大切な日々

大切な日々

現実そして願い


1920gと小さく生まれたためNICUに1週間入りましたが、
生後3日目には私のおっぱいに必死で吸い付き母乳を飲みました。
小さいゆうだいをこの腕に抱いて乳を飲ませることが出来た時、
私は本当に幸せでした。
ずっと夢見ていた瞬間だったから…。

けれど、医師からゆうだいの状態について説明を受けた私達は
辛い現実に直面することとなったのです。

診断名は「水無脳症」。妊娠中何らかの原因で順調に育っていた
胎児の大脳の殆どが破壊され欠損しているという状況でした。
原因となることのあるウイルス感染も陰性、結局原因は不明。
日本での発症例はとても少なく今後の成長についての情報も
ありませんでした。

ただ一つはっきりしていることは、短命であるということ。

告知されても取り乱すことなくただ冷静に説明を聞きました。
「やっぱり…」
それでもこうして私達のもとに生まれてきてくれた我が子。
かわいいかわいいゆうだい。
覚悟はできていた…はずでした。
でもやっぱり辛い。胸が引き裂かれる様に辛かった…。
かわいいと、大事だと思えば思うほど恐怖で心が震えました。

なんで?どうして私の赤ちゃんが??
「神様、どうかゆうだいを連れて行かないで!!」
毎晩そう祈り続けずにはいられませんでした。


こうして始まったゆうだいとの生活は心身ともにとても
過酷なものでした。
すぐにてんかんの発作を発症したゆうだい。
ひっきりなしに全身を震わせ呼吸も止めてしまう大きな
発作が起こり、見ていることしか出来ない私はただ涙が
こぼれて自分の無力さを責めました。

1日中抱っこをして母乳をあげ少し仮眠してはまた抱っこ
しての繰り返しで殆ど眠ってる感覚がありませんでした。
いつ起こるともわからないけいれんにトイレにも走って
いく毎日。泣いている暇すらなかった。

あの時は本当に必死だったなぁ。なんて今なら言える
から私も随分強くなったのかもしれません。

ある夜、私は思いました。
「神様、今日も1日与えてくれてありがとう」と。
現実は逃げ出したい程過酷だけど、受け入れよう…。
感謝して、1日を大切にして生きていこう、と。
でも本当は、思ったというより、「そう思わなければ!」
という必死な願いだったのかもしれません。


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