甘味処 <甘栗甘>

甘味処 <甘栗甘>

2008年02月04日
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カテゴリ: 書き物
スミマセン!
小出しで・・・。






【13歳年上】




眉間にしわを寄せて対峙していたガイの表情が、
リーの涙に溶かされたように緩む。

「リー・・・!」
(来い!)
ガイは、大きく両腕を広げて、リーを呼んだ。

「ううっ・・・ガイせんせぇ~~っ!!」

絶対、先生に追いついてみせますっ・・・!)

1歩、2歩、3歩・・・。
リーは走りながら、両腕をさし伸ばした。

7歩、8歩、9歩・・・。
ガイは父親のような穏やかな笑顔で、
駆け寄るリーに向けて両腕を伸ばした。

10歩、11歩、12歩・・・。
二人の手が、しっかりとお互いをつかんだ。

13歩・・・!!
向かい合って、リーの腕をつかんだガイは、
そのまま体をひねるようにして、ありったけの力でリーを放り投げた。



リーは膝を抱えてくるくると何度か回転をし、着地した。
あのまま、いつものように師とかたく抱き合って、
感動の涙に暮れるものだと思っていたリーは、
文字通り「鳩が豆鉄砲を食らったような顔」で、ガイをふり返った。


「・・・ガイ・・・先生・・・?」

後方のガイを見遣る。

師は、ナイスガイ・ポーズで親指を立てながら、大声で叫んでいた。
「リーよ!!それが、お前の、14歩目だぞーーーッ!!!」

最初は意味が解らないといった顔をしていたリーの、
表情が、くしゃくしゃと歪んでいく。

「ヤ・・だ。先生が、あんなに、遠い・・・なんて」

再び、涙が溢れ出す。
拳で拭いても拭いても、止まらない。

ガイに、師に憧れ、敬愛し、同じように強く、立派な忍者になりたい。
それだけを思ってきた。

だけど、師を、追い越してしまうなんて。
想像もしていなかったリーは、どうしていいか解らず、
膝が震えるに任せたまま、立ち尽くしていた。



【続く】





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Last updated  2008年02月04日 07時37分15秒
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