいは敵なのか、ぜひとも考えて選びたいものだ。
2022.02.05
コメント(0)
下記の記事は日経ビジネス様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。脳の仕組みは非常に複雑だが、実のところ、脳を変えるのはとても簡単だ。私は、治療を実行する前と後の患者の脳画像を何千枚も見てきた。そして、ライフスタイルを少し変えると、ほんの数カ月で目覚ましい変化が起きることを知り、驚き、感動した。2009年、私が主導して、アメリカンフットボールの選手の臨床研究を行った。アメフトは、選手同士が激しくぶつかり合うコンタクト・スポーツの典型で、頭部に強い衝撃を受ける。私たちは、ヘルメットの中で何が起きているかを理解するため、選手の脳画像を撮影し、分析した。前例のない大規模な研究だった。まず、選手たちに神経心理学的検査と神経認知学的検査を受けてもらい、続いて、脳の奥深くを観察し、どの分野がうまく機能し、どの部分があまり機能していないかを知るため、脳の画像を撮影した。アメフト選手を対象にした研究により、生活習慣を変えることで脳の機能が向上することがわかった(写真:JoeSAPhotos/Shutterstock.com)アメフト選手の衝撃的な脳画像選手や元選手たちの脳画像を見て、私たちは非常に驚いた。彼らの大半は、脳に必要な血液が行き渡っておらず、特に、記憶と基本的な認知機能を司(つかさど)る領域で血液が不足していたからだ。それでも私たちは落胆しなかった。彼らの認知機能は回復し、フィールドでも日常生活でも、再び脳がきびきびと働くようになると信じていたからだ。しかしそのためには、彼らは日々の生活習慣を変える必要があり、私たちは、彼らの信頼を得る必要があった。それから半年にわたって選手たちと話し合い、脳の機能を説明し、各自の認知機能データに基づいて生活習慣や食生活を見直すよう指導した。各選手に合わせた治療計画には、いつ、どのくらい眠り、何を食べ、どのサプリメントをとり、どれを避けるべきかといったことを盛り込んだ。半年後、選手たちの脳を再びスキャンし、最初のときと同じ検査をした。その結果は、最初の検査で見た脳画像よりさらに衝撃的だった。わずか180日で、脳内の血流が最も悪かった選手たちの脳機能が回復したのだ。脳の血流が改善し、不摂生や度重なる衝撃のせいでダメージを受けていた認知領域の機能が回復しているのがはっきりわかった。100キロ超の男たちから何度も体当たりされているプロのアメフト選手が脳を変えられるのなら、一般の人々はアメフト選手よりもっと楽に、脳を変えることができるだろう。脳細胞は何歳になっても生み出せる初めに少し悲しい真実をお知らせしよう。私たちは自然な老化現象として、毎日数千個のニューロンを失っている。過剰なストレス、環境や水や食べ物に含まれる重金属や薬剤といった有害物質のせいで、さらに多くのニューロンを失う場合もある。もちろん、薬物やアルコールの問題、中程度の脳損傷、脳卒中、パーキンソン病やアルツハイマーなどの認知機能障害も、ニューロンを失う原因になる。次に、少々良いニュースをお知らせしよう。脳には約1000億個のニューロンがあり、これらは体内で最も寿命の長い細胞の部類に入る。大半のニューロンは私たちとともに生まれ、ともに成長し、私たちが死ぬまで生き続ける。したがって、認知機能を長く維持するには、ニューロンの健康を維持することが大切だ。最後に、素晴らしいニュースをお知らせする。以前は、大人になると新たなニューロンは生まれないと考えられていたが、それが間違いだとわかった。60代でも、70代でも、80代でも、新しいニューロンを生み出すことができる。新しいニューロンを発生させるプロセスは「ニューロン新生」と呼ばれ、脳の海馬という部位で起きる。脳の奥深くにあるタツノオトシゴのような形をした海馬は、記憶と学習に大きな役割を果たしている。ニューロン新生は、脳の働きを良くしたいと願うアスリートや若い人たちだけが目指すべきものではない。最近の研究によって、70代、80代、そして90代の人でも、運動、食事、ストレス、睡眠、サプリメントの摂取など、生活習慣を少し変えることで、ニューロン新生を促せることがわかった。アルツハイマー症の患者を含む高齢者でも、若い人と同じくらい新たなニューロンを増やすことができるという研究結果もある。健康なニューロンが増えれば増えるほど賢明な判断をより早く下せるようになり、集中力と記憶力が向上し、「実行機能」と呼ばれる、行動を制御する高次の認知スキルを維持しやすくなる。脳の老化とはニューロンが死ぬことなので、新たなニューロンを生み出してその欠落を補えば、脳を若返らせることができるはずだ。脳の性能を上げるには血のめぐりが肝心認知機能をベストの状態に保つには、脳への「血のめぐりが肝心」であることを、研究が示している。とても単純な話のように思えるが、実行できている人は少ない。実のところ、ほとんどの人は、脳内の血のめぐりがベストの状態ではない。したがってあなたは、脳の健康に関して二つのことを理解する必要がある。一つは、脳が適切に機能するには、豊かで安定した血流が欠かせないこと。もう一つは、現代の生活習慣の多くが脳内の血流に悪影響を与え、諸々の症状や問題に気づいた頃には手遅れになっていることだ。人間の脳は、重さは体重の2%しかないが、体内の血液の15~20%を必要とする。酸素と栄養を含む血液を脳の司令塔に送り続けるために、他の臓器への血流がストップすることさえある。また、脳は筋肉の3倍、酸素を使う。血液は、その酸素をニューロンに送り届けて、ニューロンが効率よく働き、発火し、信号を送れるようにしている。血流が十分でないと、ニューロンは死に始める。血流は、脳にグルコース(ブドウ糖)も運んでいる。グルコースはニューロンのエネルギー源だ。脳は筋肉と違って、グルコースを蓄えることができないので、血流が十分でないと、脳の組織はエネルギー不足に陥る。しかも、脳は大食いで、体内のグルコースの40~60%を消費する。また、血流はグルコースのほかに、ビタミン、ミネラル、脂肪、アミノ酸、電解質など、脳にとって欠かせない栄養素も運んでいる。脳への栄養と酸素の供給が少しでも減ると、集中力、記憶力、創造力、判断力、マルチタスク能力などの認知機能と気分を司る脳領域がうまく働かなくなる。脳内の血流には、もう一つ重要な役割がある。それは、脳内に蓄積する老廃物を洗い流すことだ。蓄積すると脳を破壊し、アルツハイマー病の発症に深く関係していると言われているアミロイドベータと呼ばれるタンパク質もその一つだ。あなたは、頭がぼんやりしたり、集中力や記憶力の衰えを感じたりしても、たいていは、睡眠不足やストレス、食生活の乱れ、甲状腺の機能低下のせいにして、脳内の血流が悪いせいだとは考えないだろう。しかし、なぜ、脳内の血のめぐりが悪い人が多いのだろうか。その原因は、食事、飲酒、睡眠、運動、ストレスへの対処など、現代の生活習慣にあると考えられる。悪い生活習慣はたくさんあるが、そのうちの二つか三つを改めるだけで、脳の健康状態は改善する。慢性的ストレスは脳の大敵メイヨー・クリニックによると、ストレスは「生きていく上での様々な要求に対する正常な心理的・身体的反応」である。言い換えれば、ストレスは自然な反応であり、悪影響だけでなく健康上の利点もあるということだ。体の闘争・逃走反応(ストレスに満ちた状況や、生命を脅かすような状況に不意に陥ったときに起きる一連の反応)は、例えば、捕食動物に追いかけられたときに素早く逃げるためや、暴漢に追いつめられたときに戦うため、大切な人を下敷きにした2トンの車を持ち上げるためなどに、必要なホルモンと化学物質の産生を促し、脳を活性化する。ストレスは、生きるか死ぬかといった状況で役立つだけでなく、健康にとって有益な働きもする。適度なストレスは、行動を起こすモチベーションになり、仕事を達成するために必要な集中力を高める。また、ストレスの多い状況が終わると、私たちは満足感や達成感を覚える。だがこの最後の文章で重要なのは、「ストレスの多い状況が終わる」という一節だ。ストレスの多い状況が終わらず延々と続くと、脳に悪影響が及ぶ。動脈の内壁にプラークが蓄積して動脈が狭まり長期的なダメージをもたらす上、ストレスのせいで首の筋肉が緊張するため、脳への血流がさらに減る。慢性的なストレスがニューロンに恐ろしい影響を及ぼすこともある。強いストレスが長期間続くと、新たなニューロンが生まれなくなり、それどころか、既存のニューロンが死に始めてしまう。慢性的なストレスは、脳組織の老化ももたらし、脳震とうや神経変性疾患に似た形で、ニューロンの寿命を縮める。ストレスの強い時期を生き延びたニューロンも、健康というわけではない。ストレスはニューロンを過剰に活性化する。この状態が続くと、新たなニューロンの経路が形成されて脳の働きが変わることもある。環境ストレスにも注意が必要ストレスについて語るのであれば、その影響に大きく関わるホルモンのコルチゾールに触れないわけにはいかない。私たちがストレスを受けると、コルチゾールが生成される。少量のコルチゾールは必ずしも有害ではなく、むしろいくらかメリットがある。しかし、多すぎるコルチゾールは、体重増加から睡眠障害、海馬の萎縮、集中力や記憶力の低下まで、様々な害を及ぼす。また、コルチゾールは、扁桃体を太らせ、その働きを強化する。扁桃体は脳の深部にあるアーモンド形の器官で、記憶に情動的な意味づけをする。扁桃体が大きくなり活発に働くようになると、人は恐怖と不安に対して敏感になる。慢性的なストレスは、もう一つの悪影響を脳にもたらす。それは白質が増えることだ。白質は、脳の組織の半分を占める脂質の多い組織で、ニューロンの軸索(神経線維)が走行している。白質が増えると、灰白質のスペースが狭くなる。灰白質は、ニューロンの細胞体が集まっている領域で、体、情動、行動、感覚の情報はすべてそこで処理されている。白質と灰白質のバランスが崩れると、情動と認知の問題が生じることがあり、それらはストレスが消えた後も続く可能性がある。多くの人はストレスの原因を、精神的に苦しい出来事や仕事上のプレッシャー、お金のやり繰り、子どもや家族の世話といった日常の問題と結びつける。だが、ストレスは別の形でも生じる。身体的なストレスは、関節炎、糖尿病、認知症などの病気がきっかけで生じることがあり、高血圧、食生活の乱れ、睡眠不足、慢性的な脱水によっても生じる。働きすぎや、逆に体を動かさないことも、慢性ストレスの原因になる。さらに私たちは、精神的、情動的、身体的なストレスに加え、環境ストレスにもさらされている。環境ストレスの問題は、現代社会でますます大きくなっている。食べる物、飲む物、着る物、肌につける物、家庭やオフィスで使う物など、あらゆる物に化学物質が使われているからだ。呼吸する大気に含まれる汚染物質もストレスを増大させ、脳に害を及ぼし、認知機能の低下や認知障害のリスクを高めている。クリステン・ウィルミア脳神経科学者(Ph.D.)神経内分泌学、神経生理学、神経遺伝学の研究に取り組む。ボストンカレッジで心理学の学位を、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で生理学の修士号を、UCLAデビッド・ゲフィン医科大学院で神経生物学の修士号と博士号を取得。また、ロサンゼルスのシダーズ・サイナイ・メディカル・センターで神経学の博士課程を修了。脳機能の研究や治療で全米に広く知られるエイメン・クリニックで脳機能イメージングの研究部長を務め、NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)選手の脳損傷の解明と治療に関する画期的な研究を行った。
2022.02.04
コメント(0)
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。自分にとって怒りとは、悲しみとは何か――。感情の1つひとつを認知し、解像度をどれだけ高められるかによって、あらゆるインプットやアウトプットが変わってくる。佐渡島庸平氏、石川善樹氏の共著『感情は、すぐに脳をジャックする』から一部抜粋して紹介する。「ひとつの感情に長くとらわれない」僕にとって感情への理解を深めることはライフワークでもあり、その根底には「観察力を磨き、インプットの質を高め、さらに質の高いアウトプットへとつなげる」という意識が働いています。とはいえ誇れるほどの域に達しているとはとても言えず、探究と考察を続けているわけですが、そんな中でも特に意識しているのが、「ひとつの感情に長くとらわれない」という点です。これはネガティブ感情にかぎらず、ポジティブ感情においても同様に考えています。僕たちは日々、感情というフィルターをとおして世界とつながっていて、まったく同じ事象でもフィルターとなる感情の種類が異なるだけで見え方が変わってきます。「悲しみ」に長くとらわれていると思考そのものが悲観的になるように、特定の感情に固執するということは、世界の見え方や情報の受け止め方といったインプットに偏りが起こる可能性があるということ。結果としてアウトプットにもゆがみが生じます。ではどうすれば、僕たちはひとつの感情にとらわれずに生きていけるのでしょうか。僕が実践しているのは、3つの思考ステップを踏みながら回していく、感情の理解を深めるサイクルです。ステップ1【認知】……自分がどのような感情を抱いているのかを、分解・認識するステップ2【受容】……認知の過程で見えてきた感情を受け入れるステップ3【選択】……そのうえで、どのような選択肢があるかを考え、採用する中でも僕は【認知】がとても重要だと感じていて、感情を理解するには「認知」がすべてと言っても過言ではありません。本書でこれまで述べてきたことは、ほとんどがこの部分に該当します。日常の中で見過ごしがちな無自覚の感情やバイアス、クセを理解し、いかにして自分をメタ認知できるかに尽きると思います。「自分は今、何を感じているのか? それはどんな感情か?」すべてはこの問いからはじまりますが、認知とは表層的感情の自覚はもちろん、それを掘り下げて分解していくことで、奥に隠れている別の感情や自分の価値観を認知するという意味も含まれています。「感情の解像度を上げる」作業なので、簡単なようで実はかなり難しく、僕もいまだ試行錯誤しながら糸口を探っています。自覚している感情以外にも注目するまず僕がプルチックの「感情の輪」を利用して認知を行うときは、自覚している感情だけでなく、その両側と対極にある感情にも注目します。基本感情の組み合わせから生まれる混合感情との関係性からもわかるように、ひとつの感情がそれだけでシンプルに成り立っているはずはない、と考えているからです。たとえば職場の上司から「そんなやり方をしていると成功しないよ」と指摘されたことに「怒り」を感じたのであれば、「怒り」と両隣にある「期待」や「嫌悪」、対極の「恐れ」までも視野に入れて、次のような問いを立ててみます。・自分は相手に何を「期待」していたのか・自分は何に対して「嫌悪」しているのか・自分は何を「恐れて」いるのかこうした1つひとつの問いに思考を巡らせて仮説を立てていきます。その結果、自分の中に「成功できない人」と評価されることへの「不安」や「恐れ」があり、それが「怒り」へとつながっていたことに気づくかもしれません。僕の場合、多くは「期待」の影響を受けていて、それが他者の行動によって「怒り」に変わっただけなのだという認識を持つようになりました。これにより、「相手が悪い」や「相手が変わらないと問題は解決しない」という思考停止の状態から、自分自身の問題として考え直せるようになり、思考がほぐれていったのです。具体的なシーンに置き換えると、イベントの準備をしていて、事前に頼んでおいたものが、当日用意されていなかったとします。そのことを担当者に指摘したものの対応してもらえず、怒りを感じながらも諦めることに……。ここで「担当者の能力に問題がある/相手のミスだ」で終わらせるのは簡単ですが、見方を変えれば、「勝手に期待をしておいて、それに応えてもらえなかったから怒っている」とも言えるでしょう。僕は、期待とはある意味で「他者を都合よく動かそうとする、自分への甘え」だと思っています。自分に対する甘えを排除していくと、自分がやるべきこと・できることも明確になってきます。「相手に期待しない」と言うとまるで人を信じていないように聞こえますが、「信頼」と「期待」は別の感情です。このようなシチュエーションに遭遇した場合、かつての僕は相手を責めるのではなく、どんな点に期待していたのかを伝えるようにしていました。今ではさらに認知そのものが変わり、「相手がちゃんと用意してくれるように、うまく頼める自分」に対して期待をしています。もしもそれができなかった場合でも、期待に応えられなかったのは相手ではなく僕自身なので、自分事として解決方法を模索することが自然とできるようになりました。さらに別の視点から考えるならば、そもそも感じていたのは「怒り」ではなく、用意されていないことへの「驚き」と、要望を汲んでもらえない「悲しみ」から生まれた混合感情の「拒絶(失望)」である可能性も出てきます。「期待」と「怒り」が結びつくと「攻撃」になるちなみに「怒り」と「期待」の関係性は、恋愛でもトラブルのきっかけになりがちですね。自分が望んでいる行動を相手がしてくれるはず、察してくれるはずと期待しつつ、それが叶わなかったときに不機嫌になり、相手を責めてしまう……。「期待」と「怒り」が結びつくと「攻撃」になるので、相手に感情をぶつけやすい心理になっているとも言えそうです。もしあなたがパートナーから責められたのなら「自分に何を期待していたのだろう」と観察してみると、解決の糸口が見えるかもしれません。『感情は、すぐに脳をジャックする』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)このように【認知】は、さまざまな視点からアプローチを試みることが大切です。入口は「怒り」でも、その背景にある「期待」の存在に気づき、さらに解像度を上げていくことで「期待とは、自分に対する甘えではないか?」「他者ではなく自分に期待すると何ができるか?」という新たな問いや視点が生まれます。ただこれはあくまで暫定解であり、問いに向き合うことでまた別の気づきがあるかもしれません。まずは自覚しやすい基本感情を足掛かりにして、そこに紐づいている別の感情を丁寧に探っていくうちに、これまで表層化することのなかった感情や価値観を認知できるようになると思います。POINT認知とは、表層的な感情だけでなくそこに紐づく別の感情や価値観を理解すること佐渡島 庸平 : 株式会社コルク代表取締役社長 編集者
2022.02.04
コメント(0)
下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。現在、天皇陛下の次の世代で、皇位継承権を持っているのは、秋篠宮家の長男、悠仁さまだけだ。神道学者で皇室研究者の高森明勅さんは「現在の皇位継承にかかわる制度は、“構造的”な欠陥を抱えている。それをそのまま放置すれば、やがて皇位継承者が不在になるのは避けられない」と説く――。※本稿は、高森明勅『「女性天皇」の成立』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。写真=時事通信フォト「立皇嗣宣明の儀」でお言葉を述べられる天皇陛下=2020年11月8日、皇居・宮殿「松の間」全ての画像を見る(3枚)「女性・女系天皇、議論せず」令和2年(2020年)2月16日付「読売新聞」の1面トップに「女性・女系天皇 議論せず/政府方針 皇位継承順位 維持/立皇嗣りつこうしの礼後に確認」というスクープ記事が載って、皇位継承の行方に不安を抱く人たちを驚かせた。この記事の一部を紹介すると、次の通り。「政府は、皇位継承のあり方をめぐる議論で女性・女系天皇を対象としない方針を固めた。男系男子が皇位を継ぐ皇室制度を維持する。秋篠宮さまが継承順位一位の皇嗣となられたことを広く示す『立皇嗣の礼』が行われる4月下旬以降、こうした考えを確認する見通しだ」「政府はこれまで、非公式に学識経験者らに接触し、それぞれの意見を聞き取ってきた。これを踏まえ、女性・女系天皇を実現するための法整備は見送ることにした。公の場で議論を行うための有識者懇談会も設けない方向だ」「性別にかかわらず天皇の直系子孫の長子(第一子)を優先した場合……秋篠宮さまの皇嗣(皇位継承順位が第1位)としての地位見直しにつながるだけでなく、悠仁ひさひとさまが天皇につけない可能性も出てくる。そうなれば、『皇室の安定性を損ないかねない』(政府関係者)と判断した」なぜこのタイミングで新聞に出たのかこの記事のポイントは3点。その1は、政府の方針として、皇位継承をめぐる制度改正を検討する際に、“女性天皇・女系天皇”の可能性はあらかじめ排除するということ。その2は、この問題をオープンに討議する諮問機関(有識者懇談会?)を設けないということ。その3は、今の制度のもとでの皇位継承の順位(第1位=秋篠宮殿下、第2位=悠仁親王殿下、第3位=常陸宮ひたちのみや殿下)は変更しないということ。こうした方針を「立皇嗣の礼」挙行後に「確認する見通し」なのに、何故このタイミングで(いわば未確認のはずの)情報が早々と新聞に流れたのか。おそらく、政界や世論の反応を探ろうとする政府サイドの意図的なリークと考えるのが、自然だろう。政府が「非公式に学識経験者らに接触し」ていた事実は、この報道が出る前から私はつかんでいた。と言うのは、“接触”を受けた「学識経験者」の当事者(複数)から、婉曲にその事実を伝えられていたからだ。ちなみに私自身への接触はなかったが。明治の皇室典範にあって今の皇室典範にないものこの記事が、皇位継承のあり方に関心をもつ人々を驚かせたのは何故か。政府は、上皇陛下のご譲位を可能にした皇室典範特例法の附帯決議によって、「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」について検討することを“約束”させられていた。にもかかわらず、そのためには決して避けて通ることができないはずの「女性・女系天皇」という“課題”を、議論の対象から外してしまった。これはすなわち、附帯決議への“ゼロ回答”以外の何ものでもないからだ。皇位継承の行方を不安定なものにしてしまっている原因とは何か。現在の皇室典範がかかえる「構造的」な欠陥が原因だ。では、その構造的欠陥とは何か。それは、明治の皇室典範では“セット”で制度化されていた、①正妻以外の女性(側室)のお子様(非嫡出子)やその子孫(非嫡系)であっても、皇位継承資格を認めることと、②皇位継承資格を「男系の男子」というかつて例を見ない極めて“窮屈”な条件に縛ること、という2つのルールのうち、①を除外しながら、②“だけ”を採用していることだ。「男系の男子」をどう確保するのかたったお一方だけの天皇の正妻(皇后)から代々、必ずお一方以上の男子がお生まれになることを期待するのは、無理だ。そこで以前、「男尊女卑」(男性を尊重し、女性は男性に従うものとして見下すこと)の考え方が社会に広く行き渡っていた時代には、「男系の男子」を確保するために側室の存在が公然と認められ、制度化さえされていた。側室のお子様も、継承順位の点で嫡出子の後ろに回されていたものの、継承資格が与えられていた事実がある。これは当時の価値観に照らして、特に非難されるべきことではなかった。しかし、現代においてそのようなルールが許されるはずはない。現に、昭和22年(1947年)に制定された今の皇室典範では、非嫡出子(および非嫡系)には継承資格を認めていない(第6条)。ならば、側室の存在と非嫡出子の継承可能性を前提としてこそ可能だった、「男系の男子」という継承資格の“縛り”も一緒に解除するのが当然だった。しかし、それは見送られていた。これこそが今の典範の「構造的」欠陥だ。従って、附帯決議で約束した通り皇位の安定継承を本気で目指すのであれば、「男系の男子」という縛りの見直し、つまり「女性・女系天皇」の可能性を視野に入れた議論が欠かせないはずだ。しかし、それを「対象としない方針」であれば、まさにゼロ回答と言わざるをえない。国民の代表機関である国会との約束であり、しかも極めて重要な皇位継承にかかわる課題に対し、あまりにも不誠実な政府の対応ぶりだった。「立皇嗣の礼」の2つの不審点先の記事に「『立皇嗣の礼』が行われる4月下旬以降、こうした考えを確認する見通し」とあった。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により儀式の挙行が延期され、実際に行われたのは同年11月8日だったことは周知の通り。改めて振り返ると、この「立皇嗣の礼」については2つの不審点が残っている。1つは、そもそもこのような前代未聞の儀式を行うべき必然性があったのか、ということ。もう1つは、この儀式が天皇陛下のご即位に伴う“一連の儀式”と位置づけられたことだ。これらについては、一般にその奇妙さがほとんど気づかれていないと思うので、少し触れてみたい。まず「立皇嗣の礼」それ自体の不可解さについて。これについて考える場合、「皇嗣」と「皇太子」の違いをきちんと整理しておく必要がある。「皇嗣」と「皇太子」の決定的な違い「皇嗣」は“(その時点で)皇位継承順位が第一位の皇族”を一般的に意味する。これに対して、その皇嗣が“天皇のお子様(皇子)”である場合、特に「皇太子」という称号をもたれることになる(皇室典範第8条。お孫様なら「皇太孫こうたいそん」)。具体例をあげて説明しよう。今の天皇陛下の場合、平成時代は「皇太子」でいらっしゃった。上皇陛下(当時は天皇)のお子様で、もちろん皇位継承順位は第1位。だから「皇太子」。皇太子は“次の天皇になられることが確定したお立場”だ。その事実を内外に広く宣明するために行われるのが、近代以降の「立太子りつたいしの礼」である(前近代の場合は、この儀式によって皇太子のお立場が固まった)。ちなみに、天皇陛下の立太子の礼は平成3年(1992年)2月23日、満31歳のお誕生日当日に行われている。上皇陛下の時は昭和27年(1952年)11月10日、「成年式」(加冠かかんの儀ぎ)に引き続いて挙行された。誤解してはならないのは、皇太子の場合、お生まれになった瞬間、又は父宮が即位された瞬間に、次の天皇になられることが「確定」する。儀式はただ、その既定の事実を“宣明”するまでのこと。前近代とは儀式の意味合いが異なっている。ところが、皇太子・皇太孫つまり「直系の皇嗣」ではない、「傍系の皇嗣」の場合はどうか。儀式の“前”に、すでに皇嗣のお立場になっておられる点では、皇太子と事情は変わらない。しかし、次の天皇になられることが必ずしも“確定していない”という点で、大きく異なっている。これはどういうことか。「立皇嗣の礼」がなかった秩父宮これも実例で説明しよう。昭和天皇の弟宮だった秩父ちちぶの宮みやの例を取り上げる。高森明勅『「女性天皇」の成立』(幻冬舎新書)秩父宮は大正天皇の第2皇子として明治35年(1902年)6月25日にお生まれになった。お名前は雍仁やすひと親王。「大正」から「昭和」への改元当時、昭和天皇には皇位継承資格をもたない女子(照宮てるのみや成子しげこ内親王)しかおられなかった。そこで、昭和天皇のご即位に伴い「皇嗣」になられた。現在の秋篠宮殿下とちょうど同じパターンだ。その後も、昭和天皇のお子様は女子が続いた(第2皇女・久宮ひさのみや祐子さちこ内親王、第3皇女・孝宮たかのみや和子かずこ内親王、第4皇女・順宮よりのみや厚子あつこ内親王)。この間、ほぼ8年間、秩父宮は皇嗣であり続けておられた。しかし、「立皇嗣の礼」などは行っておられない。それは何故か。傍系の皇嗣の場合、皇太子(皇太孫)と違って、次の天皇であることが“確定”したお立場ではないからだ。実際、昭和8年(1933年)12月23日に昭和天皇の第1皇子(つまり「皇太子」)として上皇陛下がお生まれになった瞬間に、その時まで皇嗣であられた秩父宮の皇位継承順位は、皇太子の次の“第2位”に変更された。そのため、もはや「皇嗣」ではなくなられたのであった。非礼で不敬な儀式だったこのように、傍系の皇嗣は継承順位の変動がありうるお立場だ。その点で皇太子とはまるで違う。ならば、「立太子の礼」を挙行する理由はあっても、「立皇嗣の礼」を行わなければならない必然性はないだろう。従来、このような儀式が行われなかったのは、その意味ではごく当たり前のことだった。むしろ、令和の時代に前代未聞の立皇嗣の礼が行われたことの方が不可解なのである。なお、映像をご覧になった人であればすぐ理解できるように、この儀式の主役はもちろん天皇陛下ご自身だ。陛下が、秋篠宮殿下が皇嗣であられる事実を内外に宣明されることが、この儀式の主眼だ。秋篠宮殿下が主役の行事と勘違いしている人もいたようなので、念のために付言しておく。ただし、これは憲法上の“国事行為”。なので、「内閣の助言と承認」によって行われ、「内閣が、その責任を負ふ」(第3条)べきものだ。内閣の意思によって行われ、天皇陛下や秋篠宮殿下ご自身のお考えとは直接、関係がない。そこで少し立ち止まって考えてみると、立皇嗣の礼というのは、単に前代未聞というだけでなく、客観的には天皇・皇后両陛下が今後、決して「直系の皇嗣」には恵まれられない、という見立てを前提にしなければ行えないはずの行事であることに思い至る。実はかなり非礼で不敬な儀式だったことになろう。高森 明勅(たかもり・あきのり)神道学者、皇室研究者1957年、岡山県生まれ。国学院大学文学部卒、同大学院博士課程単位取得。皇位継承儀礼の研究から出発し、日本史全体に関心を持ち現代の問題にも発言。『皇室典範に関する有識者会議』のヒアリングに応じる。拓殖大学客員教授などを
2022.02.04
コメント(0)
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。オミクロン株での感染者が急増しています。誰がいつ感染してもおかしくない状況です。もし一人暮らしで感染したらどうしたらいいのでしょうか。症状が出て自宅療養となった場合、一人で対処しなくてはなりません。感染症専門家の岡田晴恵氏が上梓した『新型コロナ自宅療養完全マニュアル』(実業之日本社)の一部を抜粋・編集し、オミクロン株の状況に合わせて内容を更新して、今備えるべき知識を伝えます。(白鴎大学教育学部教授 岡田晴恵)感染拡大で自宅療養者が激増中!今後、2月にかけて感染者数が増多し、その多くの方が自宅で療養するということになると考えられます。 オミクロン株は主に鼻や喉、気管支などで増えやすく、軽症化の傾向がみられ、肺炎などの重症化率は下がっているとされています。一方、上気道で増えやすいため、ウイルスを外に出しやすく、ウイルス増殖が速いため感染力は強くなっています。潜伏期間も約3日と短くなっています。感染者が増加してくると、すべての感染者を入院させることはできません。重症で入院による治療が必要な人、または重症化するリスクの高い人のための病床確保が必要になります。家族や同居する人がいれば、何かと心強い面もありますが、ひとり暮らしの人が、自宅療養になった場合、どう対処すればいいのでしょうか?今回は、2020年に発行した拙著『新型コロナ自宅療養完全マニュアル』(実業之日本社)の一部を抜粋し、対処の一例を紹介します。ひとり暮らしの人が自宅療養をする場合ひとり暮らしのサラリーマンが自宅療養をする場合について考えてみます。恐らく高熱や強い倦怠感のせいで、あまり動けなくなります。飲料水やゼリー状の栄養補助食品のようなものをできる限り枕もとに置いて、自分で取れるようにしましょう。寝室の窓は少し開けておき、換気します。そして、もしあれば加湿器で湿度調整しましょう。
2022.02.04
コメント(0)
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。1月19日、東京都および13県に対し「まん延防止等重点措置」が適用された。すでに適用されていた3県と、1月25日に新たに追加の18道府県を合わせると、対象は全国で計34都道府県に上る。昨秋からだいぶ大人しくしていた新型コロナだが、オミクロン株の出現であっという間に勢いを盛り返した。1日あたり新規感染数は全国で6万人超(1月25日)、東京では1万人超(同22日)となり、それぞれ過去最多を更新し続けている。五度目の「緊急事態宣言」が頭をよぎる。だが、私はこれ以上の行動制限には、非常に懐疑的だ。感染拡大を抑え込むことができたとしても、医師として警鐘を鳴らすべき健康上の懸念が3つある。①運動不足からくる「体力低下」と「生活習慣病」の増加②「健診・受診控え」による病気の発見や治療の遅れ③「こころ」の健康問題と自殺者数の増加 以下、詳しく見ていきたい。「体力低下」と「生活習慣病」行動制限がもたらす最初の懸念は、①運動不足からくる「体力低下」と「生活習慣病」だ。さまざまな社会活動を自粛すれば、感染リスクは下がるかもしれない。だが、コロナ禍において私たちの体力は確実に低下してきた。2020年のスポーツ庁「体力・運動能力調査」では、新型コロナ発生前の2019年に比べておおむね全世代(中学生~79歳)で体力低下が見られた。自宅やその周辺で、一人でできる運動もあるが、習慣やきっかけがなければ誰もが自発的に取り組めるわけではない。運動不足は、生活習慣病を招く。例えば肥満と糖尿病だ。どちらも動脈硬化を助長して心血管疾患を招くうえに、新型コロナ重症化のリスク要因でもある。日本生活習慣病予防協会が2021年3月、一般生活者3000人と医師100人を対象に実態調査を行った。その結果、一般生活者の4人に1人が「コロナ太り」と回答し、男女とも30代で多い傾向が見られた。糖尿病に関しては、半数以上の医師が「コロナ禍で患者のHbA1c値(過去1~2カ月間の平均的な血糖レベルを示す血液検査値)が悪化している」とした。8割の医師が「コロナ禍で糖尿病のリスクが高まった」と実感している。生活習慣病の状況をさらに深刻にしているのが、②「健診・受診控え」だ。病気の発見が遅れたり、通院を中断したりして、適切なタイミングでの治療の機会を逃してしまう。先の日本生活習慣病予防協会の調査でも、一般生活者の約半数が「コロナ禍に健康診断・人間ドックを受診していない」と回答した。これは、約4割の医師が「コロナ禍で健康診断・人間ドックの受診が減っている」と回答したことともおおむね一致する。緊急事態宣言下でも、受診や健診は制限されたわけではない。だが、院内・市中感染を恐れたり、自粛ムードを肌で感じ、感覚的に「不要不急」と判断して先延ばしにした人が多いようだ。「受診・健診控え」で起きていること健康保険組合連合会のアンケート調査では、2020年4~5月の緊急事態宣言中、持病がありながら通院を控えた人の7割が「体調が悪くなったとは感じない」と考えていた。だが、これはあくまで1カ月という短期間の調査結果だ。⽇本医師会総合政策研究機構による糖尿病患者の調査(「日医総研リサーチエッセイ No.96」)では、2020 年4~9月の半年間にコロナ禍で受診回数が「大きく減少した」患者は、受診頻度が「変わらない」「少し減少した」患者に比べて血糖コントロールが悪化していた。血糖値の悪化は、即座に自覚症状となって表れるわけではない。知らないうちに、少しずつ健康が損なわれていくのだ。「がん」診療への影響も明らかになってきた。がんの多くは初期には自覚症状が出にくいため、健診控えが起きやすいのだろう。日本対がん協会によれば、2020年は主要な5種類のがん(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん)の検査件数が合計で前年比3割減、診断件数も1割減となった。早期発見が減少し、約2100のがんが未発見となった可能性も指摘されている。これは日本に限った現象ではない。例えばアメリカの調査でも、2020年は前年と比べてがんの検査、受診、治療、手術の件数が大幅に減少した。4月のパンデミックのピーク時には、乳がん、結腸がん、前立腺がん、肺がんの検査が、それぞれ85%、75%、74%、56%も減少したという。そのほか、脳卒中や心筋梗塞などは、今もし発症して救急搬送となっても、オミクロン株対応で一般病床は減少している。健診等によって自分の血液検査値を定期的に把握し、適切な指導の下で服薬や食事改善等に取り組んで、予防に努めることが重要だ。生活習慣病関連の健診・治療をおろそかにした影響は、じわじわ表れてくる。今後も数年間、さまざまな生活習慣病の罹患率と死亡率が増加する可能性がある。「コロナうつ」の裏にある経済不安と孤独身体的な健康問題に加え、私が危機感を持っているのは③「こころ」の健康問題だ。「コロナうつ」などとも呼ばれ、世界的に問題になっている。OECDの報告によれば、2020年の不安神経症およびうつ病の有病率は、各国で新型コロナ流行前の2~3倍もしくはそれ以上となっている。若者、一人暮らしの人、社会・経済的地位の低い人、失業中の人は、メンタルへの打撃が高かった。例えばアメリカでは、2万人を対象にした調査研究の結果、メンタルの不調は20歳前後の若者で最も深刻だった。2021年5月の時点で、18~24歳の42%に中等症以上のうつ症状が認められた。以下、25~44歳では32%、45~64歳は20%と続き、65歳以上は10%にとどまった。この順位は2020年6月からの全調査期間で入れ替わっていない。同じ研究チームは2020年に、18~24歳の若者のべ約9000人を対象に、メンタルヘルスについて調査を行っている。そこでは、新型コロナによって経済的なダメージに直面した若者が特にハイリスクなことが、強く示唆された。経済ダメージのうち最もメンタルに悪影響だったのが、住居からの立ち退きや家賃の不払いなど「住まいの不安定性」で、中等症のうつ病が6割に上った。次いで悪影響だったのが、解雇や賃金カットなど「収入の不安定」で、同じく中等症のうつ病は5割に達した。「在宅勤務」や「学校閉鎖」は、新型コロナが若者の生活にもたらした最大の変化だったが、メンタルへの影響はいずれも顕著ではなかった。また、『Nature』に発表されたカナダの調査では、「孤独感」の関与が注目された。中高年3万7000人において、新型コロナ流行の前後でうつ症状が全体として2倍になった。とりわけコロナ禍以前から「孤独」を感じていた人は、そうでない人に比べ、うつ症状が6.75倍見られた。さらに、約2万人の分析結果からは、「孤独」を感じている人はコロナ禍においてうつ症状が深刻化しやすい傾向も示唆された。さて、このコロナ禍で、日本人の「こころ」にも異変が起きている。引き続き「コロナうつ」について、自殺者数の気がかりな動向と併せて検証し、ポスト・コロナの医療を考えたい。
2022.02.04
コメント(1)
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。糖尿病は、厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査」によれば、疾患が疑われる人を含めると、日本人の5~6人に1人が罹患(りかん)している、いわゆる国民病です。さらにこの調査では、「食事習慣に関心はあるが改善するつもりがない」人は全体の25%、「関心もなく改善もしない」人は13%にのぼりました。この原因としては、仕事や家事が忙しく時間が取れない、そもそも生活習慣を変えることが面倒などが主にあげられます。確かに、糖尿病は少しずつ進行するため、テレビなどで「糖尿病は心筋梗塞を起こすので危険です!」などと言われても、いまいち危険性に対する実感がわかないかもしれません。しかし、糖尿病は直接命に関わる病気になるような段階の前から、生活の質(QOL)が下がる症状が出ることを知っておく必要があります。血液中に大量の糖が含まれている状態が「糖尿病」まず、糖尿病とはどのような病気なのでしょうか? 「糖尿病」という名前から、尿の中に糖が出てくるもの、と思われがちですが、正確にはそれだけではありません。この連載の一覧はこちら本来、食べ物を消化したり、体内で産生したりすることで作られた糖(グルコース)は細胞のエネルギー源として、血液に乗って全身に行きわたりますが、糖が多すぎると細胞に取り込みきれず、血液中に糖があふれている状態となります。この血液が腎臓でろ過され、尿糖として身体の外に排泄されているのです。すなわち、尿だけでなく血液中に大量の糖が含まれている状態を「糖尿病」と呼びます。このように、血管内に糖が多く含まれている(=高血糖)と、血管の壁が傷つきやすくなり、さらに脂質が血管内にたまりやすい状態にもなります。その結果、血液が通る道が狭くなり、かつボロボロになっていきます。これが進行すると動脈硬化となり、心筋梗塞や脳梗塞といった致命的な疾患につながります。高血糖による血管の障害はジワジワと進行するため、心臓や脳の太い血管では症状が出るまでに時間がかかりますが、手足の先や眼、そして腎臓にあるような細い血管にはすぐに影響が出てきます。まず手足の先ですが、手足の指の感覚が鈍くなる、足の裏にジンジンしたしびれが起こることが特徴です。さらに、足の指先の血管が障害されることで血流が行かず、しかも感覚が鈍くなっているため症状の進行に気づかず、気づいたときには足の指が壊死していることも稀ではありません。進行すると、指や脚を切断することになる場合もあります。眼では、とくに「網膜」に障害が起こります。網膜は私たちが眼でみた映像を映す、カメラのフィルムのようなはたらきをしています。網膜には細い血管が張りめぐらされているため、糖尿病によって障害が起こると視力低下が起こり、進行すると失明の危険性があります。糖尿病による網膜の障害は、現在も日本人の失明の原因の1、2位を争っており、決して他人事ではありません。早期発見によりレーザー治療をすれば進行を止められるため、医師から眼科受診をすすめられたら視力低下などの自覚症状がなくてもすぐに病院へ行きましょう。もうひとつ、腎臓については、尿を作る「糸球体」という場所に障害が出ることで腎臓の機能が低下します。症状としてはむくみや強い疲労感が出るほか、進行すると自分で身体の老廃物を排泄できなくなり、透析によって人工的に老廃物を出さなければならなくなります。この状態になると(程度によりますが)週2~3回、クリニックに通って透析を受けなければならず、とくに働く世代では生活の時間が圧迫され、非常に負担が大きくなります。糖尿病を予防するには?それでは、こうした症状を避けるためにはどのような予防法があるのでしょうか。まずは自分の状態を知るために、職場や自治体の健康診断を受けましょう。健康診断の結果項目は一見複雑ですが、私の過去記事【いまさら聞けない「健康診断の結果」の見方】に糖尿病に関係する数値はどこを見ればよいかを解説していますのでそちらも参考にしていただければと思います。そして、糖尿病は肥満がリスクであるため、食事習慣や運動習慣を見直すことで予防することが可能です。ご自身の理想体重は、身長(m)×身長(m)×25で求めることができます。現在の体重がこの数値を超えてしまっている人はいわゆる「肥満」ですので、理想体重に近づけることを目標としましょう。とはいえ、ご飯は何カロリー、塩分は何グラムと言われてもなかなか実感がわかないですし、忙しい中で3食管理するのはとてもストレスです。そこで、日々の食習慣を見直すところからはじめてみましょう。野菜による食物繊維を摂取することは糖尿病の予防に効果的です。牛丼を単品で特盛1つ!と頼むのではなく、ご飯の量を抑えてサラダやスープを加えるようにしましょう。食べる順番やスピードも大切です。野菜(食物繊維)やメイン(たんぱく質)のあとに米や麺類(炭水化物)を、よくかんで食べることで急激な血糖値の上昇をおさえることができます。また、できるだけ規則正しく3食食べるようにしましょう。朝食を抜く、遅い時間帯の夕食、間食の取りすぎはよくないと言われています。テレビなどを見ながら、仕事しながらの「ながら食い」が習慣になっている方は、お菓子の袋から食べるとつい1袋食べてしまうことも多いため、小皿に取り分けて少しずつ、回数を分けて食べましょう。1日30分以上は歩き、睡眠も長時間しっかりと運動習慣では、1日の歩行時間を30分以上は確保しましょう。自宅から最寄り駅、最寄り駅から会社までの徒歩時間で足りない人は、階段の利用などをおすすめします。このほか、6時間以下の短時間睡眠や、職場などでのストレスによっても糖尿病のリスクが上昇します。不眠やストレスそのものに加え、不規則な生活習慣や、ストレス解消のための衝動食いが増えることが原因と言われています。食事や運動だけでなく、メンタル面のケアを行うことも重要です。新生活がスタートしたこの時期、日々の生活習慣もリニューアルすることで、健康な毎日を作っていきましょう。上原 桃子 : 医師・産業医
2022.02.03
コメント(0)
下記の記事は日経ビジネス様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。日経ビジネスは消費者1万人を対象に、あるブランドをどれだけ友人や同僚に薦めたいかを11段階で選んでもらう「顧客推奨度(NPS)」を調査した。10~9点を選んだ人を「推奨者」、6点以下を「批判者」とし、全体に占める推奨者の割合から批判者の割合を引いてスコアを算出した。ブランドへの信頼、愛着の度合いが分かる。「NPSマップ」で、それぞれのブランドの立ち位置を比較した(調査、マップの概要を最後に掲載)。10分野それぞれの上位3社については「… 愛される企業ランキング 1万人調査」で紹介した。携帯電話サービスについて、10位まで掲載する。[画像のクリックで拡大表示]携帯電話市場のシェアではNTTドコモがトップの36.8%(21年9月、総務省調べ)だが、今回の調査では7位に沈んだ。au、ソフトバンクもランキング下位になっている。上位に入ってきたのは「格安スマートフォン」と呼ばれるサブブランドやMVNO(仮想移動体通信事業者)だ。NPSマップを見ると、左のほうに縦長に固まって位置している。どの事業者もファン化はあまり進んでいないようだ。マクロミルの内田智之リサーチプランナーは「携帯電話はサービス内容に大きな差がないため、料金に対する満足度の差が影響したと推測される」と分析する。浸透したブランドが武器調査で首位となった「LINEMO(LINEモバイル含む)」のサービスは、ソフトバンクが21年3月から始めた。同社としてはメインの「ソフトバンク」、サブブランド「ワイモバイル」に続く第3ブランドになる。LINEMOと他の2ブランドとの違いは、LINEMOがオンライン手続き専用の格安プランということだ。料金は、データ容量20ギガ(ギガは10億)バイトでみると、月2728円(消費税込み)。家族割引などをしない通常のワイモバイルと比べ割安になる。ドコモのオンライン専用である「ahamo(アハモ)」は2970円で、LINEMOのほうが安い。LINEMOはもともと、LINEがソフトバンクグループの傘下に入る以前の16年に、LINEモバイルとして発足させたものをベースにしている。当時から、通信大手と比べた特徴を持っていた。最大の武器は対話アプリとして浸透しているブランド力だったが、それだけではない。アプリから簡単に申し込めたり、LINEを利用する際のデータ容量を無制限にしたりして、若年層を中心に利用者をとらえていった。ソフトバンクの宮川潤一社長によると、21年9月末時点のLINEMOの契約数は、LINEモバイルも含めて「100万契約を超えている」という。ただ、それでも規模が大きいとは言えない。ソフトバンク全体のスマートフォン契約数は2650万件に上る。「料金だけではない独自の特徴をどう打ち出すか」。ドコモが20年12月、政府による携帯値下げの圧力の中で低料金のアハモを発表して以降、ソフトバンクのLINE&Y!mobile事業推進本部長の筒井雅彦氏はこう考え続けている。ワイモバイルとLINEの混成部隊を率い、使い勝手を高めてきた筒井雅彦本部長(写真=的野弘路)重視したいのは顧客の使い勝手だが、オンライン専用サービスとして何ができるのか──。アハモが発表されたわずか2週間後に、アハモに負けない対抗策を打ち出した。ソフトバンクで低料金プランを担ってきたワイモバイルのチームに、オンラインサービスの企画に知見を持つLINEのチームが合流した。ソフトウエアの開発部隊も一体となって、利用者の不満を見つけてはすぐに改善することを繰り返すアジャイル開発を目指した。混成チームですぐ改善eSIMの回線開通手続きを簡単にする専用アプリの開発などでNPSは大きく上がった[画像のクリックで拡大表示]混成チームを作った効果は高かった。新規申し込みなどの手続きごとに調査を実施し、利用者から寄せられたクレームや要望を日々、分析した。LINEMOが始まった21年3月から12月までのわずか10カ月間に1150件の改良を行ったという。例えば、SIMカードを送付しなくても通信回線を開通できる「eSIM」の申し込み手続きは、契約後に送られてくるメールに記載された情報をコピーしてウェブサイトに貼り付ける必要があるなど、操作方法が煩雑であることが利用者の不満につながっていた。そこで画面を5回タップするだけで回線を開通できる専用アプリを開発した。筒井氏は「携帯市場は飽和状態で、通信サービス以外の差別化が重要。使っていて心地よく、不満がない状態をつくることが大切だ」とみる。もっとも、技術の進展により電波のつながりやすさや通信速度など通信品質そのものへの不満は大きく減っている。カギを握るのは、店舗やコールセンター、手続きサイトなど顧客接点。ドコモ、au、ソフトバンクが低評価だった要因の一つには、店舗やコールセンターで長時間待たされた経験などがあるとみられる。筒井氏は「たとえ数年に1度しか接することがなくても、印象は大きく変わる」と気を引き締める。人が対応する店舗やコールセンターの場合、1つ改善するだけでも膨大な数のスタッフへの教育が必要になる。そういった点では、日々改善できるオンラインサービスのほうが、不満を解消しやすい面がある。いち早くファン化を達成できるのは、小回りが利くオンラインのブランドなのかもしれない。NPSの調査概要2021年12月に調査会社マクロミルに依頼し、インターネット上で20歳以上の男女を対象にアンケートを実施。1万355人から回答を得た。10分野の商品・サービスについて、直近1年以内に利用したかどうかを確認したうえで、その商品・サービスについて「この商品・サービスを友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」と尋ねた。回答は「全く薦めない」の0点から「強く薦める」の10点まで11段階の選択式。NPS(ネット・プロモーター・スコア)の定義に基づき、10~9点を選んだ人を「推奨者」、6点以下を選んだ人を「批判者」とし、全体に占める推奨者の割合から批判者の割合を引いてNPSを算出した。スコアは四捨五入しているため、計算が合わない場合がある。NPSマップスコアを5つのゾーンに分けて評価するもので、マクロミルが考案した。中立者と推奨者を合わせて「満足者」と定義。回答者全体に占める満足者の割合を「満足者充足率」として縦軸に、満足者に占める推奨者の割合を「推奨者充足率」として横軸に取る。マップ上の青い点線より上のゾーンにあるブランドは、回答者のうち推奨者が2割を超えている。赤い点線より上のゾーンにあるブランドは、NPSがプラスであることを示す。NPSが高まるにつれ、左下の低評価ゾーンから一般ゾーン、さらにロイヤルゾーン、高ロイヤルゾーンへと進む。プロットされる場所が右上に行くほど、回答者の信頼、愛着が強いブランドであることを示す。リスクロイヤルゾーンは、NPSはプラスだがファンの少ない状態であり、顧客が競合に流れやすい。
2022.02.03
コメント(0)
下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。これまで政府の有識者会議で行われてきた安定的な皇位継承策の議論は、国会にその場を移し、新しいステージに突入した。神道学者で皇室研究者の高森明勅さんは「政府の報告書は事実上の白紙回答。次世代の皇位継承者が悠仁さまお一人しかいらっしゃらない中、また先延ばしとは理解に苦しむ」という――。写真=時事通信フォト川嶋辰彦さんの家族葬に参列し、川嶋さんの自宅を出発される佳子さまと悠仁さま=2021年11月6日午後、東京都新宿区検討の場は政府から国会へ皇位継承の今後のあり方を巡る問題は、愛子内親王殿下や悠仁親王殿下など未婚の皇族方のこれからの人生を左右する。憲法上、重い位置を占める天皇・皇室の将来の根本に関わる大切な問題だ。国民としても無関心ではいられない。去る1月12日、岸田文雄首相は皇族数の確保策をまとめた有識者会議の報告書を、細田博之衆院議長・山東昭子参院議長に手渡した。これは、昨年3月から12月にかけて同会議が検討した結果を、同12月22日に岸田首相に提出していたものだ。これによって、皇位継承問題の舞台は国会に移った。平成29年(2017年)6月に成立した上皇陛下の退位を可能にする皇室典範特例法の附帯決議によって、政府は“皇位の安定継承”を巡る課題への検討を求められた。今回の報告書は、それへの回答が盛り込まれるはずだった。しかし、事実上の「白紙回答」に終わった。“皇族数の確保”という別の論点にすり替えて、最も重要なテーマを“先送り”してしまったからだ。その先送りの理由付けに驚く。「次世代の皇位継承者がいらっしゃる中でその仕組みに大きな変更を加えることは、十分に慎重でなければなりません」というのがその理由だった。しかし、これは二重の意味で首をかしげる。喫緊の課題をなぜ先延ばしにまず「次世代の皇位継承者がいらっしゃる」といっても、現状ではわずかに秋篠宮家のご長男、悠仁親王殿下お一方がいらっしゃるにとどまる。だから、今のうちに先延ばしせず、抜本的な対策を行う必要があって、そのために有識者会議が設置された経緯がある。にもかかわらず、「(たったお一方だけ)皇位継承者が“いらっしゃる”」という理由でその対策を先送りするとは、自らの設置目的・存在意義を否定したに等しい。まさか継承者がゼロ(!)になるまで手をこまねいて、無為無策で通そうとしているわけではないと信じたいが。次に、現在の皇室典範の「仕組み」自体が大きな欠陥を抱えていて、それこそが皇位継承の将来を不安定なものにしている事実を見逃している。これについては、早くから問題視されている。例えば次のような指摘がなされている。「女系継承を認めず、しかも庶子(非嫡出・非嫡系)継承を認めないと云ふ継承法は無理をまぬかれぬ」「皇庶子の継承権を全的に否認することは、皇位継承法の根本的変革を意味する」(葦津珍彦『天皇・神道・憲法』神社新報社政教研究室、昭和29年〔1954年〕)仕組みの大きな変更は避けられない明治の皇室典範は歴史上初めて皇位継承資格に「男系男子」という極めて窮屈な“縛り”を導入した。一方で、そうした窮屈な条件を緩和するために、前近代以来の側室制度を前提とした非嫡出・非嫡系による継承を公認した。ところが、現在の皇室典範は、その男系男子限定と非嫡出・非嫡系容認という“セット”でのみ持続的に機能し得る「仕組み」のうち、前者はそのまま踏襲しながら、後者は全面的に排除するという「皇位継承法の根本的変革」に踏み切った。それは当然ながらもはや後戻りできない既定の事実になっている(前掲『天皇・神道・憲法』は男系維持のために非嫡出・非嫡系による継承の復活を唱えていたが)。したがって、皇位の安定継承、皇室の存続を望むならば、その「根本的変革」に対応すべく、「仕組み」の「大きな変更」が避けられない。小泉純一郎内閣当時の「皇室典範に関する有識者会議」の報告書(平成17年〔2005年〕11月)は、まさにその課題に真正面から応えようとしたものだった(同会議のヒアリングには私も応じている)。この度、有識者会議が設置されたのも、国会からの要請により、改めてそこに切り込むことが期待されたからだった。ところが先のような言い訳によって、先延ばしできないはずの喫緊の課題に手を着けないまま、又ぞろ先延ばししようとしている。このような「白紙回答」同然の検討結果を受け取って、国会はどう対応するのか。皇位継承を巡る政治の動きはハッキリと新しいステージに入った。国会側は最初の対応として、1月18日に衆院議長公邸に全政党・会派の代表者が集まって、政府側から検討結果の説明を聴いた。この場での質疑応答の中で、特に注目すべきなのは、立憲民主党の野田佳彦「安定的な皇位継承に関する検討委員会」委員長と政府側とのやり取りだ。「厳しい現実への危機感が欠けている」野田氏の発言趣旨は以下の通り。①報告書に「次世代の皇位継承者がいらっしゃる中で……」とあるが(前に引用、報告書6ページ)、次世代の皇位継承候補者は悠仁殿下お一方だけ。幸い大事には至らなかったものの、悠仁殿下が乗られたワゴン車が高速道路で前の車両に追突した事故(平成28年〔2016年〕11月)や、殿下が通われるお茶の水女子大学附属中学校に刃物を持った不審人物が侵入した事件(平成31年〔2019年〕4月)などが現に起きている。次世代の継承候補者が複数おられる状態ならばともかく、たったお一方しかおられない厳しい現実への危機感が欠けているのではないか。②政府が目指す新しい制度によって、婚姻後も皇族の身分を保持される女性皇族の「配偶者と子は皇族という特別の身分を有せず、一般国民としての権利・義務を保持し続けるものとする」とあるが(同10ページ)、それならば、その方々の政治活動・経済活動・宗教活動などの自由が尊重されねばならない。しかし、そのことと、「日本国の象徴」「日本国民統合の象徴」「国政に関する権能を有しない」とされる憲法上の天皇及び皇室のお立場と両立できるのか。③政府が提案する新しい制度で、養子縁組により皇族の身分を新たに取得した(しかし皇位継承資格を持たない)旧宮家系子孫の男性が縁組後に結婚したお相手は、皇族の身分を取得できるのか、又、お子様は皇族になるのか、そのお子様が「男子」なら皇位継承資格を認められるのか、いずれも報告書に言及していないが、政府はどう考えているのか。政府の回答は“はぐらかし”に終始これらに対し、政府側は内閣官房皇室典範改正準備室の大西証史室長が回答に当たった。しかし残念ながら、ほとんどまともな答えになっていない。①に対しては、平然と「悠仁様までしかいないということも十分に認識」して議論した、と答えた。これは、“たとえ次世代の候補者がお一方でも、そこまでは絶対に大丈夫”という楽観、希望的観測に基づいて「議論」したことを意味する。しかし、悠仁殿下のご安全に万全を期すべきなのはもちろんながら、これまでも実際に危険を感じさせる場面があった。それなのに、悠仁殿下のご即位を100%確実と考えて検討するのは、皇位の“重み”に照らしてあまりにも楽観的すぎる、危機感が足りないというのが野田氏の問題意識だった(最近は悠仁殿下が即位を辞退される可能性を強調する八木秀次氏のような保守系の論者も現れている)。まさに政府の現状認識の甘さを露呈した答え方と言うほかない。しかも、野田氏が実例として挙げたワゴン車の追突事故も不審人物の侵入事件も「具体に……思い出すことができません」と述べていた。それらは普通の国民でも、皇室への関心があれば強い印象を受けた衝撃的な出来事だったはずだ。皇室典範改正について、政府関係者では最も事情に精通しているはずの人物がこの調子では、政府の取り組みに不安を禁じ得ない。さらに上がる、愛子さまのご結婚のハードル②については「そこはまさに、今後の国会の先生方の間での御議論も含めまして御検討いただくべきところでありますし、また、その結果を受けまして私ども検討しなくてはならないところはあると思います」という中身のない回答。早速、“見直し”に含みを持たせたような言い方だ。このプランは(一応、当人のご事情に「十分留意する必要がある」〔報告書11ページ〕としているが)愛子内親王殿下などが適用対象として想定されているだろう。しかし、このような無理筋なプランをもしそのまま制度化すれば、普通に想像力を働かせばわかるように、ご結婚の“ハードル”はこれまで以上に高くなるのではないのか。③は、完全にはぐらかした。さすがに野田氏も同じ質問を繰り返し、「そこまでちゃんと考えているのか考えていないのか」と畳み掛けられた。それに対しても、「ありがとうございます。会議におきましては、そういうことでございます。……なお、現行の皇室典範では、皇族の子、皇族の夫婦から生まれた子は皇族となるということになってはございます」と述べて、逃げ切った。しかし、養子が縁組後に婚姻した配偶者が皇族になるかどうか不明なら、そのお子様が「皇族の夫婦から生まれた子」に該当するかどうかも、当然ながら不明だ。国民の代表機関である国会を構成する政党の代表者への回答として不誠実この上ない。政府案に隠された“トリック”の疑惑しかも、そこにある種の“トリック”が隠されている可能性さえある。と言うのは、今の皇室典範では禁じられている「養子」という形で皇族の身分を取得し、「男子」なのに皇位継承資格を持たないという特殊な扱いなのに、結果的に「皇族男子」という“括り”になると、皇族男子との婚姻で国民女性が皇族になる規定(皇室典範15条)が適用されて、その配偶者は皇族になる。そうすると養子のお子様は「皇族の夫婦から生まれた子」に当てはまるから皇族となり、男子ならば皇位継承資格を持つという帰結になる。「現行の皇室典範」のルールを変更せずに適用できるので、報告書ではことさら言及する必要がなかったと言い張れば、アンフェアだがそのまま通りかねない。しかし、そのような制度設計ならば、なぜ、野田氏の質問に最後まで異常なほどはぐらかし続けたのか。制度化される“前”にそのことが明らかになるのは、まずいと判断したのだろうか。何しろ、女性皇族の場合は(皇族として生まれながら“女性だから”という理由だけで)その配偶者と子は国民のままなのに、国民男性が養子になった場合は(養子縁組の前は国民でも“男性だから”)配偶者も子も皇族となり、その子が「男子」ならば皇位継承資格も認められるという、令和の制度と思えない旧時代的な「男尊女卑」ぶりが丸わかりになってしまう。そうすると、国民の間に広く違和感や反発を生み出しかねないからだ(対象となる女性皇族方もご不快ではないか)。しかし、もし上記の想定が当たっていたとしたら、制度の全容を国民(および当事者)に隠したまま制度化するというやり方は、およそ「国民統合の象徴」であるべき天皇・皇室を巡る制度改正にはふさわしくない。皇室への国民の素直な敬愛の気持ち(および女性皇族方の使命感や責任感)を損ないかねないだろう。今後、国会の真剣な取り組みと、それを後押しする国民の注視が欠かせない。高森 明勅(たかもり・あきのり)神道学者、皇室研究者1957年、岡山県生まれ。国学院大学文学部卒、同大学院博士課程単位取得。皇位継承儀礼の研究から出発し、日本史全体に関心を持ち現代の問題にも発言。『皇室典範に関する有識者会議』のヒアリングに応じる。拓殖大学客員教授などを歴任。現在、日本文化総合研究所代表。神道宗教学会理事。国学院大学講師。
2022.02.03
コメント(0)
下記の記事はCNN様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。(CNN) 米メリーランド州に本社を置くバイオ企業ノババックスは31日、米食品医薬品局(FDA)に同社が開発した新型コロナワクチンの緊急使用許可(EUA)を申請したと発表した。同社によれば、2回の大規模な臨床試験で約90%の有効性と安全性を示す結果が出たことを踏まえ、正式な申請を出した。エルク社長兼最高経営責任者(CEO)は31日、既存のワクチンに代わる選択肢として、新型コロナ感染症のパンデミック(世界的大流行)との闘いに役立つと強調した。同社は昨年6月、米国とメキシコで実施した臨床試験の最終段階で、90.4%の有効性を確認したと発表。12月にはFDAへの申請準備を完了したと述べていた。ノババックスのワクチンは通常の冷蔵庫と同じ2~8度で保管することができ、有効期限は9カ月。エルク氏は昨年11月、CNNとのインタビューで、EUAが取得できれば第1弾の1億回分を出荷する用意があると語っていた。ワクチンは3週間の間隔を置いて2回接種する。米ファイザーとモデルナが開発したメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンとは異なり、蛾(が)の細胞に新型コロナウイルスの表面を覆うたんぱく質を作らせ、それを基に合成したウイルス様の抗原を接種する。たんぱく質をベースとした従来型のワクチンとして、mRNAワクチンに抵抗を示す人にも受け入れやすいと考えられている。エルク氏はインタビューで、米国内での今年のワクチン需要について、「ほかのワクチンの接種をためらってきた多くの人々」への提供が中心になるとの見通しを示した。ノババックスのワクチンは昨年11月、インドネシアが世界で初めて緊急使用を承認。韓国、オーストラリア、インドがこれに続き、さらに欧州連合(EU)やフィリピンも承認した。同社は現在、ほかに英国やカナダ、ニュージーランドなど数カ国に承認申請を出している。追記:武田は、米ノババックスが開発した組換えタンパクワクチンを国内で製造・供給することになっており、昨年12月に日本で承認申請を行いました。同ワクチンは2本の海外臨床第3相(P3)試験で90%前後の有効性を示しています。武田は厚労省と1億5000万回分の供給契約を結んでおり、今年はじめの供給開始を目指しています。「コロナとの共存」に踏み切る欧州、英コロナ規制はほぼ全面撤廃(CNN) 英国が「コロナとの共存」を目指す計画を推進している。27日からは、新型コロナウイルス関連の規制がほぼ全面的に撤廃される。欧州では症例数が増えていても規制緩和に踏み切る国が相次いでいる。英イングランドでは、27日から新型コロナウイルスの検査結果やワクチン接種を証明する「コロナパス」を提示しなくてもナイトクラブやイベント会場などに入場できるようになり、公共の場でマスクを着用する必要もなくなる。ただし公共交通機関では引き続きマスク着用が義務付けられる。ウェールズ、スコットランド、北アイルランドも規制緩和に踏み切る。英政府は今回の規制撤廃について、科学的根拠に基づく措置だと強調している。感染力の強いオミクロン変異株による新規の症例は減少傾向にある。公式統計によると、1日あたりの感染数は、ピークだった今月4日の24万5000超から、24日には6万程度に減少した。症例数以上に重視されているのは、現在世界で猛威を振るっているオミクロン株の重症化率が低いらしいという点だ。米疾病対策センター(CDC)が25日に発表した研究結果では、オミクロン株の症状は重症度が低く、入院日数が短くなって、集中治療室(ICU)の入院者や死者も少なくなることが確認された。スコットランドでも、オミクロン株による入院リスクはデルタ株に比べて3分の2減少するという調査結果が発表された。南アフリカの論文によれば、入院率は80%低いことが分かった。正常化への復帰を目指している国は英国にとどまらない。長期にわたるロックダウン(都市封鎖)を続けていたオランダは26日、サービス業や観光業、レジャー産業をほぼ全面的に再開させた。オランダ政府は、症例数は依然として高い状態にあり、人と人が交わるようになれば再び増える可能性もあるとしながらも、「政府にはこの大胆な措置を取る責任がある。日常生活をこれほど制限する措置が長引けば、国民の健康や社会全体を害する」と強調した。過去にパンデミック(世界的大流行)の終わりを宣言したものの、その後規制の再導入を強いられたデンマークも、再び規制を緩和している。陽性者に義務付ける自己隔離期間は4日間に短縮された。この措置について政府は、症例数は増えているものの、入院患者が大幅に減ったことから、パンデミックの初期に比べて負担が少なくなったと説明している。フランス政府は先週、過去最多の症例数が報告される状況の中で、次週からコロナ規制の緩和に踏み切ると発表した。米国は現時点で新型コロナが猛威を振るっているが、感染拡大の波は間もなく落ち着くと専門家は予想する。ただ、入院者数は北東部と中西部で減少している一方、西部や南部では今も増加が続いている。
2022.02.03
コメント(0)
下記の記事は日刊ゲンダイヘルスケアデジタル様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。「あれ、名前が出てこない」「スマホをどこかに置き忘れてきてしまった」──。加齢による物忘れは仕方のないこと。とはいえ、思い出せなかったり、忘れてしまうことが何度も続くと、自分が心配になってしまうと思います。 そのため、日頃からジムに通ったり、ジョギングをしたりして、なるべく体を動かそうと心がけている方も多いのではないでしょうか。体を動かすということでいえば、「散歩を続けると、記憶力をつかさどる海馬の体積が上がる」というピッツバーグ大学のエリクソンらの共同研究結果(2011年)が存在します。 研究では、55~80歳の約800人に、毎日40分の散歩を続けてもらったところ、1年後にほとんどの人の海馬の体積が2%ほど増加している傾向が明らかになったそうです。実に、年齢にして「1~2年若い状態に戻る」ほどの効果だといい、記憶力も改善する傾向にあったと報告されています。体に良いというイメージのある散歩ですが、まさか脳にも効果があるとは目からウロコです。この実験は、散歩をはじめ有酸素運動をしてもらうことで、どういった効果が表れるのか検証しました。散歩以外にも、エアロビクスや水泳、ジョギングなどを行ったのですが、それらの運動にも海馬の体積増加は確認されたのです。 しかし、どこでもできて、お金もかからない散歩にも同様の効果があったというのは朗報でしょう。散歩は、コストパフォーマンスに優れた記憶力の低下を防ぐ実践術というわけです。 海馬の体積は、認知症のない高齢者でも毎年1~2%減少するといわれています。体積が減少すると認知障害を発症するリスクが高まると伝えられているだけに、散歩のような小さな積み重ねは、極めて大切といえます。また、ストレッチにそういった効果があるか否かも調べたのですが、残念ながら効果は表れなかったそうです。ですが、体には良いので、散歩しながらストレッチをすると脳にも体にも良いと言えそうです。記憶力や集中力向上に励むなら、現在は科学・技術の向上によってさまざまなアプローチがあります。たとえば、海外では「自分の呼吸に意識を向けるスマホアプリ」が登場しています。このアプリを使って、6週間ほど瞑想トレーニングを続けたところ、集中力や記憶力が向上したとのこと。「デジタル瞑想」と呼べるような実践術が日本でもはやるかもしれません。また、ヘッドバンド型の筐体(きょうたい)に搭載された7つの脳波センサーが瞑想中の自分の脳波を感知することで、その状況に合わせてガイド音を再生するものもあります。この脳波センシング技術は、NASAやマサチューセッツ工科大学などの研究機関での採用実績もあるほどですから、近い将来、職場や自宅に居ながらにして瞑想ができる。そんな時代が訪れてもおかしくありません。加齢とともに記憶力はどうしても低下していきますから、過度に自分を不安視する必要などありません。費用対効果の良い散歩を取り入れ、心も脳もリフレッシュさせてください。堀田秀吾明治大学教授、言語学者1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。
2022.02.03
コメント(0)
下記の記事は婦人公論.jp様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。医師の鎌田實さんは、感染症や認知症の予防につながる体づくりを今こそはじめてほしいと警鐘を鳴らします。「アフター・コロナ」と「人生100年時代」を見据え、《死ぬまで自分の人生を楽しむ》ために生活習慣の見直しを図りましょう(構成=福永妙子 撮影=本社写真部)外出自粛による《肥満》と《フレイル》4月から始まった長い自粛期間を経て、今も新型コロナウイルス感染予防の制約やルールのもと、これまでとは違う日常が続いています。僕が名誉院長を務める長野県の諏訪中央病院も感染者を受け入れていたので、院内感染対策の徹底のため大変な緊張感に包まれていました。今はようやく、落ち着きを取り戻しつつあるといったところです。読者のみなさんやご家族のなかには、感染予防のためにしばらくは病院に行くことを控えようと考える方も多かったのでは。そして実際、むやみに病院に行かずとも、自分の健康は自分で管理することができると気がついた人もいるのではないでしょうか。僕も、長年内科医として、できるだけ薬に頼らず、食事と運動で生活習慣病を防ぐことを提言し続けてきました。ところが、ここにきて心配なことが。病院の内科外来を訪れる人たちに2つの傾向が見られるのです。ひとつは肥満。もうひとつが、フレイル(虚弱)です。外出自粛による運動不足に加えて、家で過ごす時間が長くなるとストレスもたまりやすい。そこで、ついつい甘いものを口に入れたくなるし、過食にもなる。そういう生活が続いた結果の肥満です。普段から健康に無頓着だった人ばかりでなく、それまで健康を意識して生活してきた人たちが、真面目に自粛を守るうちに……というケースもあるでしょう。そして、高齢者に目立つフレイルとは、心身の活力が低下して衰えている状態のことで、健康な状態と要介護状態の中間に位置します。自粛生活で体を動かすことが少なくなると筋肉の萎縮が進み、体のあちこちでフレイルが起こり始めます。閉じこもりがちの生活で社会とのがりがなくなることで、心の機能にも虚弱が起これば、うつになることもあるのです。《コロナ肥満》や《コロナフレイル》を甘く見てはいけません。肥満は、高血圧や脂質異常症、動脈硬化などを生じさせやすく、さらには糖尿病や脳卒中なども引き起こしかねない。僕が最も危惧するのは、認知症になる人が一気に増えるのでは、ということ。体や心の虚弱状態を放置すれば、いずれ要介護ということになるのです。今は認知症でないからといって油断できません。自宅で生活をしながら週に1回デイサービスに通っていたというような人が、外に出る機会を失い、その後、一気に本格的な認知症に進行していく可能性もあります。まさに今、フレイル段階で踏みとどまるのか、要介護状態へと進んでしまうかの瀬戸際にあると言えるのです。また、新型コロナは感染しても症状が出ない人が多い一方で、重症化して死に至る場合もあることが注目されました。持病を持つ高齢者だけでなく、若くても、肥満や高血圧の人が重症化するケースが見受けられます。WHO(世界保健機関)が中国政府と合同で行った調査によれば、新型コロナの致死率は3.8%ですが、高血圧の人だと8.4%に上がります。ですから、新型コロナ対策としても、肥満やフレイルには十分に注意しなければいけないのです。《不健康な地域》を日本一の長寿県に新型コロナとの付き合いはまだまだ続くでしょう。自粛は解除になり、外出はできるようになっても、「三密は避ける」「ソーシャル・ディスタンス」などなど、いろいろな面での制約がある。感染の第二波、第三波への対策を取りながら、この1~2年をどう乗り切るかが、5年後、10年後、20年後のあなたの健康状態を左右するということを肝に銘じてください。脅かすわけではありませんが、新型コロナに感染しなかったとしても、メタボから脳卒中になって要介護、あるいは寝たきりに──今回のコロナ禍で、そんなことが起きるのを僕は恐れるのです。そうして多くの人たちがどっと介護保険を使うようになると、必要な人が必要な介護サービスを受けにくくなり、《介護崩壊》につながります。ですからみなさんには、病気で入院や治療が必要となる日をできるだけ先送りするために、健康についての意識を変え、毎日の習慣を見直していただきたいのです。基本となる三本柱は「食事」「運動」「生活習慣」──。僕が日頃、実践していることをご紹介しますが、その前に僕が住む長野県についてお話ししましょう。長野県はもともと脳卒中が多く、《不健康な地域》でした。後遺症でまひが残ったり、認知症を発症したりして、要介護状態の人もたくさんいたのです。46年前、この地に赴任した僕は、地域のみなさんを巻き込みながら健康づくり運動を進めました。その結果、今や長野県は日本トップクラスの長寿県です。一人ひとりが意識を変えれば、必ず変われるということが証明されました。この時の健康づくりのノウハウは、今も僕自身の生活のベースとなっています。まず「食事」ですが、脳卒中予防のキーワードは《減塩》と《野菜摂取》。当然、高血圧を引き起こす塩分の過剰摂取は控えなくてはなりません。また、野菜に多く含まれるカリウムにはナトリウムの排出を促して血圧の上昇を抑える働きがあり、減塩と同じ効果が。厚生労働省は1日に350gの野菜の摂取をすすめています。長野県の健康づくりも、野菜をたっぷり入れた《具だくさん味噌汁》を推奨し、野菜摂取量を上げたことで成功しました。僕は毎朝、野菜ジュースを作って飲むのを習慣にしています。その日冷蔵庫にある野菜をミキサーに入れ、それに牛乳かヨーグルト、さらに血液をサラサラにしてくれるえごま油を小さじ1杯ほど加えて混ぜます。朝のジュースで目標の6~7割は摂取できるので、昼にサラダ、夜に野菜の煮物をいただけば、1日の必要野菜量は達成できるのです。ちなみに調味料は、わが家ではナト・カリ調味料(ナトリウム/カリウム比が低い塩、醤油、味噌など)を使っています。これだけは続けたい健康習慣〜基本の三本柱〜【1】食事健康に長生きするためにも、新型コロナから身を守るためにも、高血圧を予防することが大切。「減塩」と「野菜をたくさん食べること」のふたつで、鎌田先生は少し高めだった血圧が正常値に戻ったそうです。 【2】運動鎌田式ワイドスクワット下半身を効率よく鍛えることができる「鎌田式ワイドスクワット」で、肥満を防ぎ、筋力を維持。脚とお尻の引き締めに効果絶大です。さらに「かかと落とし」「速遅歩き」「コグニサイズ」もあわせて、スキマ時間に行うことが無理なく継続する秘訣。 【3】生活習慣脳の活性化には、新しいことへの挑戦、社会への参加が必須です。人に会うことが難しくなったけれど、鎌田先生は早速リモート会議を導入し、介護施設への医療物資支援と感染症対策の指導に尽力中。参考文献: 鎌田 實『認知症にならない29の習慣』(朝日出版社)70歳を前に体力の衰えを感じて僕は今、72歳ですが、3年前、ずっと70kg台前半だった体重が80kgまで増えてしまって。体は重いし、体力の衰えも感じました。そこで、講演会でみなさんに推奨してきた「鎌田式ワイドスクワット」や「かかと落とし」を、これまでのように「ときどき」ではなく、毎日続けることにしたんです。3年経った今は体重9kg減の71kg。太もも3cm、ヒップ3cm、ウエストは9cmほどサイズダウン。毎年スーツを仕立てていただいているテーラーさんに、「先生、サイズが変わりましたね。いいですよ」とほめていただきました。おなかまわりがスッキリすると、おしゃれも楽しくなります。「運動」の効果は体重を減らすことだけではありません。筋肉の強化によりフレイルを予防できますし、血糖値を下げ、高血圧予防にもなります。僕が実践している「スクワット」は下半身の大きな筋肉を鍛えます。鎌田式は背骨が曲がらないように動作し、足裏全体で床を踏みしめることと、膝を曲げたとき、膝がつま先より前に出ないことがポイント。筋肉が動くときに分泌される物質「マイオカイン」には、認知症のリスクを下げる働きがあることもわかっています。あわせて行ってほしいのが「かかと落とし」です。まず、椅子の背などにつかまってつま先を上げてかかとで立つ。次につま先を下ろすと同時にかかとを上げ、最後にドスンとかかとを落とすというもの。かかと立ちは鎌田式の特徴です。高齢者がわずかの段差でも転ぶのはつま先が上がっていないから。かかと立ちし、向こう脛の筋肉を強化することでつま先が上がりやすくなり、転倒予防になります。つま先立ちでは、第二の心臓と言われるふくらはぎの筋肉が鍛えられ、全身の血流がよくなります。最後にかかとをドスンと衝撃を与えるように落とすことで、骨を作る骨芽細胞を刺激し、骨密度のアップが期待できます。さらに、「速歩き」と「遅歩き」を交互に繰り返す「速遅歩き」もおすすめです。運動に慣れていない人でも取り組みやすく、効率よく脂肪を燃焼し、筋肉を強化できます。僕は妻と一緒に、自宅から車で10分のところにある尖石遺跡まで出かけ、そこの原っぱで速遅歩きをしています。〈速歩き3分+遅歩き3分〉を2セット行い、最後に〈速歩き3分〉で終了、計15分。これだと無理なく続けられます。ほかには、足踏みをしながらしりとりや計算をする、という運動もいいですよ。腿上げをしながら3の倍数で手を叩くなども。この、頭と体を同時に働かせる運動を「コグニサイズ」と言います。これは、短期記憶を保持する脳の前頭前野の働き「ワーキングメモリ」を刺激する運動で、認知症予防になるだけでなく、判断力や適応力の強化にもがります。「スクワット」「かかと落とし」、そして「コグニサイズ」も、道具は必要なく、いつでも、どこでもできるのがいいところ。僕は、テレビを観ながら、歯を磨きながらなど、「ながら」で、ちょっとした合間を見つけてやっています。大事なのは続けることなのです。今は熱中症が心配な時期ですが、筋肉は水分の貯蔵庫。筋肉がないと体内で水分を保持できず、熱中症のリスクを高めます。この夏を乗り切るために、運動で筋肉強化をはかりたいものです。好きなことを続けて、実りある人生を「食事」「運動」とあわせて大事なのが、「意識と生活習慣を変える」こと。歳をとると意欲が低下し、行動範囲は狭くなります。自粛生活をきっかけに、引きこもりがちになった人もいるでしょう。けれど、脳を刺激するために、いつもと違うことに挑戦してほしいのです。散歩の道順を変えてみる、それだけでもかまいません。また、社会とのがりを持つことも忘れてはいけないことです。僕は歌手のさだまさしさんと一緒に「風に立つライオン基金」を立ち上げ、介護現場にマスクや医療用ガウンを贈る活動をしています。感染症が増えているイラクへの支援も始めたところです。自粛期間中も、連日、さださんたちとリモート会議。社会の役に立てることを見つけ、できることをやる。ステイホームでも退屈する時間はありません。僕も歳を重ねていくなかで、人の名前がなかなか出てこなかったり、書斎に資料の本を取りに行ったのに、目に留まった別の本を夢中になって読み、ふと、「何をしにここに来たんだっけ」と思ったりすることがときどきあります。認知症は他人ごとではありません。だからこそ、体や脳のための健康習慣を続ける努力をしようと改めて思うのです。認知機能の低下に気づいたのが僕個人の危機なら、この新型コロナは私たちみんなにとっての大いなる危機です。この危機をプラスに転じ、人生を最後まで楽しく生きられるようにするにはどうすればいいか、一人ひとりがそれを考え、行動するきっかけになるのが今だと思います。3ヵ月という自粛生活を通し、テレワークなど、働き方の改革も一歩進みました。買わない習慣に慣れたことで、「モノはそんなになくても暮らしていける」と気づいた人も多いでしょう。精神的な満足を優先するなど、新たな価値観を手に入れた人もいるかもしれません。今後、さらなる価値観の大転換が起きる予感がしますが、何をするにしても、心と体のパワーが不可欠だということに変わりはない。僕は80歳になってもイラクの難民キャンプの子どもたちの診察をしたいし、90歳を迎えてもゲレンデで滑れる体力を維持していたいと願います。最期までピンピン生きて、ヒラリとあの世に行く……。ピンピンヒラリ、「PPH」です。歳をとっても、ひとりでレストランに行き、好きなものを注文して食べる。ときどきは日帰り温泉でゆったり時間を過ごす。やりたいことは人それぞれでしょうが、そんなふうに心と体を動かすことができるのがPPHです。繰り返しになりますが、コロナ時代へと突入した今の過ごし方が、2年後、5年後、さらには数十年後の未来にがります。今日から筋肉や健康の貯金をはじめましょう。自分で決めたルールのなかで、自分の健康は自分で守る──このことをしっかり実践していけば、人生はより実りあるものに変わっていくはずです。構成: 福永妙子撮影: 本社写真部出典=『婦人公論』2020年8月11日号鎌田實医師、作家1948年東京都生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院へ赴任し、長年地域医療に携わる。チェルノブイリ、シリア、東日本大震災の被災地支援に精力的に取り組む。
2022.02.02
コメント(0)
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。コロナ禍によって、子どものフラストレーションがたまっている。「国立成育医療研究センター」(世田谷区)による、0歳から高校3年生までの子ども・保護者を対象とした「コロナ×こどもアンケート」によると、15~30%の子どもに中等度以上の「うつ症状」の傾向がみられたという。同調査は、コロナ禍以降4回にわたって行われ、直近の2020年11~12月に実施したアンケートでは、回答した小学4~6年生の15%、中学生の24%、高校生の30%に、中等度以上のうつ症状がある――ことに加え、その保護者の29%にも中等度以上のうつ症状がみられたと報告している。子どもの相談が「以前の4倍」に「当院でも中高生の子どもの相談がとても増えています。ここ3ヵ月で、以前の4倍ほどの急増です」と語るのは、うつ病のカウンセリングや依存症の認知行動療法を専門とするライフサポートクリニック(豊島区)の山下悠毅氏。同クリニックは、基本的に成人を対象としているのだが、依存症を専門に取り扱うため、保護者が「ゲーム依存症になっているのではないか?」などの不安を覚え、親子で来院するそうだ。切羽詰まっている、そんな保護者が少なくないという。実は、昨年9月に実施された「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査」(厚生労働省)において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前と比べた変化の項で、約2割が「ゲーム時間が増加した」と回答している。男性15〜19歳にいたっては58.1%、女性15〜19歳も43.2%という数字が示すように、10代のゲーム時間の増加は著しい。言わずもがな、休校や外出自粛などにともなうイエナカ時間の増加に比例する形でゲーム時間も増加しているわけだが、どうやら話はもっと複雑のようだ。「私も、当初は『イエナカ時間の増加によるゲーム依存』といったケースを想像したのですが、ふたを開けると『子どもがコロナを怖がり学校に行かない』『感染しても無症状と伝えても家から出ない』といった相談ばかりでした。そのため、『過度に不安が強いお子さんや、理解力がまだ不十分なお子さんなのかな』と思ったのですが、診察室でお子さんと二人きりで話してみると、不安を語る子どもは少なく、新型コロナウイルスへの理解も問題のない子ばかりだったのです」(山下氏、以下同)いったいどういうことか。「診察を重ねていくと、どうやらこのたびの不登校の子どもたちは、私が今まで相談に乗ってきた、いわゆる“学校に行きたいのに行けない”子どもではなく、“学校には行く必要がないから行かない”と考えている印象です。もちろん、前者のようなケースの相談もありますが、緊急事態宣言の発令で学校が急に休みとなり、登校が再開したかと思えば、異なるクラスや学年の感染により再び休校となる。しかし、家族や友人が誰もが健康であり、『コロナはただの風邪』なんて話す大人までいる。その結果、一部の子どもは『学校は休んでも問題がないのでは』と疑い始めているのです」これまでであれば、親が「学校へ行きなさい!」としかりつけることに、一定の効果はあっただろう。しかし、コロナ禍を経て、「え? どうして行かないといけないの。だって、学校へ行かなくても何とかなっているよ」が、一つの回答として間違いではないことが示されてしまった。ゲームに依存しているのではないかという不安は、入り口にすぎず、奥へと進むと子どもと保護者の関係性に関する悩みがほとんどだという。「義務教育という、ある種の洗脳が解けてしまった。学力が低下することを危惧する保護者もいます」と山下氏が指摘するように、コロナ以前では通用した親から子への教育のフォーマットも、ニューノーマルを迎えているというわけだ。どうすれば「子どもとの軋轢」を防げるのか?保護者の戸惑いはイライラとなり、子どもにも伝わる。先の第4回「コロナ×こどもアンケート」では、「すぐにイライラするか?」という設問もあるのだが、小学生以上の子どもを持つ保護者の36%が該当すると答えている。さらに、子どもたち自身も、小学1~3年生32%、小学4~6年生37%、中学生42%、高校生27%が、「すぐにイライラする」と回答しているほどだ。いつ割れるともわからない巨大風船が膨らみ続けている。こうした軋轢をどのように解決したらいいのか。山下氏に尋ねると、「我々としても初めてのケースなので、日々向き合っている最中」と前置きした上で、「親の価値観を見つめ直さないと、子どもを導くことは難しい」と説明する。「私が、診察室で『どんな親だったら子どもは言うことを聞くと思いますか』と親御さんに尋ねると、多くの方が言葉に詰まってしまいます。『何と言えばいいか教えてください』と聞かれることもしばしばです。しかし、大切なことは“何を言うかではなく誰が言うか”です。『学校に行くのは当たり前。子どもの仕事は学校に行き勉強をすること』では、子どもは納得しないのです。この話は子どもに限った話ではなく、誰だって、尊敬や信頼できない人からのアドバイスに耳を傾けたいとは思わないですよね」ライフサポートクリニックへ親とともに来院したある男子中学生は、「義務教育というのは子どもが学校へ行く義務ではなくて、親が子どもに教育を受けさせる義務であって、子どもの義務ではない」といった正論を展開したそうだ。感心してしまうほどの頭の良さ。だが、もし親である自分が言われたらと思うと頭が痛い。言い返す言葉がない……。大事なのは「親としての器」「『社会で生きていくことは大変。お父さんもお母さんも、必死で仕事を頑張っている。だからお前も学校へ行け』なんてことを言いたくなる気持ちは、もちろんわかります。しかし、子どもにしてみたら『そんな人生がつらそうな親のアドバイスを聞いたなら、自分も将来、同じ目に遭いかねない』と意識下で感じ取るため逆効果です。そうではなく繰り返しになりますが、人を導びくには、相手からの信頼や尊敬が不可欠。『ゲームの時間を守らせたいなら、親も帰宅したらスマホをいじらない』『家で勉強させたいなら、まずは親が読書や勉強をする』『早く寝かせたいなら、親も一緒に早く寝る』というように説得力をともなわなければいけません。もちろん、『子どもと親は別』もその通りです。しかし、私たちだって『遅刻するな』と口うるさい社長がいつも遅刻していたら、『社員と社長は別』であることを知っていながらも、その社長を信頼や尊敬することは困難なわけです」経済力や職業といったスペックが大事なのではない。大切なのは、親としての器をどう作り上げていくかということ。そして、言葉で説明する際は、抽象的な説明は避けることも控えたほうがいいとも。例えば、「遅刻はよくない」ことを伝える際も、「ダメなものはダメ」ではなく、なぜ遅刻がいけないのかを具体的に伝えなければ信頼を得ることは難しいとも。たしかに成人すれば、遅刻=デメリットだとイヤでもわかる。しかし、子どもの時分では、せいぜい先生から注意される程度。子どもには理解できないだろうから、親自身が想像力を働かせて、伝えることが肝要となる。「心理学の世界に、“社会的結末を共有する”という考え方があります。遅刻を続ければ、いずれ保護者が先生に呼び出されて、子どもと一緒にしかられる。ところが、多くの親がそれを面倒くさがり嫌がるわけです。つまり、社会的結末を共有したがらない。ですが、それをやってあげることこそが親の愛情なのです」診察では「先生の言いたこともわかるが、そもそも痛い目を見る前に行動を変えられる子どもにしたい」と補説する保護者もいるという。「社会的結末を共有すれば、子どもは考えるきっかけを得ることができます。しかし、その共有もせずに親の言いつけを守らせたい気持ちは『親のコントロール願望』」と言えます。また、言われたことをむやみに実行する子どもは、将来、人から簡単に騙されかねないのです。子どもは子どものうちにたくさんの失敗をすることで、自分の頭で考える大切さを学び、人を見る目を養うのです」特に大事なのは「良好な夫婦関係」尊敬や信頼は、社会的結末を共有する際にも効果を発揮する。「親子で先生に呼び出された際に、先に謝るのは子どもではなく保護者である場合が多いでしょう。なぜなら呼び出されて困るのは、子どもではなく親なわけですから。ただし、そうした場面でも子どもからの尊敬や信頼が強ければ強いほど、『親に迷惑がかかるから、同じ失敗は避けよう』と子どもは考えるのです。最後に、私は夫婦そろって受診にいらしたケースでは、決まって良好な夫婦関係の再構築をお願いしています。言うまでもなく、子どもにとって両親はどちらも大切な存在です。そして、子どもはそんな二人が仲睦まじく生活する姿を通して、両親への尊敬や信頼を深めるからです」コロナによって社会の様式やルールが刷新された。保護者自身、子どもとの向き合い方をバージョンアップする局面を迎えている。山下 悠毅(やました・ゆうき)精神科医、ライフサポートクリニック院長、極真会館東京城北支部指導員。専門は依存症治療、うつ病やパーソナリティ障害のカウンセリング。追記:今の子供が青年・大人になったとき何人かは犯罪に走らないか心配です。マスコミで報道されいるような犯罪です。親はどうすることもできません。
2022.02.02
コメント(0)
下記の記事はNEWSポストセブン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。愛子さまの将来を案じられている(2016年12月、東京・千代田区、写真/アフロ)ご快復の途上ながら、雅子さまは「国母」のお役目を果たされようとしている。一方、「愛子さまの母」でもある。成人以降、過剰といえるほどに膨らむ愛子さまへの期待には雅子さまも戸惑わずにはおられまい。愛娘を守るために導き出された答え──。はるか以前より、皇室と一般国民との間には、分厚い「菊のカーテン」が存在した。「敬愛と畏怖」という精神的な結びつきがありながら、決して交わることのない両者の関係性は、戦後、時代が進むにつれ大きく変化した。特に、上皇ご夫妻が築かれた「平成流」は、美智子さまが民間から初の皇太子妃として皇室入りしたこととも相まって、「開かれた皇室」を象徴していた。カーテンは徐々に薄くなってきたのだ。その姿勢は、令和の皇室にも受け継がれている。昨年12月24日、秋篠宮さまが「日本学生科学賞」の表彰式に臨席された。その際、オンラインで交流された中高生との会話が、音声つきでメディアに公開された。「式典での挨拶を除くと、皇族方と一般の人とのやりとりの音声が公開されるのは極めて異例です。2019年に雅子さまが秋田県を訪問された際、動物の保護施設で、犬に“みよちゃん、いきますよ”と声をかけられた様子が伝えられたときも、大きな反響がありました。会話には、感情や個性が表れやすく、皇族方のお人柄が伝わりやすい。“カーテン”で秘することだけが皇室を守るわけではありません。非常に画期的な試みです」(宮内庁関係者)いま、多くの国民が関心を寄せているのが、昨年12月1日に20才の誕生日を迎えられた愛子さまだ。「12月5日に行われた成年行事では、報道陣の前での立ち位置について、事前に両陛下に相談されるなど入念に準備されたといいます。国民からどう見られているかの重要性を充分理解されているからでしょう。その効果もあって、成年皇族となられた愛子さまの成年は祝福をもって広く受け止められました」(皇室ジャーナリスト)年末に初の宮中祭祀を経験され、元日には成年皇族として最初の公務である「新年祝賀の儀」にも臨まれた。ところが一転、「講書始の儀」(1月14日)や「歌会始の儀」(18日)には、学業優先で試験期間中ということもあり、出席されなかったのだ。しかし遡ってみると、愛子さまの前に成年皇族になられた秋篠宮家の次女・佳子さまは、成人して初めて迎えた新年、講書始の儀にも歌会始の儀にも出席されたことがある。学習院大学を中退され、国際基督教大学(ICU)への入学を目前に控えていた時期だった。愛子さまへの注目度が高まっていた矢先の“愛子さま不在”──「菊のカーテン」はなぜまた分厚くなったのか。そこには母である雅子さまの憂いが見え隠れするようだ。国民からの人気が高いことを改めて示された(2021年12月、東京・千代田区、共同通信社)愛子さま人気は想像以上だった「歌会始の儀」の今年のお題は「窓」。天皇陛下は、コロナ禍にあえぐ世界が平穏を取り戻すことを願われ、雅子さまは、昨年お引っ越しされた御所の窓からご覧になった自然の豊かさを詠まれた。「雅子さまが御歌を披露されるとき、陛下が雅子さまに微笑みかけられていたのが印象的でした」(皇室記者)愛子さまは、高校2年時にイギリスのイートン校へ短期留学した際の、心弾むお気持ちを込められた。《英国の 学び舎に立つ 時迎へ 開かれそむる 世界への窓》長年皇室取材を続けている放送作家のつげのり子さんが話す。「愛子さまのお歌からは、希望に満ち、大空にジャンプするような屈託のなさを感じました。そればかりか、外交官として世界と交流し、国際親善の最前線に立たれていた雅子さまの役割を引き継がれたい、というお気持ちも込められているように感じられました」学習院大学文学部2年の愛子さまは、日本文学を専攻されている。愛子さまが前述したようなお歌を詠むことができるのは、単なる勉強以上の深い教養をお持ちだからだろう。「愛子さまの達筆ぶりは有名なところです。小学6年生の頃には『藤原道長』をテーマにレポートを作成。結びは《道長の人生は本当に幸せだったのだろうか》でした。中学の卒業文集では戦争と平和について思いの丈を記されました。また、中学1年生のときには、《私は看護師の愛子》という冒頭で始まる、けがをした動物を相手に主人公が奮闘する物語を創作されています」(前出・皇室ジャーナリスト)成人される前から、断片的にでも愛子さまのお姿やご活動が報じられるだけで、世間からは「やはり天皇家の第1子である愛子さまはすごい」と感嘆する声が聞こえていた。「宮内庁には、コロナ禍での公務減少と、それに伴って皇室の存在感が希薄になっていくことへの危機感が強くあります。なによりも、秋篠宮家の長女・眞子さんと小室圭さんの結婚騒動や、それを巡る秋篠宮家や宮内庁の対応の不首尾で、“皇室離れ”が起きている。愛子さま人気は、そうした逆境における一筋の光です。愛子さまにどんどん公務に出ていただき、皇室人気を回復するのがよい方策のように見えるでしょう。しかし、愛子さまの人気ぶりは想像のはるか上を行った。あまりに愛子さまへの注目度と人気が集まってしまうと世論を二分する事態を招きかねない。『愛子天皇待望論』の熱が高まりすぎると、混乱につながる可能性があるからです。母である雅子さまは、そういった事態を危惧されているようなのです」(前出・宮内庁関係者)2つの家はまるでシーソーのよう愛子さまへの期待が高まる一方、向かい風にさらされているのが秋篠宮家の長男・悠仁さまだ。悠仁さまは、お茶の水女子大学附属中学校の3年生。進学先としては、筑波大学附属高校(筑附高)が有力視されている。筑附高は、毎年30人前後を東大に送り込んでいる全国屈指の進学校だが、それよりも視線が注がれているのは、悠仁さまの“進学方法”だ。「筑附高へは、『提携校進学制度』を利用されることが濃厚とみられています。お茶の水大と筑波大の間で結ばれた制度で、双方の附属学校の生徒が進学を機に他方の学校へ入学できるというものですが、制定の経緯などを見るに“悠仁さまのために作られたのではないか”という指摘がある。一部には“皇室特権”だと批判の声もあります」(別の皇室ジャーナリスト)ただでさえ眞子さんの結婚問題の余波で、秋篠宮家に冷たい視線が投げつけられているなかで、さらに厳しい意見もある。「悠仁さまは皇位継承順位第2位です。天皇陛下の次世代に限れば、皇位継承権をお持ちなのは悠仁さまのみ。当然悠仁さまには充分な“帝王教育”が施されるべきですが、“これまで次男として奔放に生きてこられた秋篠宮さまにできるのか”“秋篠宮家で育った悠仁さまが天皇の重責を担えるのか”と、将来を不安視する声まで広がっています」(前出・宮内庁関係者)天皇家に生まれた一人娘と、筆頭宮家に生まれた男子。年齢も5つしか差がない同世代の愛子さまと悠仁さまが、折に触れ比較されるのは、避けられないことだ。「かつては、適応障害による雅子さまの療養のトンネルが続き、公務を満足に果たせない時期が延びると、秋篠宮家への期待感が高まった時期がありました。愛子さま誕生後は、2004年に小泉政権が、女性・女系天皇を容認する報告書を取りまとめたことで、視線が一気に愛子さまに集まった。かと思えば、2006年に41年ぶりの皇族男子として悠仁さまが誕生し、またしても世間の興味は秋篠宮家に。2つの家は、まるでシーソーのように交互に期待と注目を浴び、そのたびに答えのない比較に晒されてきたのです」(前出・皇室ジャーナリスト)まさにいま、愛子さまと悠仁さまは「天皇」を巡ってそのような状況にある。愛子さまの存在感が増せば増すほど、「愛子天皇待望論」は盛り上がる。対して有識者会議は、悠仁さままでの皇位継承順位は「ゆるがせにしてはならない」と結論づけた。「『愛子天皇』派と『悠仁天皇』派で国論が二分されてしまうと、ただでさえ安定的ではない皇位継承が、ますます不安定になります。雅子さまも、そのような状況には“待った”をかけたいでしょう」(前出・宮内庁関係者)2021年12月9日、58才のお誕生日を迎えられた(2021年12月、東京・千代田区・写真/JMPA)お相手次第では眞子さんのようになる愛子さまのご様子が伝えられれば、存在感は自然と増す。「愛子さまからにじみ出るお人柄のよさと優秀さは、もはや隠すことはできません。講書始も歌会始もそうですが、ならばいっそ『愛子さまは隠す』という方針に反転するというのが雅子さまのお考えなのではないでしょうか」(前出・皇室記者)国民から一心に期待を寄せられることの重圧は、なにより雅子さまご自身が経験されてきた。外務省時代からお妃候補としてメディアに注目され、結婚後も、雅子さまの一挙手一投足が国民の関心事となった。「お世継ぎへの期待はいつしかプレッシャーに変わりました。真面目な雅子さまはなんとか対応されようとしてきましたが、適応障害に苦しまれることになりました」(前出・皇室記者)いまなお、雅子さまは快復の途上にある。「雅子さまは、過度ともいえる注目に晒される経験をしています。その大変さを誰よりも強く理解されているからこそ、愛子さまを守らなければならないという懊悩もあるのではないでしょうか」(前出・宮内庁関係者)また、国民の皇族への思いはいとも簡単に変わる。眞子さんがいい例だ。「眞子さんは、上皇ご夫妻の初孫として生まれ、成年後はご公務にも大変真面目に取り組んだ。先細る皇室の期待の星でもありました」(前出・宮内庁関係者)しかし、そうした印象は結婚問題で一変。すべてを放り出してニューヨークに渡った。現在20才の愛子さまにも、いずれは結婚の話が出るかもしれない。「どれだけ愛子さまが素晴らしくても、お相手次第では眞子さんのようになるリスクがある。期待が過度であればあるほど、落差は大きくなると雅子さまは認識されています」(前出・宮内庁関係者)愛子さまはご自身の将来が不透明な状況に置かれ続けている。「結婚したら一般人になる」のか、「いずれ天皇になる」のか—─2006年の悠仁さま誕生以降、その将来は宙に浮いている。「だからこそ両陛下は、どのような決定がされても人生を全うできるようにと愛子さまを育ててこられました。それでも母として、子供の将来が定かでないのは不安でしょう。雅子さまは、愛子さまには幸せになってほしいと願われています。愛子さまが人前に出られることで将来に新たな混乱を招いてしまうならと、しばらくは“学業”を理由に愛子さまを表舞台から隠すことをお選びになったのではないでしょうか」(前出・宮内庁関係者)愛子さまの将来に続く窓は、いつ開かれるのだろうか。
2022.02.02
コメント(0)
下記の記事はビヨンドヘルス様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。2045年には、日本の高齢者の認知症有病率が25%を超えるとする推計データが報告された。敦賀市立看護大学の中堀伸枝氏、富山大学の関根道和氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Geriatrics」に10月26日掲載された。同氏らは、「2045年はまだ先のことだと感じるかもしれないが、認知症抑制政策は効果発現に長い時間を要することから、早急な対策が必要」と述べている。この研究は、富山県認知症高齢者実態調査のデータを利用して行われた。同調査は1983年にスタートし、現在までに6回実施されている。調査対象は同県に居住する65歳以上の高齢者から無作為に抽出。一例として2014年の調査では、同県内の高齢者30万7,582人の0.5%に当たる1,537人に参加協力を依頼し、施設居住者を含む1,303人から同意を得た(同意率84.8%)。それ以前の調査では、高齢者人口の0.9~1%に協力を依頼し、同意率は90.0~96.8%の範囲だった。なお、富山県の人口高齢化は、日本の平均より若干早く進行しているという。認知症有病率の推計には、認知症の診断を精神科医が行うようになった1985年以降の5回のデータを用いた。認知症の診断には、まず保健師らが改訂長谷川式簡易知能評価スケールで評価し20点以下の場合、または認知機能低下の既往のある場合などに、精神科医が改めて診察し診断を確定した。認知症患者数・有病率の推計には、まず1985~2014年の5回の調査における性・年齢別認知症有病率を算出。線形回帰分析により、2045年までの推定有病率の推移を予測し、それに都道府県別の性・年齢別高齢者人口予測値を乗算して、認知症患者数の予測値を求めるという方法をとった。続いて、算出された認知症患者数を各都道府県の高齢者人口の予測値で除して、有病率の推移を予測した。その結果、2025年には地方を中心とした5県(富山、長野、島根、山口、高知)で、高齢者の認知症有病率が20%を超えると予測された。2030年になると全都道府県で有病率が20%を超え、2035年までに42道府県(埼玉、東京、神奈川、愛知、沖縄以外)で25%を超えると予測された。そして2045年には、東京を除く全ての道府県で認知症の有病率が25%を超え、さらに12県(青森、秋田、山形、福島、鳥取、島根、高知、大分、長崎、宮崎、熊本、鹿児島)では30%を超えると予測された。都道府県によって予測される認知症有病率に差が生じる原因は、主として高齢者人口の予測値の違いにあるという。特に80歳以上の高齢者人口の急増が予想されている道府県では、有病率の上昇がより速いと予測されるとのことだ。著者らは、本研究の限界点として、「富山県のデータを全国の都道府県に外挿可能か」という点を挙げている。ただし、同県の認知症有病率は久山町研究の報告と大きな差がないことから、「結果が大きく外れている可能性は低いのではないか」としている。その上で、「都道府県別に認知症患者数を予測した研究はほとんどなく、本研究の結果は、地域ごとの認知症対策を進めるための重要な情報となり得る。2045年までに高齢者の認知症有病率は25%以上になると見込まれ、早急な対策が必要だ」と結論付けている。[HealthDay News 2021年12月13日]
2022.02.02
コメント(0)
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。人はいつか老いて病んで死ぬ。その当たり前のことを私たちは家庭の日常から切り離し、親の老いによる病気や死を、病院に長い間任せきりにしてきた。結果、死は「冷たくて怖いもの」になり、親が死ぬと受け止め方がわからず、喪失感に長く苦しむ人もいる。看取り士とは、余命告知を受けた本人の家族から依頼を受け、本人や家族の不安をやわらげ、思い出を共有し、最後は抱きしめて看取ることを支える仕事。時には単身者を支えることもある。体調が急速に悪化していた藤井明(仮名・83)はひとり暮らしで、肺がんのステージ4。看取り士が藤井の夜間付き添いと看取りを担い、訪問看護師との二人三脚で、「在宅ひとり死」を支えた事例を紹介する。「最期まで自宅で過ごしたい」に寄り添う訪問看護師の内堀敬子(52)は、在宅医療はその病状によって、医療の隙間をうめる人が必要な場合もあると話す。「私たちが利用者宅に滞在できる時間には限りがあるからです。藤井さんは、我慢できない痛みのつらさや不安から、夜間に電話をかけてこられることが多かったです。誰かにそばにいてほしい思いがひしひしと伝わってきました」写真左より内堀敬子さん、白瀧貴美子さん(写真:白瀧さん提供)藤井の希望は最期まで自宅で過ごすこと。内堀は看取りも近いと考えていて、残りの1、2週間を自宅で安心して過ごしてほしかった。2021年8月末の話だ。そこで藤井には、元看護師である看取り士の白瀧貴美子(56)と、夜間付き添いを加えた派遣契約を新たに結んでもらおう、と内堀は考えた。それなら心理面もふくめて夜間の痛みにも対応できる。内堀も看護師として働きながら、看取り士資格を取得。開業医の夫と連携して、2021年5月うちぼり訪問看護ステーション「桜乃(さくらの)」を愛知県岡崎市で開業した。そして白瀧が代表を務める看取りステーション「なごやかあいち」と、看取りサービスについて業務委託契約を結んだ。全国で初めての試みだ。終末期の本人や家族の意向をふまえたうえで、内堀は従来の訪問看護サービス以外に、体調が急変しても救急車を呼ばず、自宅での穏やかな時間の中で看取りを行うサービスを、ワンセットで提供する選択肢を付け加えた。柴田久美子・日本看取り士会会長は、終末期の人には訪問看護師だけでなく、訪問診療医とも連携する動きがあると話す。「藤井さんのように痛みが強く、ご不安の大きい単身者には夜間付き添いができる専門家が必要です。その場合、国家資格の介護福祉士や看護師免許を持つ看取り士を派遣します。終末期の方には、生と死の境界線上にあるいのちから目をそむけず、きちんと向き合う覚悟と経験を兼ね備えた人が必要ですから」「俺は死ぬのか?」の質問に彼女は即答した2021年9月上旬、内堀は白瀧と2人で藤井宅を訪れた。夜間に体の痛みなどに苦しむ藤井に、白瀧がその時間帯に寄り添ってくれることの安心感などを丁寧に説明した。藤井は悪化する体調と不安からか警戒心が少し解け、白瀧の話を聞こうという素ぶりを見せた。「ですが、痛みに耐えながらも生き抜こうとされていた藤井さんには、『看取り士』という言葉への違和感と、『心身ともに弱っている自分から、お金を巻き上げるつもりか?』という不信感もおありになるようでした」元看護師でもある白瀧は率直に語った。藤井は白瀧の話を聞き、一升瓶に貯まった100円玉硬貨などを数えてもらい、必要な金額があれば契約すると決めた。午後9時から翌朝7時まで夜間付き添い5日間と、白瀧が藤井宅へ通う交通費。看取りの費用をふくめた必要金額は22万円(料金は内容に応じて違う)。一升瓶の硬貨を白瀧さんが数えた(写真:白瀧さん提供)「お金を数えるだけで約1時間かかりました。5円玉や50円玉は別途ヒモに通して保管されていて、几帳面な方でした。10万円分を数え終えた時点で、藤井さんに『これなら22万円ありますよ』とお伝えすると、両頬に赤く血の気がさしたんです。それまでの青白く沈んだ表情とはまるで別人でした」(白瀧)白瀧が数え終えると、藤井は笑顔で拍手をして、「やったー!」と声まで上げて喜んだ。両肩で息をし、体を動かすのも大変だったのに、だ。藤井の3歳下の弟夫婦が車で約5分の所に暮らしていたが、弟は糖尿病で妻は世話に忙殺されていた。義兄の面倒まで見る余裕はないと藤井もわかっていたのだろう。藤井は真顔に戻って、白瀧に「俺は死ぬのか?」と聞いてきた。「看取り士との契約を結ばれると安心されて、それまでどおりの穏やかな生活を送られる方が多いです」白瀧が即答すると、藤井は短く「うん」と返した。言葉数が少ない人だった。一方の内堀も、終末期の人に大丈夫と伝えることの大切さを指摘する。「今、おうどん1本を食べられた。お水を1口、2口飲むことができた。『だから大丈夫ですよ』と私もお伝えします。それが希望になるからです。その『大丈夫』が1年、2年ではなく、この1日、2日の話だということは、ご本人もよくご存じですから」生死の境でこそ1日1日を生き続ける22万円を数えあげた当日から、白瀧による夜間付き添いが始まった。藤井は日々手書きでメモをつけており、白瀧は本人に頼んで後日見せてもらった。「朝、喫茶店ではサンドイッチを半分しか食べられなくなった」「ゆで卵一個は食べられた」「弟夫婦と一緒にうどんを食べた。おいしかった」いずれも自力で外出できていた頃のものだ。食への強い執着と食べられないことの戸惑い。その狭間で揺れながらも、行きつけの店に毎朝通い続けることへの藤井の執念が感じられた。だが、もう外出する体力はない。ちなみに白瀧の派遣契約を決めた日は、「ひさしぶりに笑った」と書かれてあった。白瀧が夜間付き添いを始めた頃はすでに介護用オムツをつけていたが、藤井はまだ自力でトイレに行くことにも強いこだわりを見せていた。藤井さんの最期の日々に寄り添った白瀧さん(写真:筆者撮影)「精神安定剤や医療用麻薬の服用も、当日の体調をふまえて自ら毎回調整していらっしゃいました。体調の良し悪しはあっても、頭は最後までしっかりとしていて、ご自分のことをつねに毅然と保とうとされていました」(白瀧)白瀧がいない午前7時から午後9時までの時間帯は、無償ボランティアの「エンゼルチーム」10人が交代で訪れ、ひとり暮らしの藤井を支えた。白瀧は彼の弟夫妻にもチームに加わってもらい、兄の死を受け止める心の準備を進めた。夜間付き添い4日目。藤井が母親に秘密でも伝えるように、「(おしっこが)出ちゃった……」と白瀧に打ち明けた。最期が近づくと全身の筋力が失われ、排泄もやがて我慢できなくなる。少し前まで「自分を失いたくないから眠りたくない」とさえ話していた藤井が、心の鎧(よろい)を脱ぎ、そう伝えてくれたことが白瀧にはうれしかった。彼女が口角を上げながら「もう頑張らなくてもいいですよ、任せてください」と伝えると、藤井はうんうんと黙ってうなずいた。「元気な方から見れば、『死に近づく』過程かもしれません。しかし、私には、藤井さんが体の変化を毎回冷静に受けとめ、私に少しずつ委ねていかれるように感じました。その一つひとつを藤井さんの意思で毎回選びとり、あくまでも前向きに生き続けようとされているって……」(白瀧)トイレに自力で行くことが、終末期の尊厳の「最後の砦」という見方がある。だが、白瀧は「最後の砦」の先に、藤井のいのちの輝きを見ていた。火花が出なくなった線香花火は、燃え尽きる寸前にその火の玉を少しふくらませてぷるぷると震える。その震えこそが藤井その人である、と。「ですから朝の日差しが部屋に入ってくると、『一晩をまた一緒に越えられた』と、日々感謝しました。数日後、朝日を浴びる藤井さんの姿がふいに神々しく見えて、『あっ、ご自身の死を受け入れていらっしゃる』と直感したら涙がこぼれました」(白瀧)それが旅立ちの日になる。5回の大きな深呼吸で彼が伝えたかったこと藤井が努力呼吸(普段は使わない部位を使って呼吸すること)に変わったと、白瀧は内堀から連絡を受けた。藤井がお漏らしを白瀧に伝えた2日後、9月14日の夕方だった。「13日の夜、藤井さんは言葉を発するのも難しくなりました。夜の11時頃に顔を見せた内堀さんに、藤井さんは辛うじて『キュッキュッ』と言われました。内堀さんは、子供がお風呂に浮かべて、手で押して鳴らすオモチャのことだと直感され、看護師仲間のお宅からすぐに借りてきてくれました」藤井さんが使った「キュッキュ」の玩具(写真:白瀧さん提供)内堀がオモチャを藤井に手渡して「おやすみなさい」と声をかけると、彼はそれを「キュッキュッキュッキュッ」と4回鳴らした。すると白瀧が内堀に、「『お・や・す・み』だって!」と言って笑った。その夜の藤井は右手で白瀧の手を、左手で鳴るオモチャをまるでナースコールのブザーのように握り、自分で選んだ内服薬を飲み、穏やかな表情で眠った。だが、翌14日にはオモチャを鳴らす握力もなかった。白瀧が同日17時過ぎに藤井宅に駆けつけると、すでに弟夫妻などが集まっていた。藤井の妹がベッドに上がり、白瀧にうながされて左内ももに藤井の頭をのせて顔を近づけ、か細い呼吸に自身の呼吸を合わせ始めた。看取りの作法だ。約1時間後、藤井が両肩を大きく上下させ、5回の深呼吸をして息絶えた。内堀が「『あ・り・が・と・う』だね」と言った瞬間、白瀧もそう直感した。「藤井さんが夜に電話してきて、『体が痛い』などと訴えられて電話を切る際に必ず、『ありがとう』と言われていたんです。几帳面で律儀な方でした」(内堀)内堀と白瀧のやりとりを聞いた弟夫妻も、「いいお看取りを見せていただきました」と目を潤ませた。弟夫妻はベット脇に順番に腰をかけ、藤井の頭を太ももに上にのせ、顔を近づけて、背中に手を回して彼の温もりに触れた。兄に触れるのを当初拒んでいた弟も、その頭を太ももにのせると嗚咽しそうになるのを必死にこらえていた。義理の妹が「お義兄さんは食べることが好きだったから、これからは私たちと一緒になんでも食べに行けるよね」と、その場を明るく灯すように言った。抱きしめて看取ったことで、藤井がそばにいると実感したからだろうか。荒川 龍 : ルポライター
2022.02.01
コメント(0)
下記の記事は日経グッディ様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。動きが遅くなる、手足が震える、といった症状が出現するパーキンソン病は、60歳以上の100人に1人がかかると言われている神経難病だ。かつては寝たきりになるとも言われた病気だが、治療が進化した今では、早く発見すれば進行を抑えることが可能になっている。パーキンソン病診療の第一人者、順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経内科教授の服部信孝氏に、パーキンソン病の特徴と治療の現状について聞いた。パーキンソン病は、60歳以上の100人に1人がかかると言われている。(写真=123RF)動作が遅い、手足が震える…こんな症状はパーキンソン病の可能性もパーキンソン病はどんな病気なのでしょうか。服部 パーキンソン病は高齢化に伴って増えている神経難病で、60歳以上の100人に1人がかかると言われています(*1)。気づくきっかけとなるのが4つの運動症状です(図1)。まず、動作が鈍くなる「寡動(かどう)・無動」。これが診断に必須の症状です。これに付随して、手足が震える「振戦(しんせん)」、筋肉が硬くなる「筋強剛・筋固縮」、体のバランスが崩れて転倒しやすくなる「姿勢反射障害」なども現れます。図1 パーキンソン病の主な症状最も典型的なのは、じっとしていると手足が震えるのに動かそうとすると止まる、「振戦」という症状です。ただし、パーキンソン病で振戦が見られない方も3割ほどいます。「筋強剛・筋固縮」は筋肉が硬くなる症状で、患者さんは「手足が突っ張る」「こわばる」とおっしゃいます。4つのうち、「姿勢反射障害」だけは進行してから出てきます。姿勢の保持が難しくなり、バランスを崩して転びやすくなるのですが、一般的に発症から3年以内に出ることはまずありません。これらの症状よりも早い段階から、便秘や嗅覚低下、うつなど、運動症状以外の兆候が出ることもあります。そのため、パーキンソン病は脳神経の病気でありながら、全身病だと言われるようになってきました。これらの症状を引き起こす原因は何なのでしょうか。服部 中脳の神経細胞が減少し、「ドパミン」という物質が欠乏して起こると言われています(図2)。ドパミンは脳が全身に運動の指令を出すときに必要な神経伝達物質なので、ドパミンが不足すると運動指令がうまく出せなくなり、動きに関連する症状が出るのです。加齢や遺伝、環境などが背景にあるとされますが、そもそもの原因は明らかになっていません。図2 パーキンソン病が起こる仕組み(イラスト原図=123RF)また、パーキンソン病の患者さんの脳には、α-シヌクレインというたんぱく質が蓄積した「レビー小体」という塊ができることも分かっています。年をとると皮膚にシミができるのと同様に、脳内にシミができるようなもので、これによって神経細胞が傷つくことも関与するとされています。パーキンソン病の症状は高齢者によくあるものばかりですが、この病気を疑うポイントはありますか。服部 パーキンソン病を疑う症状を挙げるなら、一番は動作が緩慢になる、寡動・無動です。また、睡眠障害もよく見られます。夢を見て大声を出す、暴力をふるうなどの傾向があれば、かなりの確率でパーキンソン病、あるいはパーキンソン病関連疾患(*2)になります。よく似ているのが、「レビー小体型認知症」というタイプの認知症で、こちらも睡眠障害や運動障害などが見られます。実はレビー小体型認知症とパーキンソン病は同じグループの病気で(レビー小体病)、いずれも脳にα-シヌクレインが凝集することが確認されています。認知症が先に出ればレビー小体型認知症となりますが、パーキンソン病でも高頻度に認知症を合併するため、この2つの扱いは難しいところがあります。治療の基本は「ドパミン」を補う薬物療法パーキンソン病が疑われたら、どのような検査を行うのですか。服部 まず症状ですが、4大症状のうち、「寡動・無動があり、それに加えて、静止時振戦と筋強剛・筋固縮のどちらかがあること」が診断基準の1つです。問診でこれらの症状の有無を調べた上で、必要に応じてDatスキャンやMIBG心筋シンチグラフィ、MRI、CTなどの画像検査を行います(*3)。画像検査は、ほかの病気ではないことを確かめる目的で行うことが多く、例えば、パーキンソン症候群や多系統萎縮症という病気はMRIで異常が見られやすいのに対し、パーキンソン病では異常が見られません。画像検査で診断がつかなければ、L-ドパ(レボドパ)という薬を使ってみることも有用です。MRIの画像が正常で、L-ドパが効けば、パーキンソン病だと診断されます。L-ドパとはどんな薬ですか。服部 L-ドパは、ドパミンの前駆物質と呼ばれるものです。ドパミンはそのまま投与しても脳の中に入らないのですが、ドパミンの前駆物質であるL-ドパを投与すると、脳内でドパミンに変換され、不足するドパミンを補うことができます。これによって、病気の進行を抑える効果があります。大まかに言うと、中等度以上で高齢の人にはL-ドパ、軽度で若めの人には脳の中でドパミンに似た作用を起こすドパミンアゴニストという薬が向きます(表1)。表1 パーキンソン病に対する治療(1)薬物療法(ドパミン補充療法)L-ドパ(レボドパ)L-ドパという、体内でドパミンに変化する「ドパミン前駆物質」を飲むことでドパミンを補う中等度以上の高齢者に用いることが多い長期使用により、ウェアリング・オフ現象やオン・オフ現象、ジスキネジア、ジストニアが起こることがあるドパミンアゴニスト(ドパミン受容体作動薬)脳の中でドパミンに似た作用を起こす軽度で、比較的若い人に用いることが多い眠気やむくみなどのほか、衝動的な行動を起こす副作用が出ることがある(ギャンブルや性的な依存症など)※ MAO-B阻害薬(ドパミンを長持ちさせる)、COMT阻害薬(L-ドパの分解を抑える)、抗コリン作動薬(震えなどを改善する)、アマンタジン(ドパミンの放出を助ける)などの非ドパミン系の薬を補うこともある*2 パーキンソン病関連疾患には、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症などがある。いずれもパーキンソン病と同じような症状が現れる。*3 Datスキャンは、ドパミンの回収・再利用を促すたんぱく質(Dat)の形状から、ドパミン神経細胞の脱落の有無を調べる。MIBG心筋シンチグラフィは、心筋の交感神経が変性していないかを見る画像検査。L-ドパを長く使うと副作用が出て困ることはありませんか。服部 L-ドパは長期に使用し続けると薬の持続時間がだんだん短くなっていくため、効果が切れたときに症状が出る、「ウェアリング・オフ現象」が見られることがあります。薬の成分の血中濃度が高いときは症状が良い「オン」の状態なのに、血中濃度が下がると「オフ」になって症状が出る現象です。また、血中濃度と関係なくオン・オフが切り替わる「オン・オフ現象」や、薬が効きすぎて「ジスキネジア」「ジストニア」が現れることもあります。ジスキネジアは本人の意思と関係なく手足が動く不随意運動、ジストニアは筋肉が突っ張って痛む症状です。この2つは複雑で、薬が効いたときに出るジスキネジアや、薬の血中濃度が上がるときに出るジスキネジア・ジストニア、血中濃度が下がるときに出るジストニアもあります。これらの現象が出たら、L-ドパを1日3回飲む人は回数を増やしたり、他の薬を補ったりします。軽度で若めの人に使うという、ドパミンアゴニストはどんな薬なのですか。服部 ドパミンアゴニストは脳内でドパミンに似た働きをする薬です。65歳以下の人がL-ドパを使うとジスキネジアが出やすいので、年齢や仕事の状況なども鑑みてドパミンアゴニストの使用を検討します。ただし、この薬にも副作用の可能性はあります。眠気やむくみのほか、衝動が抑えられずギャンブルや浮気に走ったり、周りの人が敵に見えて暴力的になったりする人も1割ほど見られます。薬を使う前は必ず副作用について説明しますが、これらの症状が出たら早く医師に相談することが大切です。「5-2-1基準」に該当すれば、次のステージの治療を検討する重度の場合、薬以外にも治療法はあるのでしょうか。服部 重症であるかどうかの判定には、「1日のL-ドパ服用が5回以上、オフが2時間以上、トラブルになり得るジスキネジアが1時間以上あること」が目安になります。この「5-2-1基準」に該当すれば、L-ドパ維持経腸療法や脳深部刺激療法といった治療法を検討します(表2)。これらの治療によりオフ時間が短くなり、脳深部刺激療法では薬の量を約半分に減らせる効果もあります。表2 パーキンソン病に対する治療(2)5-2-1基準(※)に該当する場合に検討される治療L-ドパ維持経腸療法腹部に開けた穴から、小腸にL-ドパを含む薬剤(デュオドーパ配合経腸用液)を入れる。ポンプで一定量を送り続けることで血中濃度を安定させる脳深部刺激療法脳に電極を植え込み、胸に入れた刺激電源から脳に電流を送る。ウェアリング・オフ現象やジスキネジアなどを抑え、薬の量を約2分の1に減らせるメリットがある※ 5-2-1基準…1日のL-ドパ服用が5回以上、オフが2時間以上、トラブルになり得るジスキネジアが1時間以上認められることL-ドパ維持経腸療法は、腸から持続的に薬を入れる治療です。胃ろうを作ってそこから小腸にチューブを入れ、ポンプにより一定の速度でL-ドパを送り込みます。L-ドパを飲み薬として服用すると、血中濃度が一気に上がってまた下がりますが、持続的に腸に入れるこの治療法なら、血中濃度の波が上下しにくくなります。まずは鼻から管を入れて試し、反応を見てから胃ろうを造設します。脳深部刺激療法は、脳に電極を植え込み、胸に入れた刺激電源から脳へ電流を流す方法です。高齢者に多い高次脳機能障害(*4)があると行えないので、70歳以上ならL-ドパ維持経腸療法、70歳未満なら脳深部刺激療法とするのが一般的です。ちなみに、L-ドパ維持経腸療法は消化器外科医や消化器内科医、脳深部刺激療法は脳神経外科医がいる医療機関でなければ行えないので、ある程度大きな医療機関にかかる必要があります。リハビリに努め、前向きな気持ちで過ごすのが一番運動や食事など、日常生活で気をつけることはありますか。服部 パーキンソン病にはリハビリテーションが有効で、1日20分の歩行で進行を抑える可能性があると言われています。軽度のうちから自宅でも運動することをお勧めします。パーキンソン病の患者さんは小刻みにつま先から歩くことが多いので、かかとから着地する歩き方を意識することも効果的です。食事はバランス良く、何でも食べるといいでしょう。L-ドパを含むことで知られるムクナ豆(八升豆)などの豆類を積極的に食べる人もいますが、薬以外のL-ドパは含有量が不明なのでお勧めしません。ちなみに、正確なデータはありませんが、パーキンソン病の患者さんは離婚率が高い傾向があります。治療薬の影響で、人が変わったように衝動的な行動をとることがあり、副作用であることが分からずに離婚となってしまうケースも少なくないようです。同居する人がいらしたほうがパーキンソン病の予後は良いので、どうか患者さんご本人とご家族が協力して、病気に対する理解を深めていただきたいと思います。最後に、患者さんに一言アドバイスをお願いします。服部 当大学では、α-シヌクレインの蓄積を抑える薬や、血液で診断するバイオマーカーなど、実用化に向けてさまざまな研究を進めています。パーキンソン病の検査・治療は大きく進歩し、今や天寿を全うできる病気となっているので、決して悲観することはありません。パーキンソン病は、喫煙や飲酒をしない人、仕事が趣味というくらい真面目な人、尿酸値が低い人などに多いと言われてきました。あくまでも傾向なので、もちろんわざわざ喫煙したりする必要はありませんが、できるだけ楽観的に過ごされたほうがいいと思います。登山やスポーツなどの趣味もあきらめることなく、前向きに生活しましょう。(図版制作:増田真一)服部信孝(はっとり のぶたか)さん順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経内科 教授985年順天堂大学大学院医学研究科卒業。医学博士。2006年より現職。2019年より同大学大学院医学研究科長・医学部長を併任。パーキンソン病研究の第一人者として知られ、日本パーキンソン病・運動障害疾患学会理事、日本神経学会理事、「パーキンソン病診療ガイドライン」作成委員会委員長などを務める。著書に『ウルトラ図解 パーキンソン病』(法研)、『最新版 順天堂大学が教えるパーキンソン病の自宅療法』(主婦の友社)など。編集協力:ソーシャライズ病気の解説やその分野のトップレベルのドクターを紹介するWebサイト「ドクターズガイド」を運営。
2022.02.01
コメント(0)
下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。画面は全部削除しています。原文をお読みなるには下記のizumidai207でお読みください。https://blog.ameba.jp/ucs/top.do2013年、イギリス王室の王位継承は男女関係なく第1子とする長子優先に変わった。ジャーナリストの多賀幹子さんは「男女平等を重視するヨーロッパ王室は、男子優先という従来の継承制度から次々と転換している。女性・女系天皇の議論が進まない日本の皇室は、時代の変化に取り残されている」という――。写真=dpa/時事通信フォトエリザベス女王、チャールズ皇太子、コーンウォール公爵夫人カミラ、ウィリアム王子、ケンブリッジ公爵夫人キャサリン、ジョージ王子、シャーロット王女、ルイ王子キャサリン妃の妊娠を知り、女王が希望したこと昨年末、安定的な皇位継承を検討してきた政府の有識者会議が報告書をまとめた。皇族数を確保するため、女性皇族が結婚後も皇室に残る案と、旧皇族の男系男子を養子に迎える案が盛り込まれた。長期間かけて熱心な討論がなされたはずだが、女性・女系天皇の是非など、今最も必要な抜本的対策には踏み込んでいない印象だ。一方、日本と同様に伝統を尊重し長い歴史を誇るイギリス王室では2013年に大きな変化があった。約300年ぶりに法律を改正し、王位継承を男子優先から完全な長子優先に移行することになったのだ。いったい何が起きていたのだろうか。2011年、チャールズ皇太子と故ダイアナ妃の長男ウィリアム王子と、大学の同級生だったキャサリン妃が結婚した。イギリスの人たちは、赤ちゃんのニュースを心待ちにしたが、翌2012年はロンドンオリンピックが開催。2人はイギリス選手団の応援代表に就任し、連日会場に顔を見せて声を張り上げた。この時期に妊娠発表をして選手の頑張りをかすませてはいけないという配慮からか、期間中におめでたの発表はなかった。雅子皇后も苦しめられた男子出産のプレッシャーオリンピックが終わるとまもなく第1子の妊娠が発表されたが、女王から1つの提案がなされた。女王は王位継承に関して長子優先への変更を希望するというものだった。それまでの制度では女性も君主になれるが、あくまで男子が優先された。1952年にエリザベス女王が君主に就いたのは、兄も弟もいなかったためだ。エドワード8世が離婚経験のあるシンプソン夫人と結婚するために退位した後、エリザベス女王の父ジョージ6世が戴冠した。当時10歳だった女王は、自分の「恐ろしい」将来を知って、母親に「弟を生んで」と懇願したといわれている。エリザベス女王は、キャサリン妃が出産にまつわるプレッシャーに苦しむことがないように、男子優先から完全な長子優先に変更すべきと考えた。この時、女王は口には出さないが、男子出産のプレッシャーを抱えていた雅子皇后に同情を寄せていたといわれている。女王はメディアを通じて、それとなく長子優先への期待を示した。イギリス国民の反応は、前向きだった。これは「アドバルーンを揚げる」と呼ばれている。女王らが何か決定する前に国民に問いかけ、反応を待つ。「女性に君主は務まる」を体現した女王国民が長子優先に賛成したのは、男子優先が時代遅れであると感じていたからだ。男女平等は国の大事なルールであることを具体的に示す必要性は共通認識になっていた。一番初めに生まれた子供が性別に無関係に君主に就くと定めるのは、わかりやすい男女同権の証しである。女性に母と妻と君主の役割を背負わせるのは、荷が重すぎて心配であるという「紳士」の立場からの意見もあったが、これはエリザベス女王の並外れた努力に水を差すものとして一蹴された。4人の子供を出産・育児(ナニーが面倒を見たとしても)をしながら長く健康で君主の公務を勤勉に果たした姿が説得力を持った。「女性に君主は十分に務まる」ことを女王は体現していた。写真=iStock.com/Yurii Kifor※写真はイメージですキャサリン妃は2013年に長男ジョージ王子を、2年後には長女シャーロット王女を出産した。王女が生まれた際には、「歴史的なプリンセス」と呼ばれた。たとえ彼女の下に男の子が生まれても王位継承順位が揺るがない、王室史上初めてのプリンセスなのだ。実際、その後に次男ルイ王子が誕生したが、王女の順位4位は変わらなかった。ヨーロッパの王室に近く訪れる「女王の時代」イギリスは歴史と伝統を重視するが、変化もまた受け入れる。女性には体力的・精神的に君主は無理があると主張する人がいても、女王のこれまでの成功と人気は、女性君主が十分に可能であることを示した。それに何より、7つ(モナコなど公国を除く)あるヨーロッパの王室で、男子に限定していたかつての王位継承制度から男子優先、さらに長子優先に切り替える流れがあったことも影響している。イギリス王室はむしろ遅かったと見なされた。現在、在位している女王はエリザベス女王とデンマークのマルグレーテ女王(1972年に即位)の2人だが、スウェーデン、ノルウェー、オランダ、ベルギー、スペインでもいずれ女王が誕生する見通しだ。ヨーロッパでは「女王の時代」がすぐそこまで来ている。男子優先では「男女平等への努力を損なう」まずスウェーデン王室。ここはすでに1952年に国会で初めて女子の王位継承権を認める動議が提起された。それは、「王朝の存続」と「男女平等」の観点からだった。ただ、大きく動いたのは1970年代後半になってからだ。国内では、女子の王位継承を認めたとしても、男子優先継承を選択すれば、教育など国内のあらゆる方面で行われている男女平等への努力を損なう恐れがあるという懸念があった。したがって、男女平等を達成する方法で女子の王位継承を導入すべきとして、1979年に「完全長子優先法案」が国会で可決された。この法案は、ヨーロッパでは初めての例だった。1977年にビクトリア王女が誕生し、弟カール・フィリップ王子が2年後に生まれたが、ビクトリア王女の王位継承順位は1位のままであり、皇太子と位置づけられた。ビクトリア皇太子は、民間のジムのトレーナーであった平民のダニエル氏と恋愛、多くの反対を乗り越えて結婚にこぎつけた。第1子は2012年生まれのエステル王女だ。弟オスカル王子がいるが、エステル王女が母ビクトリア皇太子の次に女王になることが決まっている。国民が期待を寄せるベルギー史上初の女王ノルウェー王室は、男子のみが王位を継承するとした1905年の憲法の規定が適用されていた。それが1990年、男女平等の観点から憲法が改正され、長子優先となった。ホーコン皇太子の交際相手、メッテ=マリット皇太子妃には連れ子がいて、その子供の父親が麻薬で収監されたことがあった。妃自身も麻薬パーティーに参加したとして、結婚に反対する声が高かった。しかし、妃の「過去は変えられないが、未来は変えられる」という涙ながらの謝罪と誠実な誓いに流れが変わり、妃は国民から受け入れられた。王室のウェブサイトには「1990年の憲法改正にともない、男女の区別なく第1子が王位継承順位1位になる」と明記されている。これにしたがって2004年生まれの長女イングリッド・アレクサンドラ王女が将来の女王になる。ベルギーは1991年、議会が男女同権の観点より長子優先と決め、憲法が改正された。そのために第1子で2001年生まれのエリザベート王女が次の女王と決まっている。ベルギー国民は史上初の女王誕生に期待を寄せている。エリザベート王女は、オランダ語、フランス語、ドイツ語が堪能で、13歳の時に3カ国語で追悼スピーチをして絶賛された。さらに英語も堪能で、君主の伝統である軍の学校での訓練もこなすなど、文武両道の才女だ。現在はオックスフォード大学で政治などを学ぶ。オランダ王室は、1983年に長子優先になった。現在のウィレム=アレクサンダー国王には3人のプリンセスがいて、2003年生まれの長女カタリナ=アマリア王女が次期女王になる。将来の女王たちと愛子さまは同世代スペイン王室では、2005年生まれの長女レオノール王女が将来の女王だ。スペインは男女平等の観点から、男子優先を長子優先にするべきとの国会の動きがあった。男子誕生でレオノール王女の継承順位が下がるのを防ぐためだったが、レティシア王妃の第2王女の懐妊が発表され、緊急性がなくなった。法改正には至っておらず、7つあるヨーロッパ王室で唯一男子優先が維持されている状態だ。レオノール王女は、13歳の誕生日にスペイン憲法を読み上げることを最初の公務とした。16歳の時には、イギリスのウェールズにある国際的な寄宿学校に入学、一般生徒らとの集団生活を経験している。これらの国の将来の女王たちは2001~2005年生まれと、2001年生まれの愛子さまと同年代だ。その母に当たる王妃らに目を向けると、興味深い共通点がある。彼女たちは平民、高学歴、結婚前はキャリアウーマン、語学堪能などで、いずれも恋愛結婚である。オランダのマクシマ王妃はアルゼンチン出身で、ニューヨークで銀行の管理職をしており、デンマークのメアリー皇太子妃はオーストラリア出身で、結婚前はマイクロソフト社で働いた。国際結婚もまったく珍しくない。日本の皇室は「不平等」の象徴でいいのか先日、オランダでは「たとえ王位継承者が同性愛でも退位の必要はない」と首相が発言したり、王室専用馬車の側面にひざまずいた奴隷が白人領主にココアなどをささげる様子が描かれているとして、国王が馬車の使用を無期限に停止したりした。「過去をなかったことにすることはできない。しかし過去の汚点を引き継がない」との強い意志が伝わる。王室こそ、人権問題においてリーダーシップを取る立場にあるという考えが根底にあるのだ。イギリス王室のウィリアム王子は、キャサリン妃の出産をまずツイッターで国民に知らせた。またインスタグラムなどのSNSを使用して、誕生日や記念日などの機会をとらえては国民との距離を縮めている。キャサリン妃のカメラの腕前はプロ級といわれ、撮影する3人の子供の写真は特に人気があり、「開かれた王室」に貢献している。こうした例を見ていると、皇位継承で男女平等さえ実現できない日本の皇室は周回遅れといえるのではないか。日本の皇室は特別で、ヨーロッパの王室とは違うと主張しても、国際的には理解されにくいのが現実だ。「日本は男子のみでいい」「皇室に変化の必要はない」といった意見も、ただの独りよがりに感じる。写真=iStock.com/licsiren※写真はイメージです女性天皇を認めない皇室は、日本社会の男女「不平等」の象徴になってしまっている。国民の7割以上が女性天皇に賛成であるという世論調査やアンケート結果が出ているのに、なぜそれは反映されないのだろうか。今、皇室が変わるチャンスを逃すと、日本の男女平等の実現は大きく遠のいていくに違いない。皇室の「ガラパゴス化」がこれ以上進まないためにも、皇位継承のあり方が国民的な議論となり、進展することを期待したい。多賀 幹子(たが・みきこ)ジャーナリストお茶の水女子大学文教育学部卒業。企業広報誌の編集長を経てフリーのジャーナリストに。1983年からニューヨークに5年、95年からロンドンに6年ほど住む。女性、教育、社会問題、異文化、王室をテーマに取材。
2022.02.01
コメント(0)
下記の記事は日刊ゲンダイヘルスケアデジタル様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。 健康で長生きしたいのなら、理にかなった生活習慣を身につける必要がある。ならば体が変化した今と若い頃とでは生活習慣や治療法を見直すことは当然だ。自由診療歯科医で「八重洲歯科クリニック」の木村陽介院長に「歯磨き」時の歯ブラシ選びについて聞いた。「磨く」という以上、力を込めてゴシゴシ洗い、勢いよく水ですすぐのは当たり前だ。そう考えている人もいるだろう。しかし、そのやり方は間違いで60歳を越えたらより注意すべきだ。「力を込めて歯磨きをすることで歯がダメになるからです。年を取ると歯肉がやせて歯茎が下がり、歯を支える力が弱くなります。若い頃と同じように力を込めた歯磨きをすると、この状態に拍車をかけることになります。歯肉が傷つくと歯肉が退縮して歯茎が下がってしまうのです」 一度下がってしまった歯茎は元には戻らない。また、磨き過ぎでエナメル質が傷つくと、その下にある象牙質が露出して知覚過敏や虫歯になりやすくなる。「とくに露出した歯の根っこはエナメル質と比べて虫歯になる確率は3倍になるといわれていますので注意が必要です。歯と歯茎の境目にできてくるくぼんだ欠損のことを『くさび状欠損』と言います。『歯頚部』とも言い、エナメル質と呼ばれる歯の硬い層から象牙質と呼ばれる軟らかい層に移行する部分にあたります。かみ合わせの悪さや過度な強い咬合力だけでなく過度な歯磨きを続けることでできるといわれています」 ではどうするのか? 単に力を込めて歯磨きすることをやめればいいだけだが、若い頃から続けてきた歯磨きの加減を急に変えるのは難しい。ただでさえ歯列の乱れや歯肉がやせて歯茎が下がった中高年の歯磨きは、磨き残しが起きやすく大変だ。そこで注目したいのが高性能の電動歯ブラシ。「高性能の電動歯ブラシは丸形ブラシが左右に回転して汚れをかき落とす『回転式』と細長ブラシが高速振動する『音波振動式』があります。私が薦めたいのは音波振動式で、音波振動と超極細毛で人間の手では届かないところの汚れや取れない汚れをしっかり除去してくれます。しかも歯に強く押し付けようとすると動きを止める機能がついている。それでいて、手で行う歯磨きと同じく、歯と歯の境目は斜め45度の角度で毛先を当てるのは同じです」 機種によってはスマートフォンと連動し、専用アプリで歯磨きの状態を視覚化して確認できるものもある。
2022.02.01
コメント(0)
下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。画面は全部削除しました。米製薬企業のモデルナは、新型コロナウイルスの遺伝子情報が公開されてからわずか3日間でワクチン候補を設計した。立教大学ビジネススクール教授の田中道昭さんは「モデルナの特徴は、mRNAという手法で製薬業界の常識を覆したことにある。まるで自動車業界を破壊したテスラのようだ」という――。※本稿は、田中道昭『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』(インターナショナル新書)の一部を再編集したものです。写真=AFP/時事通信フォト新型コロナウイルスのワクチン開発で先行する米バイオ医薬品企業モデルナの本社(アメリカ・マサチューセッツ州ケンブリッジ)全ての画像を見る(6枚)SARSで20カ月かかった時間を90%削減した新型コロナウイルスの遺伝子情報が中国の科学者らによってインターネット掲示板に公開されたのが2020年1月10日でした。モデルナは、この遺伝子情報の開示を受けて、1月13日までに新型コロナウイルス・ワクチン候補の設計を完了、2月7日までにその臨床試験用ワクチンを製造し品質試験を実施、そして2月24日には臨床試験に向けてNIH(米国国立衛生研究所)へ送付したといいます。遺伝子情報の開示からワクチン候補の設計完了まで、わずか3日。そしてワクチン候補の設計完了から臨床試験準備完了までの期間は、わずか42日。この42日は、これまで同じプロセスで最速であったのがSARSの時の20カ月ということですから、臨床試験の前工程にかかる時間が約90パーセント削減されたことになります。広告続いて、NIH主導で3月16日にはフェーズⅠ臨床試験、5月29日にはフェーズⅡ臨床試験が開始され、7月27日にはNIHとBARDA(米国生物医学先端研究開発局)との共同でフェーズⅢ臨床試験が始まりました。10月22日には、米国の18歳以上の約3万人を対象とした臨床試験が終了。その後12月18日にモデルナの新型コロナウイルス・ワクチン「mRNA-1273」はFDA(米国食品医薬品局)によってEUA(緊急使用許可)が出され、すでに広く使用されるに至っています。臨床試験完了までわずか9カ月というスピード通常、ワクチンや薬の開発には、研究開発や実験、前臨床、フェーズⅠ~Ⅲの臨床試験、認可申請、審査も含めて10~15年程度かかると言われています。それが、モデルナは、新型コロナウイルスの遺伝子情報が公開されてからわずか9カ月足らずで、NIHなどとともに臨床試験を完了させたのです(図表1)。出典=『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』臨床試験の段階においてはトランプ前政権が打ち出した新型コロナウイルス・ワクチンの開発・製造・流通を加速させる政策「ワープ・スピード作戦」が作用したということもありますが、驚くべきスピードであることに間違いはありません。モデルナの『2020年アニュアルレポート』などによると、同社の新型コロナウイルス・ワクチンは、米国の他にも、EU、日本、カナダ、韓国、フィリピン、英国、スイス、コロンビア、イスラエル、台湾、カタール、シンガポールへの供給について契約を締結したとされています。日本では、モデルナのワクチンは、ファイザー製とアストラゼネカ製に加えて、2021年5月21日に厚生労働省によって特例承認されています。初めて作った製品で「業界のエリート」入りを果たすナスダックに上場するモデルナの株価は2020年はじめから堅調に上昇を続け、最高値を付けた2021年8月9日には2018年12月の上場時と比べて26倍超まで上がりました。モデルナは上場時にも75億ドルというバイオ・製薬企業としては史上最高の株式公開時の評価額をつけていましたが、今やその時価総額は1370億ドル(約15兆5000億円、2021年10月1日時点)を超え、すでにフランスのサノフィなどを抜き英国のアストラゼネカに迫るなど、世界有数の規模と業績をもつバイオ・製薬企業に肩を並べています(図表2参照)。出典=『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』まさに、モデルナが「バイオ業界のエリート入り」(Bloomberg 2021年7月14日)したわけです。モデルナは、2020年期に新型コロナ・ワクチンを販売し売上高を立てるまでは、医薬品やワクチンなど製品販売による売上高はゼロ。新型コロナウイルス・ワクチン「mRNA-1273」はモデルナが初めて販売した製品です。2021年4月時点で先述の国・地域への13億回以上のワクチン供給について契約していることから、その売上高が2021年以降に計上されてくるでしょう。2019年12月に中国の武漢で最初の新型コロナウイルス感染症の患者が報告されてから、まだ2年程度しか経っていません。それなのに設立からわずか10年余りのベンチャー企業モデルナは、地球規模で深刻な打撃を与えている新型コロナウイルスのワクチンを迅速に開発・製造し、ビッグファーマーと並んで世界へ販売・出荷。モデルナの株価の上昇は、こうしたことを市場が高く評価している証左です。写真=iStock.com/Evgenia Parajanian※写真はイメージですテスラが仕掛けた「業界の破壊と刷新」と重なるモデルナは「バイオテク界のテスラ」(Bloomberg 2021年月7月17日)とも呼ばれています。設立から20年も経たないEV(電気自動車)メーカーのテスラは、自動運転など最先端テクノロジーや既存の自動車メーカーにはない開発思想を採用して、次世代自動車産業をリードしています。テスラの株価は2019年終わり頃から上昇を続け、2021日11月2日時点で2020年年初と比べて13倍以上にまで膨れ上がっています。時価総額も同10月25日には1兆ドル(約113兆円)を超えました。11月2日時点のテスラ時価総額は、トヨタ、VW、GW、フォード、ステランティスなどの世界の名だたる自動車の合計時価総額を大きく上回っています。これは、市場がテスラを、既存自動車業界をディスラプト(破壊・刷新)して自動車産業に新たな領域を切り開くテクノロジー企業として捉えていることを示唆しています。「劇的な革新を起こす50社」のトップにモデルナもまた、既存の製薬企業が採用してこなかったテクノロジーや発想で、製薬業界の新しい領域を切り開いてきています。そのことが一般に知られることになったのが、モデルナが新型コロナウイルス・ワクチン「mRNA-1273」を販売・出荷した2020年から遡ること5年前の2015年でした。広告2015年5月、経済ニュース専門放送局のCNBCが「ディスラプター50企業」を発表しました。「ディスラプター50企業」とは、16の事業領域から既存ビジネスをディスラプトして劇的な革新を起こす企業50社を選定したものです。テスラのイーロン・マスクCEOが創業した宇宙開発企業「スペースX」、ライドシェア・プラットフォーム「ウーバー」、民泊プラットフォーム「Airbnb(エアビーアンドビー)」、音楽やポッドキャストのストリーミングサービス「Spotify(スポティファイ)」など、今や広く知れ渡った多くのベンチャー企業が名を連ねていました。そして、ディスラプター50社のトップに立ったのが、その前年にも8位につけていたモデルナ(旧名モデルナ・セラピューティクス)でした。写真=iStock.com/carmengabriela※写真はイメージです疾患ごとに作るのではなく、一度で複数の疾患とたたかえるその際、CNBCはモデルナについての評として次のコメントを残しています。「想像してみてください。人体そのものが病気を治すのに必要とされる薬を作ることを。これが、モデルナがやろうとしていることです。(中略)モデルナの手法は、mRNAを使用して人体の細胞に指示またはコードを与え、糖尿病や心臓病からがんに至るまですべての種類の病気とたたかうために、タンパク質と抗体を作製するというものです。モデルナが創業間もない他のバイオテクノロジー企業に勝る主なアドバンテージの一つは、そのmRNAが、疾患ごとに一つひとつ薬物療法を定義して作成するという典型的で時間のかかる道程をたどるのではなく、一度に複数の疾患とたたかうことに集中することができる点です」(CNBC 2015年5月12日、2016年3月1日更新、筆者訳)このCNBCのコメントで言及された「mRNA」を使用した手法こそ、モデルナが採用するテクノロジーや発想です。mRNAというバイオテクノロジーの専門用語は、モデルナの戦略を語る上で絶対に外すことのできないとても重要な単語です。mRNAとは「自分の細胞が自らタンパク質を作るための設計図」と覚えていただければと思います。これまでの常識を覆したmRNAのすごさCNBCが「人体そのものが病気を治すのに必要とされる薬を作る」「mRNAを使用して人体の細胞に指示またはコードを与え、糖尿病や心臓病からがんに至るまですべての種類の病気とたたかうために、タンパク質と抗体を作製する」とコメントしたように、製薬企業が製造した薬を口から飲むのではなく、人体の細胞に病気を治すためのタンパク質、つまり薬を作ってもらう。そのための設計図がmRNAというわけです。また、「mRNAが、疾患ごとに一つひとつ薬物療法を定義して作成するという典型的で時間のかかる道程をたどるのではなく、一度に複数の疾患とたたかうことに集中することができる」とCNBCは述べました。意味はこうです。簡単な例で言えば、風邪にかかった時は風邪薬を飲むでしょう。一般的に、その風邪薬は、風邪という病気に対して効果を発揮する薬物療法として、製薬企業によって開発・製造されたものです。しかし、mRNAの手法を使用すれば、風邪という一つの病状に対する薬物療法ではなく、風邪やその他の疾患へも対処するような「一度に複数の疾患とたたかう」薬物療法を開発することができる。mRNAはそういった「一度に複数の疾患とたたかう」ための設計図を細胞に届けることができる、ということです。「われわれのワクチンは製薬業界を破壊する可能性がある」実際、モデルナは新型コロナウイルス・ワクチンの追加接種と季節性インフルエンザ・ワクチンの接種が一回で済むワクチンの開発に着手していることを明らかにしました(ロイター 2021年9月10日)。モデルナは呼吸器感染症の原因となるウイルスや呼吸器系の疾患に対する「混合ワクチン」の開発を目指すとのことで、まさにmRNAが「一度に複数の疾患とたたかう」のです。こうしたmRNAを使用した手法は、私たちが一般的に使っている薬とは本質的に異なっています。もしモデルナがmRNAを使用した手法を広く浸透させることができるなら、テスラが既存の自動車業界を破壊しているように、既存の製薬業界の破壊につながるかもしれません。実際、モデルナのCEOステファン・バンセル氏は「われわれはワクチン市場を完全に破壊することになる」(Bloomberg 2021年7月16日)、「われわれのワクチンは製薬業界を破壊する可能性がある」(UBP NEWSROOM 2021年4月14日)と言い切っているのです。「mRNAサイエンスでベストになる」ための“10倍思考”とはモデルナは、立ち上げからの「20年ジャーニー」で「mRNAサイエンスでベストになる」とコミットしています。現在その折り返し地点にいるわけですが、新型コロナウイルス・ワクチン「mRNA-1273」の販売・出荷や供給契約締結によって飛躍を遂げた段階です。そして、ベストになるためのドライバーとして、スケーラビリティを想定した「10倍思考」、データ分析、機械学習、AI、ロボティクスなどデジタルテクノロジーを活用した「プロセスの最適化」、デジタル・インフラの活用による「競争優位性」、および「mRNA業界において最大規模であること」を挙げています。田中道昭『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』(インターナショナル新書)最後に、バンセルCEOの「10倍思考」に関するインタビュー記事を引用して結びにしたいと思います。「私は当社が、今後10年間で10倍の規模になると予想しています。この『10倍思考』は、私が経営してきた中でも最も重要な考え方です。私は毎朝オフィスに来るたびに、この事を意識します。人の心の不思議なところは、時間的な制約が厳し過ぎると創造性が失われてしまうことです。10年という時間枠があれば、大きな事を考える余裕が生まれます。私たちがよく使うもうひとつの考え方は、『もしも魔法の杖を持っていたら』というものです。このようにしてビジョンが合意されると、私たちはこのビジョンとそれを達成するために必要な段階的なステップに向かって、ペダルを逆に踏みます。私たちはこの10年間、毎日この作業を行ってきました」経営陣がいかにAIを使いこなせるようにするか「私たちの最大の課題は、文化の希薄化にあります。私たちは素晴らしい技術を持っており、技術力が劣後するリスクはもはや過去のものとなりました。財務的なリスクも今では緩和されています。計算されたリスクを取り、迅速に行動し、データに適応するという、当社をここまで成長させた文化を維持するように努力しなければなりません。私たちの判断は全てデータに基づいて行われるのです」(Pictetのコーポレートサイト、バンセルCEOとピクテ・グループ シニアパートナーのルノー・デ・プランタ氏との対談、2021年7月2日)「AIの場合、最大の課題は経営層の意識改革です。当社では、10年以上にわたって何千もの実験を行ってきましたが、これらのインプットから得られたmRNAのインサイトをコンピュータが提供するようになりました。コンピュータは人間には見つけることができない相関関係を、大量のデータから見つけ出すことができます。AIを会社のDNAの一部にするために、社内のトップ200人がいかにAIを使いこなせるようにするかが課題です」(同)田中 道昭(たなか・みちあき)立教大学ビジネススクール(大学院ビジネスデザイン研究科)教授シカゴ大学経営大学院MBA。専門は企業戦略&マーケティング戦略、及びミッション・マネジメント&リーダーシップ。三菱東京UFJ銀行投資銀行部門調査役、シティバンク資産証券部トランザクター(バイスプレジデント)、バンクオブアメリカ証券会社ストラクチャードファイナンス部長(プリンシパル)、ABNアムロ証券会社オリジネーション本部長(マネージングディレクター)などを歴任し、現職。
2022.01.31
コメント(0)
下記の記事はデイリー新潮オンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。寒い寒い、コロナもまだ怖い。やっぱり家に閉じこもりがちになりそうな今年の冬。が、「ステイホーム」の裏には、隠された危険もある。加齢に伴って身体の機能が低下する「フレイル」「ロコモ」。以下は、介護生活に陥りたくない中高年が知るべき、その防御術である。***まずは、掲載の図にある「立ち上がりテスト」を試みていただきたい。40センチほどの高さの椅子から、片脚で立ち上がって3秒間姿勢を保持する。これができなければ、あなたは「フレイル」「ロコモ」の一歩手前、つまり、将来の「要介護」予備軍かもしれない……。コロナ感染者数が急減したのも束の間、オミクロン株が登場し、第6波到来の可能性も取り沙汰される。加えて日に日に寒さは増し、再び巣ごもり生活に舞い戻りそうなこの冬。「感染予防も重要ですが、それと同じように、フレイル対策にも十分留意してほしいと思います」と語るのは、東大名誉教授の大内尉義(やすよし)氏である。フレイルとは「虚弱」との意味で、加齢に伴い、筋力や食べる力、認知機能、社会とのつながりなどを含む、心身の活力が低下した状態を指す言葉だ。また、ロコモという言葉もある。ロコモティブシンドロームの略で、運動器(身体を動かす器官)の障害により、歩行・立ち座りなどの移動機能に低下をきたした状態と定義されている。「要介護の一歩手前という点では同じですが……」と述べるのは、整形外科医で大阪・宮田医院院長の宮田重樹氏。「フレイルが身体だけでなく、精神的、社会的な側面での『衰弱』が含まれる一方、ロコモはそのうち身体、運動機能の障害を表します。いずれにせよ、両者とも、そのままにしておけば要介護状態、そして寝たきりへと進んでいきますが、逆に言えば、フレイルやロコモの段階、あるいはその前段階で手を打てば、そこに至らずに済むのです」フレイル状態の患者は約270万人日本人の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳まで延びているが、平均で男性は9年、女性は12年余りを介護などが必要な状態のままで最後を迎えるという。単に長生きするだけでなく、自立した生活ができる生存期間=健康寿命を延ばすことも重要で、そのためにも、フレイル・ロコモ対策は重要なのだ。「フレイル状態の“患者”は、全国で男性100万人、女性170万人いるとの調査結果が出ています」と前出・大内教授が言う。「健康長寿を達成するために、フレイル対策は国民的課題となっていますが、コロナの流行によってさまざまな活動が制限され、高齢者は外出や運動の機会が減り、食も細くなっている。コロナによって、高齢者のフレイルが進んでいるのは間違いないと思います」横断歩道が渡れない問題の深刻さがわかる。大内教授によれば、フレイルの診断で一般的なのは、国立長寿医療研究センターによる以下の基準だという。〇半年で2~3キロ以上の(意図しない)体重減少〇握力の低下(利き手で男性28キロ未満、女性18キロ未満)〇ここ2週間、わけもなく疲れたような感じがする〇歩行速度が1メートル/秒未満〇定期的に運動・スポーツをしていないこの5項目のうち、3項目以上が該当すればフレイル、1~2項目が該当すれば、プレフレイルだとか。大内教授が言う。「歩行速度が1メートル/秒というのは、信号が青になってから点滅し始めるまでの間に横断歩道を渡れるかどうかの一つの目安。横断歩道を急がずに渡れなくなれば、フレイルを疑った方がいいかもしれません」また、ロコモに陥っているかどうかを見分けるには、掲載の図の、二つのテストがわかりやすい。まず、立ち上がりテスト。40センチの高さの椅子や台から片脚で立ち上がって3秒以上静止してみる。続いて2ステップテスト。図のように大股で2歩歩き、その長さと身長から「2ステップ値」を計測してみる。立ち上がりや静止ができず、2ステップ値も1.3未満であれば「ロコモ度1」と判定される。また、20センチの高さから両脚で立ち上がることができず、2ステップ値が1.1未満であれば「ロコモ度2」、30センチの高さから両脚で立ち上がれず、2ステップ値が0.9未満であれば「ロコモ度3」に該当するわけだ。宮田院長が言う。「これらのテストによって、足腰がどれくらい弱っているかが測れます。これに25項目の質問への回答を合わせてロコモ度は判定される。ロコモ度3ならフレイル状態、1~2もプレフレイル状態と判定されます」宮田院長が勧める四つのトレーニング(他の写真を見る)効果的なトレーニングは?もしこれらのテストで、フレイルあるいはプレフレイルに該当するならば、今すぐにでも対策を始めた方がよいのは、先に述べた通り。そのためには、「何より、しっかりと運動することが重要です」と、宮田院長。「高齢者の皆さんに運動を勧めると、ウオーキングに取り組む方が多い。しかし、歩くのは持久力が付くとしても、それだけでは筋力の強化には繋がりません。筋力を向上させるためには、最大筋力の40%以上の負荷をかけないと駄目なのです。保持するのにも20%以上の負荷が必要。でもウオーキングの場合、使う筋力は最大筋力の5~15%なのです」そこで、宮田院長が勧めるのが、掲載の図の四つのトレーニングだ。「片脚立ち」は、テーブルに片手をついて片脚を1分間上げたままにする。それを右脚、左脚それぞれ1日3セット。「フロントランジ」は、テーブルの横に立ち、膝とつま先が同じ向きでグラつかないように片脚を前に出して重心を移動させる。手はテーブルにつき、腰の横になるように滑らせる。これを左右交互に5~10回を1日3セット行う。「スクワット」は椅子に座って、テーブルに手をついて背すじを伸ばし、膝がつま先より前に出ないように立ち上がり、ゆっくりと座る。5~10回を1日3セット。最後の「ヒールレイズ」は、踵同士を付けて立った状態で、つま先立ちを10~20回繰り返し、これを1日3セット行うという。「いずれも安全に考慮してテーブルに手をついて行ってください。ポイントは“ちょっと頑張っているな”と感じるくらいは行うこと。楽にできる運動ではトレーニングになりません。『毎食後』など、時間を決めて行うとリズムが生れてよいかもしれません」(同)指輪っかテスト更には、「筋力減少を確かめるために、『指輪っかテスト』を試してほしいと思います」と述べるのは、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏。「両手の親指と人差し指で輪っかを作り、ふくらはぎの一番太い部分を囲んでみてください。隙間ができている場合は、すなわち筋量が低下している。フレイルの可能性があります」その克服のために鎌田氏が近著『60代からの鎌田式ズボラ筋トレ』で提唱するのは、掲載の図のトレーニング。「『スロー・スクワット』は肩幅よりもやや広く足を開いて立ち、7秒ほどかけて、太ももが床と平行になる深さまで腰を下ろす。そして7秒ほどかけてもとの体勢に戻します。これを1セット5回で1日2セット」「かかと落とし」は、かかとを床につけたままつま先を上げ、3秒キープ。続けてつま先立ちになり、やはり3秒キープし、1セット10回を1日3セット行う。「壁立てふせ」は、「壁から70センチほどのところに立ち、腕立てふせの要領で手をつき、腕の曲げ伸ばしをする。これを1セット10回で1日2セット行ってください。これらはどれも家の中でできるものです」必要なタンパク質を補うためにコロナ禍でも可能なトレーニングというわけである。「こうした運動に加えて、食生活の見直しもフレイルには効果的です」と、鎌田氏が続ける。「筋肉を衰えさせないためには、何よりタンパク質をたくさん摂ることが大事。厚労省によれば、成人に必要なタンパク質は1日50グラム。これが高齢者になると60グラムを推奨される。高齢者は筋力が減っていくわけですから、それを補うべくより多くのタンパク質が必要なのです。また、フレイル対策のために日頃から筋力を維持しておく『貯筋』をするためには、さらに多く、1日に体重×1.2グラムのタンパク質を摂るのが理想。70キロの人であれば84グラムになります」肉や魚100グラムに含まれるタンパク質の量は20グラムほど。卵1個は6グラム、納豆1パック8グラム、牛乳1杯7グラム。なるほど意識して食事をしなければ満たせない量である。「日本ではメタボ対策が行き過ぎたのか、高齢者は食事を減らしがち。しかし、高齢者であれば、痩せている人よりもちょっと太っている人の方が元気ですし、寿命も長いのです。まずはきちんと3食食べること。フレイルにはこうしたことからも対策できるのです」運動と栄養。やはり基本の基が重要というわけだ。「外来診療をしていると、ステイホームをしっかり守っている“真面目な高齢者”の方ほど、フレイルに陥っているように感じる」コロナに罹らずとも、介護生活に陥っては本末転倒。この冬は、老いにもコロナにも共に打ち勝つ生活を心がけたいものである。
2022.01.31
コメント(0)
下記の記事は日刊ゲンダイデジタル様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。自分の身は自分で守るしかない。そう思わせるのが、新型コロナのオミクロン株を巡る対策だろう。世界的に後手後手だが、日本は3回目のワクチン接種も遅れている。では、厄介な変異株を自力でブロックするには、どうするか。実は、身近に入手できるものをうまく使えば可能だという。◇ ◇ ◇東京で初めてオミクロン株の市中感染が確認されたのは先月24日。それから1カ月ほどで、9割を超える感染者がオミクロン株に置き換わった。オミクロン株が感染者の9割に達した日数は、アルファ株からデルタ株に置き換わったスピードの3.5倍に上る。感染スピードの速さとは逆に、症状は比較的軽いとされる。オミクロン株が先行する沖縄では、今月8日までにオミクロン株に感染した105人のうち、9割に症状があるものの、半数以上が発熱や咳、全身倦怠感などと軽症だ。これまで特徴的だった味覚や嗅覚の障害は1%でしかない。東京の調査も同様だ。今月7日までに感染した115人のうち2割は無症状。症状のある8割も発熱や咳、喉の痛みなどで軽症。中等症や重症はいなかった。これらの調査に含まれる感染者は、そもそもコロナが重症化しにくい若者が多い。これから感染拡大にともない、感染者が高齢者や持病のある人に広がると、重症化率が高まる。それが専門家が恐れるシナリオだが、少なくともウイルスの姿が変わったのは事実。新型の登場前、従来のコロナウイルスは、風邪の原因ウイルスのひとつで、新型もそこに近づいているのかもしれない。風邪のウイルスに近づいているとはいえ、風邪とは一線を画す要素がある。隔離期間の長さだ。当初の14日間からの短縮が検討されているとはいえ、インフルエンザの発症から5日より長い隔離が必要だ。仮に軽症だとしてこの隔離期間の長さはつらい。そこで重要なのが、予防だ。「新型コロナウイルスが登場した当初、気管から肺までの下気道での感染でしたが、オミクロン株は鼻から喉までの上気道に移っています。一般に上気道での感染は、風邪が典型ですから、オミクロン株対策は、丁寧な風邪予防が大切です」こう言うのは、赤坂山王クリニック院長で、耳鼻咽喉科専門医の梅田悦生氏だ。米ハーバード大や英インペリアル・カレッジ・ロンドンなどの研究で、オミクロン株は肺よりも鼻などの上気道で感染したり、増殖したりすることが報告されている。それだけに、風邪対策がオミクロン対策でもカギを握るのだ。飴で喉の保湿と唾液の分泌をアップ喉飴、洗口液、スプレーと関連商品がズラリ(C)日刊ゲンダイその第一が、喉の保湿だ。空気が乾燥するこの時季は喉が渇きやすく、マスクは保湿のためにも一理ある。それに加えて一工夫したい。「唾液には、ウイルスや細菌の感染を防ぐ免疫物質が含まれています。口の中の乾燥で感染しやすくなるのは、その効果が得られないため。ですから、感染症が広がる今はより唾液の分泌をうながすため、マスクをしながら喉飴をなめるとベターです。もし喉飴をなめるなら、殺菌や抗ウイルス作用のあるものをなめる方がより効果的でしょう」(梅田氏)たとえば、喉飴としておなじみの「浅田飴ガードドロップ」「ヴィックス」「ガム・メディカルドロップ」などには、CPCと呼ばれる殺菌成分が含まれる。商品の成分表には「セチルピリジニウム塩化物水和物」と表示されるもので、実は新型コロナウイルスについても感染性を失わせることが分かっている。熊本大学と共同で研究を行った大正製薬の広報担当者が言う。「試験管内で、CPC溶液と新型コロナウイルス溶液を1対1の割合で混ぜて5分間作用させ、感染性がどう変化するかを調べました。その結果、CPC濃度が0.0125%以上だと、新型コロナウイルスが99%以上不活化することが確認できたのです。あくまでも試験管内の実験ですから、商品の有効性を担保するものではありません」CPCは、細菌やウイルスの膜を破壊することで不活化する。コロナの変異株も、膜の構造は同様だから有望だろう。梅田氏が補足する。「コロナ禍の前から、風邪やインフルエンザのシーズンにマスクをして診察する医師の中には、適当なタイミングで喉飴をなめたり、うがい薬でうがいをしたりする人がいます。そういう医師が、風邪やインフルエンザで困ったという話をほとんど聞いたことがありません。この手の話に根拠はありませんが、唾液と感染防御の関係においては理にかなっています」会議後にスプレー、帰宅したらうがいをあせらずマイペースで(C)日刊ゲンダイ拡大するCPCはほかにも、洗口液の「モンダミン PREMIUM CARE」やうがい薬の「キレイキレイ」、口の消毒スプレーの「チョコラBB 口内炎リペアショット」「ヴィックス メディケイテッドスプレー」などにも含まれる。これらをうまく組み合わせて使うと、より上気道の感染対策になり、ひいてはオミクロン対策になりうるかもしれない。「たとえば、同僚との会話や会議の後、電車やバスなど公共交通機関から降りたときに消毒スプレーを使ったり、帰宅時にうがいしたり。ふだんは喉飴とマスクで保湿をしながら、何かの動作の後にうがい薬などを使うのがコツでしょう」(梅田氏)なるほど、そうすれば試験管ベースながら、抗新型コロナウイルス作用を持つCPCの力を絶え間なく借りることができる。喉飴をなめる目的が唾液の分泌だった。その唾液に含まれる免疫細胞として重要なのが、IgA抗体だ。唾液のほか、母乳や腸、鼻水、涙にも含まれ、さまざまな病原体から身を守る。こと上気道感染においては、IgA抗体が唾液中に多い人は感染しにくく、少ない人は感染しやすいことが分かっている。■運動は軽く、食事は発酵食品とビタミンACEそんなIgA抗体の特性に着目すると、なるべく量を増やしたい。IgA抗体を増やすのに効果的なのは、一つは運動でストレッチや軽い有酸素運動だ。ハードな有酸素運動は逆に量を減らす。もう一つは食事だ。「腸の免疫と唾液の免疫には相関関係があり、腸の免疫を改善する発酵食品を取ることで、唾液中の免疫物質が増えることが知られています。ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品はおすすめです」(横浜創英大名誉教授・則岡孝子氏=栄養学)唾液を分泌する唾液腺や耳下腺は、活性酸素に弱く、耳下腺はビタミンCを大量に必要とする。唾液の分泌をしっかりキープするには、唾液腺や耳下腺を守る食事も必要だ。「野菜や果物に含まれるビタミンA、C、Eは、抗酸化成分の代表。抗酸化成分はビタミンエース(ACE)と覚えるといいでしょう」(則岡氏)難しいことは一つもない。できることから始めて、オミクロン株を寄せつけないようにしよう。
2022.01.31
コメント(0)
下記の記事はビヨンドヘルス様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。健康を維持して元気に過ごすには、身体活動を行うのが良いことは広く知られている。また専門家の間では、身体活動がアルツハイマー病などの認知症予防にも役立つ可能性も指摘されている。こうした中、身体活動が脳にもたらすベネフィットについて理解するための手がかりとなり得る研究結果が報告された。高齢期に身体活動レベルが高かった人では、脳の神経細胞間での情報伝達の役割を担うシナプスのマーカーとなるタンパク質(以下、シナプスのタンパク質)の量が多いことが示されたという。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)神経学分野のKaitlin Casaletto氏らによるこの研究結果は、「Alzheimer's & Dementia」に1月7日発表された。この研究は、脳の加齢による変化と認知機能との関連について検討する米ラッシュ大学のプロジェクト(Rush Memory and Aging Project)の参加者から抽出した404人(死亡時の平均年齢90歳)を対象に実施された。対象者はモニターを装着して、毎日の身体活動量を最長で10日間にわたって毎年計測していた。なお、同プロジェクトでは、身体活動レベルの高い高齢者は認知機能が高く、認知症リスクが低いことが既に明らかにされていた。Casaletto氏らは、その理由を明らかにするために、同プロジェクトで凍結保存されていた脳組織を入手して剖検を行い、シナプスのタンパク質量を評価した。その結果、シナプスのタンパク質量が多い人は、生前、毎日の身体活動レベルが高い傾向にあったことが明らかになった。この関連は、脳の病態とは無関係に認められ、アミロイドやタウの蓄積といったアルツハイマー病に関連する脳所見が確認された高齢者でも、身体活動レベルが高い人ではシナプスのタンパク質量は上昇していた。その一方で、シナプスのタンパク質量と身体活動との関連は、活動量計での身体活動量を測定してから脳の剖検でタンパク質量を評価するまでの期間が2年以内の人で最も強く、身体活動を行った時期が影響を及ぼすことも判明した。さらに、身体活動によるシナプスのタンパク質量の増加は、記憶を司る領域だけでなく、思考や推理に関連する領域など計6カ所の脳領域で認められ、脳全体の現象であることが示唆された。こうした結果を受けてCasaletto氏は、「身体活動量が多くなるほどシナプスのマーカーとなるタンパク質の量は増えるという線形関係が認められた。これは、わずかな身体活動でも何もしないよりは良いことを示す結果だと私は受け止めている」と話す。また同氏は、「身体活動によりもたらされるこの健康に有益な反応は、加齢に伴う脳の変化を和らげ、認知機能の向上を促す可能性がある」との見方を示している。Casaletto氏によると、シナプスのタンパク質は、神経細胞間での情報伝達を担う神経伝達物質の産生に関わっている。「これらのタンパク質が多いと、シナプスも多く、またシナプスの働きも良くなるのではないかとわれわれは考えている」と同氏は言う。アルツハイマー病協会のメディカル・サイエンティフィック・リレーション部門バイスプレジデントのHeather Snyder氏は、「この研究から、身体活動が脳のレジリエンス(回復力)を高める可能性が示唆された」と話す。同氏は、「脳細胞の健康を維持し、情報伝達の機能を保ち続けられれば、疾患による変化を遅らせたり、損傷に対する脳の脆弱性を抑えたりすることができるかもしれない」と述べている。その上で、脳の健康増進のために、社交ダンスやウォーキングなど自分が楽しめる身体活動を取り入れることを勧めている。[HealthDay News 2022年1月10日]
2022.01.31
コメント(0)
下記の記事は日経グッディ様のホームページからお借りして紹介します。誰でも年齢を重ねると記憶力が低下したり、素早い判断ができなくなってきたりするもの。脳の活動が低下しているのではないかと不安になっているときに、ちまたで横行するオレオレ詐欺や還付金詐欺などの「特殊詐欺」の話を聞くと、なぜそんなことになるの? どうしてだまされるのか信じられないと思う人も少なくないだろう。年を取って脳が老化すると、本当にだまされやすくなるのだろうか。公立諏訪東京理科大学工学部教授で脳科学者の篠原菊紀さんに聞いた。イメージイラスト=123RF年齢は関係ない? だまされるときの脳の仕組みとは今回は「だまされやすさ」について教えてください。ニュースなどで特殊詐欺の被害に遭った人のエピソードに接すると「ええっ、どうして疑わなかったの?」と思う一方、「いや、自分だってその場になればどうなるかわからない」と不安になったりもします。年齢とともに脳の判断力も衰えてくるわけですから、やはりだまされやすくなってしまうものなのでしょうか。篠原さん まず、脳の特性から考えると、高齢者であることを抜きにしても、「そもそも人の脳は、複数のことを同時並行処理できない」ということが前提となります。人を人たらしめているのは脳の「前頭前野」という部分。知覚・言語・思考など知性をつかさどる部分です。前頭前野は、脳の別の場所に格納されている記憶や情報を意識に上げてきて、何かのミッションがあるとそのたびあれこれ検討します。この機能があるからこそ、人類はどんな状況に置かれても柔軟に適応し、あらゆる環境下で生き抜いてきました。このように優れた働きをする前頭前野ですが、ここはコンピューターのキャッシュメモリのように必要な情報を一時的に保存して情報処理をするところ。実は、その性能には限界があるのです。前頭前野のメモリのことを「ワーキングメモリ」と言います。訳すると、作業記憶。ちょっと前にしていた作業を記憶し、再び必要になったときに取り出すというもの。私はこれを「脳のメモ帳」と呼んでいます。このメモ帳の枚数は、年齢とは関係なく、誰もが3~4枚しか持っていません。私たちは、「あれ」「これ」「それ」くらいしか同時に処理できないのです。ですから、いくつもの情報をどんどん入れられ、その全部が重要だ、と言われてしまうと脳のメモ帳では処理が追いつかなくなるのが当たり前です。ああ、特殊詐欺の加害者はその脳の仕組みをまさに利用しているわけですね。篠原さん そう。ある人がこう言い、次に違う人から電話がかかってきてこう言い、指示される…と、情報過多にして、脳のメモ帳を使い切らせる状態を意図的に作っているのです。詐欺の手口を考えてみてください。どれも、「大変な一大事」というインパクトの強い情報をぎゅっと詰め込みます。孫や息子が事故や事件を起こした。だから、示談金が大至急必要(オレオレ詐欺)あなたの口座が犯罪に利用されている。だからすぐにキャッシュカードを交換しないと危ない(預貯金詐欺)未払いの料金があるという架空の事実を口実にし、金銭を脅し取る、だまし取る(架空料金請求詐欺)失恋をしたときだって、仕事が手につかなくなります。悲しみや後悔、その人と思い描いていた未来が失われるという喪失感。脳のメモ帳はあっという間に4枚のうち3枚が使い切られてしまう。脳の余裕がなくなってしまいます。だから、特殊詐欺の加害者は「ストレスフルな情報や人をたくさん入れる」ことで一気に圧をかけてくる。高齢であろうとなかろうと、このテクニックのもとでやられると、人は普段通りに思考できなくなり、稚拙な判断しかできなくなります。不安をあおられても、うれしいときも、だまされやすくなるなるほど、だます側の巧妙な手口は、脳のメモ帳の余裕をなくす手口なのですね。一方で、脳の前頭前野は年齢とともにその働きが低下する、と前回(「変化する職場環境も、異動でさえも…『脳のアップグレード』のチャンス」)伺いました。高齢だからこそのだまされやすさ、というのもあるのでしょうか。篠原さん ワーキングメモリの力は、18歳から25歳をピークに低下する傾向があります。だから高齢になるほど狙われやすい、引っかかりやすいと言えるでしょう。だます側からすると「落としやすい」ターゲットです。ただ、高齢者一般というよりも、だます側は無数の対象に電話をかけています。おそらく、その大多数の中でも、急にストレスをかけられることに脆弱な人、ワーキングメモリの力が落ちている人が引っかかりやすいということです。メディアなどでは、「相手と話してしまうとだまされてしまうから、留守電にしておくことが一番」と言われています。やはり、受け答えしてしまうなかで、怪しいぞ、と我に返るのは難しいのでしょうか。篠原さん 怪しい、と思う人のほうが多いはずですよ。でないと詐欺被害はもっと爆発的に増えているでしょう。だます側からしたら、無数の電話をかけ続けるなかで相手は、たまたま引っかかってくれた希少な人。だから、同じ人が繰り返し狙われたりするのです。詐欺の話で言うと、「過払い金があったのでお金が戻ります」といった還付金詐欺や、ネット上で疑似恋愛の関係を作ってお金を要求する「ロマンス詐欺」など、一見するとうれしいことと組み合わせるようなだまし方もありますよね。篠原さん ストレスフルなことだけでなく、うれしいことも脳のメモ帳を食うのです。例えば、うつ的になりやすいイベントとして、つらい出来事だけではなく仕事の昇進などプラスの出来事でもプレッシャーになる、ということは心理学でも知られています。ワーキングメモリはいろんな要因で食われやすいのですね。篠原さん その場限りのキャッシュメモリですからね。ちなみに、だまされるときだけではありません。日常的にこんなことがありませんか。人との約束が3つ、4つ重なると最初の1つがきれいに頭から飛ぶ。2階に上がったのに、「なぜ自分はここに来たんだっけ」と用事が抜ける。会話中にいいことを思いついたのに、話し出すと内容が飛んでしまう、とか…。ありますあります。私は料理中に調味料のメモを見ているときに横から話しかけられるとその分量をすっかり忘れてしまいます。だまされにくい判断力=ワーキングメモリを鍛えるには?だまされにくくするためにも、また、日々の判断力の低下に歯止めをかけるためにも、何らかの工夫をしたいのですが、おすすめの脳のトレーニング法はありますか。篠原さん 認知症の疑いがある方の認知機能を調べる際に、ワーキングメモリの働きをテストする項目があります。そのテストを紹介しましょう。脳のメモ帳を何枚か使う感覚を感じてもらうためなのですが、これを脳科学では「ワーキングメモリの多重使用」と呼びます。これから言葉を1つずつ出します。そのあとちょっとした知的作業をしてもらいます。机 ユリ 氷この3つの言葉を覚えてください。富士の山この言葉も覚えてください。では、富士の山を逆から言葉にして呼んでください。はい、では最初の3つの言葉を思い出してください。どうですか? 意外と出てこないでしょう? これが、脳のメモ帳を複数使う、ということです。何かを覚えて、余計なことをやって、また思い出す、というもの。このような、ちょっと「面倒くさいな」という作業を脳に課している最中に前頭前野が活性化します。まさに記憶と作業の組み合わせ、ワーキングメモリなのですね。篠原さん もう一つ、人と話をする、というのも脳のネットワークを広げやすくする大切な行為です。脳には「出力依存性」という特性があります。入力しよう、覚えよう、と思ってもさほど新しい情報ネットワークは作られないのですが、出力しようとしたときに、記憶の引き出しである「海馬」がその情報を「必要なもの」と判断し、情報ネットワークを構築しやすい状況にするのです。面白い、と思ったこと、今日あった出来事を人にしゃべってみる。伝えてみましょう。話すのはもちろんですが、文字で起こす、というのもいいですよ。インプットも大事だけれど、アウトプットをすれば、よりいっそう脳が活性化するのですね。今回のお話も、読者のみなさんに「こんな面白いことが書いてあった」とSNSで広めてもらいたいですね!◇ ◇ ◇次回は、話題になった「スマホ脳」。生活に欠かせなくなったスマホは果たして脳の老化につながるのか、篠原さんの意見を聞く。篠原菊紀(しのはら きくのり)さん公立諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科教授。医療介護・健康工学研究部門長専門は脳科学、応用健康科学。遊ぶ、運動する、学習するといった日常の場面における脳活動を調べている。ドーパミン神経系の特徴を利用し遊技機のもたらす快感を量的に計測したり、ギャンブル障害・ゲーム障害の実態調査や予防・ケア、脳トレーニング、AI(人工知能)研究など、ヒトの脳のメカニズムを探求する。
2022.01.30
コメント(0)
下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。26歳で見合い結婚し、夫とその両親と2世帯住宅で暮らしていた女性は22年間の結婚生活に終止符を打った。舅・姑から数々の虐待を受けていたが夫は見て見ぬフリ。実家に戻り平穏な生活が訪れるかと思いきや、今度は母親が認知症に。現在66歳となった女性が激動の半生を振り返る——(前編/全2回)。写真=iStock.com/Alexey_M※写真はイメージですこの連載では、「シングル介護」の事例を紹介していく。「シングル介護」とは、未婚者や、配偶者と離婚や死別した人、また兄弟姉妹がいても介護を1人で担っているケースを指す。その当事者をめぐる状況は過酷だ。「一線を越えそうになる」という声もたびたび耳にしてきた。なぜそんな危機的状況が生まれるのか。私の取材事例を通じて、社会に警鐘を鳴らしていきたい。26歳で結婚し、舅・姑に数々の虐待を受けてきた66歳の激動半生「ゴミ袋がたくさんあるがどうするつもりや? ゴミだけ置いていくつもりか?」関西在住の66歳の白石玲子さん(仮名・既婚)。今から18年前の2003年1月、22年間の結婚生活に終止符を打つ決意をして実家に戻っていたある夜、義父から電話がかかってきた。「いいえ。昼間そちらを出るときにお義父さんに説明したとおり、明日引っ越し荷物と一緒に処分します。ゴミを置いていくようなことはしません」当時48歳の白石さんは、そばにいた母親がびっくりするくらい冷淡な口調で言った。母親が勧める見合いで26歳のときに結婚し、やがて義両親と同居した。義父と夫がお金を出し合い、2世帯住宅を建てたのがそのきっかけだが、この義両親がひどかった。「この家の家長は俺だ!」と家の中でも外でも威張り散らす義父と、「私も姑にひどく虐められた」と言いながら白石さんをひどく虐める義母。そして22年間、一度も白石さんを庇おうとしなかった夫。白石さんが初めて義両親の愚痴を夫にこぼしたとき、「俺の親の悪口を言うことは許さない」と言って夫は1カ月も口を聞かなかった。そればかりか、白石さんが作った料理をゴミ箱に捨て、自分で作って食べていた。それでも白石さんは、「自分の都合で息子から父親を奪ってはいけない」と我慢し続けた。しかし、2000年4月に息子が大学に進学し、下宿を始めると、家の中は義両親と夫だけ。夫も義両親も、これまで一度たりとも白石さんが外で働くことを許さなかったが、息子のいない空間では息が詰まる。白石さんは、何度も必死に頼み込み、やっとパートに出ることを許された。外で働き始めた白石さんは、“生きている実感”を取り戻す。そしてもう二度と“籠の鳥”には戻れなくなった。2002年11月、白石さんは思い切って、夫と義両親に離婚を切り出した。すると義父はこう言った。「俺たちのせいでお前たちの仲が悪くなるのなら、もう2世帯同居はやめよう。家を建てる時にお前が出した金は返すから出て行け。これ以上迷惑をかけられたくない」すると夫は言った。「俺に金を返すために親父に借金させるわけにはいかない」。夫は一度も自分をかばわず、義両親の側に立った夫は白石さんと離婚する道を選んだのだ。2003年1月、白石さんは義父から電話を受けた翌早朝に起き、残りの私物を取りに向かう。年末年始に帰省していた息子が下宿先に戻った翌日に引越しを決めたため、息子はいない。味方のいない家に向かうのはひどく気が重かった。1時間ほどして到着すると、2台分の駐車スペースがあるカーポートの真ん中に、義父の車が停められていた。仕方なく白石さんは家の前に路駐する。荷造りやゴミ出しが終わると、義父に呼ばれた。義父は紙とペンを出し、「婚姻時の姓を名乗りません」「子どもの親権は放棄します」「結婚時に持ってきた荷物は余さずに引き取りました」と書けと言うので、白石さんは言われた通りに書く。最後に白石さんは、義父に離婚届への記名押印を頼むと、義父は渋々応じた。白石さんはその足で市役所に行き、離婚届と転出届を提出。清々した気持ちで友だちとお茶をし、実家へ向かった。実家に戻り平穏な人生を望んだが、元毒親の母は認知症に……夫と義両親との関係を清算し人生をやり直そうとした白石さんだが、新たな障壁が現われた。母親だ。父親は1991年、白石さんが36歳のときに65歳で亡くなった。当時61歳だった母親は喫茶店で働いていたが、1995年に喫茶店が閉店。以降、母親はシルバー人材センターの事務を始めた。2000年、親戚の法事に出るため、白石さんは母親とともに車で向かったが、途中、高速にのる前にトイレを済ませたにも関わらず、母親は車の中で漏らしてしまう。その頃から母親は、シルバー人材センターの仕事を「難しい」と言って断るように。同じ話を何度もするようになり、白石さんが指摘しても、意に介さない。2003年1月に白石さんが離婚して戻ってくると、母親はそれまで一人でできていたことも、全くやらなくなっていく。「母は、私をこき使うようになりました。整形外科の受付の順番を取るために、朝早くから診察券を入れてこい。時間がきたら整形外科まで連れて行け。習い事に送って行け、早退するから迎えに来い。食事の準備をしろ、台所の排水が詰まったから直せ、エアコンや換気扇の掃除をしろ……。私は子どもの頃からずっと、母から支配されていて、母の顔色を窺いながら母の機嫌を先読みして動くのが常になっていました。それでも母のことが大好きで、母に気に入られるような良い子でないといけないと思い、何度か母が反対する恋人とは別れ、母が勧める人と26歳で結婚。すべては、私の幸せを願ってのことだと信じていました……」49歳になった白石さんは73歳の母親の世話のため営業の仕事を辞めた2003年12月。白石さんが仕事に出ていると、突然母親から電話がかかってきた。「私なあ、昨日から病院に泊まっているんやわ。ごぼうが喉に詰まって、お隣さんに電話して救急車で運んできてもろてなあ。医師に家族を呼べと言われたのですぐに来て欲しいんやけど」写真=iStock.com/Koarakko※写真はイメージです当時、営業の仕事をしていた白石さんはその日、隣の県まで出張していた。急いで家へ帰り、入院の準備をして病院へ向かう。医師には、「年末年始にまた食べ物を喉に詰めたら困るので、年明けまで入院してもらいます」と言われ、看護師には、「お母さん認知症でしょうか? 昨晩暴れて、ここがどこかわからないみたいなことを言っていました」と聞かされた。「当時私は、何となく母の異変に気付いていました。でも現実を直視したくなくて、家にいるとこき使われるのが煩わしくて、仕事に打ち込み、出張を口実に、週に2~3日しか家に帰っていませんでした」2004年1月。母親がごぼうを喉に詰まらせた原因はわからなかったが、退院が決まる。母親は73歳。49歳になった白石さんは、「もう母を1人にしておくことはできない」と思い、母親の世話をするため営業の仕事を辞めた。娘(玲子)に向かって「レイコはどこへ?」と聞いた母親退院した母親はある日、白石さんを目の前にして、「レイコはどこ行ったんやろ? 2階で寝てるんかな? ちょっと見てくるわ」と言い出した。びっくりした白石さんは「レイコって誰?」と聞き返す。すると母親は怒ったように、「レイコは私の娘です!」ときっぱり。白石さんは自分を指差して、「私(玲子)は誰?」と聞くと、「あんたは姉のほうのレイコや。もう1人、妹のほうのレイコのことを言うてるんや」と真顔で言い返す。白石さんには兄が一人いるだけだ。母親は2階を見に行き、「レイコはいてなかったわ。どこにいったんやろね」と独り言のようにつぶやいた。白石さんはひどく動揺した。半年ほど前に母親が可愛がっていた犬が亡くなり、しばらく母親が悲しんでいたことを気にしていた白石さんは、「母には犬が必要だ!」と思い、何度か母親をホームセンターのペットコーナーに連れて行った。すると以前から目をつけていた子犬は、「商談中」の札がかけられている。「(先約がいるなら)仕方がないね」と帰りかけたとき、「僕のことを見て!」とでも言わんばかりに、白石さん母娘を見てぴょんぴょん跳ねているポメラニアンの子犬が2人の目に止まった。2人はその子犬に釘付けになっていると、店員が鍵を開け、その子犬を抱いて連れてきてくれた。白石さんが受け取ると、子犬は顔やら耳やらを舐めまくり大興奮。母親に渡すと、子犬を受け取るなり母親は、「この子を連れて帰るわ」と言った。そのまま白石さんは手続きを済ませて、子犬を連れて帰った。とても元気な子だったため、母親は「げんき」と名付ける。「げんき」が来てから、家の中が明るくなった。写真=iStock.com/JasonCordell※写真はイメージです愛犬「げんき」を飼い始めたものの、母の言動はい日に日におかしくしかし、母親の言動は、日に日におかしくなる。げんきに夕飯をあげたのを忘れて、もう一度あげている。家にいない兄の分までご飯を用意する。そうかと思うと、白石さんの存在を忘れて、一人で黙々とご飯を食べていることもあった。そんな中、白石さんがげんきを散歩につれていくと、犬の散歩仲間ができた。毎日顔を合わせていると、つい、母親の介護の愚痴を話すこともあった。すると散歩仲間の一人のAさんが、介護認定を受けることを勧める。Aさんは、介護施設でヘルパーをしていたのだ。介護認定を受けると、母親は要介護2。ケアマネージャーも決定し、デイサービスや訪問介護利用などのケアプランが立てられていった。そしてAさんの「ずっとお母さんのそばにいるのも良くないよ」とのアドバイスで、白石さんはパートに出ることを決めた。訪問介護が始まると母親は、「あの人は好きやけど、あの人は嫌い」とヘルパーの悪口を言い始める。初めは、嫌いな人が作った食事を食べないだけだったが、だんだんヘルパーが作ったものは全く食べなくなってしまう。仕方がないので白石さんが作るが、それも食べない。困った白石さんが「何で食べへんの?」と訊ねると、母親は「冷蔵庫が開けられへん」とうそぶく。母親は、50キロ近くあった体重が35キロを下回った。「私が母に相談もなしにヘルパーさんを頼んだり、デイサービスに行かせたりすることへのあてつけだと思いました。どんどん痩せていく母を目の前に、私はどうしたらいいのかわからなくなりました……」旦木 瑞穂(たんぎ・みずほ)ライター・グラフィックデザイナー愛知県出身。印刷会社や広告代理店でグラフィックデザイナー、アートディレクターなどを務め、2015年に独立。グルメ・イベント記事や、葬儀・お墓・介護など終活に関する連載の執筆のほか、パンフレットやガイドブックなどの企画編集、グラフィックデザイン、イラスト制作などを行う
2022.01.30
コメント(0)
下記の記事はダイアモンドオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。人生100年時代。現在の70代の日本人はかつての70代とは違います。若々しく、健康になった70代の10年間は、人生における「最後の活動期」とも言えます。70代の過ごし方が、その人がどう老いていくかを決めるとも言えます。要介護状態を遠ざけ、自立した80代以降の老いを迎えるためには、どう過ごせばいいしょうか。30年以上にわたって高齢者専門の精神科医として医療現場に携わってきた和田秀樹さんの『70歳が老化の分かれ道 若さを持続する人、一気に衰える人の違い』(詩想社新書)から抜粋します。平均寿命は延びたが健康寿命は男女とも75歳に届かず人生100年時代ということが語られて久しくなりましたが、実際に人々、とくに女性は90代まで生きることが当たり前の時代になりました。おそらく今後も医学の進歩が進むでしょうから、100歳というのは夢物語ではなくなることでしょう。ところが日常生活にまったく制限なく生きていられる健康寿命の延びは、平均寿命の延びに追いついておらず、男女とも75歳に届いていません。要するに、70代をうまく生きないと、長生きはできてもよぼよぼとしたり、介護を受ける期間の長い高齢者になってしまうということです。一方で、高齢者というのはとても個人差の大きい年代です。2016年の時点で、男性の健康寿命の平均は72.14歳、女性は74.79歳ということになっていますが、これはあくまで平均値です。男性でも80歳を過ぎて矍鑠(かくしゃく)とした現役の経営者や学者、そしてフルマラソンを走るような人がいる一方で、60代から要介護状態に陥ってしまう人がいます。ただ、一般的には70歳の時点ではまだ頭も身体もしっかりしているという人が大多数であるはずです。ここで、どのような生き方をするかでいつまで元気で頭のしっかりした高齢者でいられるかが決まってくるのです。私が長年高齢者とかかわってきて、痛感してきたことはいくつかあります。気持ちが若く、いろいろなことを続けている人は、長い間若くいられる。栄養状態のよしあしが、健康長寿でいられるかどうかを決める。そして、それ以上に重要なのは、人々を長生きさせる医療と、健康でいさせてくれる医療は違うということです。たとえば、コレステロールというものは長生きの敵のように言われていますが、コレステロールの高い人ほどうつ病になりにくいし、それが男性ホルモンの材料なので、男性ではコレステロールが高い人ほど元気で頭がしっかりしています。血圧や血糖値にしても、高めのほうが頭がはっきりするので、薬でそれを下げると頭がぼんやりしがちです。また、高血圧や高血糖に対して塩分制限や食事制限が課されることが多いわけですが、生きる楽しみを奪われたり、味気ないものを食べることになるので、元気のないお年寄りになりがちです。ところが、日本では大規模調査がほとんどなされておらず、この長生きのための医療にしても、それで本当に長生きできるのかははっきりしないのです。実際、コレステロールが高めの人や、太めの人のほうが高齢になってからの死亡率が低いことが明らかになっています。高齢者をあまり診ていない人による旧来型の医療常識に縛られず、70代をどう生きるかで残りの人生が大きく違うというのが、私の30年以上の臨床経験からの実感です。いまの70代は、かつての70代とはまったく違う私はこれまで30年以上にわたって、高齢者専門の医療現場に携わってきましたが、日本人にとっては今後、70代の生き方が、老後生活において非常に重要になってくると考えています。70代の生き方が、その後、要介護となる時期を遅らせて、生き生きとした生活をどれだけ持続できるかということに、大きくかかわっているからです。なぜ、70代の生活がその人の晩年のあり方を左右するようになってきたのか、まずはそこから本書を始めようと思います。現在の70代の人たちは、戦前生まれの人が70代になった頃と比べて、格段に若々しく、元気になってきました。戦後の大幅な出生人口増加期に生まれた団塊の世代(1947~1949年生まれ)の人たちも、2020年にはみな70代になっていますが、この団塊の世代に代表される現在の70代は、少し前までの70代の人とは、大きく違います。身体の健康度、若々しさがまったく違うのです。たとえば1980年当時、60代後半、つまり65~69歳の人のおよそ10%近くの人が普通に歩行することができませんでした。しかし、2000年には、正常歩行できない人が2~3%に激減しています。第2次世界大戦後元気な70代が増えた理由私も高齢者を長年診ていますが、かつての70代はそれなりによぼよぼしていましたが、いまの70代はまだまだ元気な人が多く、10歳くらい若返ったような印象です。このような元気な70代が増えた理由には、第2次世界大戦後の栄養状態の改善が挙げられます。戦後の食糧難にあえぐ日本に、アメリカから余った脱脂粉乳が大量に送り込まれましたが、このころから日本人の栄養状態が改善します。成長期の栄養状態が改善したことで、日本人の寿命は延び、体格もよくなり、現在の若々しい元気な高齢者を出現させています。戦後の結核の撲滅については、ストレプトマイシンという抗生物質のおかげだと考えている人も多くいますが、実際はタンパク質を多くとるような栄養状態の改善が、免疫力の向上をもたらしたことによって可能となったのが真相です。そもそもストレプトマイシンは結核になってからの治療薬であって、それが結核を激減させた理由にはなりません。結核を予防するBCG接種も、開始されたのは1950年ころからです。赤ちゃんのときに接種して、その効果で結核が減るとしても、統計に現れてくるのは少なくとも赤ちゃんが成長した10年後くらい、1960年代くらいからになるはずです。しかし、結核の減少は、1947年くらいから始まっています。これは、アメリカからの支援物資による栄養状態の改善時期と一致します。戦前の日本人も摂取カロリーでいえば、それなりにとっていましたが、タンパク質は驚くほどとっていませんでした。そのため免疫力が低く、結核で亡くなる人が多かったのです。それが戦後の栄養状態改善で結核が減り、若いときに死ぬ人が激減しました。これによって平均寿命が一気に延びたのです。若くして亡くなる人を減らすことが、平均寿命を延ばす大きな要因になります。また、それと同時に日本人の体格も向上していきます。男の平均身長が170センチを超えたのが、1970年前後です。昔は子どもの頃の栄養失調もあって、小さい高齢者がときどきいましたが、いまではほとんどいません。戦後生まれの人たちはこうして平均寿命を延ばし、体格も立派になって、健康で若々しさを保つようになってきたのです。その先駆けが、いま、70代を迎えている人たちなのです。もはや70代は現役時代の延長でいられる期間となった日本よりも栄養状態のよかったアメリカでは、これまでの世代とは違った元気な70代が、日本よりも一足先に社会に登場します。1974年、アメリカの老年学の権威であるシカゴ大学のベルニース・ニューガートンは、それまで65歳以上を高齢者とみなしていた社会に対して、75歳くらいまでは、体力的にも、知的機能的にも中高年とたいして変わらないと提起します。そして、その世代を「ヤング・オールド」と呼びました。さらに、75歳を過ぎるころから、認知機能が落ちてきたり、病気などで介護が必要な人も出てくる世代ということで、「オールド・オールド」と定義しました。これはのちに、日本における前期高齢者、後期高齢者という考え方につながっていきました。しかし、ニューガートンがこの考え方を提唱した1970年代当時の日本では、まだ、75歳の日本人たちは、若いころの栄養状態も悪く、身体も小さく、老いるのがいまより早かったのです。そのため、アメリカの高齢者のように元気と言える状況ではありませんでした。それが1990年代に入ったあたりから、日本でも元気な高齢者が増えてきました。私は1988年から浴風会という高齢者専門の総合病院に勤めていましたが、多くの高齢者を診てくるなかで、次第にニューガートンと同じ考えを持つようになりました。1997年には、『75歳現役社会論』(NHK出版)という本を著し、そこで、75歳くらいまでは、知的機能や体力、内臓機能など、中高年のころと大差なく、現役時代同様の生活ができるということを説きました。そして、当時からさらに20年以上が経ったいま、医療はさらに進歩し、70代の人の要介護比率も改善してきています。その現実を踏まえれば、現在の日本では、75歳ではなく、80歳までは、多くの人が現役時代のような生活を送れる可能性がある社会になってきたと言えるでしょう。これまでは70代ともなると、大病を患ったり、病院での生活を強いられたり、介護が必要となったりする人もそれなりにいましたが、今後は、自立して多くの人たちが70代を過ごすことになっていきます。70代の10年間は、ある意味、中高年の延長で生活できる期間となったのです。それは、人生における「最後の活動期」と言ってもいいと思います。70代が活動期になったからこそ、その過ごし方が、80代以降の老いを大きく左右するようになったのです。70代であれば、身体も動くし、頭もはっきりしていますから、日々の生活の心がけ次第で、80代以降の健やかな生活につながります。ただ、70代には特有の脆弱さもありますから、放っておいたら衰えは進みます。だから意図的に、心がけることが大事になってきます。「人生100年時代」に70代はターニングポイント現代の日本において、70代の過ごし方が重要性を増してきた理由には、超長寿化によって、老いの期間がこれまでより延長するようになってきたという点も挙げられます。そもそも、前述したように、これまで日本人は、戦後の栄養状態の改善によって、大きく寿命を延ばし、前の世代よりも若々しくなってきました。かつて漫画『サザエさん』の連載が始まったのは1947年ですが、父親の磯野波平は当時、54歳の設定でした。いまの私たちから見ると、どう見ても60代半ばに見えます。それくらい、現代の日本人は若返ってきたのです。しかし、この栄養状態の改善が、人々の若返りや寿命の延びに寄与してきたのも、1960年くらいに生まれた人たちまでで終わったと私は考えています。実際、日本人の平均身長の推移も、戦後、急速に伸びてきましたが、ここ20年くらいは伸びが止まっています。もはや栄養状態の改善は、日本全体に行きわたり、そのことが寿命の延びを牽引していくという時代は終わっているのです。しかし実際にその後も、日本人の平均寿命は延び続け、これからも延びていくと予想されています。これは、医学の進歩がそうさせるのです。日本人は戦後に劇的に若返ってきた体験をしているので、「人生100年時代」などと言われると、いまよりさらに若返りが可能になり、寿命が延びていくと考える人もいますが、それは正しい認識ではありません。80歳や90歳になっても、いまの70代の人たちのように元気に活躍できるようになって、人生のゴールがどんどん後ろにずれていくというのは幻想でしかありません。若返るのではなく、医学の進歩によって、「死なない」から超長寿になるというのが「人生100年時代」の実像です。伸長した老いの期間を左右するのが70代になる80歳にもなれば、みな老いに直面することになります。しかし一方で、寿命だけは延びていく。これは、私たちの人生設計を大きく変えることになるかもしれません。これまではせいぜい10年ほどだった「老い」の期間が、15~20年に延長する人生が標準になっていくからです。今後は、伸長した老いの期間をどう生きるかが重要な課題になっていくでしょう。そして、その延長した老いのあり方を左右するのが、人生終盤の活動期である70代ということになります。寿命がますます延びていく「人生100年時代」だからこそ、70代はますます重要性を増してきているのです。本書では、運転免許を返納してはいけない、肉を食べる習慣が「老い」を遠ざける、運動習慣などの「老いを遅らせる70代の生活」、70代の人のかしこい医師の選び方などの「知らないと寿命を縮める70代の医療との付き合い方」、趣味を働いているうちにつくろう、高齢者の「うつ」の見分け方などの「退職、介護、死別、うつ……『70代の危機』を乗り越える」について紹介しています。和田秀樹:精神科医
2022.01.30
コメント(0)
下記の記事は週間女性プライム様のホームページからお借り紹介します。(コピー)です。「3月中旬、愛子さまは初めての記者会見に臨まれます。これは成年に際しての会見ですが、愛子さまが20歳になられたのは昨年の12月1日。通常、皇族方の成年会見の内容はお誕生日の当日に公になるため、3か月以上も期間が空く今回の会見日程はかなり異例なことです。『学習院大学』の2年生でいらっしゃる愛子さまは学業でご多忙、というのが日程が延期されている主な理由のようです。コロナ禍を考慮してオンラインで授業を受けられている愛子さまは、普通の学生よりも“ハンデ”がおありのようで、課題提出やレポート作成や試験勉強に苦労されていると聞いています」(侍従職関係者)「アドリブで答える」場面も一方で学業以外にも「会見が先延ばしになった理由がある」と、この関係者が続ける。「雅子さまが、愛子さまの会見にとても気を巡らせておられるのです。愛子さまにとって初めての会見で、生で記者とのやり取りやアドリブで回答する場面もあります。会見内容はもちろんですが、立ち振る舞いや話し方、アドリブ対応などに関して、細かく準備するため時間を要しているようです」いずれにせよ、愛子さまが会見でどんなお言葉を述べられるのかを楽しみにしている国民は多いことだろう。そんな中、『週刊女性PRIME』は、3月に行われる会見で愛子さまに投げかけられる質問内容の情報をひと足先に入手した。「質問は全部で5つです。成年皇族として今後どのような公務に取り組まれたいか、大学生活や海外留学へのご関心についてや、両陛下との思い出などを聞かれる予定。すべての質問が終わった後は、その場で記者から聞かれる関連質問があり、愛子さまはアドリブでお答えになります」(宮内庁関係者)中には「愛子さまご自身の性格について」に関しての質問も用意されている。過去の例で言えば'14年、秋篠宮家の次女・佳子さまも成年会見でご自身の性格について問われた際、「私の性格についてですが、長所は自分では余り思いつきません。短所は、父と同じように導火線が短いところがありまして、家の中ではささいなことで口論になってしまうこともございます」と、それまで知られていなかった秋篠宮さまとの親子関係が垣間見えるエピソードを披露された。愛子さまに関しても、意外なお人柄が感じられるお話を明かされるのかもしれない。『令和』に沿われた愛子さまのご活動ほかにも、天皇家で飼われている犬や猫との思い出も問われるという。「天皇ご一家が飼われている日本犬のミックス犬である『由莉』は、ごきょうだいのいない愛子さまにとって“相棒”のような存在。20歳のお誕生日に公開されたお写真にも由莉を連れていらっしゃいました。由莉は元々保護犬で、とある動物病院からご一家が引き取られたのです。名付け親も愛子さまで、ご静養で地方に行かれるときは幼い愛子さまが由莉を抱えて連れて行かれたことも」(宮内庁OB)愛子さまにとって動物の存在は、今後の公的活動にも関わってくる可能性が高い。那須御用邸でご静養のため那須塩原駅にご到着。ピッピとマリの死後に飼い始めた保護犬の由莉は愛子さまが命名された「ご両親と同じように動物愛護へのご関心が強い愛子さまは『学習院初等科』の卒業文集や高等科での卒業レポートでも“犬や猫”をテーマに執筆されたり、学習院大学でのイベントで出展されていた『アイメイト協会』の啓発ブースにも必ず足を運ばれています。盲導犬の活動を支援するため、その場で販売されている協会のグッズを購入したり、募金をされることもありました。公的活動という意味でも、盲導犬関連の団体が主催する行事に参加されるなど、動物関連の団体支援を行われることも十分考えられます。動物関係は『令和』の象徴的なご活動のひとつになり得るので、愛子さまの抱かれる動物愛はそれに沿ったいいご活動につながると思いますよ」(同・前)そんな中、昨年の皇室にとって大きな出来事となった秋篠宮の長女・小室眞子さんについての質問も、今回は盛り込まれているそうだ。初めて語られる「結婚観」「眞子さんとの思い出や、小室圭さんとの結婚に至るまでの経緯に対する受け止めを問われます。愛子さまは、天皇ご一家が昨秋に引っ越されるまでの19年間、秋篠宮家のお住まいがある赤坂御用地内で暮らしておられたことから、いとこにあたる眞子さんとの交流も当然、多くおありでした。 両陛下や上皇ご夫妻のお誕生日や結婚記念日など、お祝いの食事会でも同席されていましたし、身近にいる年の近い内親王の先輩として、愛子さまにとって眞子さんは“姉”のような存在。長らく結婚が延期されてしまった眞子さんのことを心配されていたようですから、無事に結婚が成就された喜びのお気持ちを述べられるのでは」(前出・侍従職関係者)そして今回の会見で、関係者たちがいちばん注目しているのが、愛子さまの“結婚観”について。結婚記者会見での小室眞子さんと小室圭さん(2021年10月26日)「愛子さまが抱かれる結婚そのものに対する考え方や、理想の結婚時期やパートナー像についての質問も用意されています。ただ、眞子さんの結婚が世間から賛否両論の声が飛び交ったように、現在の女性皇族の結婚はかなりシビアな問題になっています。ましてや、天皇家の長女でいらっしゃる愛子さまはまだ、天皇陛下の直系として『女性天皇』に即位される可能性が残されています。実際、世間からは“愛子天皇待望論”も出ており、支持する国民も多いことが世論調査でわかっています。しかし、安定的な皇位継承に関する議論がまとまらないうちに愛子さまが結婚されてしまえば、皇室を離れられてしまいます。当然ご自身も、皇族の人数減少の危機を痛いほど理解されていることでしょう。3月の会見で語られる結婚観については、かなり慎重に言葉を選ばれると思いますよ」(前出・宮内庁関係者)《これからは成年皇族の一員として、一つ一つのお務めに真摯に向き合い、できる限り両陛下をお助けしていきたいと考えております》20歳のお誕生日に際しての文書でそう述べられた愛子さまは、どのような将来を描かれているのだろうか。
2022.01.30
コメント(0)
下記の記事は日経グッディ様のホームページからお借りして紹介します。「今年こそ運動する!」と意気込んでも、長く続けるのはなかなか難しいもの。軽い運動を増やすだけでは効果は実感しにくく、かといってハードな運動にすると体がついていかず、三日坊主になりがちだ。そこでお勧めなのが、適度な運動強度があり、手軽に取り組める「インターバル速歩」だ。インターバル速歩は、「早歩き3分+普通歩き3分」を繰り返すウォーキング法のこと。本特集では、その健康効果を裏づける豊富なエビデンス(科学的根拠)と実践法を、3回にわたってじっくりご紹介する。ジム要らずのウォーキングで、目指すは体力年齢の「10歳若返り」だ。運動しているのに今一つ効果がない…そんな人こそインターバル速歩運動を三日坊主に終わらせず、効果も上げるなら、早歩きと普通歩きを繰り返す「インターバル速歩」がお勧めだ。(写真=123RF)コロナ禍が始まって丸2年が過ぎた。当初は、「外出が減って運動不足になった」「食べることが唯一の楽しみになって体重が増えた」といったぼやきがよく聞かれたが、最近は「このままではまずい」とばかりに、ウォーキングやジョギングに励む人が増えてきたように感じる。実際に、2021年の上半期のスポーツシューズ・アパレル市場は、前年同期比で4.3%増加している。コロナ前の2019年から一時は大きく売り上げが減ったが、回復傾向に転じたことが分かる(*1)。だが、わざわざ時間を割いて運動した割には、体力がついた気がしない、体重もあまり減らない…こんな感想を持つ人もいるのではないだろうか。せっかく運動しても、微々たる効果しか得られないのではもったいない。どうせやるなら、努力に見合った成果を手にしたいものだ。それでこそ、継続のモチベーションにもつながる。では、確実に効果のある運動とは何だろうか? これまで日経Goodayでは、体力の維持・向上を目的とするさまざまな運動を取り上げてきた。その1つが、「インターバル速歩」だ。インターバル速歩とは、早歩きと普通の歩きを3分ずつ繰り返すウォーキング法のこと(図1)。通常のウォーキングに比べて運動強度が高い分だけ筋肉への刺激も大きく、かつ、「きつすぎない」ので運動不足の人でも無理なく取り組め、長続きしやすいという特徴を持つ。インターバル速歩の提唱者である、信州大学学術研究院医学系・特任教授の能勢博さんは、コロナ禍で運動不足になっている人こそ、インターバル速歩がお勧めだと話す。「インターバル速歩はいつでもどこでも手軽にできる、ジム要らずの運動法です。歩くだけで体力向上、生活習慣病が改善するなどの効果を確実に得ることができ、体力の10歳の若返りも不可能ではありません」(能勢さん)図1 インターバル速歩の基本的な進め方とその効果体力は30歳ごろをピークに下り坂に転じ、10歳年をとるごとに約10%ずつ衰えていく。しかし、インターバル速歩を10年続けた人の中には、10歳年をとっても体力が下がらずキープできている人もいるという。インターバル速歩は将来要介護になる年齢を引き上げる、「介護要らず」の運動でもあるのだ。続けやすく、ジム要らずのウォーキングで体力を落とさずに済むなら、これに取り組まない手はない。
2022.01.30
コメント(0)
下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。夫と年金暮らしをする75歳の女性には50歳の娘がいる。短大入学と同時に一人暮らしを始め、卒業後は就職して生活を成立させている。女性(母)は、娘が仕事以外に家から出かける様子のないことから、「ひきこもり同然」と判断。頼る伴侶や恋人の存在もなく、今以上の収入を得られないだろう、と心配のあまり、長年にわたって経済的援助を続けている。FP(ファイナンシャルプランナー)が家計を調べると意外な事実が判明した――。「ひきこもりの長女をいつまで養わないといけないのでしょうか」「ひきこもり状態の長女(50歳)をいつまで養わないといけないのか知りたいんです」ある日かかってきた電話の主は、75歳の女性でした。日々の生活は自分たちの年金収入でまかなえているけれど、夫(80歳)と自分が入院したり介護状態になったりしたら資金的に心もとないとのことでした。そのため、できれば長女に障害年金を受給してもらいたいと考えていること、障害年金で生活費が不足するのなら生活保護も視野に入れていることなどを、不安そうな声ながらも、たたみかけるように話し続けるのでした。電話から伝わる声の調子から、家計状態はかなり切実であると感じられましたが、具体的な家計の数字を聞き出さなければ正確な判断はできません。ファイナンシャルプランナー(FP)の筆者としても解決につながるアドバイスもできません。先方のお話の切れ目を見つけて話しかけようとするのですが、次の話し出しが微妙に早く、筆者が声を出しても自分の声を引っ込めてくれません。夫が頼りにならないので自分が必死に頑張っているということなどの愚痴を受け止めつつ、1時間ほどつきあったのでした。面談に比べ、電話で必要な情報を正しく聞き取ることは難しいです。自宅からの電話は、本人にとってはテリトリー内にいる安心感があるのか、それゆえに話したい内容を整理せずに思いつくまましゃべり続けることもあるからです。「あれ」とか「これ」とか言われても、何を指しているのか理解する前に話が進行することも少なからずあり、情報収集を正しく行えず、整理もできず、結果的にFPとして役に立てないことも。結局、電話だけで終わってしまうかと思いきや、途中で筆者が挟んだひとこと「表やグラフで将来を見通してみませんか」という提案を気に入ってもらえたようで、後日、具体的な情報提供と面談に至ったのでした。家族の状況は次のとおり。年金暮らしの両親の預貯金は300万円のみだった【家族構成】母(相談者):75歳父:80歳長女:50歳、一人暮らし、会社員【家計状況】収入母:60万円(年金)父:180万円(年金)長女:低賃金(具体額不明)支出基本生活費:240万円(年間)うち、長女への援助:月額1~2万円、時折まとまった額【資産状況】父母:預貯金300万円持ち家(資産価値不明、築40年以上、ローンなし)最初、母親は長女のことを「ひきこもり」と表現していました。しかし、実際はひきこもりには該当しないことがわかりました。厚生労働省のサイトではひきこもりについて次のように定義されていますが、この定義に当てはまらないと考えたからです。「様々な要因の結果として社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6カ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)」「仕事や学校にゆかず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6カ月以上続けて自宅に引きこもっている状態」長女は短大入学時から一人暮らしを始め、20歳で就職して以降は働きながら自分の生活を成り立たせています。友人などとの交流がないらしいというのは母の見立てであり、同居していないのですから他人との交流がないとは言い切れないでしょう。ただ、母親の目には、長女の勤め先は名もない企業で稼ぎが少ないことから「一人前」とはいえないと思われること、仕事以外に出かける様子のないことから、「ひきこもりと同じ」と映ってしまうようです。長女に婚姻歴はなく、今後も結婚する様子はなく、今以上の収入を得られるとも思えず、頼る伴侶もいないことが心配のようです。その心配を払しょくするためもあって、食材や総菜などを購入しては送ったり、直接届けたりしているようでした。しかし、それが年金暮らしの家計に負担になっているというのです。長女が無心してきたことは一度もなく、母親が自主的に援助ただ、よくよく聞けば、長女が無心してきたことは一度もなく、母が、親の責任と考えて援助を続けてきたとのこと。長女は自分の収入の範囲内で暮らしていて、収入の範囲で暮らせているのはむしろ褒められていいはずなのに、なぜ母がそのように考えてしまうのかは気になります。そもそも、長女はメンタルクリニックなどを受診したことはなく、「ひきこもり」や「心の悩み」に関する相談を誰かにした形跡もありません。となると、障害年金の申請を本人は考えたことすらないはずです。母の相談内容は正しいのか否か。ここは当事者である長女の話も聞きたいところですが、それが許される空気ではありません。そこで、母の心配事を整理したところ、次の2つに集約できました。1.母から見て一人前の生活ができていない長女への援助の妥当性2.長女への援助継続による父母の家計の見通しまずは援助可能な資金を持っているのかを知る必要があります。キャッシュフロー表を作成してみました。わかったことは、毎月平均1万5000円、年額で18万円を援助しながら、これまで通りの出費(月20万円)の生活を送っていくと母の17年後の平均余命(92歳)前に300万円の預貯金残高はマイナスになってしまうことでした。赤い実線は父母がそれぞれ平均余命である90歳、92歳まで存命だった場合です。父の死後、母の存命中(母89歳、長女64歳)に家計は赤字に陥ります(月の支出が同じ20万円のままなら)。青い実線は、父は平均余命まで、母は100歳まで生きた場合です。母の平均余命までは赤い実線と同じ経過をたどり、その後(青線)は母が100歳になるまでどんどん赤字が増えていきます。黄色い実線は父母ともに100歳まで長生きした場合です。父のほうが母よりも年金額が多いので、父が長生きすることで赤字になる時期が赤と青の実線よりも2年間先送りされました。援助を続ければ父母の家計が破綻するのは決定的ただ、いずれにしろグラフからは援助を続ければ父母の家計が破綻することが見えてきました。最初の電話で母が言っていた「父母が入院したり介護状態になったりしたら資金が心もとない」という以上に、もともと預貯金残高は危うい状態であることもわかります。なぜなら入院費用や介護費用も試算には入れていないばかりか、家電製品や自宅の修繕費などの特別費も考慮していないからです。基本生活費以外の支出を計算に含めれば、赤字に陥る時期は早まります。このシミュレーションを踏まえ、筆者はこう伝えました。「援助の果てに破綻して、逆に娘さんに援助を求めることになってしまうよりも、最初から娘さんに心配をかけないようにしたほうがいいかもしれませんね」その上で、長女への資金援助を行わない場合の預貯金残高の推移も見てもらいました。前出の父母の平均余命3パターンそれぞれについて、「長女への資金援助を行わない」という条件で試算したのが3色の破線です。100歳で母死亡時に165万~255万円が残る結果を見て、母親は「実は……」と新たな話を始めました。要点はこのような内容です。母と父は一人っ子同士。頼れる親族はなく、共働きで頑張ってきた。子供がつつがなく世の中をわたっていくために本当は4年生の大学へ行かせてやりたかったけれど、当時は短大の学費を負担するのが精いっぱいだった。そのため、長女は世間に名を知られるような会社に勤めることができなかった。母には、あまり頼りにならないけれど夫(父)のような伴侶がいるが、長女はそうした存在に巡り合えず一人で苦労しているように見える。だから、少しでも援助をしたい……。さらに、母親は絞り出すようにこう話してくれました。「自分の体の中で、何がどうなっているのかよくわからなかったけれど、とにかく苦しくて苦しくて、かかりつけの内科を受診したところ、心療内科を紹介されてカウンセリングを受け、そこで『子供のことなど考えなくていい』と言われました」同じ「母の目線」で75歳の相談者にFPが話したことこの話を聞いて筆者は思いました。「子供のことを考えなくていい」と言われて、「はいそうですか」といく場合もあるかもしれないけれど、いかない場合もあるだろう、と。なぜなら、自分自身にも身に覚えがあるからです。理屈では子供を信頼して見守ればいいはず、とわかっていても、勝手に心配する気持ちが湧き上がってきて、その気持ちをコントロールできずに夜眠れなかったことは1度や2度ではありません。筆者の体験はあくまで個人的なものですから、日頃、相談者に伝えることはないのですが、今回は、「実は私にもそういう苦しさを感じたことがあります」と言って、相談者とFPという関係から少し外れて、母同士の愚痴のこぼしあいのような会話をしばらく続けました。夫は頼りにならないという電話での話も蒸し返されましたが、筆者には、夫は夫で、妻の中で常に湧き上がる得体のしれない不安や心配を冷静に受け止めて、暴走しないように配慮しているようにも感じられました。その上で、グラフを見ながら次のような主旨のことをお伝えしました。母(相談者)の気持ちはよくわかる。ただ、その気持ちのまま援助をすれば父母の家計は破綻する。そうなれば長女にかけなくてよかったはずの心配をかけることになる。長女は自分の生活を成り立たせているのだから、褒めてあげてもいい。資金援助ではなく、人生の先輩として一緒にお茶でも飲もうと誘ってみてはどうでしょうか。長女の家計が本当に心配であれば、長女に、FPに相談する方法もあるということをお知らせくださいともお伝えしました。結局のところ、長女自身の家計は長女が考えるしかないからです。筆者との電話と面談でのやりとりでどれだけ相談者が、自身の気持ちを整理でき、また長女への援助中止を決断できるかどうかは不透明です。ただ最後に、「また電話してもいいですか?」と聞かれことは、筆者にとって小さな希望の光です。「次の一歩」につながってほしい。そんな願いを込め「いつでも、どうぞ」と言って、別れを告げました。菅原 直子(すがわら・なおこ)ファイナンシャル・プランナー会計事務所向けオフコン販売、外資系生命保険会社の勤務・代理店を経て1997年FP資格取得・独立。わが子の成長にあわせて教育資金関連に注力し、各地の高校で保護者・生徒向けの進学費用に関する講演多数。卒業後の奨学金返還など将来の生活設計も考える講座内容から、親子・保護者・生徒から個人相談を受けることも。一般の個人相談では、ご相談者のライフデザイン(どのような人生を送りたいのか、どのような日々を送りたいと思っているのか)を一緒に考えるところから始めるようにしている。
2022.01.29
コメント(0)
下記の記事はダイアモンドオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。節約好きの人にはおなじみの「ポイント経済圏」。特定のポイントを通貨になぞらえ、それを使って商品購入やサービスのやり取りが行われる世界をそう呼ぶ。しかし、2022年はここに大きな地殻変動が起きそうな気配がある。不動の地位にいた「楽天ポイント経済圏」に異変が起きているのだ。(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)楽天経済圏に暗雲、楽天カードを持つ優位性とは?今や、「ポイント」は通貨のごとく、日常生活になじんでいる。取引ごとに貯まったポイントを使って買い物や生活サービスを利用し、その決済の際にまたポイントが貯まり――という無限サイクルで成り立っていることから「ポイント経済圏」と呼ばれている。コロナ禍で節約志向が高まり、「ポイ活(ポイントを積極的に貯めて節約につなげる行動)」を始める人が増えたことも後押しし、ポイントを発行する企業の動きも活発だ。「ポイ活」愛好家なら、その大半が「楽天経済圏」の住人だろう。楽天が発行する「楽天ポイント」は、累計発行数が2.5兆ポイント超え(2021年8月31日)、年間発行数も4700億超え(2020年度)と、日本一の規模を誇るポイントと言っていい。この経済圏への優遇パスポートが、「楽天カード」だ。発行枚数は2021年6月に2300万枚に到達、これは東京都と大阪府の人口の合計に匹敵する数字で、いかに多くの人が保有しているかがうかがえる。楽天カードで決済すれば楽天ポイントが付与され、特に楽天グループでの決済に使うとさらに付与率をアップすることができる。他社のカードが使えないわけではないが、楽天カードがポイントアップを狙うための扇の要となっていたわけだ。しかし、盤石と思われた「楽天経済圏」の景色が変化してきたのは、この楽天カードからだった。「改悪では」とネット上が騒然となったのが、昨年起きた楽天ゴールドカードのポイント改変だ。楽天市場の「スーパーポイントアッププログラム」(SPU)のポイント倍率が、ゴールドカードで決済すると4倍だったのが、4月からはいきなり2倍へとダウンした。通常の楽天カードで決済するのと同じ倍率となり、保有のメリットがガタ落ちしてしまう(新しく「お誕生日月サービス」などの特典はついたが)。そして、2021年6月からは、公共料金(電気、ガス、水道)・税金(国税、都道府県税など)・国民年金保険料等の支払いについても変更となった。楽天カードで決済する際、従来は100円につき1ポイント獲得できていたのが、500円につき1ポイントと、5分の1に減ってしまったのだ。まだまだこれから!ポイント付与の仕組みも次々「改悪」まだまだある。楽天カード以外でもポイント獲得条件の変更が続いている。SPUのポイント倍率の対象となっていたサービスが変更され、さらに2021年11月からは最大15.5倍だった倍率が15倍に落ちた。2022年に控えている変更はさらに大きい。4月からポイント進呈の対象となる金額を、これまでの消費税込み金額から、消費税を抜いた金額に変更すると発表した。ざっくり10%分のポイントが減ることになる。さらに、グループ内の金融機関との連携も見直しになる。楽天証券では、保有している投資信託の残高に対し毎月ポイントを付与していたが、その条件を変更する。これまで投資信託の残高10万円ごとに毎月3~10ポイントを受け取ることができた(楽天銀行との「マネーブリッジ(後述)」および「楽天銀行ハッピープログラム」への登録の場合)が、2022年4月からは月末時点の残高が「初めて」一定の金額に達したときに付与されることになるのだ。初めて10万円に達したら10ポイント、30万円に達したら30ポイント…ということで、ポイントを得るにはただ投信を保有しているだけではダメで、定期的な購入が必須条件というわけだ。また、これまではマネーブリッジを利用してない場合も、投資信託の残高50万円以上を保有していれば月々の保有額に応じてポイントを受け取ることができたが、こちらも同じ条件へと変更される。説明が前後したが、マネーブリッジとは、楽天銀行と楽天証券の口座間入出金を連携させるサービスで、この手続きを取ると楽天銀行の普通預金金利が通常の5倍の年0.10%(税引き前)にアップする優遇があった。しかし、これも一部見直され、4月からは残高300万円を超える部分については年0.04%に下げるという。無論、ポイント付与のルールを決めるのは企業側だ。ユーザーは黙って従うほかはない。しかし、ここまで「改悪」が続くと、楽天経済圏の住人たちは不安になるだろう。携帯電話事業絡みの支出がことのほか重く、ポイント大盤振る舞いができなくなるのではと勘繰ってしまう。その不安につけ込まれ、もしこの先Amazonがポイント付与や決済事業にもっとやる気を出したりしたら、一気にECのシェアが変わるのではないか。会社への評価は人それぞれとはいえ、楽天はなんといっても国内企業だ。できれば踏ん張っていただきたい。ヤフーとTポイントとの蜜月関係終了、勢いづくPayPay2022年のポイント業界で起きる注目ニュースといえば、こちらも大きい。ヤフーのサービスを利用したときに付与されていたポイントが、TポイントからPayPayボーナスへと切り替わる。ポイントアップのキャンペーンにおいても、これまではTポイント+ PayPayボーナスという二本立ての付与だった。しかし4月からはPayPayボーナスのみとなる。それに伴って、ヤフーの主要サービスでTポイントを消化できなくなるので注意が必要だ。また、すでに保有されているYahoo! JAPANカードも「PayPayカード」に切り替えとなり、カード決済で還元されていたTポイントはPayPayボーナスへと変わる。この動きは予測通りだろう。Tポイントはそもそもヤフーの自社ポイントではない。共通ポイントとしては最も古株といっていいTポイントと手を組むことのメリットは大きかったのだろうが、スマホ決済の世界でPayPayがトップシェアを取ってからは事情が変わった。決済環境の地ならしが済んだところで、いよいよ自前ポイントへの切り替えとなったわけだ。これまでは「5%還元!」といっても、そのうち1%分がTポイントといういびつな内訳でスッキリしないところもあったが、今後は胸を張って言えるようになる。また、満を持してクレジットカード「PayPayカード」の発行を開始した。このカードで決済すると、通常で利用額の1%がPayPayボーナスで還元される。「Yahoo!ショッピング」「LOHACO」などの決済に使うとさらに1%、それにストアポイント1%が加わって、合計3%のPayPayボーナスが還元される。「5のつく日キャンペーン」や「PayPayステップ」など、ヤフーやPayPayのキャンペーンやプログラムの対象にも、このカードが追加される――というのは、まさに楽天カードと同じ構造。PayPayはモバイルを基調に、「PayPay経済圏」を回していくつもりだ。オンラインで稼いだPayPayボーナスが節約ツールとして威力を発揮するようになれば、楽天に匹敵する強力な経済圏が誕生すると期待できるだろう。通信キャリアのポイントは銀行・証券との仲を深めていくドコモのdポイント、au(KDDI)のPontaも、自社の経済圏の構築を進める。中でも金融機関との連携を深めているのがPontaで、2021年6月からは三菱UFJ銀行のスーパー普通預金(メインバンク プラス)の取引で、毎月貯まるサービスを開始した。ダイレクトログインだけで貯まるとは、ポイ活としてはハードルが低い。さらに、2021年11月からSBI証券のポイントサービスに参加した。株式の購入手数料や投資信託の月間平均保有金額に応じてポイントが貯まる。投信残高が1000万円未満の場合は、保有金額の0.1%(通常銘柄の場合)というので、10万円だと100ポイントということか。これは先の楽天より割がいい。Pontaはau PAYでの支払いに使える上、ECのau PAYマーケットで使う限定ポイントに交換すれば、1.5倍分に増量されるのも太っ腹だ。無論、Pontaが貯まるクレジットカード「au PAYカード」もある。au経済圏は手ごわい伏兵といったところだ。最後のdポイントだが、他社に比べると「経済圏」というには若干弱い。とはいえ、ドコモ自体はポイント事業を大きな戦略の柱に据えているようで、いい意味での後出しジャンケンを期待したい。現在は三菱UFJ銀行との業務提携が進んでいて、「dポイントが貯まる新たなデジタル口座サービスの提供」が発表されている。通信料金やdカード(クレジットカード)の引き落とし先に設定すると毎月dポイントが貯まるようになるらしいが、どの程度追い上げられるか。盤石と思われた楽天経済圏の行方を気にしている人は多いだろう。永遠や不変という文字は、何事にもない。松崎のり子:消費経済ジャーナリスト
2022.01.29
コメント(0)
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。オミクロン株の世界的感染拡大を受け、日本でも昨年12月より医療従事者を対象にした3度目のワクチン接種(ブースター接種)がスタートした。一般の人への接種時期の前倒しも検討されており、他国に比べて遅れているブースター接種を少しでも進めようと政府は躍起になっている。当記事は「週刊女性PRIME」(運営:主婦と生活社)の提供記事です一方で、1月11日には欧州連合(EU)の医薬品規制当局が「ブースター接種を頻繁に行うことで最終的には免疫力が低下するおそれがある」と警告を発した。「ブースター接種は感染拡大を防ぐカギになる」とも「ワクチン接種は何度も繰り返すべきものではない」とも両極の意見が乱れ飛ぶなか、いざ自分に接種の順番が回ってきたときどうすればよいのか迷っている人も多いだろう。そこで週刊女性では、先行して3度目の接種が進む医療従事者を対象にブースター接種に関するアンケートを実施した。まず、接種の意向について尋ねたところ、8割強の人が3度目の接種をすると回答。医療現場に携わる人たちの危機意識の高さが表れている一方、一部には接種しないという意見も。接種しないという意見も「あれだけ強行接種をしたのに第6波がきたので、接種する意味を感じない」(26歳・女性・看護師ほか)(出典:週刊女性PRIME)とワクチンの効果を疑問視する声も上がったが……。「ワクチンの抗体は接種後6カ月で10分の1以下に低下するといわれています。しかし3回目の追加接種をすればウイルスの侵入を防ぐ中和抗体価が7.9~17.3倍になるというデータが出ていて、感染や重症化のリスクを下げられると考えられます」そう話すのは、すずきこどもクリニックの院長、鈴木幹啓先生。現在拡大しているオミクロン株や、この先新しく発生するであろう変異株においても、ブースター接種の効果は見込めるという。「特に医療従事者が感染してしまうと病院の機能が停止するおそれがあります。もちろん無理強いはできませんが、個人的には積極的に接種してほしいと思いますね」(鈴木先生、以下同)接種を迷っている人の回答には「これまでの接種で副反応がひどかったので、もうつらい思いをしたくない」(36歳・女性・看護師ほか)と、副反応に対する不安の声も多く見られた。(出典:週刊女性PRIME)そこで、すでに3回目の接種を終えた人に副反応の実態を尋ねたところ、最も多かったのが「発熱」で、次いで「倦怠感」「接種部位の疼痛」が挙がった。なかには「接種後10時間ほどで40度の発熱があり、関節痛や頭痛も出た。完全に治るまで4日を要した」(35歳・女性・言語聴覚士)という人も。(出典:週刊女性PRIME)副反応は1、2回目より軽い「データ上では3回目の接種の副反応は1、2回目に比べると軽いという数字の裏付けが出ています。特に発熱があったという例は2回目の接種に比べて半数程度と大きく下がっていますね。理論上はワクチンを打つほど副反応は大きくなるはずなのですが、公表されているデータを総合的に見る限りでは、副反応は1、2回目までの範囲内か、それ以下程度に収まっている人が多いようです」接種後の副反応として、特に若年男性の間ではごくまれに心筋炎や心膜炎が疑われるケースもある。また、10代や20代の若年層は重症化のリスクが低いため、そもそもブースター接種が必要かという声も出ているが……。「すでに2回接種している若年層の方にとっては、たしかに自分が3回目の接種をするメリットが薄いと感じる人もいるでしょう。ただし、自分が感染の媒介者にならないという意識は重要です。今回のアンケートでも“アレルギーがあり接種できない”といった意見があるように、打ちたくても打てない人もいます。また、若年層の人は“感染してもインフルエンザ程度ですむ”と思っていても、高齢者にとっては生死につながる場合もあるので、周りの人を守るために接種するという意義は十分にあると思います」接種をするとなるともちろん備えも必要だろう。3回目の接種にあたって注意しておくべきことはあるだろうか。「基本的には2回目までの接種のときと同様の心構えがあるとよいかと思います。副反応に備えて飲料や食品、薬を準備しておいたり、接種の翌日や翌々日まで仕事や予定を調整しておいたりできれば安心ですね。また、症状が出てからアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬を服用するのは構いませんが、副反応の予防として事前に服用することは避けてください」誤情報を鵜呑みにせず、自分で正しい判断を!今回のアンケートでは、医療従事者のなかでさえワクチン接種に対する不安や混乱があることが見えてきた。さまざまな意見や情報が錯綜するなか、どうやって意思決定をしていけばよいだろうか。「周囲の不安にあおられないよう、正しい情報を得るようにすることが大前提。特にインターネット上には、匿名で発信される誤情報があまりにも多いと感じますし、専門家から見れば明らかに間違った情報もあふれています。そういったものを鵜呑みにせず、どちらかに偏った意見だけでなく反対意見もしっかりと聞いたうえで、最終的には自分で判断をすることが大切です」感染爆発の脅威を前に不安は尽きないが、せめて正しい判断をできるよう心がけたい。(取材・文/吉信 武)教えてくれたのは……鈴木幹啓先生すずきこどもクリニック(和歌山県新宮市)院長。株式会社やさしさ、株式会社オンラインドクター.com代表取締役。クリニックやオンラインで診療を行いつつ、YouTubeでの情報発信やオンライン診療ポータルアプリ「イシャチョク」の運営など幅広く活躍。医師、看護師、薬剤師、助産師、理学療法士、作業療法士など、医療従事者を対象に週刊女性が独自のアンケートを実施(1月7日〜12日)。ワクチン接種の意向や副反応について、有効回答のあった323人の内容を以下にまとめた。取材協力/あんどう内科クリニック、五反田駅前歯医者、医療法人社団すぎたファミリークリニック、すずきこどもクリニック、たけつな小児科クリニック、豊洲はるそらファミリークリニック、プリモ麻布十番クリニック、まさこメディカルクリニック(あいうえお順)。メディチョク、Freeasyでご回答いただいた医療従事者のみなさま、ご協力くださりありがとうございました。
2022.01.29
コメント(0)
原文をお読みなるには下記のizumidai207でお読みください。https://blog.ameba.jp/ucs/top.doこのブログでは「1行目:許可されていない属性を使用しています(タグ:"img")。」と表示されたが何処か分かりませんので、上記のブログでお願いします。下記はテキストスタイルです。表(3枚)がヒカッカた思います。下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。オミクロン株の世界的感染拡大を受け、日本でも昨年12月より医療従事者を対象にした3度目のワクチン接種(ブースター接種)がスタートした。一般の人への接種時期の前倒しも検討されており、他国に比べて遅れているブースター接種を少しでも進めようと政府は躍起になっている。当記事は「週刊女性PRIME」(運営:主婦と生活社)の提供記事です一方で、1月11日には欧州連合(EU)の医薬品規制当局が「ブースター接種を頻繁に行うことで最終的には免疫力が低下するおそれがある」と警告を発した。「ブースター接種は感染拡大を防ぐカギになる」とも「ワクチン接種は何度も繰り返すべきものではない」とも両極の意見が乱れ飛ぶなか、いざ自分に接種の順番が回ってきたときどうすればよいのか迷っている人も多いだろう。そこで週刊女性では、先行して3度目の接種が進む医療従事者を対象にブースター接種に関するアンケートを実施した。まず、接種の意向について尋ねたところ、8割強の人が3度目の接種をすると回答。医療現場に携わる人たちの危機意識の高さが表れている一方、一部には接種しないという意見も。接種しないという意見も「あれだけ強行接種をしたのに第6波がきたので、接種する意味を感じない」(26歳・女性・看護師ほか)(出典:週刊女性PRIME)とワクチンの効果を疑問視する声も上がったが……。「ワクチンの抗体は接種後6カ月で10分の1以下に低下するといわれています。しかし3回目の追加接種をすればウイルスの侵入を防ぐ中和抗体価が7.9~17.3倍になるというデータが出ていて、感染や重症化のリスクを下げられると考えられます」そう話すのは、すずきこどもクリニックの院長、鈴木幹啓先生。現在拡大しているオミクロン株や、この先新しく発生するであろう変異株においても、ブースター接種の効果は見込めるという。「特に医療従事者が感染してしまうと病院の機能が停止するおそれがあります。もちろん無理強いはできませんが、個人的には積極的に接種してほしいと思いますね」(鈴木先生、以下同)接種を迷っている人の回答には「これまでの接種で副反応がひどかったので、もうつらい思いをしたくない」(36歳・女性・看護師ほか)と、副反応に対する不安の声も多く見られた。(出典:週刊女性PRIME)そこで、すでに3回目の接種を終えた人に副反応の実態を尋ねたところ、最も多かったのが「発熱」で、次いで「倦怠感」「接種部位の疼痛」が挙がった。なかには「接種後10時間ほどで40度の発熱があり、関節痛や頭痛も出た。完全に治るまで4日を要した」(35歳・女性・言語聴覚士)という人も。(出典:週刊女性PRIME)副反応は1、2回目より軽い「データ上では3回目の接種の副反応は1、2回目に比べると軽いという数字の裏付けが出ています。特に発熱があったという例は2回目の接種に比べて半数程度と大きく下がっていますね。理論上はワクチンを打つほど副反応は大きくなるはずなのですが、公表されているデータを総合的に見る限りでは、副反応は1、2回目までの範囲内か、それ以下程度に収まっている人が多いようです」接種後の副反応として、特に若年男性の間ではごくまれに心筋炎や心膜炎が疑われるケースもある。また、10代や20代の若年層は重症化のリスクが低いため、そもそもブースター接種が必要かという声も出ているが……。「すでに2回接種している若年層の方にとっては、たしかに自分が3回目の接種をするメリットが薄いと感じる人もいるでしょう。ただし、自分が感染の媒介者にならないという意識は重要です。今回のアンケートでも“アレルギーがあり接種できない”といった意見があるように、打ちたくても打てない人もいます。また、若年層の人は“感染してもインフルエンザ程度ですむ”と思っていても、高齢者にとっては生死につながる場合もあるので、周りの人を守るために接種するという意義は十分にあると思います」接種をするとなるともちろん備えも必要だろう。3回目の接種にあたって注意しておくべきことはあるだろうか。「基本的には2回目までの接種のときと同様の心構えがあるとよいかと思います。副反応に備えて飲料や食品、薬を準備しておいたり、接種の翌日や翌々日まで仕事や予定を調整しておいたりできれば安心ですね。また、症状が出てからアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬を服用するのは構いませんが、副反応の予防として事前に服用することは避けてください」誤情報を鵜呑みにせず、自分で正しい判断を!今回のアンケートでは、医療従事者のなかでさえワクチン接種に対する不安や混乱があることが見えてきた。さまざまな意見や情報が錯綜するなか、どうやって意思決定をしていけばよいだろうか。「周囲の不安にあおられないよう、正しい情報を得るようにすることが大前提。特にインターネット上には、匿名で発信される誤情報があまりにも多いと感じますし、専門家から見れば明らかに間違った情報もあふれています。そういったものを鵜呑みにせず、どちらかに偏った意見だけでなく反対意見もしっかりと聞いたうえで、最終的には自分で判断をすることが大切です」感染爆発の脅威を前に不安は尽きないが、せめて正しい判断をできるよう心がけたい。(取材・文/吉信 武)教えてくれたのは……鈴木幹啓先生すずきこどもクリニック(和歌山県新宮市)院長。株式会社やさしさ、株式会社オンラインドクター.com代表取締役。クリニックやオンラインで診療を行いつつ、YouTubeでの情報発信やオンライン診療ポータルアプリ「イシャチョク」の運営など幅広く活躍。医師、看護師、薬剤師、助産師、理学療法士、作業療法士など、医療従事者を対象に週刊女性が独自のアンケートを実施(1月7日〜12日)。ワクチン接種の意向や副反応について、有効回答のあった323人の内容を以下にまとめた。取材協力/あんどう内科クリニック、五反田駅前歯医者、医療法人社団すぎたファミリークリニック、すずきこどもクリニック、たけつな小児科クリニック、豊洲はるそらファミリークリニック、プリモ麻布十番クリニック、まさこメディカルクリニック(あいうえお順)。メディチョク、Freeasyでご回答いただいた医療従事者のみなさま、ご協力くださりありがとうございました。
2022.01.29
コメント(0)
下記の記事はデイリー新潮オンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。平成終盤から皇室を揺るがした眞子さんと小室圭さんの結婚問題。皇族の「公と私」から国民との距離まで、多くの懸案が浮き彫りとなった4年間だった。皇室に未曾有の危機を招いた騒動はなぜ起きたのか。その起源ともいうべき「開かれた皇室」の実態を検証する。***新天地に渡ったお二人が残した爪痕は、日々メディアを賑わせてきたトラブルよりはるかに深く、重い。戦後、皇室が営々と築き上げてきた国民との信頼関係を、いとも無造作に瓦解させてしまったことで、巷にはお二人のみならず秋篠宮家、ひいては皇室そのものへの畏れを知らない批判の声まで上がる始末だった。その一方、こうした事態は起こるべくして起きたといえる。それはすなわち、昭和から平成、令和へと至る過程で皇室と国民との距離が“不適切に縮まった”ことの帰結なのではなかろうか――。ここであらためて、4年に及んだ問題を振り返っておく。初めて小室圭さんの名が世に知れ渡ったのは2017年5月。NHKが「眞子さま 同級生とご婚約へ」と報じたことで、にわかに時の人となったのである。当初「海の王子」「インターナショナルスクール卒」「UCLA留学」といった経歴も手伝って世間は喝采し、同年9月の婚約内定会見ではお互いを「月と太陽」に例えて話題に。秋篠宮ご夫妻も「非常に真面目な印象」「(小室さんの)優しいピアノの音色を聴きながら心和むひとときを過ごした」などとたたえておられたのだった。金銭トラブルの発覚と婚約延期その年末、小室さんの母親が元婚約者との間に400万円を超す金銭トラブルを抱えていることが発覚。それまでも父親の自死や新興宗教との関わりは報じられてきており、婚約が揺らぐほどの騒ぎには至らなかったのだが、年が明け、18年初頭から各メディアがこのトラブルをこぞって報じた。世間は好奇の目を向け、「皇族の結婚相手としてふさわしいのか」といった論調も盛んになってきた。慌てた宮内庁は2月初旬、ひと月後に控えていた「納采の儀」(一般の結納)を目前に「婚約延期」を発表。これにより11月の帝国ホテルでの挙式も吹き飛び、騒動はいっそう肥大化していったのだった。その後の経過はご存知の通り。小室さんは米国留学を決め、8月に渡米。21年9月にはおよそ3年ぶりに帰国し、10月には入籍を果たした。会見の場でお二人は国民を「結婚を応援してくれる人」とそれ以外の人に分断するかのような発言をし、あらためて物議を醸したのである。皇室の民主化およそ皇室への無理解が甚だしい若者がたやすく皇族に近づき、あげく結婚してしまうという現実。眞子さんは20年11月に公表した「お気持ち」の中で、結婚について“自分たちの心を大切に守りながら生きていくために必要な選択”とまで言い切っていた。「自らの意志を貫くべく、もっぱら公より私を優先したといわれるゆえんですが、実際に秋篠宮さまも20年のお誕生日会見で憲法を持ち出され、“本人たちがそういう気持ちであれば、親としては尊重するべきものだと考えている”と述べられている。それでも皇族のご結婚は、やはり家同士の結びつきが重い意味を持つ。結婚自体は止められませんでしたが、せめてもの歯止めとして秋篠宮さまは、一連の儀式を取り止められたのです」(皇室ジャーナリスト)家父長制にもとづく家制度に支えられた戦前とは一変、戦後は家同士から個人間の結婚へと世間の意識は変化をみせ、令和の現在、お二人の結婚を“当人が愛し合っているのだから構わない”と捉える若い世代も多かろう。が、そもそも皇族と一般人では拠って立つ基盤が大いに異なり、同一に論じるのは失当であろう。今回の結婚問題について、「“皇室の民主化”が急激に進み過ぎてしまったことと関係があると思います」そう指摘するのは、皇室に詳しい麗澤大学の八木秀次教授である。「例えば東日本大震災では、『国民と共にある皇室』が非常にうまく機能しました。上皇ご夫妻が膝をついて被災者を励まされるお姿は、悲しみや不安、絶望感を抱く日本人を勇気づけ、“皇室は我々と共にある”と、多くの国民が意識したことでしょう。ただし、皇室と国民との距離が近づくことは決して悪いことではないとはいえ、おのずと加減というものがあるはずです」“開かれた皇室”新年の一般参賀はふたたび中止に戦後、民主主義が成熟していくにつれ、急速に広まっていったのが、いわゆる「開かれた皇室」という考え方である。実際にどう開かれていったのかといえば、八木教授が続けて、「この言葉自体はメディアによる造語ですが、“開かれた皇室”は上皇后美智子さまがお若い頃に体現されてきたものという意味合いを強く感じます。かつて上皇さまの教育係を務めた経済学者の小泉信三は、米国占領下で皇室の民主化を進めました。当時の皇太子さまと美智子さまとのご結婚もその一環で、世間では恋愛結婚ということになっていますが、小泉が陰でお膳立てしていたのは明白。それまではごく限られた一定の範囲で妃を選んでいたところ、民間人との結婚がセッティングされたのです」ご結婚が決まったのは1958年、国民は民間出身のお妃に熱狂し、テレビの普及をうながした。いわゆる「ミッチーブーム」が起きたわけだが、「民間人との結婚によって皇室をより国民に近い存在にしようとしていた小泉ですが、こうした民主化の動きを、三島由紀夫は『週刊誌的天皇制』と、辛辣に批判しました。三島は68年、早稲田大学で行われた討論集会で『(小泉は)国民と天皇との関係を論理的につくらなかったと思うのです。というのはディグニティ(注・威厳)をなくすることによって国民とつなぐという考えが間違っているということを小泉さんは死ぬまで気がつかなかった』と語っています」(同)英王室もオープンだが…皇室制度に詳しい国士舘大学の百地章特任教授は、「造語である『開かれた皇室』論が広く言われるようになったのは、やはりミッチーブームが大きかったと思いますが、その熱狂は“もっと皇室のことを知りたい”という興味本位の関心にもつながっていきます。開かれた皇室を国民が歓迎し、それに応えるようにメディアが、もっと開かれるようにと煽ったのです」そう解説しながら、「ミッチーブームと時を同じくして、長らく昭和天皇の侍従や侍従長を務めた入江相政さんが次々と著作を発表しました。彼は“皇室は、戦前のように国民との間に壁を作ってはならない。陛下は国民と直接触れ合える機会を”と主張し、昭和天皇の日常生活を書きつづりました。入江さん本人は“壁を取り払う”という使命感をもって書いたのでしょうが、これは越えてはならない一線だったと思います。まるで昭和天皇が友人のように登場し、結果として“皇室にプライバシーはない”かのような誤った風潮に繋がったことも事実です」(同)当時は、英王室が理想であるかのように語られることも多かったのだが、「英王室はそれ以前から非常にオープンで、ゴシップの対象にもなっていました。ただし、英国はあくまで階級社会という前提があり、王室と庶民とは違うという認識が明確にある上でのこと。日本のように“すべての国民が平等”という認識の社会で皇室がオープンになると、まるで皇室も一般国民も変わらないと勘違いする人が出てくるおそれもあります」(同)大衆消費社会の中間層そうした風潮は、むろん社会情勢とも無関係ではあるまい。慶應義塾大学の笠原英彦教授(日本政治史)が言う。「ちょうどミッチーブーム前後の日本は、高度経済成長で大衆消費社会へと変化する過程にありました。テレビが普及し、雑誌の出版部数も増加するなど、メディアが多様化した時期でもあったのです」前述した入江氏の著作も、そんな状況下で刊行されたわけだが、「いわゆる中間層と呼ばれる層が分厚くなり、彼らはメディアを次々に消費するようになりました。こうした情勢で、皇室の方々も国民の目に触れる機会が急増し、オープンになったという印象が生まれたのではないでしょうか」(同)また、昭和という時代の特殊性もあったといい、「いまだ戦争を引きずっている人が大勢いる中で国民との距離を縮めるには、戦争に関わっていたというイメージの払拭がどうしても不可欠です。もちろん昭和天皇も、戦後の全国巡幸や犠牲者の慰霊を通じ、それをなさってきたと思いますが、やはり開戦に直接に関わっていない天皇の誕生という意味で、平成は全く新しい時代の訪れでした。“平和の象徴”となった皇室が国民に開かれていくことは、多くの人々に受け入れられたのです」(同)これには、皇太子時代に敗戦を迎えられた上皇さまご自身の思し召しも大きかったという。さる宮内庁関係者が明かすには、「上皇さまはご在位中、とりわけ戦没者の慰霊に思いを致され、これを実行なさってきました。直接の関係者ではないとはいえ、御父上の名で引き起こされた戦争について常にお心を砕かれてこられたのです。リベラルなお考えでいらっしゃる上皇さまのそうした礎は、少年時代に培われています」戦争責任についての認識を共有実際に、慶應義塾福澤研究センターの都倉武之准教授によれば、「小泉信三の残した『御進講覚書』を読むと、皇太子時代の上皇さまに、とても細かく厳しい指導があったことが分かります。そのノートには『責任論からいへば、陛下は大元帥であられますから、開戦に対して陛下に責任がないとは申されぬ。それは陛下御自身が何人よりも強くお感じになってゐると思ひます』と、昭和天皇の戦争責任にはっきり言及している。その後には、それでも皇室が存続したのはなぜか、よく考えて模索し続けよ、と続きます。指導を行う前、小泉は昭和天皇とも相談し、戦争責任についての認識を話し合っていたと考えられます」この「覚書」が書かれたのは1950年で、「その3年後、皇太子時代の上皇さまは初の外遊で欧州に赴かれ、英国では昭和天皇の名代でエリザベス女王の戴冠式にご出席。小泉も随行するのですが、小泉はご自身がどう報じられているかを教えるため、現地の新聞を和訳するよう皇太子さまに指導しています。戦後8年、敵国だった日本の皇太子を良く思わないムードもあり、決して歓迎一色ではありませんでしたが、“ご自分がどう見られているのか、常にアンテナを張りなさい”という趣旨でした。それが象徴として大切なことだと小泉は考えていたのです」ちなみにその和訳には、小泉の“赤字”がびっしり入っていたという。タレントと同一視こうした経験を積まれ、戦争についての考察を深められた上皇さまは、平成の御代ではひたすらに「国民と共に歩む皇室」を推し進められてきた。先の笠原教授は、「皇室の安定には、国民との適切な距離の維持が欠かせません。平成になって戦争を知らない世代が増える中、上皇ご夫妻は福祉活動などを通じてその距離を保ってこられました。いわゆる“平成流”と呼ばれるものです。自然災害のたびにご夫妻は現地で被災者と向き合われ、励まし続けてこられた。そのお姿に、国民の側も倫理観や道徳性を学んできたのです」もっとも、「国民の側で問題なのは、教育において皇室を知る機会が極端に少ない点です。皇室の存在意義や一般人との違いを教わったり考えたりする場がないため、若い世代を中心にタレントと同一視しているような人が増えていると感じられます。小室さんの件では、ニュースサイトに“我々の血税で暮らす皇族”といった趣旨のコメントが多くみられました。少し前ならば考えられなかったことです」(同)皇室と国民との距離が近づくのはいいとして、それが適切でないほどに縮まったということか。背景に社会全体の閉塞感笠原教授によると、90年代以降、いわゆる中間層が細って格差社会へと変わっていき、「以降は新自由主義によって格差がさらに広まり、非正規雇用が増えるなど、社会全体に閉塞感が広まっていると思われます。経済的な豊かさだけでなく心の豊かさを失った人も多いのかもしれません。こうした空気が“血税”といった発想に通じているように感じます。SNSが発達し、匿名性と相まって“批判が批判を呼ぶ社会”が到来しました。昭和や平成が開かれた皇室を作ったように、過激なコメントに付く“いいね”という共感を欲している現代もまた、皇室とは不可分だといえます」(同)皇室が“開かれすぎた”結果、陛下と皇族方は国民から敬愛という枠を超えて親近感を抱かれるに至り、その“副作用”として皇室が何であるかを知らない、そして知ろうとしない者が増えてしまった。それゆえ、ひとたび違和感や怒りの対象となれば、容赦なく批判や憎悪のコメントを浴びせられる状況になってしまったのだ。皇室の意義をまるで理解せず「一般人目線」で眞子さんに近づき、首尾よく思いを遂げた小室さんもまた、こうしたSNS時代の「落とし子」といえよう。いわゆる「小室問題」が、一般人と同じく自由恋愛でご結婚され、お子様方の進学先として学習院も“否定”されるなど、皇室の堅苦しい伝統を回避してきた秋篠宮家で発生したことは実に皮肉であり、また同時に必然でもあった――。
2022.01.29
コメント(0)
下記の記事は日経ビジネス様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。新型コロナウイルス新規感染者数に先行する指標として筆者が以前よりウオッチしている東京都発熱相談センターにおける相談件数(発熱相談件数)が、年明け後に急増している。1月17日はCOCOA専用ダイヤルを含めて5102人になった。データをさかのぼれる2020年10月30日以降の最多水準である(図1)。この動きにやや遅れて都内の新規感染者数は一段の増加となっている。先行指標がいつピークをつけて減少に転じるかを、当面注視したい。■図1:東京都の新型コロナウイルス新規感染者数、発熱相談件数(出所)東京都東京都医師会の尾崎治夫会長は1月11日の定例記者会見で、「ワクチンを2回打てば大丈夫というのは、オミクロンでは通用しない」「3回目のワクチンを打つまでは、PCRや抗原検査で陰性を確認した上で会食や旅行をしてほしい」と述べて、警戒を促した。岸田文雄首相は同日に行われた全国知事会の平井伸治会長(鳥取県知事)らとのテレビ会議の席上、高齢者への3回目のワクチン接種(ブースター接種)実施について、ペースアップを強く要請した。日本を含め、オミクロン型やデルタ型への当面の対応措置として、人々にブースター接種を促している国は多い。だが、新たに出現した変異型に対して既存のワクチンの接種を重ねていく対応の適否を疑問視する声も出ている。欧州連合(EU)の規制当局である欧州医薬品庁(EMA)は11日、新型コロナウイルスワクチンのブースター接種を繰り返すと免疫力が低下する可能性があるという警告を発した。EMAのワクチン戦略の責任者であるマルコ・カバレリ氏は記者会見で、「追加接種は臨時措置であり、短い間隔で接種を繰り返すのは持続的な長期戦略とはいえない」と指摘。4カ月ごとに追加接種を繰り返すと人体の免疫系に負荷をかける恐れがあるとした。ワクチン接種疲れも背景にまた、世界保健機関(WHO)の新型コロナウイルスワクチンに関する技術諮問委員会が同じ11日に公表した声明は、既存ワクチンのブースター接種を繰り返す戦略は適切でも持続可能でもなく、オミクロン型さらには今後出現が予想される変異型に対しても効果を発揮できるようワクチンを「更新していく必要があるとみられる」とした。なお、ブースター接種を含めて新型コロナワクチンの接種で先行してきており、4回目の実施に着手したイスラエルでは、3回目の接種率が頭打ちになっているという報道が出ている(2021年12月31日付 毎日新聞朝刊)。オミクロン型の感染拡大をうけて、イスラエル政府はワクチン接種を強く促している。だが、3回受けた人は人口の約4割強にあたる約420万人にとどまり、4回目は「今のままでは不発に終わる可能性もある」。「専門家からは『ワクチンへの信頼低下や、接種疲れが背景にある』との指摘も出ている」という。ワクチンを接種しても感染する「ブレークスルー感染」が多発すると、副作用を我慢して接種してもあまり意味がないと考える向きが増えてくるのは、不思議なことではない。一方で、変異型に対応するための時間をより長く確保することにつながる、ポジティブな動きもある。ある独バイオ製薬大手は11日、新たな変異型のリスクについて人工知能(AI)を活用して迅速に判定する技術を開発したと発表した。変異型の遺伝子データを解析し、免疫をすり抜ける能力や感染しやすさを、早ければ数分で評価できるという。オミクロン型の強い感染力ゆえに感染者数が急増して来院および入院する患者数の増加につながる一方、医療従事者側では濃厚接触者の隔離などから欠勤者が増えることから、医療体制の逼迫が起こりやすくなっている。また、 オミクロン型への感染の場合はデルタ型と違って無症状者や軽症者が多いとはいうものの、発熱すると心配になって医者に診てもらおうとする人は、当然増える。NHKは15日、新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、都内のクリニックでは急増する発熱外来への対応に追われて、一般の外来の診療に影響が出始めていると報じた。最近の新型コロナウイルス関連の動きでは、米バイデン政権のファウチ首席医療顧問が発した「最終的にはほとんどの人が感染すると思う」というコメントも、筆者には特に印象的だった。ファウチ首席医療顧問は11日、「オミクロン型のこれまでにない感染力の強さによって、最終的にはほとんどの人が感染すると思う」「根絶はできない」と述べたと、日本テレビが報じた。新型コロナウイルスへの感染を完全に抑え込むのではなく、ワクチン接種など重症化を防ぐ十分な対策を取り、ウイルスとの共存を考える新たな段階に「近づいていると思う」とも発言。共存を前提にした新たな国家戦略が必要になると指摘した。「ウィズコロナ」への米国の一層の傾斜を求めた形である。
2022.01.29
コメント(0)
全1812件 (1812件中 101-150件目)