August 14, 2007
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「KY」とは「空気が読めない」の略だそうで、息子に
教えてもらった夫は、
「よし、明日会社で使おう!」と息巻き、息子に
「それこそKYだよ」とつぶやかれてしまった。

ちなみに、「RG」=「リアルがっかり」(息子作)
「KGY」=「軽くゴンゴンやばい」(夫作)

RGはまだしも、軽くゴンゴンやばいってなんだ?



で。
政治家っていうのは、空気を読んで生き伸びる


安倍さんはともかく(笑)、小泉さんはお見事だった
と思う。

今読んでいるのは、橘木先生の『格差社会』(岩波新書)。
先生は、98年ごろすでに日本の「格差」について
指摘されており、何冊もの著作を世に問うておられる。

普通、どこの国でも格差があると指摘されると、
必死になって打ち消したり、対策を講じるものなの
だけど、
(現に内閣府も格差は「見かけだけ」という見解を
報告したりもした)

橘木先生が注目するのは、わが国の首相が、


「格差のどこが悪いんですか」
「成功者をねたんだり、能力のある者の足を引っ張っ
たりする風潮を慎まないと社会は発展しない」

と発言されたことだった。

この小泉さんの発言は、どこか、当時のわたしたちの

そんなふうに開き直られると、「あ。確かに。なんで
格差が悪いんだろう???」ってな感じに。

稀代の政治家は、そこにとても上手に乗ったんでは
ないかな?

で、その「気分」だけでたらたらとやってきたら。
やばいことになってますぜ、だんな。

「どうやばいのか?」は、ぜひ、この橘木先生の本を
読んで自分で確かめていただきたいのだけど、

国際比較のデータでわかったことは、
日本の不平等度は、フランスやドイツといったヨー
ロッパの国を上回って、

ポルトガル、イタリア、イギリス、アメリカ、
ニュージーランドと同じく
「不平等性の高い国」に仲間入りしている
ということと、

(だから小泉さんが望んだとおり、「格差が
ある国にとっくになっちゃってますよ」ということ)


日本の貧困率は、先進国のなかで第5位の高さで
あることだ。

ちなみに日本より貧困率の高い国は、メキシコ、
アメリカ、トルコ、アイルランドの順となって
いる。


竹中さんなどが主張したのは、格差のない社会は
ない、競争で発展するのは必要なことだ。
大事なのは、たとえ失敗してもやり直せるセーフティ
ネットを強固にすることだ・・・ということ。

ところが、セーフティネットを強固にした形跡が
見当たらない。

セーフティネットとは、失業保険や生活保護、
医療保険、介護保険などの社会保障給付なのだけど、
先進国に比較して、社会保障の充実度は非常に低い。

その理由は、税や保険料の国民負担率も低いから。
当たり前のことなのだけど、
制度として、もう立派に「小さい政府」に
なっている。

「小さな政府」になりすぎの感もあり、
非正規雇用の人たちのなかには失業保険に加入
できなかったり、医療保険料や国民年金保険料が
払えなかったりする人も確実にいる。

セーフティネットのもろさは、弱い人をこそ、直撃
する。

・・・・・・・・・

『格差社会』でもうひとつ指摘されていることは、
階層の固定化だ。

医者の子どもが医者になる。
政治家の子どもが政治家になる。
野球選手の子どもが野球選手になる。

おもしろいのは、野球選手の子どもは野球選手になるが、
能力がなければ、淘汰されてしまうのに比較して、

政治家の子どもは親の「地盤」を引き継ぎ政治家に
なるが、わかりやすい形で能力を判断することが難
しい。


背景にその地位、職業に就くということが、競争の
活性化につながるのでしょうか。

親が政治家という理由のみで、もし無能な政治家が
誕生し、万が一その人が指導的な地位の政治家に
なったのであれば、国民にとって危機的な状況さえ
引き起こす可能性もあります。

人的資源の活用という点でも、マイナスの効果を
もたらすでしょう。


(太字は、『格差社会』からの引用。わたしたちは
これを読んでつい、どこかの大統領の顔を思い浮かべ
たりする)

大切なのは、「機会の平等」だと橘木先生は主張する。

それには、教育の機会の平等が必要なのだけど、
ここでも指摘されるのが、日本の公的教育支出が
世界でも最低レベルにランキングされているという事実。

わたしも先生の主張と同じで、本人の能力や努力に
よって格差が生じるのはある意味仕方のないことだ
と思う。

でも、本人の能力や努力ではないことによって格差が
広がるのはどうなんだろう??
と思う。

あわせて、格差そのものというよりも、
格差によって、貧困層が増えることをとても心配し
ている。

貧困をなくすためにはどうしたらいいか・・・先生の
提言も本書には盛り込まれているので、ぜひ、読んで
いただきたいのだけど、


わたしのミクロレベルの関心は、
すでに貧困のなかで子育てしている人たちと
その家庭の子どもに向けられる。


これだけ「格差」が言われて、くっきりと存在する
にも関わらず、

「格差があってなにが悪いんですか」

という言説は、つくづく、「自分が勝つ」とわかって
いる人の言葉だなあーと、思い知るのだけど、
(数年前はスルーだったけど、いまでは「KY」だね)


そうじゃなくて、開き直ることもできない貧困に
いる人がいて、そこで子育てをしている人がいると
したら、わたしに何ができるのだろう?

わたしはどこをどう見ても、
「勝ち組マダム」なんかじゃ全然なく、
氷の作り方すら知らない「ダメダメママ」(あははー。
使い方間違ってる?)だけど、

多少なりとも本を買って読む時間があり、
意見を述べる機会をいただき、

自分の子どもが高校生になったというのに、
それでもなお、
「子育て支援を仕事にしたい」と考えている「変人」だ。

だからこそ、意味のある仕事をしたいし、
わたしがもっとも優先度が高いと思った、
そこに、思いと力を注ぎたい。

川下と川上の両面から、この問題を考えたいと
思っている。






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Last updated  August 14, 2007 11:54:03 AM
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